【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番

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第10話 効果的な方法

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「ギルベルト様がどうしても、拒否されるというのであれば……眠りの魔法を使って眠らせ、その間に済ませます」

 魔力量を知ってしまった私は、このままこの人を放置するということはできなかった。
 だからどうしても拒否されたら、眠らせて魔力を移そうと思った。
 そんな私はギルベルト様は心底驚いたように言った。

「眠らせる……ここまでして、私を助けてくれると……つまり、あなたの意思は固いのですね……一つだけ確認させて下さい。……その……あなたは、私にをしても問題ないと……思ってくれているのですね」

 私は頷きながら「ええ」と言った。
 するとギルベルト様は照れたように顔を赤くしながら言った。

「ありがとうございます……その……こんな年上の男ですみません。では……このままお願いします」

 私はギルベルト様の頬に手を添えながら「はい」と言った。
 そして顔を近づけようとしたところで、ギルベルト様がさらに顔を真っ赤にして目だけではなく、唇も固く閉じていた。

「もしかして……初めてですか?」

 思わず尋ねると、ギルベルト様が瞳を大きく開けて恥ずかしそうに目を逸らしながら「はい」と言った。

「これまでずっと忙しくて……女性と話をする機会もあまりなかったもので……」

 騎士の人の中にはかなり女性と派手に遊んでいる人はいると聞く一方で、ただひたすら任務に集中する人がいるとも聞いた。それに辺境伯となった今もとても忙しそうだった。
 それこそ……魔力が無くなるまで無理をして……

(ギルベルト様、ずっと仕事一筋だったんだ……)

 だが、それは私も同じだった。女官になるための勉強やなってからも仕事ばかりしていたので男性との交際経験はない……
 私はさらに顔を近づけながら言った。

「……私もです」

「え!?」

 そして驚いて目と口を開けた瞬間に私はギルベルト様の唇に唇を重ねた。
 これは人命救助の一環なので、初めてのキスと言ってもいいのかわからないが、私は唇の柔らかさに驚きながらも魔力をギルベルト様に移していく。
 ギルベルト様の耳に触れると、少し力が抜けた。
 魔力を送り込みながら耳を触れていた手を頬に移し、反対側の手でギルベルト様の手に触れて魔力量を測ると、まだ魔力は溜まっていない。

(もう少しね)

 私が唇をさらに押し当てるとギルベルト様が私を受け入れるように首を傾けた。
 そしてしばらくしてようやく魔力が溜まり、ギルベルト様の身体の中を魔力が循環し始めた。

(よかった……もう、大丈夫だ。)

 私が唇を離そうとすると、ギルベルト様は私の唇を追い、はっとしたように唇を離した。
 そしてギルベルト様の顔を見ると、とても顔色が良くなっていた。

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