異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節

文字の大きさ
112 / 131

第112話 来訪者の受け入れ先

しおりを挟む
 異世界からの来客を虜にしたシャモ定食をはじめとする昼食が終わると、ミーティングルームでは互いの世界の状況に関する話題が話し合われる。ことに初めてやってきた日本という発展した国に強い興味を示す異世界からの訪問者の口からは、社会の仕組みや文化、技術に対する質問が次々に飛び出す。


「本当に馬が引かない馬車があるのか?」

「こんな感じですよ」

 桜が自分のスマホ画面に都心の固定カメラの映像をダウンロードして彼らにその画像を見せいてる。シャレたショッピング街が立ち並ぶ歩道を行き交う歩行者とともに、道路には数えきれない台数の車が整然と通行している。


「何がどうなっているんだ? こんな速度で馬車が走るとか、有り得ないだろう」

 馬車という概念から抜け出せないマリウスにとっては、自動車という概念を理解するには相当な時間が必要となりそう。彼だけで他のメンバーも想像を絶する光景に目を丸くしている。


「なんて美しい街並みでしょうか。人々が着ている服もあらゆる色合いに溢れています。それに商店に並ぶ品々は見たことない物ばかりです!」

 ディーナ王女は、画面に映し出された別の光景に興味を惹かれているよう。王族だけあって、人々の暮らしに関心があるのだあろう。


「ところでこの機械も魔力通信なのか?」

 マリウスがスマホを指さしている。彼らの世界では魔力を用いた遠距離通信技術がある。もっともそれは国や冒険者ギルドが管理する大掛かりな設備であって、個人が手軽に持ち歩き可能な代物ではないらしい。


「こちらの機械も科学技術を利用して作られています。魔力は使用していませんよ」

「魔力を使用せずに別の場所の映像を転移させているのか… 驚くべき技術だな」

 桜の説明にマリウスをはじめとした異世界のメンバーが目を見張っている。魔力を用いずに遠方と通信が可能というのは、彼らにとっては信じられない様子。その時、聡史のスマホが着信を告げる。


「はい、楢崎です」

「楢崎准尉、異世界からの来訪者の処遇が決定した。ひとまずは宇都宮駐屯地に迎え入れる。すでに迎えを手配してあるから楢崎准尉たちは同行してくれ。私もヘリで向かうから、同席して事情聴取を行いたい」

「了解しました。この場で迎えを待ちます」

 聡史は通話を切ると、一同に向き直る。


「マギー、君たちは魔法学院に戻ってくれ。ダンジョン完全攻略と異世界からの来客の件はしばらく口外しないでもらいたい。これは日本の国家機密に該当する重要な情報なので、迂闊に口外すると立場が悪くなる可能性がある」

「言外に脅しているわよ。まあ、仕方がないわ。聡史の顔を立てて本国にはしばらく内緒にしておくわよ」

 マギーも言外にアメリカ政府の意向を受けて日本に来ていると聡史に知らせている。マギーがそうであるように、フィオとマリアもしばらく口外しないと誓っている。

 
「それからマリウスやディーナ殿下は俺たちとともに軍の基地へと移動してもらう。あまり豪華なもてなしはできないが、しばらくそこに滞在しながら日本での生活に慣れてもらいたい」

「私たちの身の安全は保障できますか?」

 ディーナ王女が仲間の身の安全を懸念しているよう。対外的な対応に関しては、このパーティーでは一番経験があるのは王家の一員である彼女なのだろう。聡史たちに個人的な信頼を感じてはいるものの、本当にこの国が自分たちの身の安全を保障してくれるのか、まだ王女には100パーセントの信頼を置けないという表情を浮かべるのも無理もない話。


