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お忍び晩酌
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今日は珍しい客人が来た。
日が暮れて店の入口にかけてある看板を「OPEN」から「CLOSE」に変えると、フードつきローブをまとった人が近寄ってきた、
顔は見えない。石畳を叩く靴音からしてハイヒールを履いているように見える。
「あの……ポーションショップのお客様でしょうか?」
フードを被った人物は首を横に振った。
「どこか体に悪い場所があるのでしょうか?」
よければ診ますよとレージュが呟くと、謎の人物はフードに片手をかけ、顔を見せた。
「いえ、私は店の客ではなく、個人的な用で参りました」
白銀の煌びやかなロングヘアーに、白く曇りのない肌。ローブの下からは、ほんのりバラの香りが漂ってくる。
「ヴィオラさん……?」
「はい、お久しぶりです」
***
かつてレージュが聖女として生活していたとき「こっそり外に出たい」と願うことがなんどもあった。
もしお忍びで塔の外に出られたら美味しいものを、たくさん食べて、行商人が運んできた珍しいものを自由に見たいと心の底から願っていた。
きっと今日のヴィオラも同じような気持ちなのだと思う。
我が家のリビングに入ったヴィオラはローブを脱ぎ、椅子にかけた。
「まぁ、可愛らしいお部屋」
現在、我が家のリビングにはレージュが買ってきた造花や、ポプリ、猫の木彫り、ガラスのフルーツといった置物か、多く並べられていた。もともと家にあった壺や絵画の雰囲気を損なわないようにレージュが飾ったものだ。
定期的にホコリや汚れを落として、常に新品に近い状態を保っている。最近はマシュが暴れて破壊することも減ってきた。
令嬢である彼女にとっては狭苦しい部屋だと思われるが「可愛らしい」という感想が出てくるあたり、やっぱりヴィオラは優しい。
ひと目でヴィオラを「良い人」だと判断したらしいマシュは「にゃあお」と鳴いてから、喉を鳴らしながらシッポを垂れた。
「手狭かもしれないけど、ちょっと座って待っていてください。食べれるものを用意してきますから」
キッチンに入り昨日作り置きしておいた料理をいくつか取り出す。どれも品質保持の魔法がかかっており、できたての状態になっていた。
ナスのグラタンに、焼いた牡蠣を皿に乗せてリビングへ。
「アルコールは大丈夫でしょうか?」
「人並みには飲めます」
「分かりました。ではテーブルマナーなんて忘れて、こっそり晩酌しちゃいましよう」
レージュのひと言にヴィオラは口元を両手で覆った。
「ありがとうございます。実は今日、侍女に頼んでこっそりお屋敷を抜け出してきたのです。レージュとお互い気を使わず過ごせたら良いなと……」
やっぱり、ヴィオラもかつてのレージュと同じ気持ちなのた。礼儀作法や義務といった、しがらみから抜け出して自由になりたいのである。
「でしたらお家の方にバレる前には戻らないといけないですね」
「隠蔽魔法をかけておいたのですぐにはバレないと思いますけど、レージュの言う通りですね日が暮れる前には戻りましょう」
再びキッチンに戻り、今度はグラスとワインボトルを取る。いっぺんには持ちきれないので、グラスだけは浮遊魔法でプカプカと浮かせながら運ぶことにした。
グラスを置き赤ワインを半分入れる。
「それではちょっと早い晩酌といきましょうか」
レージュがワイングラスを持ち、少し傾けるとヴィオラもグラスを取り、縁をぶつけあった。
乾杯の合図としてカチンとワイングラスがぶつかり合う音がする。
「レージュのお店が更に賑わうことを祈って乾杯」
「かんぱーい」
ひと口赤ワインを含むと、ブドウの風味と辛さが同時に口を包んだ。ダーレンが帰ってきたときに酔っているわけにはいかないので、量は控えておこう。
「いつもは使用人やお父様の視線を気にしながら食事をとっているので、自由にご飯が食べられるのって不思議な気分です」
ナスのグラタンをナイフで切って、フォークに刺す。口にいれると焼かれたナスの甘みとチーズが溶け合った。うむ、酒によく合う。
「私も同じ気持ちです」
侍女から掃除係、神官。聖女であったごろは数多くの人々に囲まれて暮らしていたが、レージュの味方は一人もいなかった。もう昔には戻りたくない。
ワインを飲んでいてだんたんと楽しくなってきたのだろうか、ヴィオラは父や家庭教師の愚痴を話し始めた。
「私は舞踏会で出会ったルパード様をお慕いしているのですが、お父様がルパード様は次男だから爵位が継げる長男と婚約しろと他の方を紹介してきたのです」
「ヴィオラは婚約者さんと顔を合わせたことがあるのでしょうか?」
「いいえ。明後日初めて顔を合わせることになるのですが……私あまりよく分からない方のことを愛せるのか心配で」
「まぁ、私もダーレン様と出会った頃は、あまり彼のことをよく分かっていませんでした。長く一緒にいるうちに、だんだんとダーレン様がどれだけ私のことを気にかけてくださっているのか分かって、今では彼と出会って良かったと心の底から思えるのです」
レージュは胸に手を当てながら笑う。
「世の中にはお互い一目惚れをして交際をする方々もいらっしゃると思いますが、私は『信頼』から始まる愛もあると思うのです」
「レージュのおっしゃる通りですね。少しだけ自身が湧きました」
ドアの隙間から入ってきたマシュが、てくてくと歩み寄ってくる。そのまま机の上に飛び乗った。
「こら、マシュちゃん。まだご飯の時間では、ありませんよ」
