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冬の朝はゆっくりと時間が流れる。
雪かきと簡単な見回りを終えた僕たちは、薪ストーブの前でのんびり過ごしていた。
ストーブの上では鍋がことことと音を立て、肉と野菜の香りが室内に広がっている。
シャズナは毛布にくるまり、リッキーはストーブの足元で丸くなり、ルシファンは棚の上からゆったりとこちらを眺めていた。
カイルは帳簿を開きながら、何やら来年の計画を立てているようだった。
「来年は畑の一角に温室を作ってみるか」
「いいな、それなら冬でも少しは野菜が育てられる」
そんな話をしていると、コンコン、と玄関の方から小さなノック音がした。
この雪の中、訪問者なんて珍しい。
僕とカイルは顔を見合わせ、玄関へ向かった。
扉を開けると、そこには厚手のマントを着た年配の男性が立っていた。
背中には大きな荷物、帽子のつばには雪が積もっている。
「突然すまない。道に迷ってしまってな…少し休ませてもらえないだろうか」
その声は低く穏やかで、しかし疲れがにじんでいた。
僕たちは迷わず招き入れ、ストーブの近くの椅子を勧めた。
男性は荷を降ろし、ゆっくりと温まりながら話し始めた。
どうやら旅商人らしく、年に一度、辺境を巡っては珍しい品々を取引しているという。
「この辺りは初めてでな。地図もあまり正確じゃないんだ」
そう言って笑ったが、頬はまだ赤く、手先も冷え切っていた。
カイルが温かい飲み物を差し出すと、男性は深く礼を言った。
「助かったよ。実はね…今日はお礼を持ってきた」
そう言って荷の中から、小さな木箱を取り出す。
箱を開けると、そこには見たことのない形の種が数粒入っていた。
淡い銀色で、月明かりを閉じ込めたような光沢を放っている。
「月鈴草(つきすずそう)の種だ。寒冷地でも育つ、香りの良い花さ」
男性は種の育て方を簡単に説明し、「もし上手く咲かせられたら、香りが薬にもなる」と付け加えた。
三匹はというと、興味津々で種を覗き込む。
シャズナは鼻先を近づけてくんくん、ルシファンはそっと前足で箱の縁を触れ、リッキーは耳を立てて男性をじっと見ていた。
外は相変わらず雪が降り続けているが、家の中は不思議な暖かさと期待感で満ちていた。
僕たちは、来春にこの種を蒔くことを約束し、旅商人の無事な道行きを祈った。
彼が去った後、カイルがぽつりと言った。
「今年の春は、きっといつもより賑やかになるな」
僕はうなずき、窓の外の雪を見つめた。
真っ白な世界の向こうで、銀色の花が咲く光景を想像しながら――。
雪かきと簡単な見回りを終えた僕たちは、薪ストーブの前でのんびり過ごしていた。
ストーブの上では鍋がことことと音を立て、肉と野菜の香りが室内に広がっている。
シャズナは毛布にくるまり、リッキーはストーブの足元で丸くなり、ルシファンは棚の上からゆったりとこちらを眺めていた。
カイルは帳簿を開きながら、何やら来年の計画を立てているようだった。
「来年は畑の一角に温室を作ってみるか」
「いいな、それなら冬でも少しは野菜が育てられる」
そんな話をしていると、コンコン、と玄関の方から小さなノック音がした。
この雪の中、訪問者なんて珍しい。
僕とカイルは顔を見合わせ、玄関へ向かった。
扉を開けると、そこには厚手のマントを着た年配の男性が立っていた。
背中には大きな荷物、帽子のつばには雪が積もっている。
「突然すまない。道に迷ってしまってな…少し休ませてもらえないだろうか」
その声は低く穏やかで、しかし疲れがにじんでいた。
僕たちは迷わず招き入れ、ストーブの近くの椅子を勧めた。
男性は荷を降ろし、ゆっくりと温まりながら話し始めた。
どうやら旅商人らしく、年に一度、辺境を巡っては珍しい品々を取引しているという。
「この辺りは初めてでな。地図もあまり正確じゃないんだ」
そう言って笑ったが、頬はまだ赤く、手先も冷え切っていた。
カイルが温かい飲み物を差し出すと、男性は深く礼を言った。
「助かったよ。実はね…今日はお礼を持ってきた」
そう言って荷の中から、小さな木箱を取り出す。
箱を開けると、そこには見たことのない形の種が数粒入っていた。
淡い銀色で、月明かりを閉じ込めたような光沢を放っている。
「月鈴草(つきすずそう)の種だ。寒冷地でも育つ、香りの良い花さ」
男性は種の育て方を簡単に説明し、「もし上手く咲かせられたら、香りが薬にもなる」と付け加えた。
三匹はというと、興味津々で種を覗き込む。
シャズナは鼻先を近づけてくんくん、ルシファンはそっと前足で箱の縁を触れ、リッキーは耳を立てて男性をじっと見ていた。
外は相変わらず雪が降り続けているが、家の中は不思議な暖かさと期待感で満ちていた。
僕たちは、来春にこの種を蒔くことを約束し、旅商人の無事な道行きを祈った。
彼が去った後、カイルがぽつりと言った。
「今年の春は、きっといつもより賑やかになるな」
僕はうなずき、窓の外の雪を見つめた。
真っ白な世界の向こうで、銀色の花が咲く光景を想像しながら――。
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