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第122話 天上都市
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アライン砦でのひと仕事を終えた一行は、周囲にはさして脅威になる存在はないと判断して一旦日本に戻るべくダンジョンに再度足を踏み入れる。
実に慣れた足取りでダンジョンに入り込んだデビル&エンジェルは、転移魔法陣によって一気に最下層まで運ばれていく。
もちろん美鈴が配下にしたレイフェンも一緒に連れてきている。美鈴の口から「断りなく魔法を使うな」とか「許可なく人に手を出すな」などと色々と注意を受けたので、日本へ連れ帰ってもそれほど心配はいらないだろうと一同は考えている。
「大魔王様、ダンジョンの最下層とはこのようになっておりましたか。レイフェンめの6百年に渡る生涯の中で初めて目にする光景でございます」
「この程度で驚くようでは持たぬぞ。もっと驚くべき世界にこれから向かう故に」
「承知いたしました。気をしっかり持ちまして、その驚くべき世界というのをこの目にいたしまする」
なんだかすっかり主従関係が出来上がっているよう。レイフェンが「命を懸けて仕える」と言ったのはどうやら本心からの言葉らしい。というよりも、ルシファーの眼光を宿した美鈴の姿を目にしたせいで、その瞬間から魂まるごと大魔王様の眷属になっている。
そんなレイフェンの様子を横目にしながら、聡史がひと言。
「それじゃあ、宇宙空間に向かおうか」
その号令に合わせて、全員が光の架け橋を進んでいく。ここに来た時と同様に空間が渦巻く場所に到着すると、一人ずつその渦の中に身を躍らせていく。
◇◇◇◇◇
「さて、今度はどこのダンジョンに出てきたんだろうな?」
「お兄様、やはり最下層のようですわ。あの奥にはラスボスが待ち受けているようです」
桜の視線の先には、巨大な鋏を左右に振り回しながらこちらに向かって来ようとしている大サソリの姿がある。今まで聡史たちが攻略したダンジョンは30階層以下のボスの中でさらにもう一段階レベルが高くなった魔物がラスボスとして登場してきた。だが空間の奥からこちらに向かって動き始めている大サソリは、今まで階層ボスとして登場してこなかった個体。
「ラスボスがサソリなんて、新しいパターンだな。あれはデス・ストーカーだろう」
「そのようですわ。私も一度しか戦った経験はありませんが」
デス・ストーカー… 異世界では数百年おきに出現する災厄級の魔物として知られている。災厄級の文字の通り、1体現れただけで一国が滅ぶと噂されている。外見こそサソリと同様の形状をしているが、頭から尻尾の先まで全長50メートル強、体全体は強固な外殻に覆われており、魔法や刃物を跳ね返す硬さを誇る。尻尾の先にある毒針に人間を即死させる強力な毒を持っているだけでなくて、口からも毒霧を吐き出して獲物を一度に大量に仕留める。
巨大な鋏は鉄製の甲冑を着込んだ騎士程度は軽く両断するし、攻撃力と防御力においてはドラゴン以上の強敵かもしれない。しかもタチの悪いことに10本ある足を巧みに動かして巨体であるにも拘らず動きが素早い。
このどこにも弱点が見当たらないデス・ストーカーを前にして、さすがのデビル&エンジェルも動揺して… はいない様子。聡史、桜、美鈴、カレンの四人で誰が倒すかを巡ってジャンケンを始めている。
「負けたぁぁ!」
「残念ですわ」
聡史と桜が真っ先に脱落して、美鈴とカレンの間で決勝戦が始まる。
「負けてしまったわ」
「今回はようやく私の出番ですね!」
最終的にデス・ストーカーの相手を務めるのはカレンと決定する。もちろん明日香ちゃんは、この成り行きをお任せで眺めているだけで一切ヤル気なし。その態度に手にするトライデントが滂沱の涙を流している。
「それでは参ります」
カレンが一歩前に出ると、一度だけ目を閉じる。その瞳が再び開かれると、そこにあるのは天使だけが持ち得る銀眼がラスボスを見遣っている。
そして日頃は傷付いた人々に癒しをもたらすその口から発せられたのは…
「封滅の光」
水平に掲げた右手から白い一本の光が飛び出して、デス・ストーカーの体に吸い込まれていく。一筋の光など何の影響もないようで、デス・ストーカーはなおもデビル&エンジェルに向かって突進する速度を緩めない。効果がないことを不審に感じた美鈴がカレンに尋ねている。
「カレン、大丈夫なのかしら?」
「間もなく効果が出てきます」
カレンの言葉が終わるや否や、デス・ストーカーの全身が突然停止する。足を止めたデス・ストーカーは苦しむように左右のハサミを振り回すが、それも長くは続かない。完全に体の動きを止めて、その場にじっと留まっているだけという状況。
そして、次の変化が訪れる。
ベコン! ベコベコ ベコン!
