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女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』(62) 禁断のシュートマッチまであと2日。
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ジューンブライド。
6月の花嫁、鎌田桃子はとてもシアワセそうな表情をしている。花婿の権代喜三郎も照れながらも誇らしげだ。
(鎌田さん、良かったね...)
格闘技を通じてジェンダーギャップ問題を世に問いかけ “打倒男子!” を目指して来たが、最後に鎌田桃子が選んだ道は平凡な結婚生活だ。
NOZOMIは声高に拳を振り上げ男女平等を訴えてきたつもりはない。
男だから○○○、女だから○○○といった古い考えに抵抗してきただけで、人それぞれだと思っている。
権代と鎌田の結婚式はその人柄から、多くの関係者に祝福された。
「鎌田さんおめでとう。今まで本当にありがとう。感謝しています」
「山吹さん(NOZOMI)もお元気で、こちらこそ感謝しています...」
NOZOMIにとって鎌田桃子は、年上でもあり色々相談出来る最大の理解者であった。NLFS立ち上げからずっと協力してくれた。ちょっぴり寂しい。
(さようなら、鎌田さん...)
その後、NLFSの桜木明日香が電撃引退を発表した。
ちびっ子レスリング時代から格闘技一筋で身体が悲鳴を上げているらしい。
彼女も20代後半に差し掛かっている。
NOZOMIは男子ランキングで初の女子王者誕生を明日香に期待していた。
しかし、同時代に王島守という絶対王者がいたのが不幸であった。
NLFSのスタッフにと誘ったが、今後は格闘技と違った道でやっていきたいとのことだ。彼女にも夢がある。
NLFS.
柳紅華が韓国に帰国し、鎌田桃子、桜木明日香の引退。それにNOZOMIもあと2戦で引退するつもりだ。その後は格闘技界からは距離を置きファッション関係でやりたい夢がある。
格闘技界のジェンダーレスを目指して戦ってきたが、今度はファッションのジェンダーフリー。
どちらも 性の越境者。
“男女に区別はないんだよ” ということをNOZOMIは世に問いたいのだ。
今後のNLFSは、シルヴィア滝田、奥村美沙子、天海瞳に、当分の間頑張ってもらわなければならない。新たなスーパーヒロインASAMIこと堂島麻美は、実兄堂島龍太との一戦に敗れれば、スクールを退校して格闘技そのものを辞めてしまうだろう。
勝った場合でも彼女の視線の先は?
(私との一戦が実現したら、その後麻美はどうするのだろう? 多分、何も決めていない...)
NLFS選手が手薄になってきた?
そういう声もあった。
しかし、NLFSによって格闘技における隠れた女子の能力が開発された流れは止まらず益々勢いが増している。
夏の大会で新たにNLFSファイター2人がデビュー戦を華々しく飾った。
森倉友梨(17)が、55kg以下級MMAルールで男子選手と対戦して三角絞めで下した。相手の男子選手(24)もデビュー戦であったが終始圧倒した。
黒木陽子(16)も同じ55Kg以下級MMAルールで、キャリア一戦がある男子選手(23)をローキックの連発で倒すと相手は二度と立ち上がれなかった。
格闘技で女子が男子にいつか追いつく日が来る? そんな声も聞かれ始めたが、現に異性対抗シュートマッチは女子が男子を圧倒している。
あとはトップレベルの問題なのだ。
NLFSは常に新たな逸材を発掘する。
・・・・・・・・・・・・・・・・
麻美はわれながらミニスカートが良く似合うと思った。
夏休みになるとファッション雑誌から女子制服モデルの依頼があった。
スラリと伸びた肢体、切れ長の鋭い眼光はモデル業界からも引っ張りだこ。
NLFSはNOZOMIがモデル出身であり、ASAMIもその活動をすることがある。
兄、龍太との大一番が大晦日に控えているとはいえ、NOZOMIの方針もあり
普段通りに女子校に通い、特別なトレーニングをすることはなかった。
生活のリズムを崩すと逆効果であるとの考え方がある。
それでも、女子による女子の身体構造を活かした科学的トレーニングは変わらず行っている。この女子の特徴を活かした格闘ノウハウに男子選手は戸惑うのである。
NOZOMIは格闘技界の革命者。
制服モデルの麻美がカメラの前に現れるとそのセクシーさに周囲からため息が漏れ聞こえてきた。
(こんな可愛い娘がリングでは豹のように獰猛になるのか?)
