のほほん異世界暮らし

みなと劉

文字の大きさ
717 / 945

桑の実おやつと夕飯と風呂にテレビ団欒

しおりを挟む
家に到着すると、三匹は競うように飛び出し、それぞれの定位置へ駆け込んでいった。リッキーは玄関先でしっぽを振りながら僕を待ち、シャズナはさっそくお気に入りのクッションの上に座り、ルシファンは庭を一周してから静かに部屋へ入っていく。僕はそんな彼らの様子を微笑ましく眺めながら、市場で買った桑の実の袋を手にキッチンへ向かった。

「さて、おやつにしようか」

桑の実を軽く洗い、鍋で煮詰めて甘酸っぱいジャムに仕上げる。香りが部屋に広がると、リッキーとシャズナが鼻をひくつかせて寄ってきた。ルシファンもゆっくりと近づき、興味深げに鍋を覗き込む。

「もうちょっと待ってな」

ジャムが冷めるのを待つ間、パンを軽くトーストし、桑の実ジャムをたっぷり塗って三匹にも少しずつ分けた。リッキーは夢中で頬張り、シャズナは慎重に味を確かめるように舐め、ルシファンはじっくりと味わっているようだった。僕も一口食べてみると、程よい甘酸っぱさが口の中に広がり、疲れが少し和らぐ気がした。

「美味いな」

おやつを楽しんだ後、僕は夕飯の支度に取り掛かった。三匹は満足したのか、思い思いの場所でくつろぎながら、時折キッチンを覗きに来る。野菜たっぷりのスープと、パン屋で買ってきた焼きたてのパンを用意し、テーブルに並べた。

「さあ、夕飯だよ」

声をかけると、三匹はすぐに集まり、並んでお行儀よく座る。リッキーは待ちきれない様子で前足をちょこんと揃え、シャズナは落ち着いた表情で座っている。ルシファンはいつも通り静かに、でも嬉しそうな顔をしていた。僕も一緒にスープをすすり、温かい食事に一日の疲れを癒す。

食後、僕はお風呂の支度を始めた。湯気が立ち込めると、三匹はソワソワし始め、入る気満々の様子だ。リッキーは浴室の前をうろうろし、シャズナは僕の服を引っ張るようにして催促し、ルシファンは静かに順番を待っていた。

「はいはい、順番にね」

湯に浸かりながら、僕は今日一日を振り返った。市場での賑やかなやり取りや、三匹との楽しい時間が思い出され、自然と笑みがこぼれる。風呂上がりには魔力式テレビをつけ、リラックスモードに。ちょうど僕の好きなドラマが始まり、三匹も僕の周りに集まってくる。

「今日も色々あったな」

リッキーは僕の膝に顎を乗せ、シャズナはクッションを抱え込むように丸くなり、ルシファンは足元で静かに寄り添っていた。温かな空気の中、僕たちは穏やかな夜を過ごすのだった。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

処理中です...