必死にマシュを机から下ろそうとするレージュを見て、ヴィオラは「まぁ、可愛い」と微笑んだ。
日が暮れて店の入口にかけてある看板を「OPEN」から「CLOSE」に変えると、フードつきローブをまとった人が近寄ってきた、
顔は見えない。石畳を叩く靴音からしてハイヒールを履いているように見える。
「あの……ポーションショップのお客様でしょうか?」
フードを被った人物は首を横に振った。
「どこか体に悪い場所があるのでしょうか?」
よければ診ますよとレージュが呟くと、謎の人物はフードに片手をかけ、顔を見せた。
「いえ、私は店の客ではなく、個人的な用で参りました」
白銀の煌びやかなロングヘアーに、白く曇りのない肌。ローブの下からは、ほんのりバラの香りが漂ってくる。
「ヴィオラさん……?」
「はい、お久しぶりです」
***
かつてレージュが聖女として生活していたとき「こっそり外に出たい」と願うことがなんどもあった。
もしお忍びで塔の外に出られたら美味しいものを、たくさん食べて、行商人が運んできた珍しいものを自由に見たいと心の底から願っていた。
きっと今日のヴィオラも同じような気持ちなのだと思う。
我が家のリビングに入ったヴィオラはローブを脱ぎ、椅子にかけた。
「まぁ、可愛らしいお部屋」
現在、我が家のリビングにはレージュが買ってきた造花や、ポプリ、猫の木彫り、ガラスのフルーツといった置物か、多く並べられていた。もともと家にあった壺や絵画の雰囲気を損なわないようにレージュが飾ったものだ。
定期的にホコリや汚れを落として、常に新品に近い状態を保っている。最近はマシュが暴れて破壊することも減ってきた。
令嬢である彼女にとっては狭苦しい部屋だと思われるが「可愛らしい」という感想が出てくるあたり、やっぱりヴィオラは優しい。
ひと目でヴィオラを「良い人」だと判断したらしいマシュは「にゃあお」と鳴いてから、喉を鳴らしながらシッポを垂れた。
「手狭かもしれないけど、ちょっと座って待っていてください。食べれるものを用意してきますから」
キッチンに入り昨日作り置きしておいた料理をいくつか取り出す。どれも品質保持の魔法がかかっており、できたての状態になっていた。
ナスのグラタンに、焼いた牡蠣を皿に乗せてリビングへ。
「アルコールは大丈夫でしょうか?」
「人並みには飲めます」
「分かりました。ではテーブルマナーなんて忘れて、こっそり晩酌しちゃいましよう」
レージュのひと言にヴィオラは口元を両手で覆った。
「ありがとうございます。実は今日、侍女に頼んでこっそりお屋敷を抜け出してきたのです。レージュとお互い気を使わず過ごせたら良いなと……」
やっぱり、ヴィオラもかつてのレージュと同じ気持ちなのた。礼儀作法や義務といった、しがらみから抜け出して自由になりたいのである。
「でしたらお家の方にバレる前には戻らないといけないですね」
「隠蔽魔法をかけておいたのですぐにはバレないと思いますけど、レージュの言う通りですね日が暮れる前には戻りましょう」
再びキッチンに戻り、今度はグラスとワインボトルを取る。いっぺんには持ちきれないので、グラスだけは浮遊魔法でプカプカと浮かせながら運ぶことにした。
グラスを置き赤ワインを半分入れる。
「それではちょっと早い晩酌といきましょうか」
レージュがワイングラスを持ち、少し傾けるとヴィオラもグラスを取り、縁をぶつけあった。
乾杯の合図としてカチンとワイングラスがぶつかり合う音がする。
「レージュのお店が更に賑わうことを祈って乾杯」
「かんぱーい」
ひと口赤ワインを含むと、ブドウの風味と辛さが同時に口を包んだ。ダーレンが帰ってきたときに酔っているわけにはいかないので、量は控えておこう。
「いつもは使用人やお父様の視線を気にしながら食事をとっているので、自由にご飯が食べられるのって不思議な気分です」
ナスのグラタンをナイフで切って、フォークに刺す。口にいれると焼かれたナスの甘みとチーズが溶け合った。うむ、酒によく合う。
「私も同じ気持ちです」
侍女から掃除係、神官。聖女であったごろは数多くの人々に囲まれて暮らしていたが、レージュの味方は一人もいなかった。もう昔には戻りたくない。
ワインを飲んでいてだんたんと楽しくなってきたのだろうか、ヴィオラは父や家庭教師の愚痴を話し始めた。
「私は舞踏会で出会ったルパード様をお慕いしているのですが、お父様がルパード様は次男だから爵位が継げる長男と婚約しろと他の方を紹介してきたのです」
「ヴィオラは婚約者さんと顔を合わせたことがあるのでしょうか?」
「いいえ。明後日初めて顔を合わせることになるのですが……私あまりよく分からない方のことを愛せるのか心配で」
「まぁ、私もダーレン様と出会った頃は、あまり彼のことをよく分かっていませんでした。長く一緒にいるうちに、だんだんとダーレン様がどれだけ私のことを気にかけてくださっているのか分かって、今では彼と出会って良かったと心の底から思えるのです」
レージュは胸に手を当てながら笑う。
「世の中にはお互い一目惚れをして交際をする方々もいらっしゃると思いますが、私は『信頼』から始まる愛もあると思うのです」
「レージュのおっしゃる通りですね。少しだけ自身が湧きました」
ドアの隙間から入ってきたマシュが、てくてくと歩み寄ってくる。そのまま机の上に飛び乗った。
「こら、マシュちゃん。まだご飯の時間では、ありませんよ」
必死にマシュを机から下ろそうとするレージュを見て、ヴィオラは「まぁ、可愛い」と微笑んだ。
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