4 / 4
私以外みんな敵
しおりを挟む
戸崎未央は小さい頃から訳も分からず苛められていた。
「お前気持ち悪い! いるだけで不快!」
自分でもどうにもならないようなことで苛められ、殴られ、ボロボロになって帰っても両親は面倒くさそうに「汚れた姿で家に入らないで」 と言うだけ。未央は段々と病んでいった。
ある日、未央はテレビで動物の苛めという話題を見た。
動物界にも苛めはあって、弱い個体、変わった個体が苛められる。鶏を集団で一か所に集めると苛めが始まり、その集団で一番小さな個体が一斉に苛められていた。
それを見て弱いのは罪なんだ。動物がこうなんだから人が人を苛めるのは何もおかしくないんだ。未央はそう思った。
次の日、未央が一人でいると、周りが苛めてるから自分も苛める~という考えが足りない系の女の子が笑いながら近寄り、未央の髪を引っ張ったり肩や腕を強めに叩いたりし始めた。平気でそんなことをするのは、今までいくらやっても未央が何とも言わないサンドバッグだったからだ。だがその日は違った。
未央は瞬時にその子の首を片手で抑えて絞めつけた。当然苦しさに苛めは止まった。だがその息も止まりそうだ。女の子がばたばたと暴れるとイラついた未央はもう片方の手で頬を思いっきり引っ叩く。それでもまだ「弱い子が気まぐれで見せたささいな反抗」 と思っている女の子が暴れる。未央は女の子が静かになるまで容赦なく首を絞めて顔面を叩いた。
大人しくなったのでひとまず自由にしてやる。そして顔面青あざだらけになった女の子に更に高圧的に「私に言うことあるでしょ」 と未央は言った。
「今まで……ごめんなさい」
女の子はもはや震えていた。目の前の未央が怖くてたまらかった。昨日まで弱かったはずの未央は、謝る女の子に更にたたみかけてくる。
「はぁ? 違うでしょ。そんな一言で許されると思ってんのアンタ?」
未央は今まで自分がされたように髪を引っ張って怒鳴った。
「服を脱ぐんだよ。そんで土下座しろ。それくらいやって許されるんだよアンタのやったことは」
既に逆らえなくなっていた少女は言う通りにしてしまい、更にその光景をカメラに撮られて未央の奴隷となった。そして未央は奴隷に命令して更に同じ方法でクラスメート達の弱みを握り、やがて担任の不倫現場まで抑え……未央は教室の女王となった。
人は苛める側にならないと駄目だ。それは未央の信条だった。
苛める側になったお陰で灰色どころか真っ暗だった人生が薔薇色になったのだ。
両親に愛されてないのなんてどうでもいい。私は自分の力で自分の運命を変えたという自負がある。
そう、運命を良い方向に変えてやったのだから、これ以上の変化なんて望んでなかった。
下校途中に魔法陣で異世界に行くことなんて望んでなかった。
◇
「ようこそ、聖女様」
コテッコテの展開にドッキリを疑いつつ、数日過ごした。そして分かった事実。
自分は聖女で、魂が元々こちらの世界の物だったとか言う。
そのせいであちらの世界で不遇だったろうけれど安心して、これからは聖女として保証するよ! だと。
聖女の仕事はきちんとしてね。世界の危機だから。って押しつけがましいな。
未央は何だかんだで納得した。幼少期の頃の異常な不遇も正直これで理解できた。