デス・ストーカーの硬い外殻が突然内側に向かって大きくヘコんでいく。胴体の前方部分からヘコみが広がって、次第に尻尾やハサミまでが内側に向かって崩壊するかのようにヘコむ。そして最後には残った頭部までが、大きな音を立てながら異様な塊になりつつある胴体に飲み込まれて、全長50メートルを超える巨体は手で持ち運べる段ボールサイズまで小さくなっている。
ようやくそこで内側への崩壊は停止した模様だが、こんな形になってはいくら生命力が強いデス・ストーカーといえどもすでに絶命しているのは言うまでもない。
しばらくすると、不気味な形のオブジェと化したデス・ストーカーは、ダンジョンに吸収されて姿を消し去っていく。
「カレン、今の術式はどのように組み立てたの?」
「デス・ストーカーの体内でに疑似的なマイクロブラックホールを発生させました。周囲に影響を与えないように10のマイナス100乗程度の短い時間で消えるように調整したんですけど、どうやら上手くいったようです」
「これはまた思い切った手段に出たわね」
美鈴は感心しきりの様子で、その後もカレンに色々と聞いている。魔物の体内に微小なブラックホールを形成するというその斬新な発想に驚かされているよう。魔法の第一人者として、ただ今のカレンの術式を自分でも再現しようという魂胆なのだろう。
どうやらこの術式のポイントは、崩壊が周囲に広がらないようにブラックホールの発生を短時間で収束させる点にあると美鈴も気が付いている。だが美鈴にはさらに不可解な点が残る。カレンが発した光がどのようにデス・ストーカーの体内にブラックホールを生成するのか、その原理がいま一つ納得しかねる表情。
「光の効果をどのように使ってデス・ストーカーの体内でブラックホールを生成したのかしら?」
「美鈴さんは素粒子をご存じですか?」
「ええ、一応の知識としては知っているわ」
「素粒子には様々な種類が現時点で判明しています。その中でも物体を易々と突き抜ける超微小な素粒子があります。それに細工をしてデス・ストーカーの体内で一か所に超高密度に集積させて、あとは超重力を加えていけば…」
「途方もない高度な術式ね。それこそ神の領域に足を突っ込んでいるじゃないの」
「そこは天使ですから、神様とは昵懇なんです」
「原理が分かったから私にも使えそうね。いつか披露するわ」
「くれぐれも範囲と時間の設定に気を付けてください。闇の支配者には無駄な忠告だとは思いますが」
「天使の忠告なんて、最大限に尊重しないといけないでしょう。心に留めておくわ」
「美鈴さんのアレンジが加わった術式を楽しみにしています。というか、私自身美鈴さんの重力魔法を基礎にして考えた術式なので、美鈴さんに感謝しているくらいです」
「照れるからヤメてよね。それにしても天使の力というのは大魔王の盲点を突いてくるわね」
「それはそうです。大魔王を出し抜くくらいでないと光と闇の最終戦争は乗り切れませんから」
「そんな馬鹿げた出来事が起きないことを心から願うわ」
最終戦争の件は、もちろんカレンの冗談に決まっている。そもそも天使とルシファーの会話ともなると、冗談のスケールが大きすぎるような気がしてならない。一般人が耳にしたら「本当にそのような恐ろしい出来事があるのか」とつい本気にしてしまうだろうに。
だが本当にこの両者の間で最終戦争が起きる可能性は、無きにしも非ずと言えよう。聡史を巡ってあるいは… その時は、ひょっとしたら世界が滅ぶかもしれない。
それにしても恐ろしい術式であったように思われる。体内にマイクロブラックホールを形成されたデス・ストーカーに合掌。
宝箱等を回収していると、各自の脳内にアナウンスが響く。
(伊予ダンジョンを完全攻略いたしました)
「今度は四国に戻ってきたんだな」
「また飛行機で戻らないといけないわね」
聡史と美鈴が顔を見合わせている。これで日本全国にある12か所のダンジョンのうち、半数にあたる6か所のラスボスを倒したと承認された模様。誰が承認しているのかは定かではないが…
こうしてデビル&エンジェルは、転移魔法陣に乗って一気に地上へ戻っていくのであった。
◇◇◇◇◇
「もしもし、学院長ですか?」
「楢崎中尉、今どこにいるんだ?」
「中尉? 何の話ですか?」
「このところの活躍で、貴官と妹は2階級特進だ。それよりも、どこにいるのか先に報告しろ」
「あ、はい! 現在伊予ダンジョンの管理事務所におります。それでですね、異世界の魔族が1名同行しているんですが、どうしましょうか?」
「魔族だと? 詳しい経過を話せ」
聡史は、美鈴がレイフェンを配下にした経過を説明する。学院長は呆れたような声で返事をしてくる。
