断罪するのは天才悪女である私です〜継母に全てを奪われたので、二度目の人生は悪逆令嬢として自由に生きます

紅城えりす☆VTuber

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残念でした。私の勝ち

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 予言式当日。
  ターレンバラ家には、神官、魔道士、領地に住む民の代表者、そしてメアリーの父親が帰ってきていた。

「お久しぶりです、父上。今回の遠征も上手くいったようでなによりです」

「私も久しぶりに家族の顔が見れて幸せだよ」

 メアリーよりも、ずっと高い背丈に赤髪。胸に縫いつけられた記章が、彼の積み立ててきた軍功を物語っている。
 ターレンバラ伯爵こと、クリスである。
 全体的にメアリーとは似ても似つかない容姿である彼であったが、瞳の色だけは娘と同じ琥珀色であった。

「あらぁ、おかえりなさい」

 メアリーとクリスが談笑していると、継母であるフィネラが現れた。

「ただいま、フィネラ。予言式も含め、いつも儀式や社交パーティの管理を任せてしまって済まないね」

「いえいえ、貴方が毎日、民のために戦っていることを思えば、この程度大したことはないですわ」

「そうかね。では、今年の狩猟会シューティングは我が領で開催することにするか」

「では、お客様方のために昼食をご用意しなくてはならないですわね」

 父との団欒を邪魔されたメアリーは、口を尖らせながら立ち去ろうとする。すると、フィネラは薄笑いをしながら、クリスに囁いた。しかも、わざとメアリーにも聞こえるように。

「そういえば今年はメアリーに予言式の手伝いを任せたの。そうしたら、あの子ったら、まだ準備が終わっていないのに、遊びに出かけてしまってね。まだ、あの子に家の仕事を経験させるのは早かったかしら?」

「あら、まだ終わっていないだなんて誰が申し上げましたの?」

 メアリーはセンスで口元を隠しながら、フィネラを見つめる。

「あの量を一人で……いえ、初めて取り組むには中々、多い仕事量だというのに……お義母様は貴方がお役目を果たすことを諦めて遊んでいたものかと思っていましたわ」

 慌てたように言葉を紡ぐフィネラ。
 呼吸の回数がいつもより多い、声のトーンも不自然。間違いないわ。
 フィネラは今、焦っている。

 あら、良い顔するじゃない。

「そうですか。でしたら真実は貴方の目で直接ご覧になればいいでしょう?」


***


「では、これより予言式を執り行います」

 星空が天井に映し出された祈祷室。

 中央にある石製の台には、神官と魔道士が書いた予言書が乗っていた。

 シンプルな白のドレスに着替えたフィネラが、予言書の前に立ち、予め用意された護符を掴み、ガラス製ゴブレットに投げ入れる。

 すると、ゴブレットの中から炎が溢れ出し、護符が灰となった。

 メアリーはフィネラが護符をゴブレットに入れる動作が遅いことに気づき、あざ笑う。

 残念ね。何回数えたところで護符の枚数は足りているわよ。

「フィネラのヤツ悔しそうだな」

 いつの間にか隣に立っていたメギスが、愉快そうな表情で囁く。

「えぇ、まさか私が版画を利用するだなんて思いもよらなかったでしょうねぇ」

 三日間で千枚以上の護符を用意しろ。

 この難題に対処するため、メアリーは護符の模様が百枚ごと同じになっていることを利用することにした。

 メギスに木の板を渡し、護符の模様を反転させた窪みを彫らせたのだ。むろん、手彫りでは無い。彼には魔法で版を作って貰った。

 版とインクさえ用意できれば、後は紙に護符の模様を印刷するだけ。一枚、一枚書くよりは遥かに効率がいい。

 結界作成から呪文の詠唱まで全ての儀式が終わると、最後にフィネラが今年の予言を読み上げる。



「厄災の魔女が王都に降り立ち、全てを炎に包むであろう」



 祈祷室全体の空気が凍りつく。
 神官、魔道士、民の代表者まで、この場に居る全ての者が、絶望に飲まれた表情となり、囁くような声が祈祷室中に響き渡った。

「静かになさい。まだ儀式の最中ですよ」

 声を振り上げ、一喝する。
 ざわめき声に飲まれていた祈祷室が一斉に、静まり返る。

――私が厄災の魔女?

――笑わせないで。

――予言の魔女が私だなんて下らない噂、

――必ず真正面から叩き潰してあげるわ!


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