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第4部 彼の笑顔を取り戻すため
109.もう1つの王国
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ペロペロ ペロペロ
落ち着きを取り戻して部屋の隅で寝そべっているフローリアの顔を、横で立っているガンブレッドがその長い首を下げて舐め回している。
「おめでとうございます。ご懐妊です、お腹に赤ちゃんがいます」
フローリアのことを診て下さったお医者様から告げられた、まさか……まさかの一言。
そ、そんなバカな……一体、いつ!?
主人である私の許可も得ないで、大事なフローリアにこんな真似しでかしたのは、どこの馬の骨!!?
……まぁ、その可能性大なのは言うまでもなく、彼女のことをヒマさえあればずっと舐め続けてる、あそこの栗毛の男の子だろうけど。
「体調の微妙な変化に、ついオーバーリアクションになってしまったようですね。静かに休ませれば、またすぐに動き回れるようになるでしょう」
そう言ってお医者様はよくあること、という感じで全く動じることもなく、去って行ってしまった。
だけど、よかったぁ! このままアルフリードだけでなく、フローリアまでどうかしてしまったら私は……きっと立ち直れなかったと思う。
「う~ん、厩の管轄の者からは、エミリア様が肖像画の整理に訪れていた日に、使用人の目を盗んでガンブレッドが彼女に××していたと報告がきています。もしこの時だとすると……妊娠4ヶ月という事になりそうですね」
急に懐からノートらしきものを取り出したヘイゼル騎士団長さんが、核心に迫るような話をし始めた。
やっぱり、相手はあの子しか考えられないよね……
ガンブレッドやここにいる彼のパパとママも、何も無い時は運動不足にならないように、この広大なヘイゼル邸の敷地を使用人さんがお散歩させたり、併設されている馬場で好きに動き回っていたりする。
その時に多分フローリアは、そういう事態に陥ってしまったんだろう……
そう考えると彼らがこの前、今生の別れのように振る舞っていたのも納得だよ。
生まれてくるベイビーを見てみない限りハッキリとしたことは言えないけど……もはや夫婦と見なして問題もなさそうだ。
しかし、騎士団長さんが言ってた厩の管轄って?
ここでは彼の部下の騎士さんを見かけた事なんか無いけど、ガンブレッドが××してた事をどうやって知ったんだろ。
この間、マグレッタさんが言っていた“見られていますからね”という世にも奇妙な一言、あれとも関係している気がするんだけど。
そんな事を考えていた私の横から、最近ではお酒を欲する以外に自ら進んで動くことがほぼ無いアルフリードが、珍しく前に進み出た。
そして、寝そべっているフローリアのそばに行ってしゃがみ込むと、彼女の頭についているタテガミをワシャワシャと撫で始めた。
その顔は冷めた無表情ではあったけど、そんな彼でもフローリアやガンブレッドに対する愛情は以前と変わらないんだ、ということを知らしめてくれて、私の胸はジーンと震えていた。
「あらまぁ……アルがこんな事になるなんて、私も読みが甘かったわね」
あの恐ろしい禁断症状を発した日以来、アルフリードはたまに夜中にフラッと扉の破壊された倉庫に行こうとしていたけど、その度に見張りの騎士さんに止められて、首後ろの急所を押されて眠りについていた。
あの治療のおかげか、そうした兆候も最近は現れなくなってはいたけど、大量のお酒を物理的に遠ざけるため、ルランシア様を探して欲しいという私の切なる願いを騎士団長さんは叶えて下さったようだ。
「ル、ルランシア様……彼がこうなってしまったのは全部私のせいなんです。大事な甥御さんをこんな事にしてしまって、ごめんなさい……」
ヒュッゲで心地いい、いつもの応接室でアルフリードの手を握ってソファに座っていた私だったけれど、アグレッシブな様子で入ってきた彼の叔母様に向かって、立ち上がり深々とお辞儀をした。
「ヘイゼル騎士の人からアルの事を最初聞いた時は驚いちゃったけど、お父様も嫌なことがあると、すぐにお酒に走ってたものね。アルとお父様は全然タイプが違ったから、そんな所が似るなんて思いも寄らなかったわ!」