「異世界の住人の次は魔族か。まあいい、双方の話を基にすれば、異世界の状況が鮮明になってくるだろう。一旦松山駐屯地に保護してもらうから、その場で迎えを待っていろ」
「了解しました」
ダンジョン管理事務所の外を見ると、すでに夕暮れの時間はとうに過ぎて、辺りはすっかり夜の帳が下りている。聡史や美鈴はさほど空腹ではないものの、桜と明日香ちゃんがどうしても食事をすると主張したため、管理事務所付属の食堂へと一同は入っていく。
「お兄様、ご当地名物の鯛めしがありますよ」
「あっさりと食べられそうだな」
「それでは、鯛めしスペシャルセットでよろしいでしょうか?」
「いいんじゃないか。他のみんなはどうする?」
軽く食べようと考えている他のメンバーは、大してメニューを見ないで桜の意見に同意している。たったひとりレイフェンだけが、まったく見慣れない光景に目をキョロキョロさせて落ち着きがない様子。
「すいませ~ん! 鯛めしスペシャルセットを6人前と天丼とうどんセットと愛媛豚みそ焼き定食お願いしま~す!」
「は~い! 鯛めしは今からご飯を炊きますので時間が掛かりますがよろしいですか?」
「待ち時間が長いんでしたら、適当に飲み物を頼みましょうか」
という美鈴の意見で、めいめいが好みの飲み物を注文する。聡史とカレンがホットコーヒ-で美鈴がレモンティー、桜と明日香ちゃんはクリームソーダを頼んだ。レイフェンはメニューの意味が分からないので、取り敢えずホットコーヒーを選んでいる。
「お飲み物をお持ちしました」
食堂の係員が注文した飲み物を運んでくる。管理事務所の食堂なので、専門店で提供されるような手の込んだ飲み物とは到底呼べないありふれた品が並ぶ。
レイフェンは目の前に置かれたカップに入っている褐色の液体を凝視している。初めて目にするホットコーヒーに相当戸惑っているよう。
やおら彼はカップを手にすると、ブラックのまま一口ゴクリと…
プーーーーーッ!
あろうことか、レイフェンは口に含んだコーヒーを霧吹き状に吹き出している。褐色を帯びた液体の霧が宙に噴霧されて、なぜかそこに七色の虹がかかる。
とんでもない粗相をしたにも拘らず、レイフェンの表情は苦みでグシャグシャな有様。魔族の世界で貴族だったと胸を張れるような威厳はどこにもない。
「これ、レイフェン! そのような作法はマナーに反します」
「だ、大魔王様、大変申し訳ございませんでした。ですが、この液体は何でございましょうか? 錬金術師が長い時間をかけて薬草を煮詰めた物でしょうか? どうにもこの苦みが口の中に残って、恐ろしき有様でございます」
平身低頭しながらも、コーヒーの苦みに耐え切れなかったと必死に言い訳をしている。こうしてみると、中々可愛いヤツに見えて… こないだろう。600年も生きている魔族のオッサンがのどこが可愛いんだか。
客席の様子に気が付いた係員が布巾を手にして登場すると、素早くテーブルを拭き取ってレイフェンの粗相の跡は何事もなかったかのように片付けられる。素晴らしい職業意識というほかない。管理事務所の食堂係ではなくて、一流料亭でも接客が務まりそうなハイパー係員かもしれない。どこの管理事務所にも、このような超有能な人材が潜んでいる。ダンジョン管理事務所、恐るべし…
「レイフェン、いきなりブラックなどハードルが高いであろう。ここにある砂糖とミルクを加えてみるがよい。飲みやすくなる故に試してみるのだ」
「はは、それでは失礼いたしまする」
美鈴から教えられたレイフェンは、カップの中に砂糖とミルクを明日香ちゃん並みに加えていく。バサバサと砂糖を入れてから、ミルクをドクドク足していく。そして再び恐る恐るコーヒーに口をつけると…
「これは! なんという心休まる香りか! これほど甘さと深いコクのある香りが心地よい気分にさせる飲み物であるとは思わなんだ! 大魔王様のご助言のおかげで実にに尊き味わいに出会って、このレイフェンは幸せでございまする」
コーヒー一杯で感極まった表情を浮かべている。早速異世界のカルチャーショックに出会ったレイフェン、その変わり身を見ながら他のメンバーは笑いを堪えている。
4、50分待っていると、席には注文した鯛めしスペシャルセットが運ばれてくる。軽い食事でいいかというほとんどのメンバーの思いとは裏腹に目の前に並んだのは、一人用の小さなお釜に炊き立ての鯛めしと、数種類の刺身盛り合わせ、茶わん蒸し、煮物、タイのアラのお吸い物、てんぷら等々、豪華お一人様3500円の料理。瀬戸内の海の幸満載の料理の数々に、デビル&エンジェルのメンバーの目が点になっている。
「さ、桜… 軽い食事のつもりだったんだけど」
「お兄様、この程度は軽い食事です。私はこのセットとは別に天丼と愛媛豚のみそ焼き定食まで頼んでいますから」
どうやら桜基準だとこの程度はペロリといける量であるらしい。桜に注文を任せたことを後悔しているメンバーが続出している。
「タイの頭と骨は、こんな感じで外してください」
係員さんが丁寧に説明してくれる。箸でご飯の上に横たわっている丸1匹のタイの身を上から押し付けるようにしてから頭を外すと、きれいに骨まで一緒に取れていく。そして、しゃもじでご飯とタイの身を混ぜてから一口食べてみると…
全員の後悔が一気に吹き飛んでいる。
「これは美味いぞ!」
「タイの身がとっても上品ね」
「出汁との相性が抜群です!」
「体重は気にしないで食べまくります。ああ、デザートは別腹ですからね」
どれが誰の意見かは、想像にお任せする。もちろん注文した張本人である桜は鯛めしの美味しさに夢中で、一心不乱に箸を動かしている。周囲の意見など耳には入らない様子はいつもの通り。
そして、件のレイフェンであるが…
「なんという素晴らしき味わいか! このような料理は、魔王城でもとんと口にした覚えがない…」
日本の料理に言葉を失って呆然とした表情。もはやその眼には、人族だからといって見下すような感情はとうに消え去っている。日本の一地方のご当地名物を味わっただけでこの変容ぶりでは、この先一体どうなるのやら…
先に到着した異世界からの来訪者であるマリウスやディーナ王女の反応をも上回る、絶大なカルチャーショックがレイフェンを襲っているのはもはや口にするまでもない。
管理事務所の食堂で満足が行く食事を終えて、一休みしたちょうどいいタイミングで松山駐屯地から迎えの車両が到着する。大型のワゴン車に全員が乗り込むと、松山市内に向かって出発する。
伊予ダンジョンはその名の通り、伊予市内の比較的海に近い場所にある。日本各地の他のダンジョンが内陸部や山のふもとに出来上がっているケースが大半であるのに比べると、ここだけは位置的にやや特殊な環境かもしれない。
時折間近に海岸が広がる幹線道路を通って松山市内が目に入ってくると、レイフェンの口から驚きの声が上がる。
「大魔王様! この先に見えるは天上都市でありまするか?」
四国では最大の50万都市である松山市、その照明に照らされるビルが並ぶ一角を遠目に見たレイフェンの感想がコレ。魔族のレイフェンがこれまでの人生の中で目撃した最大の建物が魔王城に他ならない。だが遠目に見ても市街地にあるビルやマンション群は、明らかに魔王城よりも巨大に映っている。
彼はその光景を称して「天上都市」と口にしている。魔族たちの伝承では、はるかな高空に浮かぶ都市には天を衝く巨大な建物が林立していると言い残されている。レイフェンは市街地の姿を見て、自分はそこへやってきたのかと勘違いしたのだろう。
「レイフェン、これが私が先程述べた驚くべき光景のひとつだ。この程度はまだ序の口にすぎぬ故、この程度で目を回していたら体がもたぬぞ」
「大魔王様、これまでの重ね重ねの非礼をお詫びいたしまする。どうやらこの国の住民は只の人族ではなくて天上都市にお住いの輝ける光の住人でございましたか」
美鈴にとってはよくわからない話だが、魔族の間ではそのような伝承が残っているらしいということだけは理解したよう。面倒になった美鈴は適当に話を合わせることにする。
「左様、現にこの場に天使もおるであろう。ここは、そなたらの伝承にある天上都市である」
「やはりそうでありましたかぁぁぁ! 魔族の誰もが成しえなかった天上都市にこのレイフェンは到達したというのは、600年もの生の中で最大の幸せにございます。大魔王様のお慈悲に感謝申し上げるとともに、天上の方々、今後は皆様の僕であるレイフェンに何なりとお申し付けくださいませ」
レイフェンの中では〔美鈴=大魔王〕というだけではなくて、この世界の住民全てが天上の住人という尊敬の対象に位置付けされるよう。まあ日本社会で乱暴狼藉を働くよりはいいかと、聡史たちはそのまま放置する決断を下す。捕虜として日本に連行されたと捉えるよりも、大魔王の力によって天上都市に招かれたと思い込んでいるほうが本人は幸せというならそのままにしておこうというある種の優しさに見えるが、実はそうでもない。
レイフェンの配下の魔族兵は一兵も残さずに全滅させられたが、そんなことを補って余りある幸福に浸っているならこの場はレイフェンの意思を尊重してやろうというある種の腹黒い考えで一致している一同がいる。なぜなら、そのほうが色々と都合がいいから…
