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貴方の罪を裁きましょうか?
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「また後でね。素敵な殿方」
「ミス・グリンダ。後は君の好きなようにやるんだよ」
「はい、分かっています」
ティールームから出たグリンダは、紳士と挨拶を交わしてから別れた。
次のダンスパートナーを探すべく、広間の中央に戻ると、枝のように細い腕を長身の男が掴んだ。
「お兄様……なにを……」
「いいから付いてこい」
アンソニーは小さな妹の腕を引っ張りながら無理やり広間の端っこに連れていこうとする。
すると、二人の様子を不審に思ったのか、先ほどまでグリンダと踊っていた紳士が、アンソニーを見据える。
「ちっ、めんどくせぇ」
アンソニーは舌打ちをしてから庭の方へ向かった。
庭師によって綺麗に手入れがされた花畑の中は、静寂に包まれている。
月明かりに照らされたグリンダとアンソ二ーをフクロウが見つめていた。
「俺の許可なく、勝手に見知らぬ男とイチャついてんじゃねえよ」
グリンダは何も言い返さない。
彼女の目尻からは今にも涙が流れそうであった。
「おい、なんだよ。いつもみたいに『ごめんなさい』って謝れよ。アァ?」
「嫌……です」
「なんだと?」
グリンダは涙を拭ってから、振り絞るような声で叫んだ。
小さくて宝石みたいなグリンダの瞳に宿るのは、弱いながらも揺るがない意思である。
「絶対に嫌です!」
「何考えてやがる。いいか、お前はトロくて、すぐに騙されるアホで、俺がいないと何もできないんだ」
「そんなこと……ありません。お兄様は恐怖で私を縛り付けるのが好きなだけです。私のことなんて何も考えていない」
「クッソ、好き勝手言いやがって。まだ躾が足りないみたいだな!」
大きく手を上げたアンソニー。
彼の手は、怯えながら目を閉じたグリンダの頬に命中するかと思われたが――。
「これ以上はやめなさい。どうか落ち着いて」
パシッという乾いた音が鳴り響いた。
グリンダは少しずつ目を明け、目の前で起きている状況を察して空いた口が塞がらなくなった。
先ほどまで、グリンダと踊っていた紳士がアンソニーの片手を受け止めたのだ。
「なんだ、お前。邪魔するんじゃねぇよ」
「あら、落ち着いてと言ったのよ。もしかして耳が聞こえなくて?」
紳士の声が段々高くなり、女性の声に変わっていく。
「まさか、そんな……」
段々と顔を青ざめるアンソニー。
紳士は金髪の髪を片手で掴んで、花畑の中へ放り込んだ。
別に紳士が金髪を無理やりむしり取ったわけではない。彼の髪はいわゆる偽物であったのだ。
金髪の下から現れたのは銀髪の毛。
月光に照らされて、ダイヤモンドのように輝いている。
「初めまして。メアリー・ターレンバラと申します。以後お見知りおきを」
「この俺を騙して……なんのつもりだ?」
怒りに震えるアンソニーを、メアリーは呆れたような表情で見つめていた。
「私は昔からオペラ鑑賞が趣味なの。だから観衆のためにも演出にはこだわらないといけないと思って」
「観衆? まるで他のヤツでも見ているような良い方だな」
「えぇ、お客様なら、あちらに」
メアリーは、そう言いながら庭と広間を繋いでいる扉の方に視線を移した。
「嘘だ……そんな……」
扉の前で集まっていたのは、ラングスレッタ子爵を含めた、本日、誕生日パーティに出席している紳士と淑女全員であった。
全員の視線がアンソニーに注がれている。
ラングスレッタ家の跡継ぎによる横暴な振る舞いを目撃した客人たちは、口々に侮蔑の言葉をアンソニーにぶつけた。
「おい、どうやって全員を集めた?」
「あら、私は何もしていないわ。皆様が勝手に集まったのよ」
「どういう意味だ?」
「もうすぐ分かるわ。空を見上げてご覧なさい」
言われるがままに空を見上げるアンソニー。
彼――いや、ラングスレッタ家の敷地にいる全員の視線が空に注がれた瞬間、真っ黒な空に鮮やかな火の花が咲き乱れた。
「パーティで花火が打ち上がるだなんて、聞いてないぞ」
「そうでしょうね。子爵やグリンダに協力してもらって貴方にだけ花火が打ち上がることを教えないでもらったの」
アンソニーの頬が引きつり、プルプルと震える。
「そんな……嘘だ。まるで初めから全て仕組んでいたみたいじゃないか」
「あら、やっと気づいたの? そうよ、貴方は初めから私の手のひらの上で踊らされていたの」
「卑怯だぞ!」
「まぁ、それは失礼。でも、これが悪女の流儀なのよ」
薄笑いを浮かべながら、首を傾げるメアリーに対し、アンソニーはこれ以上何も言わないつもりであるようだった。
三人の元にラングスレッタ子爵が近寄ってくる。
「アンソニー。お前はなんて事をしてくれたんだ!」
後は子爵に任せても大丈夫そうね。
メアリーはグリンダの手を取りながら庭園から離れる、
――残念ね、アンソニー。貴方は道を誤ったの。
「ミス・グリンダ。後は君の好きなようにやるんだよ」
