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本編
10. 意外な味方
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「アルト・カーグレイ! 私の邪魔をしないでくださいませ!」
「貴女に呼び捨てされるほど仲が良かった記憶はないんだが? それに、公爵家同士とはいえこちらが上だ。身の程を弁えろ」
呑気な声の主、カーグレイ公爵家のアルト様。彼は宰相閣下の息子で、次期宰相になることが決まっているお方だ。
貴族なら明るい髪色という例に漏れず、明るいブロンドの髪に全てを見渡しているかのような透き通った空色の瞳。
スラリとした体躯でありながら、騎士団長をも凌駕するという実力の持ち主で、お顔も文句のつけようがないほどに整っている。魔法は火属性しか使えないけれど、それを凌駕するほどの才能があるらしい。
一言で言えば、美男。
外に出れば女性の目を引いてやまないアルト様だけれど、婚約者は未だにいない。
その理由は、彼自身が「女性を愛することは出来ない」と公言しているから。
女性嫌いなのか、それとも男色なのか。貴族の間では意見が割れている。
そんなアルト様は大の戦闘好きで、よく魔物狩りに行っていると有名だ。
それでいて頭も冴えるという。
戦うことが大好きなお方だから、私達の騒ぎを見て吸い寄せられたのね……。
「決闘は面白そうだが……」
そう呟き、私を包囲しようとしていた方々に視線を向けるアルト様。
すっかり静まり返ってしまったこの場所で、彼はこう言葉を続けた。
「いくらなんでも君たちが1つの属性しか魔法を扱えない上に、剣の腕も無に等しいからと言って、相手がソフィア嬢1人だけというのは感心しないな。
それとも、そこまでしないと勝てないほど君達は無能なのか? 同じ男として恥ずかしいな」
心底うんざりした、と言った様子のアルト様。
けれども目は笑っていて、この状況を楽しんでいるというのが察せられる。
ちなみにだけど、魔法の適性が1属性しかないというのはセレスティア様も例外ではない。
彼女は闇属性しか扱えないから。
「いえ、そうではありません。
そのソフィア嬢がリエル嬢を虐め、ひどく傷つけていたのはご存知ですか? これはその罰なのです」
「へぇ? 精霊に愛されているソフィア嬢が虐めねぇ……。
その戯言、精霊への冒涜だとは思わない?」
その手があったのね……。
私が少し感心していると、別の声が聞こえてきた。
「アルト、お前がご令嬢に関わるとは珍しいな? 野獣のような心が刺激されたか?
間違っても襲うなよ? あ、お前は女性嫌いなんだっけ? それなら心配いらないな」
「殿下、口が悪いですわよ」
「アリス、そろそろレオンって呼んでくれてもいいんだよ?」
「話を逸らさないでください」
アルト様を馬鹿にするような口調で言い放つそのお方は、貴族でも平民でも誰もが知っているレオン・エスプリ王太子殿下だ。
そんなお方に苦言を呈しているのは私の親友のアリスなのだけれど……堂々と言って大丈夫なのかしら?
少し不安になってしまった。
「レオン、俺のことをなんだと思ってる?」
「戦闘狂の変人」
「くっ、言い返す言葉がねぇ」
「で、これどういう状況?」
アルト様にそう問いかける殿下。
その問いに、アルト様はこう返した。
「あー、この8人がソフィア嬢と決闘したいんだって。精霊の愛し子と無能の戦い、見てみたいだろ?」
「ソフィア嬢の魔法は綺麗だから見てみたいが、彼らの魔法は見たくないな……」
「いや、魔法もそうだけど、決闘って楽しいだろ? あ、そうだ。俺がコイツらと戦えばいいのか」
「「ヒッ……」」
次期国王と次期宰相の会話がこれって、頭が痛いわ……。
将来、戦争ばかりする国になったりしないわよね? アリスに念押しした方がいいかしら?
今の私が嵌められかけている危ない状況だという自覚はあるのだけれど、別の不安を感じずにはいられなかった。
「貴女に呼び捨てされるほど仲が良かった記憶はないんだが? それに、公爵家同士とはいえこちらが上だ。身の程を弁えろ」
呑気な声の主、カーグレイ公爵家のアルト様。彼は宰相閣下の息子で、次期宰相になることが決まっているお方だ。
貴族なら明るい髪色という例に漏れず、明るいブロンドの髪に全てを見渡しているかのような透き通った空色の瞳。
スラリとした体躯でありながら、騎士団長をも凌駕するという実力の持ち主で、お顔も文句のつけようがないほどに整っている。魔法は火属性しか使えないけれど、それを凌駕するほどの才能があるらしい。
一言で言えば、美男。
外に出れば女性の目を引いてやまないアルト様だけれど、婚約者は未だにいない。
その理由は、彼自身が「女性を愛することは出来ない」と公言しているから。
女性嫌いなのか、それとも男色なのか。貴族の間では意見が割れている。
そんなアルト様は大の戦闘好きで、よく魔物狩りに行っていると有名だ。
それでいて頭も冴えるという。
戦うことが大好きなお方だから、私達の騒ぎを見て吸い寄せられたのね……。
「決闘は面白そうだが……」
そう呟き、私を包囲しようとしていた方々に視線を向けるアルト様。
すっかり静まり返ってしまったこの場所で、彼はこう言葉を続けた。
「いくらなんでも君たちが1つの属性しか魔法を扱えない上に、剣の腕も無に等しいからと言って、相手がソフィア嬢1人だけというのは感心しないな。
それとも、そこまでしないと勝てないほど君達は無能なのか? 同じ男として恥ずかしいな」
心底うんざりした、と言った様子のアルト様。
けれども目は笑っていて、この状況を楽しんでいるというのが察せられる。
ちなみにだけど、魔法の適性が1属性しかないというのはセレスティア様も例外ではない。
彼女は闇属性しか扱えないから。
「いえ、そうではありません。
そのソフィア嬢がリエル嬢を虐め、ひどく傷つけていたのはご存知ですか? これはその罰なのです」
「へぇ? 精霊に愛されているソフィア嬢が虐めねぇ……。
その戯言、精霊への冒涜だとは思わない?」
その手があったのね……。
私が少し感心していると、別の声が聞こえてきた。
「アルト、お前がご令嬢に関わるとは珍しいな? 野獣のような心が刺激されたか?
間違っても襲うなよ? あ、お前は女性嫌いなんだっけ? それなら心配いらないな」
「殿下、口が悪いですわよ」
「アリス、そろそろレオンって呼んでくれてもいいんだよ?」
「話を逸らさないでください」
アルト様を馬鹿にするような口調で言い放つそのお方は、貴族でも平民でも誰もが知っているレオン・エスプリ王太子殿下だ。
そんなお方に苦言を呈しているのは私の親友のアリスなのだけれど……堂々と言って大丈夫なのかしら?
少し不安になってしまった。
「レオン、俺のことをなんだと思ってる?」
「戦闘狂の変人」
「くっ、言い返す言葉がねぇ」
「で、これどういう状況?」
アルト様にそう問いかける殿下。
その問いに、アルト様はこう返した。
「あー、この8人がソフィア嬢と決闘したいんだって。精霊の愛し子と無能の戦い、見てみたいだろ?」
「ソフィア嬢の魔法は綺麗だから見てみたいが、彼らの魔法は見たくないな……」
「いや、魔法もそうだけど、決闘って楽しいだろ? あ、そうだ。俺がコイツらと戦えばいいのか」
「「ヒッ……」」
次期国王と次期宰相の会話がこれって、頭が痛いわ……。
将来、戦争ばかりする国になったりしないわよね? アリスに念押しした方がいいかしら?
今の私が嵌められかけている危ない状況だという自覚はあるのだけれど、別の不安を感じずにはいられなかった。
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