こうして勘違いをしたままのレイフェンと周囲の腹黒い面々を乗せたワゴン車は、無事に松山駐屯地の正門を潜っていくのであった。
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実に慣れた足取りでダンジョンに入り込んだデビル&エンジェルは、転移魔法陣によって一気に最下層まで運ばれていく。
もちろん美鈴が配下にしたレイフェンも一緒に連れてきている。美鈴の口から「断りなく魔法を使うな」とか「許可なく人に手を出すな」などと色々と注意を受けたので、日本へ連れ帰ってもそれほど心配はいらないだろうと一同は考えている。
「大魔王様、ダンジョンの最下層とはこのようになっておりましたか。レイフェンめの6百年に渡る生涯の中で初めて目にする光景でございます」
「この程度で驚くようでは持たぬぞ。もっと驚くべき世界にこれから向かう故に」
「承知いたしました。気をしっかり持ちまして、その驚くべき世界というのをこの目にいたしまする」
なんだかすっかり主従関係が出来上がっているよう。レイフェンが「命を懸けて仕える」と言ったのはどうやら本心からの言葉らしい。というよりも、ルシファーの眼光を宿した美鈴の姿を目にしたせいで、その瞬間から魂まるごと大魔王様の眷属になっている。
そんなレイフェンの様子を横目にしながら、聡史がひと言。
「それじゃあ、宇宙空間に向かおうか」
その号令に合わせて、全員が光の架け橋を進んでいく。ここに来た時と同様に空間が渦巻く場所に到着すると、一人ずつその渦の中に身を躍らせていく。
◇◇◇◇◇
「さて、今度はどこのダンジョンに出てきたんだろうな?」
「お兄様、やはり最下層のようですわ。あの奥にはラスボスが待ち受けているようです」
桜の視線の先には、巨大な鋏を左右に振り回しながらこちらに向かって来ようとしている大サソリの姿がある。今まで聡史たちが攻略したダンジョンは30階層以下のボスの中でさらにもう一段階レベルが高くなった魔物がラスボスとして登場してきた。だが空間の奥からこちらに向かって動き始めている大サソリは、今まで階層ボスとして登場してこなかった個体。
「ラスボスがサソリなんて、新しいパターンだな。あれはデス・ストーカーだろう」
「そのようですわ。私も一度しか戦った経験はありませんが」
デス・ストーカー… 異世界では数百年おきに出現する災厄級の魔物として知られている。災厄級の文字の通り、1体現れただけで一国が滅ぶと噂されている。外見こそサソリと同様の形状をしているが、頭から尻尾の先まで全長50メートル強、体全体は強固な外殻に覆われており、魔法や刃物を跳ね返す硬さを誇る。尻尾の先にある毒針に人間を即死させる強力な毒を持っているだけでなくて、口からも毒霧を吐き出して獲物を一度に大量に仕留める。
巨大な鋏は鉄製の甲冑を着込んだ騎士程度は軽く両断するし、攻撃力と防御力においてはドラゴン以上の強敵かもしれない。しかもタチの悪いことに10本ある足を巧みに動かして巨体であるにも拘らず動きが素早い。
このどこにも弱点が見当たらないデス・ストーカーを前にして、さすがのデビル&エンジェルも動揺して… はいない様子。聡史、桜、美鈴、カレンの四人で誰が倒すかを巡ってジャンケンを始めている。
「負けたぁぁ!」
「残念ですわ」
聡史と桜が真っ先に脱落して、美鈴とカレンの間で決勝戦が始まる。
「負けてしまったわ」
「今回はようやく私の出番ですね!」
最終的にデス・ストーカーの相手を務めるのはカレンと決定する。もちろん明日香ちゃんは、この成り行きをお任せで眺めているだけで一切ヤル気なし。その態度に手にするトライデントが滂沱の涙を流している。
「それでは参ります」
カレンが一歩前に出ると、一度だけ目を閉じる。その瞳が再び開かれると、そこにあるのは天使だけが持ち得る銀眼がラスボスを見遣っている。
そして日頃は傷付いた人々に癒しをもたらすその口から発せられたのは…
「封滅の光」
水平に掲げた右手から白い一本の光が飛び出して、デス・ストーカーの体に吸い込まれていく。一筋の光など何の影響もないようで、デス・ストーカーはなおもデビル&エンジェルに向かって突進する速度を緩めない。効果がないことを不審に感じた美鈴がカレンに尋ねている。
「カレン、大丈夫なのかしら?」
「間もなく効果が出てきます」
カレンの言葉が終わるや否や、デス・ストーカーの全身が突然停止する。足を止めたデス・ストーカーは苦しむように左右のハサミを振り回すが、それも長くは続かない。完全に体の動きを止めて、その場にじっと留まっているだけという状況。
そして、次の変化が訪れる。
ベコン! ベコベコ ベコン!