カメラマンはそう思うのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
堂島龍太は妹の麻美とは対照的に連日猛特訓を行っていた。
龍太は練習の虫。
自分をとことん追い込み試合に臨むのだ。それは、ど根性源太郎との異名があった父と気質が似ている。
龍太は大学柔道部の合宿所を拠点に、あちこちの道場、格闘技ジムにも出稽古している。
ある日、龍太は麻美と戦ったダン嶋原の元を訪ねてみた。ちょっとしたアドバイスを期待していた。
「龍太、悪いね。君も麻美ちゃんも源太郎さんの子どもたち。どっちかの味方をすることは出来ない」
答えは想像した通り。
ダン嶋原とはそういう男をなのだ。
普通の雑談になったが、帰り際に嶋原は真剣な顔になって言った。
「一つだけアドバイスするならば、リングの麻美ちゃんはASAMIという名の女豹だ。ちょっとでも隙を見つければたちまち首筋にガブッと牙を立てる。
俺はリングでASAMIと対している最中ずっと緊張していた。脚が震えるほど恐ろしい少女だよ...」
「・・・・・・」
「龍太!ASAMIはあの可愛い君の妹ではない。少しでもそんな感情をリングで起こしたら君は勝てない。リング上の彼女は魔物が取り憑いている」
「そ、そうなんですか...」
「龍太のお母さんは、龍太が負けても兄であることに変わらない。恥じることなく堂々としていなさい!と云ったが、単に女子に負けるのと違って、相手は実の妹だからね、、龍太が負けた時のことを考えると胸が痛むんだ。何という残酷な宿命なんだろう」
そして、刻々と大晦日が迫ってきた。
堂島龍太(21) 177.2cm 69.5kg
vs
ASAMI(18) 174.5cm 62.5kg
龍太は70kg以下級、ASAMIは65Kg級であるが、70kg以下の契約で実現。
5分3ラウンド(最大延長5ラウンド)
総合ルールで行われる。
堂島龍太と麻美。
兄と妹。
禁断のシュートマッチまであと2日。
つづく。
6月の花嫁、鎌田桃子はとてもシアワセそうな表情をしている。花婿の権代喜三郎も照れながらも誇らしげだ。
(鎌田さん、良かったね...)
格闘技を通じてジェンダーギャップ問題を世に問いかけ “打倒男子!” を目指して来たが、最後に鎌田桃子が選んだ道は平凡な結婚生活だ。
NOZOMIは声高に拳を振り上げ男女平等を訴えてきたつもりはない。
男だから○○○、女だから○○○といった古い考えに抵抗してきただけで、人それぞれだと思っている。
権代と鎌田の結婚式はその人柄から、多くの関係者に祝福された。
「鎌田さんおめでとう。今まで本当にありがとう。感謝しています」
「山吹さん(NOZOMI)もお元気で、こちらこそ感謝しています...」
NOZOMIにとって鎌田桃子は、年上でもあり色々相談出来る最大の理解者であった。NLFS立ち上げからずっと協力してくれた。ちょっぴり寂しい。
(さようなら、鎌田さん...)
その後、NLFSの桜木明日香が電撃引退を発表した。
ちびっ子レスリング時代から格闘技一筋で身体が悲鳴を上げているらしい。
彼女も20代後半に差し掛かっている。
NOZOMIは男子ランキングで初の女子王者誕生を明日香に期待していた。
しかし、同時代に王島守という絶対王者がいたのが不幸であった。
NLFSのスタッフにと誘ったが、今後は格闘技と違った道でやっていきたいとのことだ。彼女にも夢がある。
NLFS.
柳紅華が韓国に帰国し、鎌田桃子、桜木明日香の引退。それにNOZOMIもあと2戦で引退するつもりだ。その後は格闘技界からは距離を置きファッション関係でやりたい夢がある。
格闘技界のジェンダーレスを目指して戦ってきたが、今度はファッションのジェンダーフリー。
どちらも 性の越境者。
“男女に区別はないんだよ” ということをNOZOMIは世に問いたいのだ。
今後のNLFSは、シルヴィア滝田、奥村美沙子、天海瞳に、当分の間頑張ってもらわなければならない。新たなスーパーヒロインASAMIこと堂島麻美は、実兄堂島龍太との一戦に敗れれば、スクールを退校して格闘技そのものを辞めてしまうだろう。
勝った場合でも彼女の視線の先は?