女神の面を一発くらいは叩いてやりたいし、聖女の仕事くらいはするかと思う。
だが未央は護衛メンバーを見て怒鳴り散らす。
「聖女の護衛がおっさんばっかとか信じられない! 見目麗しくないパーティーなんか恥よ恥!」
と言う割に
「世話役の女が可愛いとかなめてんの!? 私に配慮しなさいよ! まあブス女でも嫌だけどさ」
とも言う。
この頃には未央に関わる全ての人間が苛烈な性格だなと思っていた。
◇
未央は元の世界ではついぞ男に縁がなかった。けれどそれは女神のせいだった。
私の正体は聖女だったし、偉そうにしても許される立場だし、ここで逆ハー築いちゃおうかな! とウキウキだったが、目には目を、歯には歯をで生きてきた未央はこの性格で本当に人に好かれると? という考えには至らなかった。
少しでも気に入らないことをした人間は怒鳴り散らした。最初が肝心だから。
自分が悪いことでも決して謝らなかった。謝ったら負けだから。
人のミスはささいなことでもおおごとにして騒ぎ立てた。弱みを握れるから。
元の世界でも誰からも好かれていたと嘘を言った。どうせ誰も確かめようがないから。
パーティーでは連れてきた侍女をスケープゴートにして皆で苛めるように仕向けた。自分が苛められるのは嫌だから。
当然だが、こんな態度をしていれば相当な権力欲か同類でもなければ未央に好意など抱けない。
だがパーティー内は未央の同類が多数だったようで、皆で侍女を苛めていた。ただ一人を除いて……。
それは侍女がいなければ自分が苛められていたような平民学者で、名をシモンと言った。
彼は表向き未央に追従するように見せながら、度々飯抜きやら私物隠しやらといった苛めに合う侍女を助けていた。
「ニナ、もう少しだ。精霊訪問の旅は永遠ではない。王都に戻ればあんな聖女とは縁が切れるさ」
「シモン様……ありがとうございます」
「ニナ……王都に戻ったら、僕との交際を真剣に考えてくれないだろうか?」
「……!」
「そんなに驚くことだったかな。そりゃ、下心のある優しさだったけれど……」
「あ、あ……未央様……」
シモンとニナの逢引きを未央は見てしまった。その時、未央の中に強烈な嫉妬心が沸き起こる。
なんなのあの女。ちょっと可愛いからって調子に乗ってる? 苛められてるからって何なの? 私は一人でどうにかしたのにアンタは男の力に頼って悲劇のヒロインぶるのね!
辺境の村の宿屋でニナがいるから聖女の仕事が出来ないと駄々をこね、聖女の仕事を何か月にも渡って放棄した。困ったパーティーメンバーや村の長はニナを人身御供とすることで未央に聖女の仕事をさせようとした。彼らの立場ではそれしか出来なかった。
「聖女の護衛も侍女も聖女に生殺与奪の権があります。貴方の好きにされると良いでしょう。それこそ気の済むまで……」
言質を得た未央は馬用の鞭で肌が裂けるまでニナをぶった。ボロ雑巾のようになったニナをその村に置いて旅は終わらせた。だがシモンは最後まで自分に付き添わせた。聖女の護衛は全員自分のものなのだから当然。旅が終わるまで、シモンはニナの代わりに苛められていた。
◇
女神は無事に復活した。だが今代の聖女には恐ろしく困っていた。
シモンがどれだけ気の利かない嫌な奴かと長々語ったあとに、でも結婚するならシモンがいいとのたまうのだ。二重人格か?
