曖昧な距離で愛している

山田森湖

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第50話「日常への回帰と新しい発見」

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第50話「日常への回帰と新しい発見」


月曜日、箱根から戻って、また日常が始まった。

でも、何かが変わった気がする。

美咲との距離が、より心地よくなった。

会社に着くと、山田が挨拶してきた。

「おはようございます。田中さん、いい顔してますね」

「そう?週末、温泉に行ってきたんだ」

「いいですね。奥さんと?」

「うん」

山田は笑顔で言う。

「羨ましいです。私も、いつか、そんな関係を築きたいです」

「きっと築けるよ」

午後、上司に呼ばれた。

「田中さん、次のプロジェクトだけど、君に任せたい大きな案件がある」

「ありがとうございます」

「ただ、これは、海外との共同プロジェクトになる」

「海外ですか」

「ああ。場合によっては、数ヶ月、出張になるかもしれない」

その言葉に、俺は少し戸惑う。

「考えさせてください」

「もちろん。家族と相談してくれ」

夜、帰宅して、美咲に話した。

「美咲、相談がある」

「どうしたの?」

「次のプロジェクト、海外出張になるかもしれない」

「どれくらい?」

「数ヶ月」

美咲は少し驚いたように俺を見る。

「拓海は、やりたいの?」

「正直、迷ってる」

「どうして?」

「美咲と離れるのが、嫌だから」

その言葉を口にして、俺は自分の気持ちに気づく。

「でも、仕事としては、すごくいいチャンスなんだ」

美咲が俺の手を握る。

「拓海、やりたいなら、やったほうがいい」

「でも…」

「大丈夫。私、待ってるから」

「本当?」

「本当」

美咲が笑う。

「数ヶ月くらい、耐えられるよ」

「美咲」

「ん?」

「ありがとう」

俺は美咲を抱きしめる。

「でも、本当に大丈夫?」

「大丈夫。拓海のキャリアも大事だから」

「美咲」

「うん?」

「俺、美咲がいなきゃダメだ」

「私も」

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