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詩人レオと王女様
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ある日、詩人レオは激烈な恋に落ちてしまいました。その方は王女様です。到底手の届かない女性で、レオにはある悩みがありました。それは、彼は老いる病気を持っていて、二十歳で老人の顔をしていたことです。
「僕なんかが、相手にされない、ていうのは分かる。相手が王女様だから、恋をしているのか。いや、なんか魅了されるんだ」
レオは自分の才能に気づいていませんでした。彼の詩は重宝されるレベルだったのです。
王女様は離宮でひそかに本を読んでいました。レオは、彼女がそこにいると分かって、召使に詩を書いた手紙を渡してもらいました。王女様はかなりの文学好きで、レオの詩を読んだ時、衝撃を受けました。彼女も恋をしました。けれど、身分上、結ばれることがないのが分かりました。そこで、レオの手紙の返信に、熱烈な愛情の手紙を送りたいと思いましたが、そこはごまかして、痛烈な批評の手紙を返信しました。
レオの手にその手紙が渡りました。召使はレオの顔を見てびっくりしましたが、「僕はこういった老いの病を持っているんです」と正直に言いました。召使は、そのことは黙っていました。
そんな美しい詩と痛烈な批評の手紙のやり取りは続きました。レオはこう思いました。「王女様はぼくに気がないのは分かっている。けれど、こうして手紙がやり取りできるだけで、幸せなんだ」
王女様はなんだかんだ手紙が来るのを楽しみにしていました。
ある日、王女様は、民衆の前でお話を始めた時、レオの詩を高らかに読み上げました。民衆に紛れ込んでいたレオは、びっくりしました。そして、王女様は「文化の発展に高く貢献した偉業」とまで言いました。レオはびっくり。痛烈な批判ばかりの手紙だったから、そんな風に思われているとは、つゆ知らず。
ただ、王女様は、ある王族の男性と婚約を交わすことになったのです。
「わたしがあの詩を書いたのだ」彼は堂々と言い放ちました。
王女様は、最初運命を感じました。(わたしが恋をしていたのは、この方だったの? でも召使の話している青年と、ちょっと違う)そう感じて、「わたしの熱烈な愛情の手紙は読んでくださった? あの詩をほめちぎる返信をしました」
「ええ、読みましたとも」
王女様は、ここで大ウソつきだと、見破りました。
王女様は、こんな男と結婚しなきゃいけない運命を呪いました。子孫を残さないといけないので、情愛は重ねました。けれど、王女様は、堕胎作用のある鬼灯をかみ砕いて、飲み、子供を懐胎しないようにしました。
こんな失意の中、王女様はローブをかぶり、市場で果物を眺めていました。そこでまさかの青年レオが、彼女に気づきました。
「あなたはもしかして」
最初、王女様はびっくりしました。その顔を見たら、老人の顔で、けれど、どこか力のある風貌でした。
レオは思い切って言いました。
「僕の詩は読みましたか?」
王女様はまたまたびっくり。王女様はかまをかけました。
「わたしの愛情の手紙はどうでした?」
どうせ、また、嘘をついて自分に近づこうとしているんだ、そう思っていました。
「あれが、愛情の手紙だったですって? 僕はぼろぼろに批評をされて、困惑しました。申し訳ありません、僕はただただ、批判されているとばっかり思い」
王女様は、(運命って奇妙ね)と思いました。
「老人にしては、若さのある詩でしたが」
「すみません、僕は、老いの病を持っていまして。それで、姿は老人なのです」
王女様はまたびっくりしました。
思い切って、彼女はレオに打ち明けました。
「どうか、あなたの子を宿らせてください。もう、王族という肩書に嫌気がさしているのです」
「何を言っているんですか? 誇り高い王族の女性が、僕みたいな子供を宿すなんて……」
「何を言っているの? あなたは王よりも影響力がある、文化を揺るがせる詩人なのです。これほど光栄なことはありません」
レオはびっくりしました。
そこで、王女様は王子様との情愛に、「わたし、今疲れているの。ごめんなさいね」とやんわり断って、隙あらば、レオと会い、情愛を重ね、そこでは美しい女性になっていたのです。
そして、ようやく、王女様は子供を孕みました。王子様には「あなたの子なの」と嘘をつきました。
生まれた子の手相を、占い師が読むと、「天下を揺るがせる、天神に愛された子」と言われました。王子様は誇らしげでした。ただ、事実を知るのは、王女様と、レオです。
子供をあやしながら、王子様の優しさが気味悪い、と王女様は感じました。どこか偽善的な表情、女性はそういうのに敏感です。
レオとの逢瀬は、彼女にとって、楽しみでした。もう、レオと子供とだけいたい、そう願いながら、王子様が不貞を働き、王女様の前ではにたにたと笑い、情愛に誘うのがもう我慢の限界でした。
王子様が寝ている隙に、王女様は魔が差したように、王子様を鈍器で殺してしまいました。
「わたしはなんてことをしてしまったの?」赤子はすやすや眠っています。今のうちに、城を抜け出そう。
王女様はレオが住んでいるところに行き「やっぱりあなたじゃないとだめなの!」と泣き叫びました。
「落ち着いて、どうなされました?」
「わたしは旦那を殺してしまった。もう、限界だった」
そこで、レオは王女様を連れて、遠くへ逃げようとしました。
二人は逃げ切れるか心配していました。案の定、城の追手がやってきて、レオは万事休すだと思い、とっさに、
「僕が、彼女を攫うのをお前らは止めるのか? 王子を殺すことがそんなに悪い事かね」
と言いました。王女様は、愕然としました。
「お前がそういうことをするのは、不敬にもほどがある。どこの馬の骨とも知らないやつが。その腐った老いの顔を、晒してやろう」
追っては、レオを銃撃して殺しました。
時が経ち、王女様は最愛の息子と「こんな話があったのよ。約束よ? 誰にも言わないでね。下手したら、わたし殺されちゃうもん」と王女様は笑いました。息子は、「王族であることが、そんなに大事なことなの?」と聞きました。
「そうね、あなたの方が、正しいわ。わたしは結局肩書で生きていたのね」
END
「僕なんかが、相手にされない、ていうのは分かる。相手が王女様だから、恋をしているのか。いや、なんか魅了されるんだ」
レオは自分の才能に気づいていませんでした。彼の詩は重宝されるレベルだったのです。
王女様は離宮でひそかに本を読んでいました。レオは、彼女がそこにいると分かって、召使に詩を書いた手紙を渡してもらいました。王女様はかなりの文学好きで、レオの詩を読んだ時、衝撃を受けました。彼女も恋をしました。けれど、身分上、結ばれることがないのが分かりました。そこで、レオの手紙の返信に、熱烈な愛情の手紙を送りたいと思いましたが、そこはごまかして、痛烈な批評の手紙を返信しました。
レオの手にその手紙が渡りました。召使はレオの顔を見てびっくりしましたが、「僕はこういった老いの病を持っているんです」と正直に言いました。召使は、そのことは黙っていました。
そんな美しい詩と痛烈な批評の手紙のやり取りは続きました。レオはこう思いました。「王女様はぼくに気がないのは分かっている。けれど、こうして手紙がやり取りできるだけで、幸せなんだ」
王女様はなんだかんだ手紙が来るのを楽しみにしていました。
ある日、王女様は、民衆の前でお話を始めた時、レオの詩を高らかに読み上げました。民衆に紛れ込んでいたレオは、びっくりしました。そして、王女様は「文化の発展に高く貢献した偉業」とまで言いました。レオはびっくり。痛烈な批判ばかりの手紙だったから、そんな風に思われているとは、つゆ知らず。
ただ、王女様は、ある王族の男性と婚約を交わすことになったのです。
「わたしがあの詩を書いたのだ」彼は堂々と言い放ちました。