デス・ストーカーの硬い外殻が突然内側に向かって大きくヘコんでいく。胴体の前方部分からヘコみが広がって、次第に尻尾やハサミまでが内側に向かって崩壊するかのようにヘコむ。そして最後には残った頭部までが、大きな音を立てながら異様な塊になりつつある胴体に飲み込まれて、全長50メートルを超える巨体は手で持ち運べる段ボールサイズまで小さくなっている。
ようやくそこで内側への崩壊は停止した模様だが、こんな形になってはいくら生命力が強いデス・ストーカーといえどもすでに絶命しているのは言うまでもない。
しばらくすると、不気味な形のオブジェと化したデス・ストーカーは、ダンジョンに吸収されて姿を消し去っていく。
「カレン、今の術式はどのように組み立てたの?」
「デス・ストーカーの体内でに疑似的なマイクロブラックホールを発生させました。周囲に影響を与えないように10のマイナス100乗程度の短い時間で消えるように調整したんですけど、どうやら上手くいったようです」
「これはまた思い切った手段に出たわね」
美鈴は感心しきりの様子で、その後もカレンに色々と聞いている。魔物の体内に微小なブラックホールを形成するというその斬新な発想に驚かされているよう。魔法の第一人者として、ただ今のカレンの術式を自分でも再現しようという魂胆なのだろう。
どうやらこの術式のポイントは、崩壊が周囲に広がらないようにブラックホールの発生を短時間で収束させる点にあると美鈴も気が付いている。だが美鈴にはさらに不可解な点が残る。カレンが発した光がどのようにデス・ストーカーの体内にブラックホールを生成するのか、その原理がいま一つ納得しかねる表情。
「光の効果をどのように使ってデス・ストーカーの体内でブラックホールを生成したのかしら?」
「美鈴さんは素粒子をご存じですか?」
「ええ、一応の知識としては知っているわ」
「素粒子には様々な種類が現時点で判明しています。その中でも物体を易々と突き抜ける超微小な素粒子があります。それに細工をしてデス・ストーカーの体内で一か所に超高密度に集積させて、あとは超重力を加えていけば…」
「途方もない高度な術式ね。それこそ神の領域に足を突っ込んでいるじゃないの」
「そこは天使ですから、神様とは昵懇なんです」
「原理が分かったから私にも使えそうね。いつか披露するわ」
「くれぐれも範囲と時間の設定に気を付けてください。闇の支配者には無駄な忠告だとは思いますが」
「天使の忠告なんて、最大限に尊重しないといけないでしょう。心に留めておくわ」
「美鈴さんのアレンジが加わった術式を楽しみにしています。というか、私自身美鈴さんの重力魔法を基礎にして考えた術式なので、美鈴さんに感謝しているくらいです」
「照れるからヤメてよね。それにしても天使の力というのは大魔王の盲点を突いてくるわね」
「それはそうです。大魔王を出し抜くくらいでないと光と闇の最終戦争は乗り切れませんから」
「そんな馬鹿げた出来事が起きないことを心から願うわ」
最終戦争の件は、もちろんカレンの冗談に決まっている。そもそも天使とルシファーの会話ともなると、冗談のスケールが大きすぎるような気がしてならない。一般人が耳にしたら「本当にそのような恐ろしい出来事があるのか」とつい本気にしてしまうだろうに。
だが本当にこの両者の間で最終戦争が起きる可能性は、無きにしも非ずと言えよう。聡史を巡ってあるいは… その時は、ひょっとしたら世界が滅ぶかもしれない。
それにしても恐ろしい術式であったように思われる。体内にマイクロブラックホールを形成されたデス・ストーカーに合掌。
宝箱等を回収していると、各自の脳内にアナウンスが響く。
(伊予ダンジョンを完全攻略いたしました)
「今度は四国に戻ってきたんだな」
「また飛行機で戻らないといけないわね」
聡史と美鈴が顔を見合わせている。これで日本全国にある12か所のダンジョンのうち、半数にあたる6か所のラスボスを倒したと承認された模様。誰が承認しているのかは定かではないが…
こうしてデビル&エンジェルは、転移魔法陣に乗って一気に地上へ戻っていくのであった。
◇◇◇◇◇
「もしもし、学院長ですか?」
「楢崎中尉、今どこにいるんだ?」
「中尉? 何の話ですか?」
「このところの活躍で、貴官と妹は2階級特進だ。それよりも、どこにいるのか先に報告しろ」
「あ、はい! 現在伊予ダンジョンの管理事務所におります。それでですね、異世界の魔族が1名同行しているんですが、どうしましょうか?」
「魔族だと? 詳しい経過を話せ」
聡史は、美鈴がレイフェンを配下にした経過を説明する。学院長は呆れたような声で返事をしてくる。
「異世界の住人の次は魔族か。まあいい、双方の話を基にすれば、異世界の状況が鮮明になってくるだろう。一旦松山駐屯地に保護してもらうから、その場で迎えを待っていろ」
「了解しました」
ダンジョン管理事務所の外を見ると、すでに夕暮れの時間はとうに過ぎて、辺りはすっかり夜の帳が下りている。聡史や美鈴はさほど空腹ではないものの、桜と明日香ちゃんがどうしても食事をすると主張したため、管理事務所付属の食堂へと一同は入っていく。
「お兄様、ご当地名物の鯛めしがありますよ」
「あっさりと食べられそうだな」
「それでは、鯛めしスペシャルセットでよろしいでしょうか?」
「いいんじゃないか。他のみんなはどうする?」
軽く食べようと考えている他のメンバーは、大してメニューを見ないで桜の意見に同意している。たったひとりレイフェンだけが、まったく見慣れない光景に目をキョロキョロさせて落ち着きがない様子。
「すいませ~ん! 鯛めしスペシャルセットを6人前と天丼とうどんセットと愛媛豚みそ焼き定食お願いしま~す!」
「は~い! 鯛めしは今からご飯を炊きますので時間が掛かりますがよろしいですか?」
「待ち時間が長いんでしたら、適当に飲み物を頼みましょうか」
という美鈴の意見で、めいめいが好みの飲み物を注文する。聡史とカレンがホットコーヒ-で美鈴がレモンティー、桜と明日香ちゃんはクリームソーダを頼んだ。レイフェンはメニューの意味が分からないので、取り敢えずホットコーヒーを選んでいる。
「お飲み物をお持ちしました」
食堂の係員が注文した飲み物を運んでくる。管理事務所の食堂なので、専門店で提供されるような手の込んだ飲み物とは到底呼べないありふれた品が並ぶ。
レイフェンは目の前に置かれたカップに入っている褐色の液体を凝視している。初めて目にするホットコーヒーに相当戸惑っているよう。
やおら彼はカップを手にすると、ブラックのまま一口ゴクリと…
プーーーーーッ!
あろうことか、レイフェンは口に含んだコーヒーを霧吹き状に吹き出している。褐色を帯びた液体の霧が宙に噴霧されて、なぜかそこに七色の虹がかかる。
とんでもない粗相をしたにも拘らず、レイフェンの表情は苦みでグシャグシャな有様。魔族の世界で貴族だったと胸を張れるような威厳はどこにもない。
「これ、レイフェン! そのような作法はマナーに反します」
「だ、大魔王様、大変申し訳ございませんでした。ですが、この液体は何でございましょうか? 錬金術師が長い時間をかけて薬草を煮詰めた物でしょうか? どうにもこの苦みが口の中に残って、恐ろしき有様でございます」
平身低頭しながらも、コーヒーの苦みに耐え切れなかったと必死に言い訳をしている。こうしてみると、中々可愛いヤツに見えて… こないだろう。600年も生きている魔族のオッサンがのどこが可愛いんだか。
客席の様子に気が付いた係員が布巾を手にして登場すると、素早くテーブルを拭き取ってレイフェンの粗相の跡は何事もなかったかのように片付けられる。素晴らしい職業意識というほかない。管理事務所の食堂係ではなくて、一流料亭でも接客が務まりそうなハイパー係員かもしれない。どこの管理事務所にも、このような超有能な人材が潜んでいる。ダンジョン管理事務所、恐るべし…
「レイフェン、いきなりブラックなどハードルが高いであろう。ここにある砂糖とミルクを加えてみるがよい。飲みやすくなる故に試してみるのだ」
「はは、それでは失礼いたしまする」
美鈴から教えられたレイフェンは、カップの中に砂糖とミルクを明日香ちゃん並みに加えていく。バサバサと砂糖を入れてから、ミルクをドクドク足していく。そして再び恐る恐るコーヒーに口をつけると…
「これは! なんという心休まる香りか! これほど甘さと深いコクのある香りが心地よい気分にさせる飲み物であるとは思わなんだ! 大魔王様のご助言のおかげで実にに尊き味わいに出会って、このレイフェンは幸せでございまする」
コーヒー一杯で感極まった表情を浮かべている。早速異世界のカルチャーショックに出会ったレイフェン、その変わり身を見ながら他のメンバーは笑いを堪えている。
4、50分待っていると、席には注文した鯛めしスペシャルセットが運ばれてくる。軽い食事でいいかというほとんどのメンバーの思いとは裏腹に目の前に並んだのは、一人用の小さなお釜に炊き立ての鯛めしと、数種類の刺身盛り合わせ、茶わん蒸し、煮物、タイのアラのお吸い物、てんぷら等々、豪華お一人様3500円の料理。瀬戸内の海の幸満載の料理の数々に、デビル&エンジェルのメンバーの目が点になっている。
「さ、桜… 軽い食事のつもりだったんだけど」
「お兄様、この程度は軽い食事です。私はこのセットとは別に天丼と愛媛豚のみそ焼き定食まで頼んでいますから」
