16 / 28
第16話 シロは語る
しおりを挟む
事態に気付いたメイドたちの動きは早かった。
地面にぺちゃんと座ったシロの白い肌はテーブルクロスであっという間に隠されて、ピクニックシートのようなものを敷いた上に移動させていた。
「これは一体……どういうこと?」
ボクは少年になったシロを見下ろしながら首を傾げる。
さっきまで腕のなかにいた白いモフモフはどこへいってしまったのか?
化かされたような気分だ。
シロは少年の姿になっても髪の色は白。
色素が抜けた白髪ではなくて、白いクリームが塗られているような白髪だ。
ケモミミはついているが人間の耳もついている。
どんな構造になっているのだろうか?
肌の色は透き通るように白い。
身長はボクと同じくらいだが、手足が長くからとても華奢に見えた。
顔は小さくて整っている。
人間の姿になっても、とても可愛い。
メイドたちがテーブルクロスをカーテンのように広げてシロの姿を隠した。
そして再びシロの姿が現れたときには、どこから持ってきたのか男の子用の服が着せられていた。
イリュージョンのようだ。
ボクは目をぱちくりさせた。
オズワルドも驚いたように目をぱちくりさせている。
でもダメだよ、オズワルド。
ボク以外の子をジロジロ見るのは禁止だからね。
失神してゴロンと倒れているゴリラっぽい人間にも服が着せられて、こちらにはグルグルと縄も巻かれていた。
どうなってるのか、誰か説明して⁉
ボクがそう思っていると、処理の手配を終えたお母さまたちがこちらへやってきた。
お母さまはシロを椅子に座らせると、自分はその正面に座って口を開く。
「さて、説明してもらおうか」
「えっと……」
シロは説明を始めた。
「僕は獣人で、名はマキシムといいます。そこに転がっている化け物は、僕の許婚です」
「許婚? ならばなぜ彼は襲ってきたのです?」
「それは……」
シロ改めマキシムはぷっくりした唇をキュッと引き結んだ。
そして膝の上に置いた両手をギュッと握りしめると意を決したように口を開く。
「許婚だからいいだろう、ってまだ8歳の僕に手を出そうとしたのです」
「「「「なんだって⁉」」」」
その場にいたお母さまとお父さま、お兄さまとオズワルドが声を合わせて叫んだ。
ボクはちょっとビビった。
8歳というと、マキシムとボクは同い年だね。
でも『手を出す』ってなんだろう?
「獣人だから8歳でも大人だと言って……いやらしいことをしようと……」
ほう。『手を出す』っていやらしいことをすることなんだ。
なぜかオズワルドがお父さまとお兄さまに睨まれているけれど。
ボクは『手を出されていない』からやめてあげて欲しいです。
「僕は嫌だっていって断ったんです。そしたら呪いをかけられて、あの姿に……」
「ああそうか。だから獣人だって分からなかったんだ」
マキシムはうなずいた。
「自分で獣化したなら変身は自分の意志で解けるのですが、呪いだったので人間に戻ることができなくて……あいつから逃げようとして、馬車の荷台に乗り込んだら、ここまで来てしまい……こうなりました」
お母さまが相づちを打つように手をたたいて、コクコクとうなずいている。
「俺は商売であちこち行くから、獣人も初めて見るわけじゃないし。鑑定も出来るから、普通なら動物の種類もだいたいは分かるはずなのに、君の場合には全然わからなくて不思議だったけど。呪いだったか。なら分からなくても仕方ないか」
お母さまは1人納得している。
あの姿は呪いによるものだったんだ。
可愛くなっちゃうのも呪いなのかー。
うーん。シロは可愛かったから、呪い解けちゃって残念ではあるなぁ。
で、これからどうする?
地面にぺちゃんと座ったシロの白い肌はテーブルクロスであっという間に隠されて、ピクニックシートのようなものを敷いた上に移動させていた。
「これは一体……どういうこと?」
ボクは少年になったシロを見下ろしながら首を傾げる。
さっきまで腕のなかにいた白いモフモフはどこへいってしまったのか?
化かされたような気分だ。
シロは少年の姿になっても髪の色は白。
色素が抜けた白髪ではなくて、白いクリームが塗られているような白髪だ。
ケモミミはついているが人間の耳もついている。
どんな構造になっているのだろうか?
肌の色は透き通るように白い。
身長はボクと同じくらいだが、手足が長くからとても華奢に見えた。
顔は小さくて整っている。
人間の姿になっても、とても可愛い。
メイドたちがテーブルクロスをカーテンのように広げてシロの姿を隠した。
そして再びシロの姿が現れたときには、どこから持ってきたのか男の子用の服が着せられていた。
イリュージョンのようだ。
ボクは目をぱちくりさせた。
オズワルドも驚いたように目をぱちくりさせている。
でもダメだよ、オズワルド。
ボク以外の子をジロジロ見るのは禁止だからね。
失神してゴロンと倒れているゴリラっぽい人間にも服が着せられて、こちらにはグルグルと縄も巻かれていた。
どうなってるのか、誰か説明して⁉
ボクがそう思っていると、処理の手配を終えたお母さまたちがこちらへやってきた。
お母さまはシロを椅子に座らせると、自分はその正面に座って口を開く。
「さて、説明してもらおうか」
「えっと……」
シロは説明を始めた。
「僕は獣人で、名はマキシムといいます。そこに転がっている化け物は、僕の許婚です」
「許婚? ならばなぜ彼は襲ってきたのです?」
「それは……」
シロ改めマキシムはぷっくりした唇をキュッと引き結んだ。
そして膝の上に置いた両手をギュッと握りしめると意を決したように口を開く。
「許婚だからいいだろう、ってまだ8歳の僕に手を出そうとしたのです」
「「「「なんだって⁉」」」」
その場にいたお母さまとお父さま、お兄さまとオズワルドが声を合わせて叫んだ。
ボクはちょっとビビった。
8歳というと、マキシムとボクは同い年だね。
でも『手を出す』ってなんだろう?
