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成功条件は、もちろん婚約破棄の阻止!
Ⅰ
しおりを挟む「殿下。お茶会での衣装について相談したいと衣装係が申しております。」
公務の短い休憩の間に側近のカルが話しかけてきた。
「お茶会の衣装?いつも通りで問題ないですよ。」
「ですが、次のお茶会は殿下の婚約者選定ですよ・・。」
「・・・。」
未処理の書類が山積していて、頭が痛いのに、さらに頭が痛くなった。
「出席者は何名の予定ですか?」
「26名に招待状を出されるそうですが、領地にいらっしゃる方もいますので、当日出席者は、20名前後になる予定です。」
「そうですか。有難いですね。」
すると、お茶を入れに来ていた侍女が退室して行った。
「殿下・・。侍女は控えておりませんので、ここには私しかいませんよ?本心は?」
私はふぅ~と息を吐いた。
王太子という立場は非常に面倒だ。
いつどこで誰に聞かれているかわからない。
特に侍女は内通者も多いから気が抜けない。
「20人!!多いだろ。皆、話が長いんだろ?憂鬱だ・・。今回の持ち時間は一人何分だ?」
そう言いながら執務机に突っ伏した。
「10分です。」
「長い!!3分にしてくれ!」
睨むように側近のカルを見た。
カルは溜息をつきながら言った。
「それは無理です。
・・では8分に致しましょう。」
「それでも長い!!4分だ。」
「殿下~~。
高位令嬢や、遠方からいらっしゃる令嬢もいらっしゃるのですよ?
6分です!!これよりは短くできません。」
「~~~~~。わかった。」
「殿下も最初のご挨拶はしっかりとお話されて下さいね。
最低5分の演説は必要ですよ?
あまり短いと後日、『殿下は、やる気がない』、
『殿下は体調が悪かった』などと言われて再度選び直しになってしまいますよ。」
「それは、面倒だな。わかった。5分は話そう。」
カルが招待する令嬢のリストを渡してくれた。
リストにデュアル公爵家の名前を見つけた。
(恐らく彼女になるのだろうな・・。)
数十年前に権力の偏りと正妃が世継ぎを産まないことが問題視され、王妃選定は広く候補者を集め、その中から王太子の責任で決めることになった。
(王太子の責任ね・・。
選ばせてやるから世継ぎを絶対作れってプレッシャーだろ・・・。)
確かに、側妃を持つのと持たないのでは財政が大きく変わる。
正妃が世継ぎを数人産んでくれた方が、国庫の負担は確実に減る。
だが、本当に自由に相手を選べる訳ではない。
表向きには、公平だと言っているが、家柄でほとんどは決まっている。
「はぁ~。」
「どうされたのですか?」
「ああ。正直、婚約者など誰でもいい。
適当に陛下が決めてくれたらいいのにな。」
「殿下・・。まだお若いのに・・。
どなたか学園で気になる方はいらっしゃっらないのですか?」
カルが本気で心配してくれているが、本当になにもないので答えようがなかった。
「いない。興味もない。」
「殿下・・。」
カルが気分を返るように明るい声を出した。
「お茶会には殿下を間近で見る思い出作りのためにいらっしゃる方も多くいます。
衣装は思い切り豪華に、そして殿下の良さが最大になるものを準備させましょう。」
「思い出作り・・・。
では私も王族としてのイメージを崩さぬように振る舞うとするか。」
私の役目は王族として皆に好ましく思われるような振る舞いをすることだ。
(理想の王子様のイメージねぇ~。
はぁ~大変だな・・。王族・・。)
私は口から勝手に出る、溜息を止めることができなかった。
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