どうやら桜基準だとこの程度はペロリといける量であるらしい。桜に注文を任せたことを後悔しているメンバーが続出している。
「タイの頭と骨は、こんな感じで外してください」
係員さんが丁寧に説明してくれる。箸でご飯の上に横たわっている丸1匹のタイの身を上から押し付けるようにしてから頭を外すと、きれいに骨まで一緒に取れていく。そして、しゃもじでご飯とタイの身を混ぜてから一口食べてみると…
全員の後悔が一気に吹き飛んでいる。
「これは美味いぞ!」
「タイの身がとっても上品ね」
「出汁との相性が抜群です!」
「体重は気にしないで食べまくります。ああ、デザートは別腹ですからね」
どれが誰の意見かは、想像にお任せする。もちろん注文した張本人である桜は鯛めしの美味しさに夢中で、一心不乱に箸を動かしている。周囲の意見など耳には入らない様子はいつもの通り。
そして、件のレイフェンであるが…
「なんという素晴らしき味わいか! このような料理は、魔王城でもとんと口にした覚えがない…」
日本の料理に言葉を失って呆然とした表情。もはやその眼には、人族だからといって見下すような感情はとうに消え去っている。日本の一地方のご当地名物を味わっただけでこの変容ぶりでは、この先一体どうなるのやら…
先に到着した異世界からの来訪者であるマリウスやディーナ王女の反応をも上回る、絶大なカルチャーショックがレイフェンを襲っているのはもはや口にするまでもない。
管理事務所の食堂で満足が行く食事を終えて、一休みしたちょうどいいタイミングで松山駐屯地から迎えの車両が到着する。大型のワゴン車に全員が乗り込むと、松山市内に向かって出発する。
伊予ダンジョンはその名の通り、伊予市内の比較的海に近い場所にある。日本各地の他のダンジョンが内陸部や山のふもとに出来上がっているケースが大半であるのに比べると、ここだけは位置的にやや特殊な環境かもしれない。
時折間近に海岸が広がる幹線道路を通って松山市内が目に入ってくると、レイフェンの口から驚きの声が上がる。
「大魔王様! この先に見えるは天上都市でありまするか?」
四国では最大の50万都市である松山市、その照明に照らされるビルが並ぶ一角を遠目に見たレイフェンの感想がコレ。魔族のレイフェンがこれまでの人生の中で目撃した最大の建物が魔王城に他ならない。だが遠目に見ても市街地にあるビルやマンション群は、明らかに魔王城よりも巨大に映っている。
彼はその光景を称して「天上都市」と口にしている。魔族たちの伝承では、はるかな高空に浮かぶ都市には天を衝く巨大な建物が林立していると言い残されている。レイフェンは市街地の姿を見て、自分はそこへやってきたのかと勘違いしたのだろう。
「レイフェン、これが私が先程述べた驚くべき光景のひとつだ。この程度はまだ序の口にすぎぬ故、この程度で目を回していたら体がもたぬぞ」
「大魔王様、これまでの重ね重ねの非礼をお詫びいたしまする。どうやらこの国の住民は只の人族ではなくて天上都市にお住いの輝ける光の住人でございましたか」
美鈴にとってはよくわからない話だが、魔族の間ではそのような伝承が残っているらしいということだけは理解したよう。面倒になった美鈴は適当に話を合わせることにする。
「左様、現にこの場に天使もおるであろう。ここは、そなたらの伝承にある天上都市である」
「やはりそうでありましたかぁぁぁ! 魔族の誰もが成しえなかった天上都市にこのレイフェンは到達したというのは、600年もの生の中で最大の幸せにございます。大魔王様のお慈悲に感謝申し上げるとともに、天上の方々、今後は皆様の僕であるレイフェンに何なりとお申し付けくださいませ」
レイフェンの中では〔美鈴=大魔王〕というだけではなくて、この世界の住民全てが天上の住人という尊敬の対象に位置付けされるよう。まあ日本社会で乱暴狼藉を働くよりはいいかと、聡史たちはそのまま放置する決断を下す。捕虜として日本に連行されたと捉えるよりも、大魔王の力によって天上都市に招かれたと思い込んでいるほうが本人は幸せというならそのままにしておこうというある種の優しさに見えるが、実はそうでもない。
レイフェンの配下の魔族兵は一兵も残さずに全滅させられたが、そんなことを補って余りある幸福に浸っているならこの場はレイフェンの意思を尊重してやろうというある種の腹黒い考えで一致している一同がいる。なぜなら、そのほうが色々と都合がいいから…
こうして勘違いをしたままのレイフェンと周囲の腹黒い面々を乗せたワゴン車は、無事に松山駐屯地の正門を潜っていくのであった。
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