「獣人だから8歳でも大人だと言って……いやらしいことをしようと……」
ほう。『手を出す』っていやらしいことをすることなんだ。
なぜかオズワルドがお父さまとお兄さまに睨まれているけれど。
ボクは『手を出されていない』からやめてあげて欲しいです。
「僕は嫌だっていって断ったんです。そしたら呪いをかけられて、あの姿に……」
「ああそうか。だから獣人だって分からなかったんだ」
マキシムはうなずいた。
「自分で獣化したなら変身は自分の意志で解けるのですが、呪いだったので人間に戻ることができなくて……あいつから逃げようとして、馬車の荷台に乗り込んだら、ここまで来てしまい……こうなりました」
お母さまが相づちを打つように手をたたいて、コクコクとうなずいている。
「俺は商売であちこち行くから、獣人も初めて見るわけじゃないし。鑑定も出来るから、普通なら動物の種類もだいたいは分かるはずなのに、君の場合には全然わからなくて不思議だったけど。呪いだったか。なら分からなくても仕方ないか」
お母さまは1人納得している。
あの姿は呪いによるものだったんだ。
可愛くなっちゃうのも呪いなのかー。
うーん。シロは可愛かったから、呪い解けちゃって残念ではあるなぁ。
で、これからどうする?
16
あなたにおすすめの小説
【完結】可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない
天田れおぽん
BL
劣性アルファであるオズワルドは、劣性オメガの幼馴染リアンを伴侶に娶りたいと考えていた。
ある日、仕えている王太子から名前も知らないオメガのうなじを噛んだと告白される。
運命の番と王太子の言う相手が落としていったという髪飾りに、オズワルドは見覚えがあった――――
※他サイトにも掲載中
★⌒*+*⌒★ ☆宣伝☆ ★⌒*+*⌒★
「婚約破棄された不遇令嬢ですが、イケオジ辺境伯と幸せになります!」
が、レジーナブックスさまより発売中です。
どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
無自覚オメガとオメガ嫌いの上司
蒼井梨音
BL
ベータとして生きてきた無自覚オメガの小国直樹は、オメガ嫌いの白鷹課長のいる部署に異動になった。
ビクビクしながら、なるべく関わらないように仕事をしてたのに、
ペアを組んでいた先輩が倒れてしまい、課長がサポートすることに。
そして、なぜか課長にキスされてしまい…??
無自覚オメガ→小国直樹(24)
オメガ嫌いの上司→白鷹迅(28)アルファ
第一部・完
お読みいただき、ありがとうございました。
第二部
白鷹課長と一緒に住むことになった直樹。
プロジェクトのこととか、新しくできた友だちの啓さんのこととか。
相変わらず、直樹は無自覚に迅さんに甘えています。
第三部
入籍した直樹は、今度は結婚式がしたくなりました。
第四部
入籍したものの、まだ番になってない直樹と迅さん。
直樹が取引先のアルファに目をつけられて……
※続きもいずれ更新します。お待ちください。
直樹のイラスト、描いてもらいました。
【完結】初恋のアルファには番がいた—番までの距離—
水樹りと
BL
蛍は三度、運命を感じたことがある。
幼い日、高校、そして大学。
高校で再会した初恋の人は匂いのないアルファ――そのとき彼に番がいると知る。
運命に選ばれなかったオメガの俺は、それでも“自分で選ぶ恋”を始める。
『悪役令息』セシル・アクロイドは幼馴染と恋がしたい
佐倉海斗
BL
侯爵家の三男、セシル・アクロイドは『悪役令息』らしい。それを知ったのはセシルが10歳の時だった。父親同士の約束により婚約をすることになった友人、ルシアン・ハヴィランドの秘密と共に知ってしまったことだった。しかし、セシルは気にしなかった。『悪役令息』という存在がよくわからなかったからである。
セシルは、幼馴染で友人のルシアンがお気に入りだった。
だからこそ、ルシアンの語る秘密のことはあまり興味がなかった。
恋に恋をするようなお年頃のセシルは、ルシアンと恋がしたい。
「執着系幼馴染になった転生者の元脇役(ルシアン)」×「考えるのが苦手な悪役令息(セシル)」による健全な恋はBLゲームの世界を覆す。(……かもしれない)
愛させてよΩ様
ななな
BL
帝国の王子[α]×公爵家の長男[Ω]
この国の貴族は大体がαかΩ。
商人上がりの貴族はβもいるけど。
でも、αばかりじゃ優秀なαが産まれることはない。
だから、Ωだけの一族が一定数いる。
僕はαの両親の元に生まれ、αだと信じてやまなかったのにΩだった。
長男なのに家を継げないから婿入りしないといけないんだけど、公爵家にΩが生まれること自体滅多にない。
しかも、僕の一家はこの国の三大公爵家。
王族は現在αしかいないため、身分が一番高いΩは僕ということになる。
つまり、自動的に王族の王太子殿下の婚約者になってしまうのだ...。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる