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第2章
【2-133】幸福を抱きしめて
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◆◆◆
──春の第一月第一週、一日目。
新年ならびに新国王即位の祝賀会が、ウィスタリア王城で開催されていた。
今は、新たな国王──ジェイデン=フォン=ウィスタリアが、大広間にて即位の挨拶をしている。
「──こうして私が即位するに至るまで、様々なことがあった。ここでその詳細を並べたてはしないが、次期国王選抜期に我が国の問題点が色々と見えてきたように思う。我々が把握していないところで、多くの王国民が不当に苦しめられていた事実も見えた。これは、由々しき事態である。王家が至らず見過ごしてしまっていたことに対し、私は深く謝罪の意を示したい」
そこで言葉を切り、ジェイデンは頭を下げる。国王が国民へ向けて謝罪をするなどと考えてもみなかった来賓客は皆が皆、驚いていた。
ジェイデンの後方に控えているキリエとジャスミンは、視線を交わして微笑み合う。キリエもジャスミンも、兄弟の凛々しい晴れ姿が喜ばしかった。
「この国をもっと豊かにしたい。どんな国民にとっても優しさを感じられる国にしたい。更なる発展を望める国にしたい。これが、私と、共に歩いてくれる兄弟の願いである。今後、国内の貧困に伴う孤児の多さや識字率の低さ等の問題を解消するために、ジャスミンに中心となって動いてもらうことを計画している。また、争うためではなく共に平和的な発展を目指すために隣国と手を取り合うべく、キリエには我が国を代表する大使となって交渉に当たってもらう予定だ。なお、この役割分担は絶対的というわけではなく、外交においてジャスミンに動いてもらうことも、逆に内政においてキリエに動いてもらうこともあるだろう。──いずれにせよ、我々兄弟が心を合わせ、ウィスタリア王国をより良い国にしていくことを目指すと約束しよう!」
キリエとジャスミンもその場で起立し一礼すると、温かな拍手が送られる。その音が鳴り止むのを待ってから、ジェイデンは高らかな声で宣言した。
「我が名は、ジェイデン=フォン=ウィスタリア。ウィスタリア王国第六十五代目国王となったことを、ここに宣言する! 私はまだ若輩者であるがゆえ、不安に思う国民も多いかもしれない。だが、私は国父として最善を尽くすことを誓う。ウィスタリア王国に幸いあれ!」
観衆から大きな歓声が上がり、割れんばかりの拍手が湧き起こる。ジェイデン陛下万歳、ウィスタリア王国万歳、と何度も繰り返される唱和に対し、新たに即位した若き王は片手を上げて応えていた。
◇
「御即位おめでとうございます、ジェイデン陛下」
式典が終了した後、キリエとリアムは国王の私室を訪ねた。国王となったジェイデンは今までの屋敷から王城へと住居を変えたのだが、まだ慣れないらしい。
「やめてくれよ、キリエ。僕は、君にまで畏まられたくはない」
本来の一人称である「僕」へと語り口が戻っているジェイデンは、深い溜息と共にソファーへと寝転んだ。
「はぁ……、国王らしい振る舞いなど、僕には無縁なものだったのだよ。あぁ……、これがずっと続くと考えると、嫌で嫌で仕方がない」
「嗚呼、ジェイデン陛下! もう、そのようにだらしのない御姿を晒してはなりませんよ」
「こら、マックス! 陛下と呼ぶなと言っただろう! 今まで通りに接してくれ! そうじゃないと気が狂いそうなのだよ!」
駄々をこねるジェイデンの様子は、先程まで新国王として凛々しく堂々とした姿を見せていた男と同一人物とは思えない。
キリエは小さな笑い声を上げながら腰を屈め、ジェイデンの顔を覗き込んだ。
「ジェイデン。式典での君は、とても素晴らしい姿でしたよ。全ての国民を愛そうとしてくれる心優しき王様だと感じられて、僕も兄弟として嬉しくなりました」
「……じゃあ、今ここでこうして寝転んでいる僕は? 兄弟として恥ずかしいか?」
「いいえ、まさか! 僕の自慢の兄弟ですよ。半分だけとはいえ、君と血が繋がっているのが誇らしいです」
