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第四章:非法制裁 ― Death Sentence ―
(ⅵ)
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「うわぁぁぁっ‼」
俺は、ヤツらに向って走っていく。
「ニワトリ」男がメガネっ娘に「ちゃんと撮影してるか?」と言ってるのが聞こえたような気がしたが……狼男と化した今村の怒号にかき消された。
「あんた、何をするつもりだっ⁉」
俺が「斧」を振り落すより、今村が俺に体当りするのが一瞬だけ早かった。
俺は弾き飛され、尻餅を付いた。
立ち上がろうとしたら、あまりに妙なモノが目に入る。
魔法使いのように、指で空中に何かを描きながら、口を動かしてるヤツが居る。
だが、それをやってるのは……一匹の猿だった。
「何っ?」
猿から、俺の方に「光の縄」のようなモノが飛んで来て……待て、たしか、この「斧」は……。
「光の縄」を「斧」の刃で受けると、一瞬だけ「斧」が黄緑色に輝いた。俺の親父を呪殺した異形の天使と同じ色……。そして、「光の縄」が消える。
ほぼ同時に背後から何かの気配を感じる。そこには、あの……異形の天使が出現していた。
雄ライオンの顔、人間の女の体、足の代りに蛇の尾……そして……天使の翼。
「くたばれっ‼」
「ニワトリ」男の叫び。
異形の天使はヤツらに向けて何本もの矢を放つ。しかし、またしても空中に光る格子模様と……そして、今度は光る梵字のような紋章まで現われて矢を防いだ。
次の瞬間、何故か辺りが急に明るくなる。
「え……あれ……は?」
「違う……俺の……『使い魔』じゃ……ない……。まさか……」
空には、鳥は鳥でも、「ニワトリ」男の「使い魔」より何倍も巨大な炎の鳥が出現していた。
炎の鳥の翼がはばたくと、無数の炎を矢が俺達目掛けて降り注ぐ。
だが、異形の天使は、それより、ほんの一瞬だけ早く姿を消した。
「いい加減にしろっ‼」
レナが叫びながら俺に駆け出そうとしたが、横に居た誰かがレナを押し止める。
「なぁ……こう云う魔法は有るか? 他人の『火事場の馬鹿力』を引き出す魔法」
「ま……待って……下さい……。そんな事をしたら……」
「あぁっ? あいつらが俺の代りに『英雄』になるのを阻止しろ……そう言ったのは……そいつだぞ」
俺は、「ニワトリ」男を指差した。
「判った……でも、責任は取れんぞ……。お前の意志でやった事だ……。確実に……1~2週間は入院する羽目になるぞ」
「大丈夫だ……俺は……冷静だ……。あんたのお蔭でな」
「ニワトリ」男の顔が青冷める。
薄々は判っていた。さっき、「ニワトリ」男は、俺の心に何かをしたらしい。だが……そのせいか、俺の心は極めて冷静だ。自分でも、心に何の迷いも恐怖も無い事だけは判っている。
「あと……あんた達の親分の『使い魔』を、あんた達が使えたのは、どうしてだ?」
「それは……俺達の中に……総帥との魔法的な『絆』が有るからだ……。一回の『処置』につき一度だけ総帥の『使い魔』を借りる事が出来る『絆』がな」
「それ、ひょっとして、俺も、その『処置』をされてる? もし、あんた達が……あの晩、既に、俺を『英雄』に仕立て上げるつもりだったら、だけど」
俺は、そう言って、あの晩、「ニワトリ」男が俺に埋め込んだ「GPS」の辺りを指差した。
「ああ……」
「じゃあ、頼むわ……。今すぐ、俺の『火事場の馬鹿力』を……引き出してくれ……」
俺は、ヤツらに向って走っていく。
「ニワトリ」男がメガネっ娘に「ちゃんと撮影してるか?」と言ってるのが聞こえたような気がしたが……狼男と化した今村の怒号にかき消された。
「あんた、何をするつもりだっ⁉」
俺が「斧」を振り落すより、今村が俺に体当りするのが一瞬だけ早かった。
俺は弾き飛され、尻餅を付いた。
立ち上がろうとしたら、あまりに妙なモノが目に入る。
魔法使いのように、指で空中に何かを描きながら、口を動かしてるヤツが居る。
だが、それをやってるのは……一匹の猿だった。
「何っ?」
猿から、俺の方に「光の縄」のようなモノが飛んで来て……待て、たしか、この「斧」は……。
「光の縄」を「斧」の刃で受けると、一瞬だけ「斧」が黄緑色に輝いた。俺の親父を呪殺した異形の天使と同じ色……。そして、「光の縄」が消える。
ほぼ同時に背後から何かの気配を感じる。そこには、あの……異形の天使が出現していた。
雄ライオンの顔、人間の女の体、足の代りに蛇の尾……そして……天使の翼。
「くたばれっ‼」
「ニワトリ」男の叫び。
異形の天使はヤツらに向けて何本もの矢を放つ。しかし、またしても空中に光る格子模様と……そして、今度は光る梵字のような紋章まで現われて矢を防いだ。
次の瞬間、何故か辺りが急に明るくなる。
「え……あれ……は?」
「違う……俺の……『使い魔』じゃ……ない……。まさか……」
空には、鳥は鳥でも、「ニワトリ」男の「使い魔」より何倍も巨大な炎の鳥が出現していた。
炎の鳥の翼がはばたくと、無数の炎を矢が俺達目掛けて降り注ぐ。
だが、異形の天使は、それより、ほんの一瞬だけ早く姿を消した。
「いい加減にしろっ‼」
レナが叫びながら俺に駆け出そうとしたが、横に居た誰かがレナを押し止める。
「なぁ……こう云う魔法は有るか? 他人の『火事場の馬鹿力』を引き出す魔法」
「ま……待って……下さい……。そんな事をしたら……」
「あぁっ? あいつらが俺の代りに『英雄』になるのを阻止しろ……そう言ったのは……そいつだぞ」
俺は、「ニワトリ」男を指差した。
「判った……でも、責任は取れんぞ……。お前の意志でやった事だ……。確実に……1~2週間は入院する羽目になるぞ」
「大丈夫だ……俺は……冷静だ……。あんたのお蔭でな」
「ニワトリ」男の顔が青冷める。
薄々は判っていた。さっき、「ニワトリ」男は、俺の心に何かをしたらしい。だが……そのせいか、俺の心は極めて冷静だ。自分でも、心に何の迷いも恐怖も無い事だけは判っている。
「あと……あんた達の親分の『使い魔』を、あんた達が使えたのは、どうしてだ?」
「それは……俺達の中に……総帥との魔法的な『絆』が有るからだ……。一回の『処置』につき一度だけ総帥の『使い魔』を借りる事が出来る『絆』がな」
「それ、ひょっとして、俺も、その『処置』をされてる? もし、あんた達が……あの晩、既に、俺を『英雄』に仕立て上げるつもりだったら、だけど」
俺は、そう言って、あの晩、「ニワトリ」男が俺に埋め込んだ「GPS」の辺りを指差した。
「ああ……」
「じゃあ、頼むわ……。今すぐ、俺の『火事場の馬鹿力』を……引き出してくれ……」
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