それに旅の間どうだったのかと聞くと皆歯切れが悪い。
嫌なものを感じて立ち寄った宿屋の人間に聞くと皆「性格が悪すぎて聖女とは思えなかった」 と言う。
聖女召喚はもう百年は続いているけれど、こんな苛烈なタイプは今までいなかった。けれど魂アレルギーのことを考えれば、いつかは生まれていただろう。性格がどうであれ女神はそれを責められる立場ではない。
やんわりと嫌いならシモンでなくてもいいだろうと言うのだが、シモン以外は信用できないと言って聞かない。平気で人を馬鹿にできるやつらしかいなかったから。と。それに苛められている少女を庇ったのはシモンだけだったと。
「私だって……元の世界にいた時は誰かに庇ってほしかった」
彼女はそうポツリと言った。未央にとって、それは白馬の王子様的シチュエーションなのだろうか。それを気に入らない女がされていたから腹が立ったと。
女神はシモンに折れるように言った。なんならニナの記憶を消す魔法をかけようかとも。
シモンはあっさり了承した。ニナの記憶は消す必要が無いと言って笑った。
拍子抜けした女神だが、丸く収まるならそれで良しとした。
◇
未央とシモンが結婚したその夜、未央が珍しくしんみりと言った。
「実は了承されると思ってなかったの。私だったら好きな人痛めつけられたらそいつタダじゃおかないし」
「……そう?」
「ずっとずっと気を張って生きていたけれどね、貴方がニナに告白してる見た時、私が本当に望んでいたのはこういう関係、こういう人だったんだって気づいたの。でも気づいてももう遅すぎるじゃない?」
「そう、思ってたんだね」
「だからあの時は無性にイライラして……ごめんなさい」
それは未央が生まれて初めて口にした謝罪だった。
「貴方が私を選んでくれたから、私……明日からはもう少し人に優しくなろうかなって。もうここは日本じゃないんだし。やっぱり貴方に相応しい奥さんになりたいじゃない? ねえ……」
未央がそれ以上言葉を口にすることはなかった。シモンが隠し持っていたナイフを深々と未央に刺したから。
なぜ、という顔で未央は死んでいった。
「ニナは、あのあと傷口が化膿して死んだよ。最後まで痛い、痛いと泣いてたそうだ。それに比べれば優しい最後だろう?」
シモンは血にまみれたナイフを自分の首に向けた。
「ニナ……仇は取ったよ。誰が何と言おうと、僕はこんな女を聖女とは認めない」
◇
この事件以降、聖女の護衛は若くて美しい男、そして顔のよろしくない女が定番になった。
そして未央の生き方は後代の悪女セレスティアに影響を与えたとされている。
「お前気持ち悪い! いるだけで不快!」
自分でもどうにもならないようなことで苛められ、殴られ、ボロボロになって帰っても両親は面倒くさそうに「汚れた姿で家に入らないで」 と言うだけ。未央は段々と病んでいった。
ある日、未央はテレビで動物の苛めという話題を見た。
動物界にも苛めはあって、弱い個体、変わった個体が苛められる。鶏を集団で一か所に集めると苛めが始まり、その集団で一番小さな個体が一斉に苛められていた。
それを見て弱いのは罪なんだ。動物がこうなんだから人が人を苛めるのは何もおかしくないんだ。未央はそう思った。
次の日、未央が一人でいると、周りが苛めてるから自分も苛める~という考えが足りない系の女の子が笑いながら近寄り、未央の髪を引っ張ったり肩や腕を強めに叩いたりし始めた。平気でそんなことをするのは、今までいくらやっても未央が何とも言わないサンドバッグだったからだ。だがその日は違った。
未央は瞬時にその子の首を片手で抑えて絞めつけた。当然苦しさに苛めは止まった。だがその息も止まりそうだ。女の子がばたばたと暴れるとイラついた未央はもう片方の手で頬を思いっきり引っ叩く。それでもまだ「弱い子が気まぐれで見せたささいな反抗」 と思っている女の子が暴れる。未央は女の子が静かになるまで容赦なく首を絞めて顔面を叩いた。
大人しくなったのでひとまず自由にしてやる。そして顔面青あざだらけになった女の子に更に高圧的に「私に言うことあるでしょ」 と未央は言った。
「今まで……ごめんなさい」
女の子はもはや震えていた。目の前の未央が怖くてたまらかった。昨日まで弱かったはずの未央は、謝る女の子に更にたたみかけてくる。
「はぁ? 違うでしょ。そんな一言で許されると思ってんのアンタ?」
未央は今まで自分がされたように髪を引っ張って怒鳴った。
「服を脱ぐんだよ。そんで土下座しろ。それくらいやって許されるんだよアンタのやったことは」
既に逆らえなくなっていた少女は言う通りにしてしまい、更にその光景をカメラに撮られて未央の奴隷となった。そして未央は奴隷に命令して更に同じ方法でクラスメート達の弱みを握り、やがて担任の不倫現場まで抑え……未央は教室の女王となった。
人は苛める側にならないと駄目だ。それは未央の信条だった。
苛める側になったお陰で灰色どころか真っ暗だった人生が薔薇色になったのだ。
両親に愛されてないのなんてどうでもいい。私は自分の力で自分の運命を変えたという自負がある。
そう、運命を良い方向に変えてやったのだから、これ以上の変化なんて望んでなかった。
下校途中に魔法陣で異世界に行くことなんて望んでなかった。
◇
「ようこそ、聖女様」
コテッコテの展開にドッキリを疑いつつ、数日過ごした。そして分かった事実。
自分は聖女で、魂が元々こちらの世界の物だったとか言う。
そのせいであちらの世界で不遇だったろうけれど安心して、これからは聖女として保証するよ! だと。
聖女の仕事はきちんとしてね。世界の危機だから。って押しつけがましいな。
未央は何だかんだで納得した。幼少期の頃の異常な不遇も正直これで理解できた。
女神の面を一発くらいは叩いてやりたいし、聖女の仕事くらいはするかと思う。
だが未央は護衛メンバーを見て怒鳴り散らす。
「聖女の護衛がおっさんばっかとか信じられない! 見目麗しくないパーティーなんか恥よ恥!」
と言う割に
「世話役の女が可愛いとかなめてんの!? 私に配慮しなさいよ! まあブス女でも嫌だけどさ」
とも言う。
この頃には未央に関わる全ての人間が苛烈な性格だなと思っていた。
◇
未央は元の世界ではついぞ男に縁がなかった。けれどそれは女神のせいだった。
私の正体は聖女だったし、偉そうにしても許される立場だし、ここで逆ハー築いちゃおうかな! とウキウキだったが、目には目を、歯には歯をで生きてきた未央はこの性格で本当に人に好かれると? という考えには至らなかった。
少しでも気に入らないことをした人間は怒鳴り散らした。最初が肝心だから。
自分が悪いことでも決して謝らなかった。謝ったら負けだから。
人のミスはささいなことでもおおごとにして騒ぎ立てた。弱みを握れるから。
元の世界でも誰からも好かれていたと嘘を言った。どうせ誰も確かめようがないから。
パーティーでは連れてきた侍女をスケープゴートにして皆で苛めるように仕向けた。自分が苛められるのは嫌だから。
当然だが、こんな態度をしていれば相当な権力欲か同類でもなければ未央に好意など抱けない。
だがパーティー内は未央の同類が多数だったようで、皆で侍女を苛めていた。ただ一人を除いて……。
それは侍女がいなければ自分が苛められていたような平民学者で、名をシモンと言った。
彼は表向き未央に追従するように見せながら、度々飯抜きやら私物隠しやらといった苛めに合う侍女を助けていた。
「ニナ、もう少しだ。精霊訪問の旅は永遠ではない。王都に戻ればあんな聖女とは縁が切れるさ」
「シモン様……ありがとうございます」
「ニナ……王都に戻ったら、僕との交際を真剣に考えてくれないだろうか?」
「……!」
「そんなに驚くことだったかな。そりゃ、下心のある優しさだったけれど……」
「あ、あ……未央様……」
シモンとニナの逢引きを未央は見てしまった。その時、未央の中に強烈な嫉妬心が沸き起こる。
なんなのあの女。ちょっと可愛いからって調子に乗ってる? 苛められてるからって何なの? 私は一人でどうにかしたのにアンタは男の力に頼って悲劇のヒロインぶるのね!