王女様は、最初運命を感じました。(わたしが恋をしていたのは、この方だったの? でも召使の話している青年と、ちょっと違う)そう感じて、「わたしの熱烈な愛情の手紙は読んでくださった? あの詩をほめちぎる返信をしました」
「ええ、読みましたとも」
王女様は、ここで大ウソつきだと、見破りました。
王女様は、こんな男と結婚しなきゃいけない運命を呪いました。子孫を残さないといけないので、情愛は重ねました。けれど、王女様は、堕胎作用のある鬼灯をかみ砕いて、飲み、子供を懐胎しないようにしました。
こんな失意の中、王女様はローブをかぶり、市場で果物を眺めていました。そこでまさかの青年レオが、彼女に気づきました。
「あなたはもしかして」
最初、王女様はびっくりしました。その顔を見たら、老人の顔で、けれど、どこか力のある風貌でした。
レオは思い切って言いました。
「僕の詩は読みましたか?」
王女様はまたまたびっくり。王女様はかまをかけました。
「わたしの愛情の手紙はどうでした?」
どうせ、また、嘘をついて自分に近づこうとしているんだ、そう思っていました。
「あれが、愛情の手紙だったですって? 僕はぼろぼろに批評をされて、困惑しました。申し訳ありません、僕はただただ、批判されているとばっかり思い」
王女様は、(運命って奇妙ね)と思いました。
「老人にしては、若さのある詩でしたが」
「すみません、僕は、老いの病を持っていまして。それで、姿は老人なのです」
王女様はまたびっくりしました。
思い切って、彼女はレオに打ち明けました。
「どうか、あなたの子を宿らせてください。もう、王族という肩書に嫌気がさしているのです」
「何を言っているんですか? 誇り高い王族の女性が、僕みたいな子供を宿すなんて……」
「何を言っているの? あなたは王よりも影響力がある、文化を揺るがせる詩人なのです。これほど光栄なことはありません」
レオはびっくりしました。
そこで、王女様は王子様との情愛に、「わたし、今疲れているの。ごめんなさいね」とやんわり断って、隙あらば、レオと会い、情愛を重ね、そこでは美しい女性になっていたのです。
そして、ようやく、王女様は子供を孕みました。王子様には「あなたの子なの」と嘘をつきました。
生まれた子の手相を、占い師が読むと、「天下を揺るがせる、天神に愛された子」と言われました。王子様は誇らしげでした。ただ、事実を知るのは、王女様と、レオです。
子供をあやしながら、王子様の優しさが気味悪い、と王女様は感じました。どこか偽善的な表情、女性はそういうのに敏感です。
レオとの逢瀬は、彼女にとって、楽しみでした。もう、レオと子供とだけいたい、そう願いながら、王子様が不貞を働き、王女様の前ではにたにたと笑い、情愛に誘うのがもう我慢の限界でした。
王子様が寝ている隙に、王女様は魔が差したように、王子様を鈍器で殺してしまいました。
「わたしはなんてことをしてしまったの?」赤子はすやすや眠っています。今のうちに、城を抜け出そう。
王女様はレオが住んでいるところに行き「やっぱりあなたじゃないとだめなの!」と泣き叫びました。
「落ち着いて、どうなされました?」
「わたしは旦那を殺してしまった。もう、限界だった」
そこで、レオは王女様を連れて、遠くへ逃げようとしました。
二人は逃げ切れるか心配していました。案の定、城の追手がやってきて、レオは万事休すだと思い、とっさに、
「僕が、彼女を攫うのをお前らは止めるのか? 王子を殺すことがそんなに悪い事かね」
と言いました。王女様は、愕然としました。
「お前がそういうことをするのは、不敬にもほどがある。どこの馬の骨とも知らないやつが。その腐った老いの顔を、晒してやろう」
追っては、レオを銃撃して殺しました。
時が経ち、王女様は最愛の息子と「こんな話があったのよ。約束よ? 誰にも言わないでね。下手したら、わたし殺されちゃうもん」と王女様は笑いました。息子は、「王族であることが、そんなに大事なことなの?」と聞きました。
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