【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番

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第11話 効果的な方法の代償

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 唇を離して見つめ合った後に、ギルベルト様が声を上げた。

「あの……ライラさん。本当に迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

 ギルベルト様は赤い顔をした後に、今度は青い顔をして深々と頭を下げながら謝罪をした。
 次々と顔色が変わって心配になる。
 しかも、相手は貴族でもトップクラスの権力者の辺境伯様だ。
 そんな辺境伯様にこれほどまでに丁寧な謝罪を受けて、私の方が狼狽えてしまう。
 
「いえ……ここまで減ってしまうと、中々魔力が回復しないのも仕方ないと思いますので……」

 一度魔力が限界まで下がると、寝ても食べても中々回復しない。
 魔力回復剤も限界ギリギリの時は全く効かずに無駄になるだけだ。

 魔力が限界まで尽きると常に身体が重くて、頭痛や眩暈も感じ、一日に何度も意識が飛びそうになると聞いたことがある。最悪命にもかかわる。
 ヒーラーと呼ばれる光魔法を使える人々は、相手の背中に触れただけで魔力を移せると聞いたが、生憎と私は水魔法しか使えないので、口と口を合わせることでしか魔力が移せない。

「でも……ライラさんも、初めてだったのに……私にできることなんでもします!! なんでも言って下さい!!」

 ギルベルト様の言葉に居たたまれない気持ちになる。
 そして私は慌てて言った。

「あの……本当に、気にしないで下さい」

 二人でそんなことを言っていた時だった。
 廊下を走る音が聞こえた後に、ゲオルグが慌てて駆け込んで来た。

「見つけた!! 魔力回復剤!!」

 私はソファーから立ち上がると、ギルベルト様を見ながら言った。

「ギルベルト様、もう動けますか?」

 ギルベルト様は自分の手を動かしながら言った。

「え、ええ。随分と身体が軽いです」

 私はほっとしながら言った。

「今でしたら、魔力回復剤が身体を巡って大幅に魔力を回復してくれるはずです。これを飲んでゆっくりとお休みください」

 そして私はゲオルグを見ながら言った。

「魔力回復剤をギルベルト様に」

 ゲオルグは「あ、ああ。ギルベルトさん、飲んでくれ」と言って魔力回復剤を渡した。
 
(よかったこれで、ギルベルト様は大丈夫だ……)

 ほっとした途端、突然、強い眠気が襲って来た。
 恐らく、自分の魔力を多くギルベルト様に渡したので身体が回復しようとしているのだろう。
 しかも今日は早朝から馬を飛ばして、ここに着いてからもすぐに書類を運び出すという仕事をして休みがなかった。

(まずいわ……疲労と、魔力を分けたことで……身体が……)

 私はゲオルグに「後はお願いします」と言ってふらふらしながら部屋を出た。


 
 
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