辺境の村の宿屋でニナがいるから聖女の仕事が出来ないと駄々をこね、聖女の仕事を何か月にも渡って放棄した。困ったパーティーメンバーや村の長はニナを人身御供とすることで未央に聖女の仕事をさせようとした。彼らの立場ではそれしか出来なかった。
「聖女の護衛も侍女も聖女に生殺与奪の権があります。貴方の好きにされると良いでしょう。それこそ気の済むまで……」
言質を得た未央は馬用の鞭で肌が裂けるまでニナをぶった。ボロ雑巾のようになったニナをその村に置いて旅は終わらせた。だがシモンは最後まで自分に付き添わせた。聖女の護衛は全員自分のものなのだから当然。旅が終わるまで、シモンはニナの代わりに苛められていた。
◇
女神は無事に復活した。だが今代の聖女には恐ろしく困っていた。
シモンがどれだけ気の利かない嫌な奴かと長々語ったあとに、でも結婚するならシモンがいいとのたまうのだ。二重人格か?
それに旅の間どうだったのかと聞くと皆歯切れが悪い。
嫌なものを感じて立ち寄った宿屋の人間に聞くと皆「性格が悪すぎて聖女とは思えなかった」 と言う。
聖女召喚はもう百年は続いているけれど、こんな苛烈なタイプは今までいなかった。けれど魂アレルギーのことを考えれば、いつかは生まれていただろう。性格がどうであれ女神はそれを責められる立場ではない。
やんわりと嫌いならシモンでなくてもいいだろうと言うのだが、シモン以外は信用できないと言って聞かない。平気で人を馬鹿にできるやつらしかいなかったから。と。それに苛められている少女を庇ったのはシモンだけだったと。
「私だって……元の世界にいた時は誰かに庇ってほしかった」
彼女はそうポツリと言った。未央にとって、それは白馬の王子様的シチュエーションなのだろうか。それを気に入らない女がされていたから腹が立ったと。
女神はシモンに折れるように言った。なんならニナの記憶を消す魔法をかけようかとも。
シモンはあっさり了承した。ニナの記憶は消す必要が無いと言って笑った。
拍子抜けした女神だが、丸く収まるならそれで良しとした。
◇
未央とシモンが結婚したその夜、未央が珍しくしんみりと言った。
「実は了承されると思ってなかったの。私だったら好きな人痛めつけられたらそいつタダじゃおかないし」
「……そう?」
「ずっとずっと気を張って生きていたけれどね、貴方がニナに告白してる見た時、私が本当に望んでいたのはこういう関係、こういう人だったんだって気づいたの。でも気づいてももう遅すぎるじゃない?」
「そう、思ってたんだね」
「だからあの時は無性にイライラして……ごめんなさい」
それは未央が生まれて初めて口にした謝罪だった。
「貴方が私を選んでくれたから、私……明日からはもう少し人に優しくなろうかなって。もうここは日本じゃないんだし。やっぱり貴方に相応しい奥さんになりたいじゃない? ねえ……」
未央がそれ以上言葉を口にすることはなかった。シモンが隠し持っていたナイフを深々と未央に刺したから。
なぜ、という顔で未央は死んでいった。
「ニナは、あのあと傷口が化膿して死んだよ。最後まで痛い、痛いと泣いてたそうだ。それに比べれば優しい最後だろう?」
シモンは血にまみれたナイフを自分の首に向けた。
「ニナ……仇は取ったよ。誰が何と言おうと、僕はこんな女を聖女とは認めない」
◇
この事件以降、聖女の護衛は若くて美しい男、そして顔のよろしくない女が定番になった。
そして未央の生き方は後代の悪女セレスティアに影響を与えたとされている。
116
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
偽聖女のささやかな復讐
ととせ
ファンタジー
聖女と認定され、王子と強制的に婚約させられたのは、庭師の娘、キャロット。
地位も後ろ盾もない彼女は聖女として王宮に迎えられたものの、待っていたのは陰湿ないじめと、理不尽な命令の連続だった。
母譲りの髪を嘲られ、肌を汚いと笑われ、祈りの儀式では十二時間立ちっぱなし。
それでもキャロットは、ただ黙って耐えた。
