女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ

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女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』その(33)NLFS恐るべし!

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堂島源太郎 vs NOZOMIから始まった異性シュートマッチ。(雌蛇の罠 参照)
あれから5年が経ち、最初は孤軍奮闘していたNOZOMIだったが、今では女子格闘技スクール「NLFS」を立ち上げると世間に認知されてきた。
男子vs女子の異性格闘技戦は現在のところ女子の8勝6敗。

この年の年末格闘技戦も男女シュートマッチが3試合組まれたのだが、夏の大会に続き、またしても女子勢の強さにファンは驚愕することになった。

NLFS、恐るべし!


○○スーパーアリーナには3万人以上もの観客が詰めかけた。
賛否両論ありながらも、やはりNLFSの人気は凄まじく、大会にはこの男女シュートマッチが欠かせなくなった。

NLFS勢の先方を務めたのが、女子アマレスからNLFSの格闘家に転向した桜木明日香。彼女は女子レスリング界絶対女王吉岡香織と五輪出場権をかけ決勝で戦かったが惜しくも敗れた。
しかし、それは豊富なキャリアを誇る吉岡の技術に負けたのであり身体能力は明らかに明日香が上だった。
その後、吉岡香織は前回に続き圧倒的強さで五輪金ニ連覇を果たす。

桜木明日香にレスリングでの未練はなかった。前々から自分はレスリングより総合格闘技に向いていると思っていたからだ。五輪出場権を逃した翌日に念願のNLFSの門を叩いた。
というより、前々からNOZOMIの元でたまに練習を積んでいたのだ。

相手はアマレス時代に一度戦った男子プロボクサーの真鍋俊之との再戦。
(女豹の恩讐 その7名勝負 参照)


真鍋俊之(28) 男子フライ級ボクサー
 161.2cm 49.5Kg
     VS
桜木明日香(21) NLFS 元女子アマレス
 155cm 49.5kg


前回の対戦では、一度はマウントにななられながらも、寝技10秒ルールに救われた真鍋が狂犬のニックネーム通り大暴れ。まだ打撃に対応出来なかった桜木を滅多打ちにしてレフェリーストップによるTKO勝ち。

あれから3年。

真鍋はあまりにもラフファイトが過ぎるので対戦相手が見つからず干されかけていた。そこに桜木との再戦オファーがありすぐにそれを受けた。
真鍋はパンチにまるで対応出来なかった桜木のことを思い出し自信満々でリングに上がった。前回は寝技10秒ルールだったが今回は無制限。それでも負けるなんて思っていない。しかし、3年前の桜木明日香とはまるで別人だと思い知らされることになる。

リングで向かい合うと、真鍋は舌なめずりしながら凶暴な目で明日香を睨みつけてくる。前回の対戦では決して目を合わせようとしなかった気弱な明日香が睨み返している。その表情は自信に満ちているようだ。

ゴングが鳴った。

狂犬真鍋がニヤつきながらジャブを放った瞬間だった。低い態勢から明日香が真鍋の足元に突っ込んだ。
あっという間に高速タックルが決まると倒れた真鍋にマウントをとった。
必死に逃れようともがく真鍋だが、明日香はそれを許さず拳を振り上げた。
何の躊躇もなく明日香は拳を真鍋の顔面に落とした。その顔面が変形しそうになるほど打ち抜いた。

慌ててレフェリーが間に入った。

開始早々わずか24秒の出来事だった。
マウント殴打された真鍋は口を切り鼻血も流しリングは血の海になった。

(実況)

「これは驚きました...。女子アマレスラーだった桜木明日香が、なんと、男子プロボクサーを相手に馬乗りからの打撃でTKO勝ちです。マッドドッグ真鍋俊之は血海に沈みました!」


真鍋俊之は負けを宣告されても事態を飲み込めないのか? フラフラと立ち上がると拳を構えて明日香に向かって行こうとした。しかし、ダメージは大きくよろよろと倒れ、セコンドに支えられながらリングを降りたが意識がはっきりしないようであった。


NLFS 2番手に登場したのは、夏の大会で増渕哲人相手にファンタスティック柔術を魅せた奥村美沙子。

今度の相手は帝国プロレスで去年デビューした相川隼人。そのアクロバティックな動きから、将来ジュニアヘビー級戦線での活躍が期待されている期待の若手だ。プロレスラーとしてはそんなに大きくないが、それでも美沙子とはかなり体格差があるようだ。
無差別級として試合は行われた。


