7 / 7
最終話. これから先も、ずっと
しおりを挟む
『 ザイール様
お帰りなさいませ。お仕事お疲れ様でした。
随分長くお世話になってしまいました。本当にごめんなさい。今日でお役目を終わらせていただきます。
せっかく私を信じて選んでくださったのに、あの日の夜会では大失敗をしてしまいましたことを、心から悔いております。もっと冷静でいるべきでした。お許しくださいませ。
こんなことを言ってしまっては不快な思いをさせてしまうかもしれませんが、一度だけ、言わせてください。
あなた様の妻でいられたこの短い時間は、私の人生の宝物です。私を選んでくださってありがとうございました。さよなら。どうぞお元気で。
メリナ 』
「……メリナ……ッ!!」
丁寧に折り畳まれたその白い紙には、丁寧な字でメリナの想いが控えめに刻まれていた。
その手紙を読んだ瞬間、胸が千切れそうなほどに切なくなった。彼女への言葉にならない愛おしさが私の胸をいっぱいに満たし、そして溢れた。
「……っ!!」
何を考える間もなく、私はテーブルの上の首飾りを咄嗟に掴み取ると、部屋のドアを乱暴に開け、階段を駆け下りた。
***************
「……まさか、もう離婚してしまうなんてなぁ……。……はぁ……」
「残念だわ……。せっかく素敵な方だったのに、ザイール様。……はぁ……」
「……ご、……ごめんなさいね……。お父様、お母様……」
夕方近くになり、私はまとめた荷物を両手に持ち、おそるおそる実家であるアップルヤード伯爵家の門をくぐった。
荷物と共に屋敷に戻ってきた私を見て、母は目と口を見開いてしばらく固まっていた。
出先から戻ってきた父は、がっくりと項垂れる母と、その前に座って母を慰める私を見て、同じく固まった。
そして夜になった今も、二人は抜け殻のようになったまま居間のソファーから動けずにいた。
「……はぁ……。正直……、コネリー侯爵家の後ろ盾には大きく期待していたものだから……、何というか……」
「あなた、それはさすがに今は言わないであげてくださる……?」
「ほ、本当にごめんなさい。お父様……」
(大丈夫ですから、この後多額のご支援金はいただける予定なのよ。慰謝料という名目でね!この白い結婚契約のこちら側のメリットがそれですから……!)
心の中でそう思いつつ、私はうつろな目をした父に声をかけた。
「……だ、だが、まだ話し合う余地はあるんじゃないか?お前、ザイール殿の留守中に飛び出してきたんだろう……?」
父は藁にも縋りたいと言わんばかりに私に訴えてくる。
「……い、いえ。その、何て言うか……、多分、もう無理だと思うわ……。だって……、」
できる限り父に打撃を与えないような言葉を選びながら私がそれに答えていると、侍女が居間に飛び込んできた。
「しっ!失礼いたします……っ、メリナお嬢様、コネリー侯爵令息様がお見えでございます……!」
「……えっ?!」
「えっ?!!」
「ほ、ほら来た!!」
その侍女の言葉に、私よりも両親の方が食いついた。
「ほら!メリナよ、言ったであろう!ザイール殿はお前を迎えに来てくださったんだよ。さ、は、早く!早く行きなさい!!」
「もう、この子ったら。ただの夫婦ゲンカだったの?人騒がせねぇ」
「い、いえ、違……っ、」
私たちが言い合っていると、ザイール様が突然居間に入ってきた。
「失礼いたします、アップルヤード伯爵」
「っ?!」
驚いて、心臓が口から飛び出しそうだった。ザイール様がわざわざうちまで来られたばかりか、居間まで入ってこられた。妙に焦っているように見える。
「おお!これはこれは、ザイール殿……いや、コネリー侯爵殿。娘が屋敷を飛び出したようで、申し訳ない。はは、短気な性格は誰に似たんだか。ははは」
父はザイール様を見て何を勘違いしたのか、すっかり安心しきっているようだ。慌てて私が否定しようとすると、
「いえ、……コホン。……こちらこそ、夫婦ゲンカでメリナさんを怒らせてしまいました。申し訳ありません、反省しております。……メリナ、少し上で話せるかい?」
「へっ?!……えっ、……あ、あの」
「早く行きなさいメリナ!」
母が私の背中をグイグイと強く押してくる。何が何だか分からない。……え?もしかして、私早まってしまったの?まだお飾り妻の役目は終わっちゃいけなかった……?
