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後日談 クリストフ編 新婚旅行へ行こう!
6 レアリテ国宮殿にて(1)
しおりを挟む私たちは馬車に乗ると、女王陛下の住む宮殿に案内された。
宮殿に到着するとすぐに、私とクリス様は謁見の間に向かった。
「はぁ~緊張します」
「私もだ。
実は、私もまだレアリテ国の女王陛下にはお会いしたことがないんだ」
私はクリス様にエスコートされながら道案内をしてくれる騎士の後ろについて宮殿内を歩いていた。
この国の宮殿は、我が国のような大きなお城ではなく、小学校の校舎くらいの建物とグラウンドがついたような規模の建物だった。
外装と内装はとても豪華なのだが……。
「イリュジオン国王子殿下並びに、王太子妃殿下のご入場!!」
扉が開かれ、私たちは女王陛下の御前に向かった。
そこで私はとても信じられない光景を目にした。
(ど、ど、ど、どうして、実父が女王陛下の隣にいるの~~~~???)
もしかして、実父は女王陛下の側近か何かなのだろうか?
それとも、来客????
それにしては距離が近すぎる気がする。
通常であれば、例え側近と言えども、女王陛下のすぐ隣には立たない。
(不敬じゃない? 私の身内が不敬すぎる件とか言って投稿できそうなレベルじゃない???
ちょっと~~~~何してるの~~~~~???)
私は青い顔で、実父を見てオロオロしていた。
今すぐにでも、父を担いで女王陛下から引き離し、土下座してお詫びしたい気分だ。
私たちが女王陛下の目の前について立ち止まると、女王陛下がゆっくりと口を開いた。
「2人とも、長旅ご苦労様でした。
クリストフ殿下。
娘をとても大切にして下さっていると聞き及んでおります。
心より感謝いたしますわ」
・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・?
今、なにか不可解なセリフを聞いたような……?
――……娘?
娘って言った?
誰が?
誰の?
え?
何これ?
どういうこと???
私の頭の中に疑問符が乱れ飛び、とても思考のできる状況ではなかった。
すると、隣でクリス様がゴクリと息を飲んで口を開いた。
「陛下。失礼を承知でお伺い致します。
先程陛下の仰っていた『娘』とは、ベルナデットのことでしょうか?」
女王陛下が美しく微笑んだ。
「ええ。ベルナデットは正真正銘わたくしの娘ですわ」
ええええええ~~~~~~~?!
女王陛下の娘?!
私が?!
嘘でしょ?!
この時……。
私の混乱した頭はとても多くのことを考えていた。
母に会えて嬉しいとか……。
母は女王陛下だったの?? とか……。
どうして誰も教えてくれなかったの? とか……。
だが、私に頭の中を一番に占めていたことはこれだった。
――……実父が不敬罪じゃなくてよかった☆
女王陛下が私の母ということなら、きっと実父は女王陛下の配偶者だと考えられる。
それなら、陛下の隣にあんなにくっつい立っていても不敬罪にはならないだろう。
私は少しだけほっとしたのだった。
+++
全く冷静さ無くしていた私に対して、クリス様が驚いた顔をしたのは一瞬で、すぐにいつもの顔に戻っていた。
「大変失礼致しました。女王陛下。この度は結婚のご報告が遅くなってしまったことイリュジオン国王子としても、ベルナデットの夫としてもお詫び申し仕上げます。」
「事情は知っていますし、結婚式が終わってやるべきことが終わってゆっくりとこちらに遊びに来てほしいとイリュジオン国の陛下とお妃様にお願いしたのはこちらですので、謝罪の必要ありませんわ。
ふふふ。本当にクリストフ殿下は聡明ですね」
女王陛下とクリス様の話を横でじっと聞いていると、実父が声を上げた。
「2人とも、長旅疲れでしょう?
部屋を用意しています。
今日はそちらに泊まって、我々と一緒に夕食をどうでしょうか?」
私とクリス様は目を合わせて微笑んだ。
そして、クリス様が口を開いた。
「ぜひ!!
また、陛下にイリュジオン国の王妃より書状を預かっております。お納めください」
私はゆっくりと陛下に近づくとクリス様のお母様であるイリュジオン国の王妃様から預かった手紙を渡した。
「ありがとう」
陛下は嬉しそうに笑いと、小声で囁いた。
「一緒に食事をするのが楽しみだわ」
私はなんだか恥ずかしいやら照れくさいやら、どうしたらいいのかわからなくて「コクリ」と頷いた。陛下は「ふふふ」と笑った。
実父はずっと微笑ましそうにその光景を見ていたが、こちらを見てもう一度微笑んだ。
「では、2人とも、また夕食でね」
「はい」
そうして私たちは謁見の間を後にした。
謁見の間を出て、案内されて部屋に入るとクリス様が私を抱き寄せた。
「び、び、びっくりしたぁ~~~~~~。
ベルって、レアリテ国の女王陛下の娘なの???
ったく、どうしてこんな大事なことを、父上は私に知らせてくれなかったんだ?」
どうやらクリス様も全く知らなかったらしい。
「本当ですね」
するとクリス様が私の首元に顔をうずめながら囁くように言った。
「ベルって、陛下にそっくりだね。
特に目元が」
「そうですか?」
私は緊張して、母の顔を見れなかった。
「うん」
クリス様は私の頬にキスをしたかと思うと、おでこにキスをして気が付けば顔中にキスの雨を降らせた。
「ふふふ。クリス様ったら突然どうされたのですか?」
私がクリス様を見つめると、クリス様がチュッ♡ と唇にキスをした。
「よし!! まさかベルのご両親にごあいさつも兼ねた旅行だったなんて!!
ベルの両親に気に入られるように頑張るから!!」
私としては、母だと言われても恐れ多くて全く実感がわかないし、実父はクリス様のラジュル国との外交手腕を褒めちぎっていたので、クリス様が気にすることはないとは思う。
だが、私のためだということが痛いほどわかって嬉しくなった。
チュッ♡
私は自分からクリス様の唇にキスをした。
するとクリス様が真っ赤になった。
「え? ベル?」
「ふふふ。ありがとうございます」
クリス様は真っ赤になって首を押さえながら小声で呟いた。
「~~~~~~夜は覚悟してね?」
私は赤くなった顔を隠すようにクリス様に抱きついて小さな声で「はい」と答えたのだった。
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