曖昧な距離で愛している

山田森湖

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第34話「友人の視点」

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第34話「友人の視点」


火曜日、千晶とランチに出かけた。

「美咲、最近、顔が明るいね」

「そう?」

「うん。旦那さんとうまくいってるんでしょ?」

「まあ、いい感じかな」

千晶はコーヒーを一口飲む。

「羨ましい。私、また恋愛したい」

「あの後輩とは?」

「もう終わった。やっぱり、ときめきだけじゃダメだね」

千晶はため息をつく。

「美咲は、旦那さんとときめいてる?」

「ときめきは、もうないかな」

「え?それで幸せなの?」

「うん。ときめきはないけど、安心がある」

その言葉を口にして、私は自分の気持ちを確認する。

「安心か。それも大事だよね」

千晶が笑う。

「でも、たまには刺激も欲しくない?」

「前は欲しかったけど、今はこれでいい」

「そっか」

ランチを終えて、千晶と別れる。

「また会おうね」

「うん」

千晶は手を振って去っていく。

私は、自分の選択が正しかったと思う。

夕方、拓海から電話がかかってきた。

「今日、早く帰れそう」

「本当?」

「うん。一緒に夕飯作ろう」

「いいよ」

夜七時、拓海が帰ってきた。

「おかえり」

「ただいま」

二人でキッチンに立つ。

「今日、何作る?」

「カレーはどう?」

「いいね」

拓海が野菜を切って、私がルーを作る。

久しぶりに、二人で料理をしている。

「美咲、玉ねぎ、もう少し小さく切って」

「分かった」

拓海が笑う。

「美咲、料理下手だよね」

「失礼な」

二人で笑い合う。

夕飯を食べながら、拓海が訊いてくる。

「今日、千晶とランチしたんだって?」

「うん。楽しかった」

「千晶、元気だった?」

「まあまあ。また失恋したみたい」

「そっか」

拓海が笑う。

「千晶らしいな」

「うん」

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