「安全は保障する。軍の上層部からの指示だ。俺たちも同行するから心配しないでもらいたい」

「…そうでしたね。この場は聡史に任せる以外にはないのを忘れていました。どうぞよろしくお願いします」
 
 ディーナ王女もこの場は他に方法が見当たらないと覚悟を決めたよう。マリウス以下の他のメンバーも頷きながら了承している。

 マギーたちはこれ以上日本政府の内情に立ち入れないことを理解して、素直に自分たちから魔法学院に戻っていく。帰り際に彼女たちは、聡史に向かって挨拶を交わす。


「今回はお世話になったわね、感謝しているわ。今度どこかのダンジョンを攻略する時には私たちにも声を掛けてよ」

「今回はあまり戦力になれなかったので、次の機会にはもっと役に立てるように自分の魔法技術を磨いておきます」

「桜ちゃん、次回も絶対にあの美味しいステーキをごちそうしてもらいたいですぅ。ステーキを食べれば元気になるですぅ」

 やはりマリアは、第4魔法学院の明日香ちゃん的な立場らしい。やや甘ったれた喋り方とは違って中身は肉食女子のよう。変な意味ではなくて、単なる肉好きにすぎないが…


「今回は時間の制約で慌ただしい攻略になってしまったが、次の機会はもっとゆっくり進めたい。その時には、ぜひとも協力してもらいたい」

「マリアちゃん、美味しいお肉を用意して待っていますよ」

 聡史と桜の返事に微笑みながら手を振って彼女たち三人は魔法学院に戻っていく。聡史たちと異世界からの客人も、手を振りながら彼女たちを見送るのだった。


「聡史、あの大きな建物は何ですか?」

 管理事務所の外に出たディーナ王女が、マギーたちが戻る先にそびえている魔法学院の建物を指さしている。


「ああそこがマギーたちが所属している第4魔法学院だ」

「この世界にも魔法学院があるんですか! 私もマハティール王国の魔法学院出身です」

「俺たちは第1魔法学院に所属している」

「聡史たちも魔法学院生だったんですね。あまりに強いので、すでにAランクの冒険者だと思っていました」

 ディーナ王女は、聡史たちがまだ学生だという話にますます目を丸くしている。もっとも聡史たちが単なる学生の範疇に収まるかは、大きな疑問の余地が残るのだが…


「フフフ、ディーナちゃんは人を見る目がありますね。私とお兄様は過去を遡れば、すでにSランクの冒険者として活躍していた時期があるんですよ」

「えっ! Sランクの冒険者ですか?」

「はい、魔王ごときはすでに討伐しておりますし、邪神すらこの手にかけて滅ぼしましたわ」

「またまたぁ、桜ちゃんは冗談がお上手ですね~。Sランクの冒険者なんて、私たちの国では伝説上の存在ですよ。魔王や邪神なんか、そうそう簡単には討伐できませんから」

 桜はかつて渡った異世界で本当に経験した実話を打ち明けているのだが、ディーナ女王は冗談だと受け取っている。彼女たちの世界では、魔王は人間が束になってもかなわない強大な敵と看做されているのは言うまでもない。ディーナの常識の埒外の出来事に彼女の想像力が追い付かなかいよう。

 その横では、美鈴とカレンがヒソヒソ何か耳打ちしている。


「美鈴さん、桜ちゃんなら魔王の5、6人は涼しい顔で倒しそうですね」

「大魔王としては、滅ぼされた魔王に若干の同情を禁じ得ないわ」

「美鈴さん、そんなことを言っていると、桜ちゃんを敵に回しますよ」

「その時は聡史君の後ろに隠れるから、きっと大丈夫よ」

「それは絶対に止めてください! あの兄妹が本気で戦ったら日本全体が地図から消えてなくなります」

 カレンは深刻な表情で美鈴を諫めている。天界の申し子と闇の支配者という相反する世界の住人でありながら、二人の間には固い絆が存在している。それは友情などというレベルではなくて、人智を超えた存在のみが持ち得る共感とでも呼ぶようなものかもしれない。

 こうしているうちに、管理事務所の駐車場には宇都宮駐屯地から回された2台のワゴン車が到着する。


「我々がこれに乗るのか?」

「2時間ほどで駐屯地に到着するだろう。危険はないから安心して乗ってくれ」

 馬車の何倍もの速度で走るワゴン車にマリウスが狼狽えた表情を浮かべている。だが彼はワゴン車のシートに腰掛けると、今度は別の感想を抱いて思わず声をあげる。


「なんて素晴らしい座り心地だ! 王宮のソファーでもこれほど楽に座れることはなかったぞ」

 車のシートは人体工学を基に製造されている。人の体を快適にサポートするシートにマリウスは感に堪えない表情を浮かべる。

 ワゴン車が動き出すと彼らはその速度に驚くとともに、快適で揺れない乗り心地に舌を巻いている。馬車で未舗装の街道をゴトゴト走るのとは次元の違う心地よい環境に心底感動している。そして徐々に市街地へ向かうと…


「ここがこの国の王都ですか? 人々がこれほど街に溢れているのは、もしかしたら今日は何かのお祭りでもあるんですか?」

 茨城県の小さな街を見たディーナ王女の感想がその口から漏れ出す。彼女の眼には、平和な街中に人々が集ってこれから何かのフェスティバルが始まるかのような賑やかさに映っている。おそらく東京の街を見たら、あまりに多くの人口に気を失うかもしれない。


 こうして2時間ほどで一行は宇都宮駐屯地へ到着する。車中から見えた外の光景の全てが彼らに大きな驚きをもたらしたのは言うまでもない。次々に目の前に登場するパノラマに、マリウスやディーナ王女は徐々に衝撃を受けるという感覚がマヒして、なんだか諦めの境地に達したかのような雰囲気でワゴン車を降りていく。


「マハティール王国のディーナ王女殿下、この宇都宮駐屯地へようこそお出でくださいました。日本国を代表いたしまして歓迎の意を表明したします」

 駐屯地の幹部が礼装に身を包み、整列してワゴン車を降りる一行を出迎える。にこやかな表情で挨拶を送ったのは、この駐屯地の司令である准将。


「礼砲、撃てぇぇぇ!」

 空に向かって歓迎の空砲が鳴らされる。撃ち終わった隊員は、見事に揃った動作で銃を脇に置くと、さっと敬礼を賓客に送る。地方の駐屯地であっても、こうしてやんごとなき地位の人物を出迎える礼式が完璧に披露されるのは、自衛隊の秩序正しい練度の賜物であろう。