彼女はあっけらかんとしながら1人掛けソファにドカッ! と勢いよく腰掛けた。
ルランシア様のお父様でアルフリードのお祖父様は、リューセリンヌ亡国の王様だった。
私も彼の母方が酒癖が悪いという性質にもっと勘を働かせておけば、彼をここまで酷い状態に追い詰めてしまう事はなかったかもしれない……
いや、そもそも私が彼のプロポーズを拒否さえしなければ、何も起こらなかったんだから、お酒のせいにするのもいけないな……
「2人とも人生こんな事もあるし、クヨクヨしないで。しかし、この状態じゃ一刻も早くお酒たちをここから撤去しちゃいたいわね。どうしようかしら……」
そんなポジティブに慰めてくれるルランシア様は、肘掛けに頬杖を付いて考え始めた。
「エミリア様、10分たちました」
アルフリードが暴れないように、監視役のヘイゼル騎士団長さんはここにもいて、ちゃんと忘れずに私の任務の時間を伝えてくれた。
致し方なく、ルランシア様との会話の途中で、隣りに座っているアルフリードに抱きついて任務をこなしていると、
「あら? ギャザウェル団長じゃない! この部屋に案内された時はマグレッタもいたし。 何だか、お姉さまがいた頃に戻ってきたみたいだわ~」
そんなふうにして、彼女のお姉さまクロウディア様の専属騎士さんと、専属メイドさんだった2人を懐かしむルランシア様。
キスをし終えたアルフリードは、彼女のように当時を懐かしむ素振りもなく、私がすることにも全然興味がなさそうにしている。
この間フローリアが倒れる前にあったように、自ら私にしてくれる事が、最近はごく稀に起こるようになっていた。
だけど、そのタイミングにはムラがあるようで、私は団長さんと思い出話をしているルランシア様を尻目に、彼の心が私の方に戻ってきてくれるように、その体を思い切り抱きしめた。
そういえば……この間、ユラリスさんの話で思い出した黒い騎士のこと。
あれは元リューセリンヌの城に入って行った訳だけど、以前そこに住んでいたルランシア様。
1番最初にあのお城が見える森に連れて行って、あそこが今では帝国に所属する領主の騎士団が、国境警備の拠点として占拠してると教えてくれたのだ。
今まで思いつきもしなかったけど……何か知ってたりするだろうか?
ちなみに、その領主の人には皇城からも、エスニョーラの諜報隊からも調査が送られていたけど、この家門が黒い騎士を匿っているという決定的なものは掴めていなかった。
「黒い鎧ですって?」
1年くらい前にアルフリードとお城に黒い騎士が入って行くのを見たこと、そしてナディクスの王子様達が彼らに襲われたらしい事をお話すると、ルランシア様はソファから身を乗り出した。
「それが同じものかは分からないけど……私がまだあの城にいた頃、深い地下室に黒い鎧の山が置いてあったのを見たことがあるわ」
お、おお……!
聞いてみるものだった。少し話が広がりそうだ。
「むかーし、栄えていた頃のリューセリンヌは今の帝国みたいに至る所に騎士がいて、王族の男子も皆んな騎士の称号を持ってたくらいなのよ。その名残で、ほら、エミリアちゃんの婚約パーティーにも来てた、私のいとこのグレイリーは王国の騎士長をやってたわ」
えっと、確かにグレイリーさんという方は2年前のアルフリードとの婚約披露会に出席されていた。
お兄様からもらった貴族家の問題集にも、この方が帝国との戦いを指揮するリューセリンヌのトップであったと記されていた。
ただ、ルランシア様の言う通り、騎士長というのは王族の男子が代々受け継いできた称号という伝統の名残だったし、降伏後は全く抵抗がなかったので、危険人物ではないと判断された。
そして、亡国とはいえ元王族という身分を保障されて、帝国は彼を始め、クロウディア様にルランシア様たちを貴族として受け入れたのだった。
以前リリーナ姫のパートナー選考会で、アルフリードに気さくに話しかけていた彼のはとこ、ローランディスさんはそのグレイリーさんの息子になる。
「滅びる直前は国民も減っちゃったし、騎士も華美な鎧の近衛騎士しかいなかったから、一般兵用の黒い鎧は長い間、城の奥に放置されてしまってたのよね」
そうルランシア様は続けた。
とすれば、リューセリンヌのお城に眠っていたその鎧を何者かが引っ張り出してきて、キャルン国の元騎士達に与えて何かを企んでいる線が濃厚ってことか……?
「だけど、あのお城の地下室はお父様が、我が国の長年の歴史を帝国に明け渡す訳にはいかない、とか何とか言って、入り口を分からないように塞いでしまった筈なのよね」
いくら戦いがとっくの昔に終わっているとはいえ、亡き国王様の必死の行動を、もう時効だと言わんばかりにルランシア様は惜しげもなくこのヘイゼル邸で暴露してしまった。
「あ、そうだ! グレイリー達にも何か心当たりがないか聞いてみようかしら? ついでに、あそこの邸宅にとりあえずお酒達を移動させてもらおうかしらね」
さらに、黒騎士の話が展開を迎えそうな気配と、お酒の撤去場所が新しく見つかり、ルランシア様は意気揚々と引き上げて行った。
私とアルフリードは、お腹に新たな命を宿したフローリアの所で過ごす時間が増えていた。
「お馬さんの妊娠時期は11ヶ月くらいなんだって。だから……あと7ヶ月くらいかな」
私はアルフリードの逞しい腕に抱きついて、元気に戻ったフローリアを眺めながら独り言のように呟いた。
今は8月の終わりなので、来年の3月くらいにはフローリアと、おそらく……ガンブレッドとの赤ちゃんが見れるはず!
「……君は子どもは欲しくないの?」
え……?
な、なんだろう。今、確かに私に話しかける声が聞こえた気がしたんだけど……
しかも、私の大好きなあの人の声……?
「ねえ、どうなの?」
何が起こったのか分からず混乱していると、また声がして、私の口は……彼の口づけによって完全に塞がれていた。
※
・グレイリーが出てきた話「24.避けられる理由 披露会編2」
・ルランシア様が初めてお城を案内してくれた話「39.遠乗り」
落ち着きを取り戻して部屋の隅で寝そべっているフローリアの顔を、横で立っているガンブレッドがその長い首を下げて舐め回している。
「おめでとうございます。ご懐妊です、お腹に赤ちゃんがいます」
フローリアのことを診て下さったお医者様から告げられた、まさか……まさかの一言。
そ、そんなバカな……一体、いつ!?
主人である私の許可も得ないで、大事なフローリアにこんな真似しでかしたのは、どこの馬の骨!!?
……まぁ、その可能性大なのは言うまでもなく、彼女のことをヒマさえあればずっと舐め続けてる、あそこの栗毛の男の子だろうけど。
「体調の微妙な変化に、ついオーバーリアクションになってしまったようですね。静かに休ませれば、またすぐに動き回れるようになるでしょう」
そう言ってお医者様はよくあること、という感じで全く動じることもなく、去って行ってしまった。
だけど、よかったぁ! このままアルフリードだけでなく、フローリアまでどうかしてしまったら私は……きっと立ち直れなかったと思う。
「う~ん、厩の管轄の者からは、エミリア様が肖像画の整理に訪れていた日に、使用人の目を盗んでガンブレッドが彼女に××していたと報告がきています。もしこの時だとすると……妊娠4ヶ月という事になりそうですね」
急に懐からノートらしきものを取り出したヘイゼル騎士団長さんが、核心に迫るような話をし始めた。
やっぱり、相手はあの子しか考えられないよね……
ガンブレッドやここにいる彼のパパとママも、何も無い時は運動不足にならないように、この広大なヘイゼル邸の敷地を使用人さんがお散歩させたり、併設されている馬場で好きに動き回っていたりする。
その時に多分フローリアは、そういう事態に陥ってしまったんだろう……
そう考えると彼らがこの前、今生の別れのように振る舞っていたのも納得だよ。
生まれてくるベイビーを見てみない限りハッキリとしたことは言えないけど……もはや夫婦と見なして問題もなさそうだ。
しかし、騎士団長さんが言ってた厩の管轄って?
ここでは彼の部下の騎士さんを見かけた事なんか無いけど、ガンブレッドが××してた事をどうやって知ったんだろ。
この間、マグレッタさんが言っていた“見られていますからね”という世にも奇妙な一言、あれとも関係している気がするんだけど。
そんな事を考えていた私の横から、最近ではお酒を欲する以外に自ら進んで動くことがほぼ無いアルフリードが、珍しく前に進み出た。
そして、寝そべっているフローリアのそばに行ってしゃがみ込むと、彼女の頭についているタテガミをワシャワシャと撫で始めた。
その顔は冷めた無表情ではあったけど、そんな彼でもフローリアやガンブレッドに対する愛情は以前と変わらないんだ、ということを知らしめてくれて、私の胸はジーンと震えていた。
「あらまぁ……アルがこんな事になるなんて、私も読みが甘かったわね」
あの恐ろしい禁断症状を発した日以来、アルフリードはたまに夜中にフラッと扉の破壊された倉庫に行こうとしていたけど、その度に見張りの騎士さんに止められて、首後ろの急所を押されて眠りについていた。
あの治療のおかげか、そうした兆候も最近は現れなくなってはいたけど、大量のお酒を物理的に遠ざけるため、ルランシア様を探して欲しいという私の切なる願いを騎士団長さんは叶えて下さったようだ。
「ル、ルランシア様……彼がこうなってしまったのは全部私のせいなんです。大事な甥御さんをこんな事にしてしまって、ごめんなさい……」
ヒュッゲで心地いい、いつもの応接室でアルフリードの手を握ってソファに座っていた私だったけれど、アグレッシブな様子で入ってきた彼の叔母様に向かって、立ち上がり深々とお辞儀をした。
「ヘイゼル騎士の人からアルの事を最初聞いた時は驚いちゃったけど、お父様も嫌なことがあると、すぐにお酒に走ってたものね。アルとお父様は全然タイプが違ったから、そんな所が似るなんて思いも寄らなかったわ!」
彼女はあっけらかんとしながら1人掛けソファにドカッ! と勢いよく腰掛けた。
ルランシア様のお父様でアルフリードのお祖父様は、リューセリンヌ亡国の王様だった。
私も彼の母方が酒癖が悪いという性質にもっと勘を働かせておけば、彼をここまで酷い状態に追い詰めてしまう事はなかったかもしれない……
いや、そもそも私が彼のプロポーズを拒否さえしなければ、何も起こらなかったんだから、お酒のせいにするのもいけないな……
「2人とも人生こんな事もあるし、クヨクヨしないで。しかし、この状態じゃ一刻も早くお酒たちをここから撤去しちゃいたいわね。どうしようかしら……」
そんなポジティブに慰めてくれるルランシア様は、肘掛けに頬杖を付いて考え始めた。
「エミリア様、10分たちました」
アルフリードが暴れないように、監視役のヘイゼル騎士団長さんはここにもいて、ちゃんと忘れずに私の任務の時間を伝えてくれた。
致し方なく、ルランシア様との会話の途中で、隣りに座っているアルフリードに抱きついて任務をこなしていると、
「あら? ギャザウェル団長じゃない! この部屋に案内された時はマグレッタもいたし。 何だか、お姉さまがいた頃に戻ってきたみたいだわ~」
そんなふうにして、彼女のお姉さまクロウディア様の専属騎士さんと、専属メイドさんだった2人を懐かしむルランシア様。
キスをし終えたアルフリードは、彼女のように当時を懐かしむ素振りもなく、私がすることにも全然興味がなさそうにしている。
この間フローリアが倒れる前にあったように、自ら私にしてくれる事が、最近はごく稀に起こるようになっていた。
だけど、そのタイミングにはムラがあるようで、私は団長さんと思い出話をしているルランシア様を尻目に、彼の心が私の方に戻ってきてくれるように、その体を思い切り抱きしめた。
そういえば……この間、ユラリスさんの話で思い出した黒い騎士のこと。
あれは元リューセリンヌの城に入って行った訳だけど、以前そこに住んでいたルランシア様。
1番最初にあのお城が見える森に連れて行って、あそこが今では帝国に所属する領主の騎士団が、国境警備の拠点として占拠してると教えてくれたのだ。
今まで思いつきもしなかったけど……何か知ってたりするだろうか?
ちなみに、その領主の人には皇城からも、エスニョーラの諜報隊からも調査が送られていたけど、この家門が黒い騎士を匿っているという決定的なものは掴めていなかった。
「黒い鎧ですって?」
1年くらい前にアルフリードとお城に黒い騎士が入って行くのを見たこと、そしてナディクスの王子様達が彼らに襲われたらしい事をお話すると、ルランシア様はソファから身を乗り出した。
「それが同じものかは分からないけど……私がまだあの城にいた頃、深い地下室に黒い鎧の山が置いてあったのを見たことがあるわ」
お、おお……!
聞いてみるものだった。少し話が広がりそうだ。
「むかーし、栄えていた頃のリューセリンヌは今の帝国みたいに至る所に騎士がいて、王族の男子も皆んな騎士の称号を持ってたくらいなのよ。その名残で、ほら、エミリアちゃんの婚約パーティーにも来てた、私のいとこのグレイリーは王国の騎士長をやってたわ」
えっと、確かにグレイリーさんという方は2年前のアルフリードとの婚約披露会に出席されていた。
お兄様からもらった貴族家の問題集にも、この方が帝国との戦いを指揮するリューセリンヌのトップであったと記されていた。
ただ、ルランシア様の言う通り、騎士長というのは王族の男子が代々受け継いできた称号という伝統の名残だったし、降伏後は全く抵抗がなかったので、危険人物ではないと判断された。
そして、亡国とはいえ元王族という身分を保障されて、帝国は彼を始め、クロウディア様にルランシア様たちを貴族として受け入れたのだった。
以前リリーナ姫のパートナー選考会で、アルフリードに気さくに話しかけていた彼のはとこ、ローランディスさんはそのグレイリーさんの息子になる。
「滅びる直前は国民も減っちゃったし、騎士も華美な鎧の近衛騎士しかいなかったから、一般兵用の黒い鎧は長い間、城の奥に放置されてしまってたのよね」
そうルランシア様は続けた。
とすれば、リューセリンヌのお城に眠っていたその鎧を何者かが引っ張り出してきて、キャルン国の元騎士達に与えて何かを企んでいる線が濃厚ってことか……?
「だけど、あのお城の地下室はお父様が、我が国の長年の歴史を帝国に明け渡す訳にはいかない、とか何とか言って、入り口を分からないように塞いでしまった筈なのよね」
いくら戦いがとっくの昔に終わっているとはいえ、亡き国王様の必死の行動を、もう時効だと言わんばかりにルランシア様は惜しげもなくこのヘイゼル邸で暴露してしまった。
「あ、そうだ! グレイリー達にも何か心当たりがないか聞いてみようかしら? ついでに、あそこの邸宅にとりあえずお酒達を移動させてもらおうかしらね」
さらに、黒騎士の話が展開を迎えそうな気配と、お酒の撤去場所が新しく見つかり、ルランシア様は意気揚々と引き上げて行った。
私とアルフリードは、お腹に新たな命を宿したフローリアの所で過ごす時間が増えていた。
「お馬さんの妊娠時期は11ヶ月くらいなんだって。だから……あと7ヶ月くらいかな」
私はアルフリードの逞しい腕に抱きついて、元気に戻ったフローリアを眺めながら独り言のように呟いた。
今は8月の終わりなので、来年の3月くらいにはフローリアと、おそらく……ガンブレッドとの赤ちゃんが見れるはず!
「……君は子どもは欲しくないの?」
え……?
な、なんだろう。今、確かに私に話しかける声が聞こえた気がしたんだけど……
しかも、私の大好きなあの人の声……?
「ねえ、どうなの?」
何が起こったのか分からず混乱していると、また声がして、私の口は……彼の口づけによって完全に塞がれていた。
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・グレイリーが出てきた話「24.避けられる理由 披露会編2」
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