王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました！え？逃げ場無しですか？

第一章

１８． モブだって辛いんだ

※モブA視点


『ね、キスして？』

『ッ…それ、誘ってるよね。俺そろそろ我慢出来ないんだけど？』


ガタンッ___空き教室で男2人が盛り始めた放課後、俺はまだその空き教室に居る。


俺は偏差値が高いこの学園でのモブA。
ドキドキな緊張告白シーンや今まさに空き教室で盛ってる奴らは、俺が居ても存在感が無さ過ぎて気付かない。教師ですら遅刻しても気付かない。

だからこそ毎日重要ポジのモブAを全うしてる。
因みに本当の名前は田中。煌びやかな学園に似合わない苗字をしてると自負してるが、元々財閥の息子でも無い一般家庭なので…察してくれ。
成績【だけは】良かったので偏差値の高いこの学園に入学したのだが、まさか姉さんが大好きな王道学園？だと思って無かった。

姉さんは超の付く腐女子で、腐ってなかった俺をボーイズラブに沼らせた。
実の弟にボーイズラブを布教する勇気だけは凄いと思う……最初は引いたけどな！


__________っと俺の誰に解説してるか分からん現実逃避は終わりだ。
目の前には学園の中でも中々目立つ3人の男が露天風呂で嘆いて居る。〈目の前に〉だ。
俺は1番最初からずっと露天風呂に入っていたのにも関わらず、3人の前に入って来た同じクラスの誠さんも存在に気付かなかった。


名前___田中

能力___存在消し、重要モブ、ちょっと顔が良いけど学園ではモブ

……自己分析しても誇れない能力でこっちが泣きたくなってくるわ！あと肩並べて露天風呂で陰湿な雰囲気出すなや！癒されに来たのに全く癒されねーよ！！モブが苦労する世界線ってなんなんだよ！？

そういや、多分誠さんって受けだよな。拗らせか暗い過去あるタイプの1番好きだったタイプの受けだとモブレーダーが告げている、気がする。それに露天風呂からもさっきの会話丸聞こえだっつの…はぁー。

「そろそろ熱くなって来たし出るか～」
 
「ああ」

「はーい！」

___おい最後！？遥斗さん落ち込んでも返事は元気って逆に怖ッ。闇落ちしても純粋な笑顔で瞳に光が入らなくなるタイプじゃん！それも美味しいけど現実では御免被りたい。切実に。

この世界モブに対してハードモード過ぎんだろ！この先の学園生活がある意味不安だわ！


「通常のモブになりたい、それか壁ー！！！！！ 」


先程の3人が出て行って1人、重要ポジなモブAこと田中君は叫ぶのだった。