混乱しながらも、ザイール様に手を引かれて私は階段を上がる。結婚するまで私が使っていた私室に入ると、ザイール様はドアをパタンと閉めた。
「……。」
「……。」
「……ザ、……ザイール、様……?」
「…………。」
「……ごっ、ごめんなさい……。ま、まだ終わってはいけなかったですか……?お飾りの妻……」
私を見つめたまま黙っているザイール様に、私はおそるおそる話しかける。
ザイール様は困ったように眉間に皺を寄せると、唐突に私の頬にそっと手を当てた。
「っ?!」
「……メリナ」
「はっ!はいっ」
「…………」
「……?……は、……はい?」
名を呼ぶだけで何も言わないザイール様。こ、これは一体どういう意味の沈黙なのでしょうか……。
ドキドキしながら続きを待っていると、ザイール様の顔が徐々に赤くなる。
「…………私もだ」
「……。……えっ?」
私も?何が?
真意が分からずただただザイール様を見つめるしかない私に、とても現実とは思えない言葉がかけられる。
「……私にとっても、君と夫婦でいられた時間は、この上なく幸せな時間だったんだ。……ようやく自分の気持ちに気付けた」
「……え……っ」
「メリナ、あの離婚書類は破棄してもいいだろうか。……私をこれからも、君の夫でいさせて欲しい」
「……っ、……ザ……ザイール様……っ!」
夢にも思わなかったザイール様からの愛の告白に、クラリと目まいがした。徐々に湧き上がってくる喜びに、胸がいっぱいになる。
ザイール様は何やら上着からゴソゴソと取り出す。……それは私が置いてきた、あのザイール様の瞳の色の首飾りだった。
「……それは……、」
ザイール様は私の首に手を回し、その首飾りを丁寧にそっと着けてくださった。
「君を愛しているよ、メリナ。……私のそばにいてくれるかい?これから先も、ずっと」
「……はい……っ!!」
喜びのあまり湧き上がる涙が、私の頬を伝った。
私はザイール様の胸に優しく抱きしめられ、その広い背中に腕をまわした。
そして、数年後──────
「ここ?おじいちゃまのお墓」
「そうよ。さ、エリオット、ジェシカ、おじいさまにご挨拶をしてね」
「はぁい!」
「ごきげんようおじいさま!」
「はは。きっとすごく喜んでいるぞ」
私とザイール様は子どもたちを伴い、コネリー侯爵家の別邸の傍近くにあるお義父様のお墓を訪れていた。
皆で一緒になって祈りを捧げながら、私はあの頃病床から優しく微笑みかけてくださっていたお義父様に思いを馳せた。
(お義父様、ザイール様の子どもたちは、とてもお利口で可愛いですよ。きっと立派に育ててみせます。コネリー侯爵家の後を継いでいくこの子たちを……)
「……さぁ、おじいさまの自慢のお庭を見に行こうか。おばあさまが今もちゃんとお手入れをしているから、とても美しいよ」
「わーい!」
「エリオット!危ないからそんなに走らないで!」
気持ちのいい風が吹く美しいお庭に、子どもたちが駆けていく。
「……おいで、メリナ」
「ええ、あなた」
ザイール様に優しく手を引かれて、私は二人の子どもたちの方へと歩いていった──────
ーーーーー end ーーーーー
お帰りなさいませ。お仕事お疲れ様でした。
随分長くお世話になってしまいました。本当にごめんなさい。今日でお役目を終わらせていただきます。
せっかく私を信じて選んでくださったのに、あの日の夜会では大失敗をしてしまいましたことを、心から悔いております。もっと冷静でいるべきでした。お許しくださいませ。
こんなことを言ってしまっては不快な思いをさせてしまうかもしれませんが、一度だけ、言わせてください。
あなた様の妻でいられたこの短い時間は、私の人生の宝物です。私を選んでくださってありがとうございました。さよなら。どうぞお元気で。
メリナ 』
「……メリナ……ッ!!」
丁寧に折り畳まれたその白い紙には、丁寧な字でメリナの想いが控えめに刻まれていた。
その手紙を読んだ瞬間、胸が千切れそうなほどに切なくなった。彼女への言葉にならない愛おしさが私の胸をいっぱいに満たし、そして溢れた。
「……っ!!」
何を考える間もなく、私はテーブルの上の首飾りを咄嗟に掴み取ると、部屋のドアを乱暴に開け、階段を駆け下りた。
***************
「……まさか、もう離婚してしまうなんてなぁ……。……はぁ……」
「残念だわ……。せっかく素敵な方だったのに、ザイール様。……はぁ……」
「……ご、……ごめんなさいね……。お父様、お母様……」
夕方近くになり、私はまとめた荷物を両手に持ち、おそるおそる実家であるアップルヤード伯爵家の門をくぐった。
荷物と共に屋敷に戻ってきた私を見て、母は目と口を見開いてしばらく固まっていた。
出先から戻ってきた父は、がっくりと項垂れる母と、その前に座って母を慰める私を見て、同じく固まった。
そして夜になった今も、二人は抜け殻のようになったまま居間のソファーから動けずにいた。
「……はぁ……。正直……、コネリー侯爵家の後ろ盾には大きく期待していたものだから……、何というか……」
「あなた、それはさすがに今は言わないであげてくださる……?」
「ほ、本当にごめんなさい。お父様……」
(大丈夫ですから、この後多額のご支援金はいただける予定なのよ。慰謝料という名目でね!この白い結婚契約のこちら側のメリットがそれですから……!)
