【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領

第12話 持ちつ持たれつ

「おい、大丈夫か！？」

　私がふらふらしながら階段を上ろうとしたら、後ろから声が聞こえた。
　振り返ると心配そうな顔のゲオルグが立っていた。

「……ゲオルグ？　どうしたの？」

　思わず問いかけると、ゲオルグが心配そうに言った。

「どうしたのじゃないだろう！？　どうしてライラがそんなにふらふらしてんだよ！！」

　魔力を移したと言うのもはばかれてお茶を濁すことにした。

「ここまで来るのに移動の長かったから……疲れたみたい。ところで、ギルベルト様は？」

　ゲオルグは私を安心させるように穏やかな口調で言った。

「ギルベルトさんは、魔力回復剤を飲んだ途端、倒れるように寝た。毛布もかけたし、ソファーも大きいからな。今日はあそこで寝てもらう。暖炉にもたくさん薪を入れて来た。顔色もいつもよりずっと良くなっていたし、もう心配ない」

　倒れるわけではなく、しっかりと眠ったと聞いてほっとした。
　だが……

（正直、もう眠い。そろそろ限界だ。早く部屋に戻らないと！！）

　必死で、平静を装い部屋に戻ろうとした時だった。
　ふわりと身体が浮いて、温かさを感じた。
　気が付くと、私はゲオルグに抱き上げられていた。

「そんなふらふらしながら階段とか、危ないだろう！？　いいから、捕まれ」

　断ろうと思ったが、身体はすでに魔力回復に入っているのか眠くてたまらない。

「ごめんね、ゲオルグ。ありがとう……」

　私はゲオルグの袖を掴みながらそう言うと、意識を失うように眠りについたのだった。