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第9話 人助け
しおりを挟む屋敷に戻ると、とりあえず食堂横の休憩スペースに移動することにした。ソファーの上にギルバート様を座らせると、ゲオルグが暖炉に火を入れた。
私はギルベルト様の足に触れながら言った。
「少々失礼します」
足が痛いというので、足を見たがケガはなかった。
私はもしかしてとギルベルト様を見ながら言った。
「魔力の使い過ぎですか?」
ギルベルト様は困ったように頷いた。
「え……はい……魔物が攻めて来たので、風魔法を使って一掃したら……」
魔物を風魔法で一掃!?
私が驚いていると、ゲオルグが声を上げた。
「ギルベルトさん、昨日も風の上級魔法使ったばかりだろう? そんな連日上級魔法使ってたら、倒れるに決まってるだろう!?」
昨日も!?
連日、上級魔法を!?
そんなの……無茶過ぎる。
私は急いで、ギルベルト様を見た。
「魔力量を調べてもいいですか?」
「え? 魔力量の測定ができるのですか?」
私の家系の人間は魔力操作が得意で、その人の本来の魔力量と、現在の魔力量を測ることができるのだ。
「はい」
私が答えると、ギルベルト様は照れたように言った。
「あ、いえ、その……寝れば回復するので」
もしも、魔力量が低下していたら、寝たくらいでは回復はしない。深刻な魔力不足は命に関わるのだ。
私は真剣な顔で言った。
「お願いします、測定させて下さい」
ギルベルト様は少し考えた後に、手を出しながら言った。
「あの、では、お願いします」
私はギルベルト様の手を両手で握り魔力量を測定した。
(嘘!! ほとんどない!!)
私はギルベルト様に向かって言った。
「ほとんどありません!! これでは倒れるのは当たり前です!!」
今日、倒れているのを見た時に気付くべきだった。
みんな、魔法を使い過ぎると身体が重くなったり、眩暈がしたり身体がつらくなるので限界まで魔法を使う人はほとんどいない。
だから、実際に魔力の使い過ぎで倒れている人を見たことがなかったので油断してしまった。
私の言葉を聞いたゲオルグが大きな声を上げた。
「なんだって!? 大変だ。魔力回復薬探して来る」
ゲオルグが慌てて部屋から出て行った後に、私はギルベルト様の頬に触れながら言った。
「おそらくこれほど魔力が減っていたら魔力回復薬では、ほとんど回復しないと思いますよ? ちなみに私は現在、魔力は溢れるほど有り余っています」
ギルベルト様は顔を真っ赤にした後に慌てた。
「え? いえ、その!!」
私は慌てるギルベルト様の頬を持ったまま顔を近づけた。
「私の魔力、お分けしましょうか?」
ギルベルト様は顔を真っ赤にして慌てながら声を上げた。
「いえ、ライラさんのような若い人に、そんな気の毒なことさせられません!! 寝れば回復します!!」
ギルベルト様は慌てて否定していたが、すでに私の意思は固まっていたのだった。
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