「急な来訪にも拘らず、皆様の歓迎に深く感謝いたします。マハティール王国の第2王女で、オンディーヌ=ド=ミカエラ=マハティールと申します」

 このような歓迎ぶりに一瞬戸惑いを見せたディーナ王女であったが、そこは王族の一員として気品に溢れた態度で感謝を述べる。世界は違っても王家の血を引く人間としての彼女の振る舞いに、出迎えた駐屯地の幹部たちは「さすがだ」という感想を抱くのは言うまでもない。

 歓迎のセレモニーが終わると、女性の係官がディーナをはじめとする異世界からの面々をこれからしばらく滞在する部屋へと案内する。

 駐屯地の中で質素な部屋ではあるが、実用性の高いその内装に一同は目を見張る。

 各自の部屋で着替えを済ませると、五人の来訪者は案内に従って聡史たちが待っている会議室へ入ってくる。マリウスをはじめとした男性陣は、全員大柄な体格であったので自衛隊員が着用する最も大きなサイズの戦闘服を身に着けている。

 ディーナ王女とロージーは、黒のスカート、白のブラウス、黒の上着という女性隊員用の制服に身を包み登場する。


「この服は、とっても高級な生地で素晴らしい着心地です。私たちの世界にはこれほど軽くて着心地がいい服は存在しません」

「この戦闘服とやらも動きやすくて実用性が高いな。何よりもゴワゴワしないのが本当にありがたい」

 ディーナ王女とマリウスが口々に感想を述べている。ごく一般的な自衛隊員の制服ですら、彼らにしてみれば高級な衣服という位置づけになるよう。

 自販機の飲み物で喉を潤しながらしばらく歓談していると、ドアが開いて駐屯地の幹部と学院長が会議室に入ってくる。着席するなり学院長が本題を切り出す。


「ディーナ殿下をはじめとする異世界から来訪した方々、ようこそ日本へ。私は、そこにいる楢崎兄妹をはじめとする学院生が所属する魔法学院の学院長を務める神崎真奈美という。以後よろしく頼みたい」

「こちらこそ、どうぞよろしくお願いします」

 それぞれの挨拶と自己紹介を終えると、さっそくマリウス、ディーナ、聡史らの話を交えて、彼らが日本へやってきた経緯が語られる。

 一通りの事情説明を終えると、学院長が最後に話をまとめる。


「状況は理解した。政府からは今日中に五人の滞在許可下りる予定だ。1週間ほどこの駐屯地で過ごして日本の社会や制度を学んでもらってから、全員一時的に魔法学院で受け入れることとなった。1週間後の再会を楽しみにしている」

「学院長、ディーナやマリウスはしばらく魔法学院で生活するんですか?」

「楢崎准尉、その通りだ。貴官らは、しばらくの間ダンジョン攻略に専念して、五人が元の世界に戻る方法を調べ上げろ。全てはそれからだ」

「了解しました」

 すでに聡史をはじめとするデビル&エンジェルは、全員予備役自衛官の任官を得ている。なぜか明日香ちゃんまでついでだからと予備役一等陸士になっている。ここまでくるともはや明日香ちゃんの巻き込まれ癖は留まる所を知らないレベル。

 こうして異なる世界からの来訪者の所属は魔法学院と決定するとともに、聡史たちは今後尚一層のダンジョン攻略に邁進する指令が正式に通達されるのであった。


    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「面白かった」

「続きが気になる」

「早く投稿して!」

と感じていただいた方は是非とも【お気に入り登録】や【いいねボタン】などをポチッとしていただくと作者のモチベーションに繋がります! いいねボタンにつきましては連打してもらえると大喜びしますのでどうぞよろしくお願いいたします。皆様の応援を心よりお待ちしております。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

迷宮アドバイザーと歩む現代ダンジョン探索記~ブラック会社を辞めた俺だが可愛い後輩や美人元上司と共にハクスラに勤しんでます

秋月静流
ファンタジー
俺、臥龍臼汰(27歳・独身)はある日自宅の裏山に突如できた洞窟を見つける。 語り掛けてきたアドバイザーとやらが言うにはそこは何とダンジョン!? で、探索の報酬としてどんな望みも叶えてくれるらしい。 ならば俺の願いは決まっている。 よくある強力無比なスキルや魔法? 使い切れぬ莫大な財産? 否! 俺が望んだのは「君の様なアドバイザーにず~~~~~っとサポートして欲しい!」という願望。 万全なサポートを受けながらダンジョン探索にのめり込む日々だったのだが…何故か元居た会社の後輩や上司が訪ねて来て… チート風味の現代ダンジョン探索記。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...