断罪するのは天才悪女である私です〜継母に全てを奪われたので、二度目の人生は悪逆令嬢として自由に生きます

紅城えりす☆VTuber

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銀髪の錬金術師

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「祈祷文を置く台座は木製でいいかしら?」

「いや、石の方がいい。錬金術において物資というものは四つに分けられましてね……」

「知っているわ。火、水、土、エーテルよね?」

「そうですよ。博識なことで」

「かじった程度の知識よ」

「それでも、儀式を行う側としては説明の手間が省けて助かるよ」

 ターレンバラ家の祈祷室。

 天井では魔法で作った星海図が輝き、壁にはステンドグラスが輝く空間で、魔道士の男とメアリーは予言式の打ち合わせをしていた。

 本来なら一時間はかかるであろう話し合いであったが、元々メアリーに魔法の知識が、ある程度あったため二十分ほどで済んでしまう。

 あまりにも早く終わってしまったためリーダーである男以外は、驚いている様子であった。

「大体の打ち合わせは、これにて完了かと」

「そうね……」

 一通り必要な事項をメモし終わったメアリーは、スカートの裾を掴み、魔道士たちに向かって優雅に礼をした。

「待たせたわね。残りの準備は私たちターレンバラ家の者が進めるから、貴方たちは当日までしっかり休んでちょうだい」

「はい。また、なにかお困りのことがあれば、いつでもお呼びください」

 魔道士たちは深々と礼をしてから祈祷室の外に出ようとする。

「銀髪の方だけ残ってちょうだい。少し話があるわ」

 メアリーが銀髪のリーダーらしき男を止めると、他の魔道士は心配そうに顔を合わせた。

「大丈夫よ。別になにか説教しようとしているわけじゃないから。貴方たちは、先に帰っていなさい」

 魔道士たちの顔から相変わらず”困惑”の色は消えなかったが、大人しく去ってくれた。

 次にメアリーが話しかけたのは、傍で打ち合わせの様子を見ていた使用人たち。

「申し訳ないけど、人払い願えるかしら?」

 使用人たちも怪訝な表情を浮かべつつも、部屋から立ち去った。

 全員が部屋から立ち去ると銀髪の男が試験管を取り出し、呪文を唱えながら中身の液体を床に落とす。

 試験管から落ちた虹色の液体は、地面に広がり、やがて泡に姿を変え消えていった。

「防音効果のある結界だ。二人きりで話すなら必要だろう?」

「えぇ、助かるわ。えっと、貴方のことはなんと呼べはいいのかしら?」

「メギスでいいよ」

 まるで本名は別にあるような言い方ね。

「じゃあ、メギス。早速本題に入るけどいいかしら?」

 メアリーが祈祷室の長椅子に座ると、メギスも隣に座り込んだ。

「いいよ。いつでもどうぞ」

「単刀直入に言うわ。貴方、以前私と会ったことがあるかしら?」

 メギスは静かに笑った。
 青い瞳が、鋭い光を放ちながらメアリーを見下ろす。

「君は僕について覚えているのかな?」

「質問を質問で返さないで。貴方については覚えているわ。牢の中で死を待っていた私をを助けてくれたでしょう?」

「なるほど、なるほど。覚えていてくれたようでなによりだ。君が予想している通り僕たちは以前会ったことがあるよ」

 へぇー、時間を戻した張本人には回帰前の記憶が残るのね。
 使用人や兄の様子を見た限り回帰前の記憶が残っているのは、私と彼だけのようね。

「あの時は、助けてくれてありがとう。貴方のおかげでお義母様の洗脳から解放されて、目が覚めたわ」

「それは良かった。復讐の方は順調?」

「まだ、全然よ。今、あの女について調べているんだけど、全然情報が掴めなくて……」

「だろうねぇ……僕もフィネラの素性について調べているけど、全く収穫無しだよ」

「貴方もフィネラへの復讐を目論んでいるの?」

「いいや、僕はただ君の助けになればいいと思って動いているだけだよ」

「どうして私のために、そこまでしてくれるの?」

「少なくとも君の前では”ヒーロー”で居たいからかな?」

「なにそれ……?」

 興味なさげに目を逸らすメアリーを、メギスは苦笑しながら見下ろす。

 ステンドグラスの光に彩られた彼の髪は、肌は、瞳は――とても美しかった。


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