なぜなら彼女は、誰よりも忠義を知る庭師だったから。キャロットは聖女ではない。
本物の聖女を逃がすため、ただの庭師が身代わりとなっただけだったのだ。
そしてついに、待ちに待った日が訪れる。
「本日この時をもって聖女としての任を解く。同時に俺との婚約も破棄する!異論は認めん!」
その瞬間、キャロットは満面の笑みで答えた。
「はい、喜んで!」
そんなファンタジーは要らねぇ
猫枕
ファンタジー
学園の遠足で行った湖上遊覧船転覆事故。
その事故で恋人ディランを亡くしたソフィーは事故後何年経っても彼を忘れられずにいた。
ソフィーは毎年事故のあった日に湖畔に花を手向けディランの冥福を祈っていた。
やがてディランの親友だったスティーブと過去の傷に向き合うようになり、次第に二人は惹かれ合い遅い結婚をした。
燃え上るような激しい恋ではなかったが、穏やかで優しい日々の中、待望の子供も授かることができた。
このまま幸せな日々が続いていくと思っていたのだが。
私は私として生きていく
青葉めいこ
ファンタジー
「私は私として生きていく」
あら、よく私がこの修道院にいるとお分かりになりましたね。辺境伯閣下。
ずっと君を捜していた?
ふふ、捜していたのは、この体でしょう? 本来姉が宿っているはずの。
「私は私のまま生きていく」
せっかく永らえた命ですもの。
望んでいた未来を絶たれても、誰に愛されなくても、私は私のまま精一杯生きていく。
この体で、この中身の、私は私のまま生きていく――。
この話は「私は私として生きていく」の主人公の姉の一人語りです。
「私は私のために生きていく」
まさかあなたが、この修道院に現れるとは思いませんでしたわ。元婚約者様。
元じゃない。現在(いま)も僕は君の婚約者だ?
何言っているんですか? 婚約は解消されたでしょう?
あなたが本当に愛する女性、今は女子爵となった彼女と結婚するために、伯爵令嬢だったわたくしとの婚約を解消したではないですか。お忘れになったんですか? さして過去の事でもないのに忘れたのなら記憶力に問題がありますね。
この話は「私は私のまま生きていく」の主人公と入れ替わっていた伯爵令嬢の一人語りです。「私は私~」シリーズの最終話です。
小説家になろうにも投稿しています。
婚約者に見捨てられた悪役令嬢は世界の終わりにお茶を飲む
・めぐめぐ・
ファンタジー
魔王によって、世界が終わりを迎えるこの日。
彼女はお茶を飲みながら、青年に語る。
婚約者である王子、異世界の聖女、聖騎士とともに、魔王を倒すために旅立った魔法使いたる彼女が、悪役令嬢となるまでの物語を――
※終わりは読者の想像にお任せする形です
※頭からっぽで
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
姑に嫁いびりされている姿を見た夫に、離縁を突きつけられました
碧井 汐桜香
ファンタジー
姑に嫁いびりされている姿を見た夫が、嬉しそうに便乗してきます。
学園進学と同時に婚約を公表し、卒業と同時に結婚したわたくしたち。
昔から憧れていた姑を「お義母様」と呼べる新生活に胸躍らせていると、いろいろと想定外ですわ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
異世界なんて行けるとは思わないけれど……人の性格なんて千差万別だから
あり得るかもしれないと。
面白いお話でした、読ませて頂いて有難うございました。
割と前に書いた作品に感想が……こちらこそ有難うございます。
確かメモのよるとこの話のテーマは「心が壊れたままの聖女達」でしたね。
最初の子は最後まで現実逃避してるし次の子は致命的な色欲持ちだし
最後の子は暴力的な素質を開花させたばかりに…という。
「冷遇された聖女の結末」とも地続きな話というか、なんであのヒロインはやたら不遇だったのか→先代(未央さん)のやらかしがね……というオチのために書いた話ですが、この連載だけでも好評みたいで嬉しいです。