1 / 8
EPISODE1 罰ゲーム
しおりを挟む
こんなのよくある罰ゲームだった。
同じバスケ部の友達とフリースロー大会をして、はじめに負けた奴が罰ゲーム、みたいな……。俺はバスケ部のエースだから、そんな勝負に負けるはずなんてなかった。
ゴールに向かってシュートをする態勢をつくる。もう何百回、何千回って打ってきたフリースローだ。もちろん、わざと外す気なんてさらさらない。呼吸を整えて静かに目を開く。
膝のバネを使ってジャンプしようとした瞬間。
校内放送であいつの名前が呼ばれた。職員室に来いっていう呼び出し。そんな放送、珍しくなんかないのに、そいつの名前を聞いた瞬間、自分でもびっくりするくらい心臓が跳ね上がった。
「あ……」
ヤバイ……そう思ったときには、バスケットボールはゴールの淵に当たり、はじき返されてしまう。ボールが床を跳ねる音が広い体育館に響き渡った。
シーンと鎮まり返った直後、嬉しそうな顔をした友人たちが俺の所に一目散に走り寄ってくる。
「マジか!? 凪が外すとは思ってなかった」
「罰ゲームは凪に決定な!」
「あははは! いつも完璧なお前が罰ゲームなんて、めっちゃ気分がいい!」
皆が好き勝手言っているものだから、思わず不貞腐れた顔をしてしまう。なんでこいつら、こんなに楽しそうなんだよ。小さく舌打ちをした。
「凪の罰ゲームどうする?」
「そうだなぁ……あ、こんなんどう?」
友人の一人が「いいことを思いついた」とばかりに顔を輝かせる。
「四組の神谷章人かみやあきひとに付き合ってほしいって告白する!」
「な、なんでそうなるんだよ! それは絶対に嫌だ!」
それを聞いた瞬間、俺は思わず大声を上げてしまう。そんな罰ゲームなんてない。死んでも嫌だ。なぜなら、俺は神谷が大嫌いだから。
「そんなにムキになんなよ! もしかして凪がシュートを外した原因も、放送で神谷の名前が呼ばれたから……とか?」
「えぇ? マジで? 凪、神谷のことが大嫌いとか言っている割には、めちゃくちゃ意識してるもんなぁ」 俺は今にも顔から火が出てしまいそうなぐらい紅潮してしまう。それでも、何も言えずに俯いた。つい先程、神谷の名前が放送から聞こえてきて動揺してしまったのは事実だ。
――でも、俺は……。
「じゃあ、決定な! 神谷に告白して結果が出たら、ちゃんと報告してくれよな」
「頑張れ、凪!」
俺のことなんてお構いなしに楽しそうにしている友人たちを、俺は睨みつけることしかできなかった。
同じバスケ部の友達とフリースロー大会をして、はじめに負けた奴が罰ゲーム、みたいな……。俺はバスケ部のエースだから、そんな勝負に負けるはずなんてなかった。
ゴールに向かってシュートをする態勢をつくる。もう何百回、何千回って打ってきたフリースローだ。もちろん、わざと外す気なんてさらさらない。呼吸を整えて静かに目を開く。
膝のバネを使ってジャンプしようとした瞬間。
校内放送であいつの名前が呼ばれた。職員室に来いっていう呼び出し。そんな放送、珍しくなんかないのに、そいつの名前を聞いた瞬間、自分でもびっくりするくらい心臓が跳ね上がった。
「あ……」
ヤバイ……そう思ったときには、バスケットボールはゴールの淵に当たり、はじき返されてしまう。ボールが床を跳ねる音が広い体育館に響き渡った。
シーンと鎮まり返った直後、嬉しそうな顔をした友人たちが俺の所に一目散に走り寄ってくる。
「マジか!? 凪が外すとは思ってなかった」
「罰ゲームは凪に決定な!」
「あははは! いつも完璧なお前が罰ゲームなんて、めっちゃ気分がいい!」
皆が好き勝手言っているものだから、思わず不貞腐れた顔をしてしまう。なんでこいつら、こんなに楽しそうなんだよ。小さく舌打ちをした。
「凪の罰ゲームどうする?」
「そうだなぁ……あ、こんなんどう?」
友人の一人が「いいことを思いついた」とばかりに顔を輝かせる。
「四組の神谷章人かみやあきひとに付き合ってほしいって告白する!」
「な、なんでそうなるんだよ! それは絶対に嫌だ!」
それを聞いた瞬間、俺は思わず大声を上げてしまう。そんな罰ゲームなんてない。死んでも嫌だ。なぜなら、俺は神谷が大嫌いだから。
「そんなにムキになんなよ! もしかして凪がシュートを外した原因も、放送で神谷の名前が呼ばれたから……とか?」
「えぇ? マジで? 凪、神谷のことが大嫌いとか言っている割には、めちゃくちゃ意識してるもんなぁ」 俺は今にも顔から火が出てしまいそうなぐらい紅潮してしまう。それでも、何も言えずに俯いた。つい先程、神谷の名前が放送から聞こえてきて動揺してしまったのは事実だ。
――でも、俺は……。
「じゃあ、決定な! 神谷に告白して結果が出たら、ちゃんと報告してくれよな」
「頑張れ、凪!」
俺のことなんてお構いなしに楽しそうにしている友人たちを、俺は睨みつけることしかできなかった。
26
あなたにおすすめの小説
【完結】ハーレムラブコメの主人公が最後に選んだのは友人キャラのオレだった。
或波夏
BL
ハーレムラブコメが大好きな男子高校生、有真 瑛。
自分は、主人公の背中を押す友人キャラになって、特等席で恋模様を見たい!
そんな瑛には、様々なラブコメテンプレ展開に巻き込まれている酒神 昴という友人がいる。
瑛は昴に《友人》として、自分を取り巻く恋愛事情について相談を持ちかけられる。
圧倒的主人公感を持つ昴からの提案に、『友人キャラになれるチャンス』を見出した瑛は、二つ返事で承諾するが、昴には別の思惑があって……
̶ラ̶ブ̶コ̶メ̶の̶主̶人̶公̶×̶友̶人̶キ̶ャ̶ラ̶
【一途な不器用オタク×ラブコメ大好き陽キャ】が織り成す勘違いすれ違いラブ
番外編、牛歩更新です🙇♀️
※物語の特性上、女性キャラクターが数人出てきますが、主CPに挟まることはありません。
少しですが百合要素があります。
☆第1回 青春BLカップ30位、応援ありがとうございました!
第13回BL大賞にエントリーさせていただいています!もし良ければ投票していただけると大変嬉しいです!
君の恋人
risashy
BL
朝賀千尋(あさか ちひろ)は一番の親友である茅野怜(かやの れい)に片思いをしていた。
伝えるつもりもなかった気持ちを思い余って告げてしまった朝賀。
もう終わりだ、友達でさえいられない、と思っていたのに、茅野は「付き合おう」と答えてくれて——。
不器用な二人がすれ違いながら心を通わせていくお話。
幼馴染が「お願い」って言うから
尾高志咲/しさ
BL
高2の月宮蒼斗(つきみやあおと)は幼馴染に弱い。美形で何でもできる幼馴染、上橋清良(うえはしきよら)の「お願い」に弱い。
「…だからってこの真夏の暑いさなかに、ふっかふかのパンダの着ぐるみを着ろってのは無理じゃないか?」
里見高校着ぐるみ同好会にはメンバーが3人しかいない。2年生が二人、1年生が一人だ。商店街の夏祭りに参加直前、1年生が発熱して人気のパンダ役がいなくなってしまった。あせった同好会会長の清良は蒼斗にパンダの着ぐるみを着てほしいと泣きつく。清良の「お願い」にしぶしぶ頷いた蒼斗だったが…。
★上橋清良(高2)×月宮蒼斗(高2)
☆同級生の幼馴染同士が部活(?)でわちゃわちゃしながら少しずつ近づいていきます。
☆第1回青春×BL小説カップに参加。最終45位でした。応援していただきありがとうございました!
僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
【完結】大学で再会した幼馴染(初恋相手)に恋人のふりをしてほしいと頼まれた件について
kouta
BL
大学で再会した幼馴染から『ストーカーに悩まされている。半年間だけ恋人のふりをしてほしい』と頼まれた夏樹。『焼き肉奢ってくれるなら』と承諾したものの次第に意識してしまうようになって……
※ムーンライトノベルズでも投稿しています
発情期のタイムリミット
なの
BL
期末試験を目前に控えた高校2年のΩ・陸。
抑制剤の効きが弱い体質のせいで、発情期が試験と重なりそうになり大パニック!
「絶対に赤点は取れない!」
「発情期なんて気合で乗り越える!」
そう強がる陸を、幼なじみでクラスメイトのα・大輝が心配する。
だが、勉強に必死な陸の周りには、ほんのり漂う甘いフェロモン……。
「俺に頼れって言ってんのに」
「頼ったら……勉強どころじゃなくなるから!」
試験か、発情期か。
ギリギリのタイムリミットの中で、二人の関係は一気に動き出していく――!
ドタバタと胸きゅんが交錯する、青春オメガバース・ラブコメディ。
*一般的なオメガバースは、発情期中はアルファとオメガを隔離したり、抑制剤や隔離部屋が管理されていたりしていますが、この物語は、日常ラブコメにオメガバース要素を混ぜた世界観になってます。
陽キャと陰キャの恋の育て方
金色葵
BL
クラスの人気者と朝日陽太とお付き合いを開始した、地味男子白石結月。
溺愛が加速する陽太と、だんだん素直に陽太に甘えられるようになっていく結月の、甘キュンラブストーリー。
文化祭編。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる