のほほん異世界暮らし

みなと劉

文字の大きさ
812 / 945

秋の瞬間と収穫と納品秋の夜長を感じて

しおりを挟む
秋が深まるにつれて、農場は収穫ラッシュに突入した。
トマトやナスはそろそろ終わりに近づき、代わりにカボチャやサツマイモ、大根などの秋野菜がどんどん実っていく。

「今年も豊作だな」
カイルが腕まくりしながら、収穫かごに大根を放り込む。
僕も一緒に収穫しながら、「去年より土の調子がいい気がする」と頷いた。
三匹も、畑を見回りながら、落ち葉を追いかけたり、ミミズを見つけてはしゃいだりと、相変わらずの自由っぷりだ。

「市場にも秋祭り用の野菜が必要って話だったよな?」
「うん、特にカボチャはたくさん欲しいって言われてるから、今日のうちにまとめて運ぼう」

カイルと僕は、カボチャを抱えて荷馬車に積み込み、三匹はその周りをちょこちょこと走り回る。
「お前ら、カボチャはおもちゃじゃないからな」
カイルがそう注意すると、シャズナは一瞬だけ「にゃん」と返事するものの、すぐにカボチャの上に飛び乗って得意顔。

「…ま、いっか」
僕も苦笑いしながら、三匹の好きにさせることにした。

市場への納品
市場は秋祭りの準備で、いつも以上に賑やかだった。
特設の屋台が並び始めていて、焼き芋やカボチャプリン、秋の果物を使ったパイなんかが並んでいる。
「うわぁ、美味しそう…」
僕の言葉に、三匹も「にゃん!」「きゅい」「ちゅちゅっ」と大興奮。

「後で少し買って帰るか」
カイルが財布を軽く叩いて見せると、三匹も拍手(?)して喜んだ。
僕らのカボチャやサツマイモも、秋祭り用に並べてもらうことになり、店先に「〇〇農場直送」と看板まで付けてもらえることに。

「こうして名前が出ると、やっぱり嬉しいな」
僕がしみじみ呟くと、カイルがぽんぽんと僕の背中を叩く。
「これも地道な努力の成果だな。ま、来年はもっと名前売るぞ」

加工品作り
帰宅後は、収穫した野菜を使って加工品作りも始める。
秋は保存食作りにもってこいの時期。
カボチャのスープやサツマイモジャム、干し大根などを、カイルと一緒に作っていく。

シャズナたちも味見担当…と言いたいところだけど、スープをちょっと舐めたシャズナが「ふにゃっ!」と変な声を出して逃げて行った。
「猫舌だったな、そういや」
カイルが笑いながら、三匹には焼き芋をちぎってお裾分けする。

秋の夜長
夜は夜で、少し肌寒くなってきたから、みんなでリビングに集まって毛布にくるまるのが定番になってきた。
カイルは本を読み、僕は翌日の作業計画を立て、三匹は丸くなって寝ている。

「このまま冬支度も本格的に進めないとな」
カイルの言葉に頷きながら、今年も無事にここまでやってこられたことに、小さく感謝した。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...