(私との一戦が実現したら、その後麻美はどうするのだろう? 多分、何も決めていない...)
NLFS選手が手薄になってきた?
そういう声もあった。
しかし、NLFSによって格闘技における隠れた女子の能力が開発された流れは止まらず益々勢いが増している。
夏の大会で新たにNLFSファイター2人がデビュー戦を華々しく飾った。
森倉友梨(17)が、55kg以下級MMAルールで男子選手と対戦して三角絞めで下した。相手の男子選手(24)もデビュー戦であったが終始圧倒した。
黒木陽子(16)も同じ55Kg以下級MMAルールで、キャリア一戦がある男子選手(23)をローキックの連発で倒すと相手は二度と立ち上がれなかった。
格闘技で女子が男子にいつか追いつく日が来る? そんな声も聞かれ始めたが、現に異性対抗シュートマッチは女子が男子を圧倒している。
あとはトップレベルの問題なのだ。
NLFSは常に新たな逸材を発掘する。
・・・・・・・・・・・・・・・・
麻美はわれながらミニスカートが良く似合うと思った。
夏休みになるとファッション雑誌から女子制服モデルの依頼があった。
スラリと伸びた肢体、切れ長の鋭い眼光はモデル業界からも引っ張りだこ。
NLFSはNOZOMIがモデル出身であり、ASAMIもその活動をすることがある。
兄、龍太との大一番が大晦日に控えているとはいえ、NOZOMIの方針もあり
普段通りに女子校に通い、特別なトレーニングをすることはなかった。
生活のリズムを崩すと逆効果であるとの考え方がある。
それでも、女子による女子の身体構造を活かした科学的トレーニングは変わらず行っている。この女子の特徴を活かした格闘ノウハウに男子選手は戸惑うのである。
NOZOMIは格闘技界の革命者。
制服モデルの麻美がカメラの前に現れるとそのセクシーさに周囲からため息が漏れ聞こえてきた。
(こんな可愛い娘がリングでは豹のように獰猛になるのか?)
カメラマンはそう思うのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
堂島龍太は妹の麻美とは対照的に連日猛特訓を行っていた。
龍太は練習の虫。
自分をとことん追い込み試合に臨むのだ。それは、ど根性源太郎との異名があった父と気質が似ている。
龍太は大学柔道部の合宿所を拠点に、あちこちの道場、格闘技ジムにも出稽古している。
ある日、龍太は麻美と戦ったダン嶋原の元を訪ねてみた。ちょっとしたアドバイスを期待していた。
「龍太、悪いね。君も麻美ちゃんも源太郎さんの子どもたち。どっちかの味方をすることは出来ない」
答えは想像した通り。
ダン嶋原とはそういう男をなのだ。
普通の雑談になったが、帰り際に嶋原は真剣な顔になって言った。
「一つだけアドバイスするならば、リングの麻美ちゃんはASAMIという名の女豹だ。ちょっとでも隙を見つければたちまち首筋にガブッと牙を立てる。
俺はリングでASAMIと対している最中ずっと緊張していた。脚が震えるほど恐ろしい少女だよ...」
「・・・・・・」
「龍太!ASAMIはあの可愛い君の妹ではない。少しでもそんな感情をリングで起こしたら君は勝てない。リング上の彼女は魔物が取り憑いている」
「そ、そうなんですか...」
「龍太のお母さんは、龍太が負けても兄であることに変わらない。恥じることなく堂々としていなさい!と云ったが、単に女子に負けるのと違って、相手は実の妹だからね、、龍太が負けた時のことを考えると胸が痛むんだ。何という残酷な宿命なんだろう」
そして、刻々と大晦日が迫ってきた。
堂島龍太(21) 177.2cm 69.5kg
vs
ASAMI(18) 174.5cm 62.5kg
龍太は70kg以下級、ASAMIは65Kg級であるが、70kg以下の契約で実現。
5分3ラウンド(最大延長5ラウンド)
総合ルールで行われる。
堂島龍太と麻美。
兄と妹。
禁断のシュートマッチまであと2日。
つづく。
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