心の中でそう思いつつ、私はうつろな目をした父に声をかけた。
「……だ、だが、まだ話し合う余地はあるんじゃないか?お前、ザイール殿の留守中に飛び出してきたんだろう……?」
父は藁にも縋りたいと言わんばかりに私に訴えてくる。
「……い、いえ。その、何て言うか……、多分、もう無理だと思うわ……。だって……、」
できる限り父に打撃を与えないような言葉を選びながら私がそれに答えていると、侍女が居間に飛び込んできた。
「しっ!失礼いたします……っ、メリナお嬢様、コネリー侯爵令息様がお見えでございます……!」
「……えっ?!」
「えっ?!!」
「ほ、ほら来た!!」
その侍女の言葉に、私よりも両親の方が食いついた。
「ほら!メリナよ、言ったであろう!ザイール殿はお前を迎えに来てくださったんだよ。さ、は、早く!早く行きなさい!!」
「もう、この子ったら。ただの夫婦ゲンカだったの?人騒がせねぇ」
「い、いえ、違……っ、」
私たちが言い合っていると、ザイール様が突然居間に入ってきた。
「失礼いたします、アップルヤード伯爵」
「っ?!」
驚いて、心臓が口から飛び出しそうだった。ザイール様がわざわざうちまで来られたばかりか、居間まで入ってこられた。妙に焦っているように見える。
「おお!これはこれは、ザイール殿……いや、コネリー侯爵殿。娘が屋敷を飛び出したようで、申し訳ない。はは、短気な性格は誰に似たんだか。ははは」
父はザイール様を見て何を勘違いしたのか、すっかり安心しきっているようだ。慌てて私が否定しようとすると、
「いえ、……コホン。……こちらこそ、夫婦ゲンカでメリナさんを怒らせてしまいました。申し訳ありません、反省しております。……メリナ、少し上で話せるかい?」
「へっ?!……えっ、……あ、あの」
「早く行きなさいメリナ!」
母が私の背中をグイグイと強く押してくる。何が何だか分からない。……え?もしかして、私早まってしまったの?まだお飾り妻の役目は終わっちゃいけなかった……?
混乱しながらも、ザイール様に手を引かれて私は階段を上がる。結婚するまで私が使っていた私室に入ると、ザイール様はドアをパタンと閉めた。
「……。」
「……。」
「……ザ、……ザイール、様……?」
「…………。」
「……ごっ、ごめんなさい……。ま、まだ終わってはいけなかったですか……?お飾りの妻……」
私を見つめたまま黙っているザイール様に、私はおそるおそる話しかける。
ザイール様は困ったように眉間に皺を寄せると、唐突に私の頬にそっと手を当てた。
「っ?!」
「……メリナ」
「はっ!はいっ」
「…………」
「……?……は、……はい?」
名を呼ぶだけで何も言わないザイール様。こ、これは一体どういう意味の沈黙なのでしょうか……。
ドキドキしながら続きを待っていると、ザイール様の顔が徐々に赤くなる。
「…………私もだ」
「……。……えっ?」
私も?何が?
