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食い違い
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敵を切り裂くために作られた、二振りの剣が何度も交差する。鉄同士がぶつかり合う音が響く度に、会場の熱気がいっそう増す。
それにしても――お兄様の剣技が明らかに上達してる?
当初メアリーの予想では、今頃イセルは窮地に立っている。
彼を追い込むために、そのためにイセルとウィリアムが予選で当たるように裏で手を回したのだから。
メアリーは以前庭園でイセルが胸倉を掴もうと襲ってきた時のことを、よく覚えていた。
豊穣祭のときに神殿でウィリアムに守られたときのことも。
イセルのスピードは早いことに変わりはないが、メアリーでも反応してから退避することは可能だった。しかし、豊穣祭で神官に襲われた際は、剣同士がぶつかり合うまで守ってくれた者がウィリアムだと気づけなかった。
二人の反応速度には圧倒的な差があるのだ。だからメアリーは、事前にウィリアムへ手紙を送っていた。
試合の前半は徹底的にイセルを潰しに行って欲しいということを。
本気を出しているウィリアムの反応速度に対応している。
まさか、本当に血の汗が滲むような努力をなされたのですか?
兄の剣技が上達した。普段ならば大変喜ばしい状況であるが、計画の進行という側面から見れば邪魔でしかない。
こうなれば、心苦しいけどあの手を使うしかないわね……。
メアリーは深く息を吸い込み、大声で叫ぶ、
「頑張ってください。負けてはなりません!」
ウィリアムとイセルの手が止まった。
よし、上手くいった。
これでイセルの気を散らせたはず――。
「さすが、国主の息子だ。身分に恥じない剣筋だな。しかし、お遊びはここまでだ。こっちには可愛い妹の声援がついているのでな」
「ふん、散々手こずらせてくれましたね。先ほど可愛い妹の声援とおっしゃいましたが、もしかすると私への声援かも知れませんよ?」
「なにぃ?」
「さて、どうやらこれ以上の手加減はできないようです。本気でやらせて貰いましょう」
イセルの気を散らすだけであったはずが、二人とも剣を交えるスピードが上がってしまった。
***
いつまでも決着がつかないので、フィンの指示により休憩が入ることになった。
「お疲れ様です、お兄様」
「メアリー、俺の努力と成長は感じ取ってくれたか?」
「はい、とても」
計画が狂う程度には。
メアリーとイセルが話していると、フィネラが近づいてきた。
「イセル、ちょっとこちらにいらっしゃい」
フィネラがニコニコ笑いながら手招きしている。
「はい、分かりました」
フィネラはイセルを連れてテントに向かう。メアリーが着いていこうとする素振りを見せると「メアリーはちょっと待っててね」と止められた。
へぇー、二人きりで話したいだなんて。
一体なにを考えているのかしら?
それにしても――お兄様の剣技が明らかに上達してる?
当初メアリーの予想では、今頃イセルは窮地に立っている。
彼を追い込むために、そのためにイセルとウィリアムが予選で当たるように裏で手を回したのだから。
メアリーは以前庭園でイセルが胸倉を掴もうと襲ってきた時のことを、よく覚えていた。
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イセルのスピードは早いことに変わりはないが、メアリーでも反応してから退避することは可能だった。しかし、豊穣祭で神官に襲われた際は、剣同士がぶつかり合うまで守ってくれた者がウィリアムだと気づけなかった。
二人の反応速度には圧倒的な差があるのだ。だからメアリーは、事前にウィリアムへ手紙を送っていた。
試合の前半は徹底的にイセルを潰しに行って欲しいということを。
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兄の剣技が上達した。普段ならば大変喜ばしい状況であるが、計画の進行という側面から見れば邪魔でしかない。
こうなれば、心苦しいけどあの手を使うしかないわね……。
メアリーは深く息を吸い込み、大声で叫ぶ、
「頑張ってください。負けてはなりません!」
ウィリアムとイセルの手が止まった。
よし、上手くいった。
これでイセルの気を散らせたはず――。
「さすが、国主の息子だ。身分に恥じない剣筋だな。しかし、お遊びはここまでだ。こっちには可愛い妹の声援がついているのでな」
「ふん、散々手こずらせてくれましたね。先ほど可愛い妹の声援とおっしゃいましたが、もしかすると私への声援かも知れませんよ?」
「なにぃ?」
「さて、どうやらこれ以上の手加減はできないようです。本気でやらせて貰いましょう」
イセルの気を散らすだけであったはずが、二人とも剣を交えるスピードが上がってしまった。
***
いつまでも決着がつかないので、フィンの指示により休憩が入ることになった。
「お疲れ様です、お兄様」
「メアリー、俺の努力と成長は感じ取ってくれたか?」
「はい、とても」
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メアリーとイセルが話していると、フィネラが近づいてきた。
「イセル、ちょっとこちらにいらっしゃい」
フィネラがニコニコ笑いながら手招きしている。
「はい、分かりました」
フィネラはイセルを連れてテントに向かう。メアリーが着いていこうとする素振りを見せると「メアリーはちょっと待っててね」と止められた。
へぇー、二人きりで話したいだなんて。
一体なにを考えているのかしら?
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