相川隼人(23) 男子プロレスラー
 178.4cm 82kg
    VS
奥村美沙子(18) NLFS 女子格闘家
 172.8cm 61.5kg


真剣勝負初体験である相川は緊張の面持ちでリングに上がったが、相手は女でありそれもNOZOMIではない。
(NOZOMIi以外の女には絶対負けられないな。しかも女子高生だろ?)
目の前で見る奥村美沙子はどこにでもいそうな清楚な女子高生。この少女が夏の格闘技戦で男子選手を子供扱いしたというのが信じられない。

ゴングが鳴ると相川は強引にパンチ、キックで攻め立てた。
美沙子をコーナーに追い詰めるとチャンスとばかり首をホールディングしようと掴んだ瞬間だった。
美沙子が相川の身体に手を回すと強く抱き付き密着してきた。
相川は必死に振り解こうとするのだが完全に密着されそれを赦さない。


奥村美沙子が蛇になった!
恐るべき雌蛇の罠に陥る相川隼人。


密着状態では体格差もパワー差もあまり影響しない。逆に中学に入るまで体操をしていた美沙子の身体の柔らかさが活きてくる。
美沙子は相川の肉体に密着しながらその全身を蛇のように這った。

それからは美沙子の独壇場だった。

「oh! amazing...」

外国人ファンの声が聞こえてきた。

雌蛇がまるで大木に巻き付く蔦のように美沙子は相川の肉体を支配した。
最後はうつ伏せの状態から逃れようとする相川の背後にニュルニュルと回り込むと胴締めスリーパー。
それはロープで首を絞めつけたようにきっちり巻き付き極った。

レフェリーが意識が遠のきそうな相川の様子を見るより先にセコンドからタオルが投げ込まれた。

相川は密着攻撃から解放されてもしばらく立ち上がることは出来なかった。
その姿は苦痛というより、愉悦の末に失神しそうになった被虐的な余韻に浸っているかのようでもあった。


(実況)

「ファンタスティック! それ以上の言葉は見つかりません。奥村美沙子のテクニックは強い(strong)というよりも
美しい(beautiful)。男子プロレスラーを絞め落としました」



そして、大晦日格闘技戦もいよいよメインを迎えた。夏の大会でダン嶋原とNOZOMIへの挑戦権をかけて戦い辛勝した村椿和樹がNOZOMIに挑む。

両者にとっては3年ぶりの再戦。

前回の対戦では立ち技のみのルールで
(女豹の恩讐 その9 決着の肘と膝)行われたが、村椿はNOZOMIの強烈な膝をボディに浴びリングに沈んだ。
モンスターの異名があった自分が女子選手に敗れリング上でのたうち回る姿を全国生中継で晒した屈辱、恥辱で一時は精神を病み引退宣言から行方不明になっていたがそこから再び這い上がってきたのだ。

あれから3年...。

NOZOMIは22才、村椿は33才になる。

復帰した村椿和樹は以前と人が変わったように、そのキックボクシングも研ぎ澄まされてきたようだ。
苦戦したとはいえ、あのシルヴィア滝田を一発のローキックで沈めた。
そして、ダン嶋原との再戦で雪辱するとNOZOMIへの挑戦権を得た。

今度は村椿和樹が有利だろうとの声が大きかった。それは、キックルールで行われる予定だったからだ。

「この一年間総合の練習も積んできました。キックルールで勝っても何の意味もない。総合格闘技ルールで戦いましょう。勝てるとは思いませんが敗者の美学をお見せしたい」

MMAルールで、あの渡瀬耕作をKO寸前まで追い込んだNOZOMIと戦おうなんて正気の沙汰ではない?
1ラウンド3分で戦ってきたキックボクサー村椿が今度は5分間ルール(3R)でありペース配分も苦労するだろう。
限りなく勝てる可能性はゼロに近い。
否「絶対勝てない!危険な試合だ!」との声も少なくなかった。

そんな中でこの日を迎えた。

村椿和樹が花道からリングへ向かう。

異様でとんでもなく壮絶な...。

そして、感動的な戦いになった。


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