真意が分からずただただザイール様を見つめるしかない私に、とても現実とは思えない言葉がかけられる。
「……私にとっても、君と夫婦でいられた時間は、この上なく幸せな時間だったんだ。……ようやく自分の気持ちに気付けた」
「……え……っ」
「メリナ、あの離婚書類は破棄してもいいだろうか。……私をこれからも、君の夫でいさせて欲しい」
「……っ、……ザ……ザイール様……っ!」
夢にも思わなかったザイール様からの愛の告白に、クラリと目まいがした。徐々に湧き上がってくる喜びに、胸がいっぱいになる。
ザイール様は何やら上着からゴソゴソと取り出す。……それは私が置いてきた、あのザイール様の瞳の色の首飾りだった。
「……それは……、」
ザイール様は私の首に手を回し、その首飾りを丁寧にそっと着けてくださった。
「君を愛しているよ、メリナ。……私のそばにいてくれるかい?これから先も、ずっと」
「……はい……っ!!」
喜びのあまり湧き上がる涙が、私の頬を伝った。
私はザイール様の胸に優しく抱きしめられ、その広い背中に腕をまわした。
そして、数年後──────
「ここ?おじいちゃまのお墓」
「そうよ。さ、エリオット、ジェシカ、おじいさまにご挨拶をしてね」
「はぁい!」
「ごきげんようおじいさま!」
「はは。きっとすごく喜んでいるぞ」
私とザイール様は子どもたちを伴い、コネリー侯爵家の別邸の傍近くにあるお義父様のお墓を訪れていた。
皆で一緒になって祈りを捧げながら、私はあの頃病床から優しく微笑みかけてくださっていたお義父様に思いを馳せた。
(お義父様、ザイール様の子どもたちは、とてもお利口で可愛いですよ。きっと立派に育ててみせます。コネリー侯爵家の後を継いでいくこの子たちを……)
「……さぁ、おじいさまの自慢のお庭を見に行こうか。おばあさまが今もちゃんとお手入れをしているから、とても美しいよ」
「わーい!」
「エリオット!危ないからそんなに走らないで!」
気持ちのいい風が吹く美しいお庭に、子どもたちが駆けていく。
「……おいで、メリナ」
「ええ、あなた」
ザイール様に優しく手を引かれて、私は二人の子どもたちの方へと歩いていった──────
ーーーーー end ーーーーー
1,321
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
不愛想な婚約者のメガネをこっそりかけたら
柳葉うら
恋愛
男爵令嬢のアダリーシアは、婚約者で伯爵家の令息のエディングと上手くいっていない。ある日、エディングに会いに行ったアダリーシアは、エディングが置いていったメガネを出来心でかけてみることに。そんなアダリーシアの姿を見たエディングは――。
「か・わ・い・い~っ!!」
これまでの態度から一変して、アダリーシアのギャップにメロメロになるのだった。
出来心でメガネをかけたヒロインのギャップに、本当は溺愛しているのに不器用であるがゆえにぶっきらぼうに接してしまったヒーローがノックアウトされるお話。
ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件
ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。
スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。
しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。
一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。
「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。
これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。
突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。
橘ハルシ
恋愛
ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!
リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。
怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。
しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。
全21話(本編20話+番外編1話)です。
イケメン恋人が超絶シスコンだった件
ツキノトモリ
恋愛
学内でも有名なイケメン・ケイジに一目惚れされたアイカ。だが、イケメンはアイカ似の妹を溺愛するシスコンだった。妹の代わりにされてるのではないかと悩んだアイカは別れを告げるが、ケイジは別れるつもりはないらしくーー?!
顔も知らない旦那様に間違えて手紙を送ったら、溺愛が返ってきました
ラム猫
恋愛
セシリアは、政略結婚でアシュレイ・ハンベルク侯爵に嫁いで三年になる。しかし夫であるアシュレイは稀代の軍略家として戦争で前線に立ち続けており、二人は一度も顔を合わせたことがなかった。セシリアは孤独な日々を送り、周囲からは「忘れられた花嫁」として扱われていた。
ある日、セシリアは親友宛てに夫への不満と愚痴を書き連ねた手紙を、誤ってアシュレイ侯爵本人宛てで送ってしまう。とんでもない過ちを犯したと震えるセシリアの元へ、数週間後、夫から返信が届いた。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
※全部で四話になります。
婚約者とその幼なじみがいい雰囲気すぎることに不安を覚えていましたが、誤解が解けたあとで、その立ち位置にいたのは私でした
珠宮さくら
恋愛
クレメンティアは、婚約者とその幼なじみの雰囲気が良すぎることに不安を覚えていた。
そんな時に幼なじみから、婚約破棄したがっていると聞かされてしまい……。
※全4話。
婚約者に好きな人ができたらしい(※ただし事実とは異なります)
彗星
恋愛
主人公ミアと、婚約者リアムとのすれ違いもの。学園の人気者であるリアムを、婚約者を持つミアは、公爵家のご令嬢であるマリーナに「彼は私のことが好きだ」と言われる。その言葉が引っかかったことで、リアムと婚約解消した方がいいのではないかと考え始める。しかし、リアムの気持ちは、ミアが考えることとは違うらしく…。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる