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第69話 生徒会長からの呼び出し
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「さて、今日はさっさと帰るとしようかな」
本日の授業を全て終え、ダンジョン探索も含めて新しい予定は何も入らなかったため早々に帰宅準備を始める。
明後日は妹とすみれちゃんそして霜月さんを含む4人でショッピングモールに出かける予定があるが、それまでは暇であるため今日明日で積んでいたラノベやゲームを少しでも消化するつもりである。
久しぶりにまとまった時間が取れるためウキウキしながら帰り支度をしているとデバイスに連絡が入っていることに気が付く。画面を確認すると差出人には栗林の文字が表示されている。
(栗林さんから連絡なんて珍しいな……)
栗林さんから連絡が来ることは滅多にないことなので少し身構えながらも内容を確認する。
『本日は予定がないと聞いたので兄君さえよければ私に少し時間を貰えないだろうか?』
どうやら栗林さんは僕に用事があるようで時間を取ってほしいみたいだ。彼女には普段から世話になっていることもあり時間を割くのは構わないのだが、なぜ彼女は僕の予定を把握しているのだろうか。軽くホラーである。
『ちなみに5分以内に連絡がない場合は私が直接伺わせてもらうつもりだ』
続く文章には今の僕にとっては死活問題になりそうな内容が書かれている。もし栗林さんが直接Fクラスを訪れ僕に用事があると言い出したとすると、昨日の訓練で感じたクラスメイトからの圧がより一層増してしまうに違いない。これ以上クラス内で浮くわけにはいかないため、彼女がこの場に来ることだけは何としても回避しなければいけないだろう。
瞬時に判断した僕は急いで栗林さんにどこに向かえば良いのかを返信する。すると直ぐに彼女から学園の地図が届きとある部屋を指定される。この準備の良さを考えると僕がそちらに向かうことを初めから確信していたようで、彼女はFクラスに来るつもりはなかったのかもしれない。
(それにしても、どうやって僕の予定を把握してるんだろう?)
荷物を持ち栗林さんが指定してきた場所に向かう途中で僕のプライベートを把握できる彼女の情報網のすごさに感嘆するのと同時に、これからどうやって僕のプライバシーを守っていけばよいのかを真剣に考えるのであった。
「栗林さんに指定された場所はここだよな?」
先ほど受け取った地図に記載されている場所にたどり着いた僕は目の前にある部屋『生徒会室』を見ながらデバイスをしまう。これは目の前の生徒会室に入ればいいのであろうか。中等部の校舎に入るときも緊張をしたのだが、ここに入るのにも謎の緊張感を感じる。
「これは職員室に入るときと同じような感覚だな……。こうしていても仕方ないし、行きますか」
緊張を誤魔化すように気合を入れた後に目の前の扉をノックする。少しすると部屋の中から栗林さんと思わしき人の声が返ってくる。
「兄君かな?入ってどうぞ」
「それじゃあ、失礼します」
入室の許可をもらったので扉を開いて生徒会室にお邪魔する。部屋の中には栗林さん以外にも依然に学園ダンジョン前で見たことのある生徒会のメンバーと思わしき人たちがいた。栗林さん以外の3人はこちらに不躾で敵意のこもった視線を遠慮なく送ってきているので歓迎されているわけではなさそうだ。
(嫌われているというよりは……警戒されてる感じかな?)
部屋に入るなり少しも隠すつもりもない敵意の視線を向けられ針の筵のような思いを味わうことになってしまったが、得体のしれない人物が自分たちのボスである生徒会長に近づいてくるとなるとこのような反応も納得できなくはない。……それでも少し過剰な気はするが。
「すまないね兄君。皆は少し過敏になっていて悪気があるわけではないんだよ」
「いや、別に気にしてないから問題ないよ。それで用事というのはなにかな?」
栗林さんの態度を見た限りでは周りから向けられている視線は彼女の本意ではないようである。正直このような雰囲気のまま話をしたくはないのだが、この場の空気を改善するための案は何も思いつかないので話を促す。
「……あなた気分が悪くなったりはしていませんの?」
「え?全然そんなことはないけど。……ないですけど」
「別に普通に話してくださって構いませんわ。……やせ我慢をしているようにも見えませんわね」
用事を早く済ませようと栗林さんに話を促したのだが、横から金髪ロングの少女が割り込んでくる。話し方が上品でありお嬢様らしさが醸し出されていたので敬語で話そうとしたが、不要だと断られる。お嬢様は何故か僕の体調を気にしてくるのだが特に身体に異常は感じられない。
「かいちょ~。この人は本当に外部生なんですか?」
「その通りだよ。冒険者見習い2週間の新人さ」
「それでワタクシたちの威圧を受けて何ともないとは……少々信じられませんわね」
「おにいさん名前はなんて言うの?あたしは奥井日葵だよ。ひまりって呼んでい~よ」
「ワタクシは鈴木朱音と申しますの。よろしくお願いしますわ」
鈴木さんの反対側から奥井さんというボーイッシュな少女が声をかけてくる。鈴木さんの口から出ていた威圧という言葉が気になるが、今の彼女たちからは先ほどまで向けられていた敵意のこもった視線はすっかりとなくなっていたので無関係ではなさそうだ。
「僕は小鳥遊優人、高等部1年のFクラスに所属している外部生だよ。よろしくね、奥井さんと鈴木さん」
「たかなし……もしかして小鳥遊瑠璃さんのお兄様ですの?」
「そうだよ?鈴木さんは瑠璃の知り合いなのかな?」
「いえ、そういうわけでは……」
「あはは……小鳥遊さんは生徒会では有名だからね~」
小鳥遊の名前を聞いたときにふたりの頭の中には妹の瑠璃が思い浮かんだようだ。妹は生徒会では有名らしいがふたりの含みのある言い方からするとあまり良い意味ではなさそうである。……瑠璃は中等部で何をやらかしたのだろうか。
「えっと瑠璃が何か迷惑を……」
妹が中等部で有名である理由を詳しく尋ねようとしたところで、今まで一言も話さずにこちらを傍観していた最後の一人が声を上げる。
「おい!僕はまだ貴様を認めていないぞ!威圧が効かないからなんだ、直接勝負して化けの皮を剝がしてやる!」
「それは面白そうだね。どうだろう兄君、少し彼に付き合ってくれないかい?」
「え?嫌だけど……」
「よし、兄君の了承も得られたし一旦場所を移そうか」
どうやら僕の意思は尊重されないようで栗林さんは席から立ち上がり生徒会室を退出する。こうなってしまったらどうにでもなれという気持ちになり、彼女を見失わないように急いで後を追いかけることにする。
「……あれ?今、断っていませんでしたか?」
後ろでは僕の気持ちを代弁してくれるかのような鈴木さんのつぶやきが残されるのであった。
本日の授業を全て終え、ダンジョン探索も含めて新しい予定は何も入らなかったため早々に帰宅準備を始める。
明後日は妹とすみれちゃんそして霜月さんを含む4人でショッピングモールに出かける予定があるが、それまでは暇であるため今日明日で積んでいたラノベやゲームを少しでも消化するつもりである。
久しぶりにまとまった時間が取れるためウキウキしながら帰り支度をしているとデバイスに連絡が入っていることに気が付く。画面を確認すると差出人には栗林の文字が表示されている。
(栗林さんから連絡なんて珍しいな……)
栗林さんから連絡が来ることは滅多にないことなので少し身構えながらも内容を確認する。
『本日は予定がないと聞いたので兄君さえよければ私に少し時間を貰えないだろうか?』
どうやら栗林さんは僕に用事があるようで時間を取ってほしいみたいだ。彼女には普段から世話になっていることもあり時間を割くのは構わないのだが、なぜ彼女は僕の予定を把握しているのだろうか。軽くホラーである。
『ちなみに5分以内に連絡がない場合は私が直接伺わせてもらうつもりだ』
続く文章には今の僕にとっては死活問題になりそうな内容が書かれている。もし栗林さんが直接Fクラスを訪れ僕に用事があると言い出したとすると、昨日の訓練で感じたクラスメイトからの圧がより一層増してしまうに違いない。これ以上クラス内で浮くわけにはいかないため、彼女がこの場に来ることだけは何としても回避しなければいけないだろう。
瞬時に判断した僕は急いで栗林さんにどこに向かえば良いのかを返信する。すると直ぐに彼女から学園の地図が届きとある部屋を指定される。この準備の良さを考えると僕がそちらに向かうことを初めから確信していたようで、彼女はFクラスに来るつもりはなかったのかもしれない。
(それにしても、どうやって僕の予定を把握してるんだろう?)
