128 / 144
最果て
沈思黙考
しおりを挟む
うん?
陛下の顔を見上げる。
「本日からリボーン王国は女王がいる限り帝国が後ろ盾となることをここに宣言する。」
高らかに宣言する陛下の顔からは悪意は見当たらない……
まさか…
私を愛人にでもするつもりかしら…
私の肩を抱く陛下に戸惑いが隠せない。
背中越しに鋭い視線が私を射貫く。
これって…皇后陛下の視線かしら?
「女王、これからは私のことを父だとおもいなさい。
困ったことがあったら何でも私に言いなさい。
必ず力になると約束しよう。」
私を見つめる陛下の瞳はハルモニア公爵と同じ温かなものだった。
陛下のエスコートをうけ、そのまま下のダンスホールへと移動する。
オーケストラがワルツを奏でる。
「フレイヤ、息子のことをどう思った?」
???
陛下の意図することがわからない…けど…
答えは決まっている。
「素敵な方だと思いますが…生きていく場所が違うんだなぁ…と思いました。」
陛下のリードでステップを踏む。
「生きていく場所?」
陛下がたずねる。
「殿下は帝国で、私は王国で背負っていかないといけないものがあります。
背負ったからには責任を持たないと…
陛下も同じですよね。」
陛下の瞳が揺れる。
母の日記に陛下のことが書いてあった。
母が帝国のアカデミーに留学していた時、母は陛下に想いを寄せていた。
そして陛下も母を…
母にも陛下にも婚約者がいた為、二人の恋は始まることなく終わりをむかえた。
「フレイヤ、君はお母さんにそっくりだよ。」
寂しそうに笑う陛下を見つめる。
「母はどんな人でしたか?」
陛下は私の中にある母の面影を見ているのか遠い目で私を見つめる。
「君に似て負けず嫌いで…とても才能に溢れた人だったよ…
フレイヤ、忘れないでおくれ…
私はどんな時も君の味方だ。
困ったことがあったらいつでも連絡するように…」
ダンスが終わり陛下が玉座に戻ると、あっという間に人に囲まれる。
皇太子と婚約者がホールにおりてくる。
ブラウンのストレートの髪がサラサラと揺れ殿下とお揃いのコバルトブルーのドレスが良く似合っている。
「綺麗な人……」
私とは正反対の女性らしさに思わずため息をおとす。
「そうかしら?
私には貴女の方が綺麗に見えるわ。」
!!!
声のする方へと振り返ると、先程まで出来ていた人集りは消え、かわりに……
「始めまして…皇后陛下。」
急いでカーテシーをする。
「お母様に本当によく似ているわ…
貴女のお母様とはアカデミーが一緒だったの…
お兄様の影響で貴女と同じように剣を習っていたわ…
強くて優しくて誰もが貴女のお母様のことを愛したわ…
本当によく似ているわ…
あの人が夢中になるわけね…」
皇后陛下の顔が曇る。
やっぱり…あの射貫くような鋭い視線は皇后陛下だったんだわ。
愛のない政略結婚だと噂で聞いていたけど…
皇后陛下の今の顔を見れば噂は噂でしかないと思い知らされる。
「私にとって母はポートレートの中の人でしかないんです。
皆が母は私のことをものすごく愛していたと言うけれど…
私はそれを確かめる方法がないんです。
どんなに想っていても相手に伝えなければ、想いは自分だけの想いで終わってしまうんです。」
皇后が玉座に座る陛下へと視線を移す。
父のことも母のことも大切に想う気持ちに嘘はない。
ポートレートの二人を見つめては恋しさに涙することもある。
でも…
私にとって親と呼べるのはハルモニア公爵、ただ一人だけだ。
たとえ本当の親子ではなくても、共に過ごした歳月が、本物にも負けない絆を作る事を私は知っている。
だから祈らずにはいられなかった。
皇后の想いが陛下の頑なな心に届くことを…
私は皇后陛下に頭を下げると静かにホールを後にする。
ディナーまでまだ時間がある。
中庭までくると私はベンチに腰かけるとヒールを脱ぐ。
ヒールで剣舞を舞ったせいで靴擦れが出来てしまったのだ。
「大丈夫ですか?」
見上げるとそこには…
陛下の顔を見上げる。
「本日からリボーン王国は女王がいる限り帝国が後ろ盾となることをここに宣言する。」
高らかに宣言する陛下の顔からは悪意は見当たらない……
まさか…
私を愛人にでもするつもりかしら…
私の肩を抱く陛下に戸惑いが隠せない。
背中越しに鋭い視線が私を射貫く。
これって…皇后陛下の視線かしら?
「女王、これからは私のことを父だとおもいなさい。
困ったことがあったら何でも私に言いなさい。
必ず力になると約束しよう。」
私を見つめる陛下の瞳はハルモニア公爵と同じ温かなものだった。
陛下のエスコートをうけ、そのまま下のダンスホールへと移動する。
オーケストラがワルツを奏でる。
「フレイヤ、息子のことをどう思った?」
???
陛下の意図することがわからない…けど…
答えは決まっている。
「素敵な方だと思いますが…生きていく場所が違うんだなぁ…と思いました。」
陛下のリードでステップを踏む。
「生きていく場所?」
陛下がたずねる。
「殿下は帝国で、私は王国で背負っていかないといけないものがあります。
背負ったからには責任を持たないと…
陛下も同じですよね。」
陛下の瞳が揺れる。
母の日記に陛下のことが書いてあった。
母が帝国のアカデミーに留学していた時、母は陛下に想いを寄せていた。
そして陛下も母を…
母にも陛下にも婚約者がいた為、二人の恋は始まることなく終わりをむかえた。
「フレイヤ、君はお母さんにそっくりだよ。」
寂しそうに笑う陛下を見つめる。
「母はどんな人でしたか?」
陛下は私の中にある母の面影を見ているのか遠い目で私を見つめる。
「君に似て負けず嫌いで…とても才能に溢れた人だったよ…
フレイヤ、忘れないでおくれ…
私はどんな時も君の味方だ。
困ったことがあったらいつでも連絡するように…」
ダンスが終わり陛下が玉座に戻ると、あっという間に人に囲まれる。
皇太子と婚約者がホールにおりてくる。
ブラウンのストレートの髪がサラサラと揺れ殿下とお揃いのコバルトブルーのドレスが良く似合っている。
「綺麗な人……」
私とは正反対の女性らしさに思わずため息をおとす。
「そうかしら?
私には貴女の方が綺麗に見えるわ。」
!!!
声のする方へと振り返ると、先程まで出来ていた人集りは消え、かわりに……
「始めまして…皇后陛下。」
急いでカーテシーをする。
「お母様に本当によく似ているわ…
貴女のお母様とはアカデミーが一緒だったの…
お兄様の影響で貴女と同じように剣を習っていたわ…
強くて優しくて誰もが貴女のお母様のことを愛したわ…
本当によく似ているわ…
あの人が夢中になるわけね…」
皇后陛下の顔が曇る。
やっぱり…あの射貫くような鋭い視線は皇后陛下だったんだわ。
愛のない政略結婚だと噂で聞いていたけど…
皇后陛下の今の顔を見れば噂は噂でしかないと思い知らされる。
「私にとって母はポートレートの中の人でしかないんです。
皆が母は私のことをものすごく愛していたと言うけれど…
私はそれを確かめる方法がないんです。
どんなに想っていても相手に伝えなければ、想いは自分だけの想いで終わってしまうんです。」
皇后が玉座に座る陛下へと視線を移す。
父のことも母のことも大切に想う気持ちに嘘はない。
ポートレートの二人を見つめては恋しさに涙することもある。
でも…
私にとって親と呼べるのはハルモニア公爵、ただ一人だけだ。
たとえ本当の親子ではなくても、共に過ごした歳月が、本物にも負けない絆を作る事を私は知っている。
だから祈らずにはいられなかった。
皇后の想いが陛下の頑なな心に届くことを…
私は皇后陛下に頭を下げると静かにホールを後にする。
ディナーまでまだ時間がある。
中庭までくると私はベンチに腰かけるとヒールを脱ぐ。
ヒールで剣舞を舞ったせいで靴擦れが出来てしまったのだ。
「大丈夫ですか?」
見上げるとそこには…
10
あなたにおすすめの小説
五周目の王女様
輝
恋愛
「私、今度はどうやって殺されるの?」
バザロス国へ嫁ぐことになった王女ジゼルは、数度の死に戻りの記憶を持っていた。 1度目は毒殺、2度目は即死、3度目は逃亡先での裏切り。どう足掻いても結婚初夜を越えられず死に戻る運命に私の心はクタクタだった。
今世の夫も「冷酷皇帝」と恐れられる皇帝レオポルド。
実は彼もまた孤独に戦い、ループする人生から脱出を図ろうする一人。
夫婦がようやく絡まりだす4度目の死に戻り。
どうやら今世は他に女がいる皇帝は全く私に見向きもしない……と思っていたら、誰にも見つからずに私に会いに来るんですが?
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
私たちの離婚幸福論
桔梗
恋愛
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
転生してもオタクはなおりません。
しゃもん
恋愛
活字中毒者である山田花子は不幸なことに前世とは違いあまり裕福ではない母子家庭の子供に生まれた。お陰で前世とは違い本は彼女の家庭では贅沢品でありとてもホイホイと買えるようなものではなかった。とは言え、読みたいものは読みたいのだ。なんとか前世の知識を魔法に使って少ないお金を浮かしては本を買っていたがそれでも限界があった。溢れるほどの本に囲まれたい。そんな願望を抱いている時に、信じられないことに彼女の母が死んだと知らせが入り、いきなり自分の前に大金持ちの異母兄と実父が現れた。これ幸いに彼等に本が溢れていそうな学校に入れてもらうことになったのだがそこからが大変だった。モブな花子が自分の願望を叶えて、無事幸せを握り締めるまでの物語です。
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
前世と今世の幸せ
夕香里
恋愛
【商業化予定のため、時期未定ですが引き下げ予定があります。詳しくは近況ボードをご確認ください】
幼い頃から皇帝アルバートの「皇后」になるために妃教育を受けてきたリーティア。
しかし聖女が発見されたことでリーティアは皇后ではなく、皇妃として皇帝に嫁ぐ。
皇帝は皇妃を冷遇し、皇后を愛した。
そのうちにリーティアは病でこの世を去ってしまう。
この世を去った後に訳あってもう一度同じ人生を繰り返すことになった彼女は思う。
「今世は幸せになりたい」と
※小説家になろう様にも投稿しています
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる