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本編
33. 家の繋がり
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予定通りお昼前には裁判が終わり、私はアリスと一緒に学院に向かっていた。
アルト様とレオン殿下は陛下に呼び出されているから、後から来るらしい。
ガタゴトと馬車が進む音がする中、アリスがこんなことを口にした。
「ソフィアが怒っているところなんて久しぶりに見たわ」
「アリスだってそうでしょ?」
確かに久々に怒ってしまったけれど、それはアリスも同じはず。
でも、その理由は違った。
「親友のことを悪く言われたら黙ってなんていられないもの」
私は努力を否定されて怒りを感じていたけれど、アリスは友人である私のために怒ってくれていた。
少しだけ、負けた気がした。
「アリスはやっぱりすごいわ。私はそんな風に考えられていなかったから……」
「そんなことないわよ。ソフィアだって、私のためにも怒っていたでしょう?」
「そうかもしれないけど……」
まだまだ未熟だと感じずにはいられなかった。
でも、アリスを見習って友達のためにも行動できるようにすればいいだけ。
「立場が逆だったら、ソフィアは私のために怒ってくれた気がするの」
「そうかもしれないわね……」
アリスの言う通りね……。
もしも立場が逆だったら、文句を零さずにはいられなかったと思う。
「それに、ソフィアは私が出来なかったことをしてたじゃない?」
「出来なかったこと?」
「完全に言い負かすことよ」
そんな風に言われて、苦笑する私。
結果的に言い負かしていたかもしれないけれど、そういうつもりは無かったのよね。
「偶然よ」
「そうかしら?」
そんなやり取りをする間に、馬車は学院の玄関前についていて、申し訳なさそうに御者さんが口を挟んできた。
「到着致しました」
「分かったわ。ありがとう」
御者さんに返事をして、馬車を降りる私達。
それから午前中最後の講義を受けるために、決められている講堂に向かった。
「そういえば、ケヴィンさんも今回の被害者なのよね?」
「セレスティアが近くにいたから、そうだと思っているわ。
でも、もう私の気持ちは離れてるから……」
セレスティアに脅されていたとは思うけれど、ケヴィンが私を裏切った事実は変わらない。
それに、もう彼に尽くそうだなんて思えないのよね。
「分かっているわ。でも、侯爵家のためにもトラウマは解いておきたいの。
これは殿下の婚約者としてのお願いよ。ケヴィンさんに高位の治癒魔法をかけてもらえないかしら?」
「私もそのつもりよ。侯爵家との繋がりは持っておきたいもの」
貴族の娘として生まれた以上は、家のために考えて行動しないといけない。
だから、婚約者としての関係に戻すつもりはないけれど、家同士の関係に支障が出ないようにはしたいと思っている。
これは私だけの問題ではないから……。
「嫌だったら断ってもいいよ?」
「大丈夫よ」
そう答えた時、ケヴィン様が一人で昼食を取っているのが見えた。
だから、治癒魔法の詠唱を発動する直前で中断してから彼の背後に近付くことにした。
気配を殺しているから、私の行動に気づいた人はいない。
お陰で、ケヴィン様に手をかざせる距離まで近付いて、治癒魔法をかけることに成功した。
治癒魔法に気付いた彼が振り向く姿が想像できたけれど、私は通り過ぎただけのように振る舞って、目を合わせることはしなかった。
「成功したわ」
「何もなくて良かったわ。ありがとう」
そんなやり取りをする私達。
ちょうど、アルト様と殿下が私たちの方に向かっているのが目に入った。
「お待たせ」
「アルト様と殿下の分の料理も頼んでおきましたわ」
「ありがとう、助かるよ」
席に来た二人とそんな言葉を交わす。
それからは、他愛無い会話を交わしながら昼食を済ませて、騒動が起こる前と同じ雰囲気に戻った学院で講義を受けることになった。
アルト様とレオン殿下は陛下に呼び出されているから、後から来るらしい。
ガタゴトと馬車が進む音がする中、アリスがこんなことを口にした。
「ソフィアが怒っているところなんて久しぶりに見たわ」
「アリスだってそうでしょ?」
確かに久々に怒ってしまったけれど、それはアリスも同じはず。
でも、その理由は違った。
「親友のことを悪く言われたら黙ってなんていられないもの」
私は努力を否定されて怒りを感じていたけれど、アリスは友人である私のために怒ってくれていた。
少しだけ、負けた気がした。
「アリスはやっぱりすごいわ。私はそんな風に考えられていなかったから……」
「そんなことないわよ。ソフィアだって、私のためにも怒っていたでしょう?」
「そうかもしれないけど……」
まだまだ未熟だと感じずにはいられなかった。
でも、アリスを見習って友達のためにも行動できるようにすればいいだけ。
「立場が逆だったら、ソフィアは私のために怒ってくれた気がするの」
「そうかもしれないわね……」
アリスの言う通りね……。
もしも立場が逆だったら、文句を零さずにはいられなかったと思う。
「それに、ソフィアは私が出来なかったことをしてたじゃない?」
「出来なかったこと?」
「完全に言い負かすことよ」
そんな風に言われて、苦笑する私。
結果的に言い負かしていたかもしれないけれど、そういうつもりは無かったのよね。
「偶然よ」
「そうかしら?」
そんなやり取りをする間に、馬車は学院の玄関前についていて、申し訳なさそうに御者さんが口を挟んできた。
「到着致しました」
「分かったわ。ありがとう」
御者さんに返事をして、馬車を降りる私達。
それから午前中最後の講義を受けるために、決められている講堂に向かった。
「そういえば、ケヴィンさんも今回の被害者なのよね?」
「セレスティアが近くにいたから、そうだと思っているわ。
でも、もう私の気持ちは離れてるから……」
セレスティアに脅されていたとは思うけれど、ケヴィンが私を裏切った事実は変わらない。
それに、もう彼に尽くそうだなんて思えないのよね。
「分かっているわ。でも、侯爵家のためにもトラウマは解いておきたいの。
これは殿下の婚約者としてのお願いよ。ケヴィンさんに高位の治癒魔法をかけてもらえないかしら?」
「私もそのつもりよ。侯爵家との繋がりは持っておきたいもの」
貴族の娘として生まれた以上は、家のために考えて行動しないといけない。
だから、婚約者としての関係に戻すつもりはないけれど、家同士の関係に支障が出ないようにはしたいと思っている。
これは私だけの問題ではないから……。
「嫌だったら断ってもいいよ?」
「大丈夫よ」
そう答えた時、ケヴィン様が一人で昼食を取っているのが見えた。
だから、治癒魔法の詠唱を発動する直前で中断してから彼の背後に近付くことにした。
気配を殺しているから、私の行動に気づいた人はいない。
お陰で、ケヴィン様に手をかざせる距離まで近付いて、治癒魔法をかけることに成功した。
治癒魔法に気付いた彼が振り向く姿が想像できたけれど、私は通り過ぎただけのように振る舞って、目を合わせることはしなかった。
「成功したわ」
「何もなくて良かったわ。ありがとう」
そんなやり取りをする私達。
ちょうど、アルト様と殿下が私たちの方に向かっているのが目に入った。
「お待たせ」
「アルト様と殿下の分の料理も頼んでおきましたわ」
「ありがとう、助かるよ」
席に来た二人とそんな言葉を交わす。
それからは、他愛無い会話を交わしながら昼食を済ませて、騒動が起こる前と同じ雰囲気に戻った学院で講義を受けることになった。
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