荷物を持ち栗林さんが指定してきた場所に向かう途中で僕のプライベートを把握できる彼女の情報網のすごさに感嘆するのと同時に、これからどうやって僕のプライバシーを守っていけばよいのかを真剣に考えるのであった。
「栗林さんに指定された場所はここだよな?」
先ほど受け取った地図に記載されている場所にたどり着いた僕は目の前にある部屋『生徒会室』を見ながらデバイスをしまう。これは目の前の生徒会室に入ればいいのであろうか。中等部の校舎に入るときも緊張をしたのだが、ここに入るのにも謎の緊張感を感じる。
「これは職員室に入るときと同じような感覚だな……。こうしていても仕方ないし、行きますか」
緊張を誤魔化すように気合を入れた後に目の前の扉をノックする。少しすると部屋の中から栗林さんと思わしき人の声が返ってくる。
「兄君かな?入ってどうぞ」
「それじゃあ、失礼します」
入室の許可をもらったので扉を開いて生徒会室にお邪魔する。部屋の中には栗林さん以外にも依然に学園ダンジョン前で見たことのある生徒会のメンバーと思わしき人たちがいた。栗林さん以外の3人はこちらに不躾で敵意のこもった視線を遠慮なく送ってきているので歓迎されているわけではなさそうだ。
(嫌われているというよりは……警戒されてる感じかな?)
部屋に入るなり少しも隠すつもりもない敵意の視線を向けられ針の筵のような思いを味わうことになってしまったが、得体のしれない人物が自分たちのボスである生徒会長に近づいてくるとなるとこのような反応も納得できなくはない。……それでも少し過剰な気はするが。
「すまないね兄君。皆は少し過敏になっていて悪気があるわけではないんだよ」
「いや、別に気にしてないから問題ないよ。それで用事というのはなにかな?」
栗林さんの態度を見た限りでは周りから向けられている視線は彼女の本意ではないようである。正直このような雰囲気のまま話をしたくはないのだが、この場の空気を改善するための案は何も思いつかないので話を促す。
「……あなた気分が悪くなったりはしていませんの?」
「え?全然そんなことはないけど。……ないですけど」
「別に普通に話してくださって構いませんわ。……やせ我慢をしているようにも見えませんわね」
用事を早く済ませようと栗林さんに話を促したのだが、横から金髪ロングの少女が割り込んでくる。話し方が上品でありお嬢様らしさが醸し出されていたので敬語で話そうとしたが、不要だと断られる。お嬢様は何故か僕の体調を気にしてくるのだが特に身体に異常は感じられない。
「かいちょ~。この人は本当に外部生なんですか?」
「その通りだよ。冒険者見習い2週間の新人さ」
「それでワタクシたちの威圧を受けて何ともないとは……少々信じられませんわね」
「おにいさん名前はなんて言うの?あたしは奥井日葵だよ。ひまりって呼んでい~よ」
「ワタクシは鈴木朱音と申しますの。よろしくお願いしますわ」
鈴木さんの反対側から奥井さんというボーイッシュな少女が声をかけてくる。鈴木さんの口から出ていた威圧という言葉が気になるが、今の彼女たちからは先ほどまで向けられていた敵意のこもった視線はすっかりとなくなっていたので無関係ではなさそうだ。
「僕は小鳥遊優人、高等部1年のFクラスに所属している外部生だよ。よろしくね、奥井さんと鈴木さん」
「たかなし……もしかして小鳥遊瑠璃さんのお兄様ですの?」
「そうだよ?鈴木さんは瑠璃の知り合いなのかな?」
「いえ、そういうわけでは……」
「あはは……小鳥遊さんは生徒会では有名だからね~」
小鳥遊の名前を聞いたときにふたりの頭の中には妹の瑠璃が思い浮かんだようだ。妹は生徒会では有名らしいがふたりの含みのある言い方からするとあまり良い意味ではなさそうである。……瑠璃は中等部で何をやらかしたのだろうか。
「えっと瑠璃が何か迷惑を……」
妹が中等部で有名である理由を詳しく尋ねようとしたところで、今まで一言も話さずにこちらを傍観していた最後の一人が声を上げる。
「おい!僕はまだ貴様を認めていないぞ!威圧が効かないからなんだ、直接勝負して化けの皮を剝がしてやる!」
「それは面白そうだね。どうだろう兄君、少し彼に付き合ってくれないかい?」
「え?嫌だけど……」
「よし、兄君の了承も得られたし一旦場所を移そうか」
どうやら僕の意思は尊重されないようで栗林さんは席から立ち上がり生徒会室を退出する。こうなってしまったらどうにでもなれという気持ちになり、彼女を見失わないように急いで後を追いかけることにする。
「……あれ?今、断っていませんでしたか?」
後ろでは僕の気持ちを代弁してくれるかのような鈴木さんのつぶやきが残されるのであった。
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