「はい、分かっています」
ティールームから出たグリンダは、紳士と挨拶を交わしてから別れた。
次のダンスパートナーを探すべく、広間の中央に戻ると、枝のように細い腕を長身の男が掴んだ。
「お兄様……なにを……」
「いいから付いてこい」
アンソニーは小さな妹の腕を引っ張りながら無理やり広間の端っこに連れていこうとする。
すると、二人の様子を不審に思ったのか、先ほどまでグリンダと踊っていた紳士が、アンソニーを見据える。
「ちっ、めんどくせぇ」
アンソニーは舌打ちをしてから庭の方へ向かった。
庭師によって綺麗に手入れがされた花畑の中は、静寂に包まれている。
月明かりに照らされたグリンダとアンソ二ーをフクロウが見つめていた。
「俺の許可なく、勝手に見知らぬ男とイチャついてんじゃねえよ」
グリンダは何も言い返さない。
彼女の目尻からは今にも涙が流れそうであった。
「おい、なんだよ。いつもみたいに『ごめんなさい』って謝れよ。アァ?」
「嫌……です」
「なんだと?」
グリンダは涙を拭ってから、振り絞るような声で叫んだ。
小さくて宝石みたいなグリンダの瞳に宿るのは、弱いながらも揺るがない意思である。
「絶対に嫌です!」
「何考えてやがる。いいか、お前はトロくて、すぐに騙されるアホで、俺がいないと何もできないんだ」
「そんなこと……ありません。お兄様は恐怖で私を縛り付けるのが好きなだけです。私のことなんて何も考えていない」
「クッソ、好き勝手言いやがって。まだ躾が足りないみたいだな!」
大きく手を上げたアンソニー。
彼の手は、怯えながら目を閉じたグリンダの頬に命中するかと思われたが――。
「これ以上はやめなさい。どうか落ち着いて」
パシッという乾いた音が鳴り響いた。
グリンダは少しずつ目を明け、目の前で起きている状況を察して空いた口が塞がらなくなった。
先ほどまで、グリンダと踊っていた紳士がアンソニーの片手を受け止めたのだ。
「なんだ、お前。邪魔するんじゃねぇよ」
「あら、落ち着いてと言ったのよ。もしかして耳が聞こえなくて?」
紳士の声が段々高くなり、女性の声に変わっていく。
「まさか、そんな……」
段々と顔を青ざめるアンソニー。
紳士は金髪の髪を片手で掴んで、花畑の中へ放り込んだ。
別に紳士が金髪を無理やりむしり取ったわけではない。彼の髪はいわゆる偽物であったのだ。
金髪の下から現れたのは銀髪の毛。
月光に照らされて、ダイヤモンドのように輝いている。
「初めまして。メアリー・ターレンバラと申します。以後お見知りおきを」
「この俺を騙して……なんのつもりだ?」
怒りに震えるアンソニーを、メアリーは呆れたような表情で見つめていた。
「私は昔からオペラ鑑賞が趣味なの。だから観衆のためにも演出にはこだわらないといけないと思って」
「観衆? まるで他のヤツでも見ているような良い方だな」
「えぇ、お客様なら、あちらに」
メアリーは、そう言いながら庭と広間を繋いでいる扉の方に視線を移した。
「嘘だ……そんな……」
扉の前で集まっていたのは、ラングスレッタ子爵を含めた、本日、誕生日パーティに出席している紳士と淑女全員であった。
全員の視線がアンソニーに注がれている。
ラングスレッタ家の跡継ぎによる横暴な振る舞いを目撃した客人たちは、口々に侮蔑の言葉をアンソニーにぶつけた。
「おい、どうやって全員を集めた?」
「あら、私は何もしていないわ。皆様が勝手に集まったのよ」
「どういう意味だ?」
「もうすぐ分かるわ。空を見上げてご覧なさい」
言われるがままに空を見上げるアンソニー。
彼――いや、ラングスレッタ家の敷地にいる全員の視線が空に注がれた瞬間、真っ黒な空に鮮やかな火の花が咲き乱れた。
「パーティで花火が打ち上がるだなんて、聞いてないぞ」
「そうでしょうね。子爵やグリンダに協力してもらって貴方にだけ花火が打ち上がることを教えないでもらったの」
アンソニーの頬が引きつり、プルプルと震える。
「そんな……嘘だ。まるで初めから全て仕組んでいたみたいじゃないか」
「あら、やっと気づいたの? そうよ、貴方は初めから私の手のひらの上で踊らされていたの」
「卑怯だぞ!」
「まぁ、それは失礼。でも、これが悪女の流儀なのよ」
薄笑いを浮かべながら、首を傾げるメアリーに対し、アンソニーはこれ以上何も言わないつもりであるようだった。
三人の元にラングスレッタ子爵が近寄ってくる。
「アンソニー。お前はなんて事をしてくれたんだ!」
後は子爵に任せても大丈夫そうね。
メアリーはグリンダの手を取りながら庭園から離れる、
――残念ね、アンソニー。貴方は道を誤ったの。
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追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
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