「うん。僕も、同じ気持ちだ」
キリエの言葉を聞き、満足気に頷いたジェイデンは、むくりと身を起こす。
「キリエ、ようやくここまで来た。──ここまで来たが、まだ始まったにすぎない。様々な問題が山積みだ。ここから、僕たちは色々と動いていかなくてはならない。僕は君のために、君は僕のために、そして僕たちはウィスタリア王国民のために」
「はい」
「うん。……ところで、リアム。本当に爵位を戻さなくていいのか?」
ジェイデンが即位するにあたり、ジェイデンとキリエの命を助けた報奨としてサリバン家の爵位を戻そうかという提案があったのだが、リアムは辞退していたのだ。
リアムは穏やかな面持ちで頷き、一礼する。
「ジェイデン様の御配慮には深く感謝いたしますが、謹んで辞退いたします。私に伯爵位は荷が重いですし、子孫を残すつもりもありません。領地を気に掛けるより、その時間をキリエ様へ注ぎたいというのが本音でございます。お許しいただけるのであれば、どうぞ現状のままでお願い申し上げたく」
「分かったのだよ。君がそれでいいのなら、別に構わない。だが、他の形で報奨を贈らせてもらう。それは素直に受け取ってくれよ」
「はっ。有難き幸せに存じます」
ジェイデンへ深く頭を下げるリアムの横顔に憂いは無く、やわらかな幸福が滲んでいる。それを見たキリエとマクシミリアンは視線を交わし合い、喜びを共有するのだった。
◇
「キリエ様、リアム様、おかえりなさいませ!」
キリエとリアムが所用を済ませて王城を出ると、入口前で馬車と共に待機していたエドワードが満面の笑みと一礼で出迎えてくれる。
「ただいま、エド。長時間の待機、ご苦労様でした」
「ありがとうございます、キリエ様! ……へへっ、キリエ様の正装の御姿、やっぱりめちゃくちゃ素敵っすね!」
「今さら何を言っているんだ、エド。キリエ様はお疲れなんだ。早く帰るぞ」
「はいっ! キリエ様、御手をどうぞ」
「ありがとうございます」
キリエがエドワードの手を借りて馬車へ乗り、リアムも反対側の扉から乗り込んだ。二人が搭乗したことを確認し、エドワードは馬車を出発させる。
馬車の振動に身を任せながら小さく息をついたキリエの膝へ、リアムが封筒を載せてきた。
「ん? リアム、これは……?」
「祝いのカードを入れてあるから、寝る前にでも見てくれ。……十九歳の誕生日おめでとう、キリエ」
「えっ? でも、僕……」
孤児だったキリエは、自身の誕生日を知らない。教会前に捨てられていた時期から、春の第一月第一週生まれだろうと予想していただけだ。
しかし、リアムはキリエの頭を撫でながら優しく目を細める。
「春の第一月第一週の中からなら、一日目をキリエの誕生日としたいと思って、今日渡したんだ。今日は、新年を迎えた日、一年で一番おめでたい日だ。キリエが生まれてくれたという大きな祝福を重ねるのに、これほど相応しい日はないだろう」
それを聞き、キリエの脳内に、幼い頃マルティヌス教会の神父から言われた言葉が蘇る。
『キリエのお誕生日は、春の第一月第一週の一日目にお祝いしようね。一年で一番おめでたい、素晴らしい日だから。愛しい子よ、君が生まれてくれて本当に良かった。なんておめでたい、素晴らしいことだろうね。キリエ、君は神様から贈られた宝物だ。大事な家族、大切な宝物だよ。生まれてくれて、ありがとう』
かつての家族も、今の家族も、キリエを宝物だと言って大切にしてくれる。それは、なんと幸福なことだろうか。
「……キリエ、どうした?」
両手で封筒を握りながら涙ぐむキリエを見て、リアムが心配そうに声を掛けてくる。キリエは拳で目元を拭い、首を振って笑顔を見せた。
「すみません、嬉しくて、つい。……ありがとうございます、リアム。本当は今すぐ開けてしまいたいくらいなのですが、後でゆっくりじっくり読ませていただきますね」
「ああ。家で、キャシーがキリエの好物をたくさん作って待っているはずだ。他の皆も、キリエにカードを渡したくて朝からうずうずしていた」
「そうなのですね。……ふふっ、幸せです」
かつての家族も、今の家族も、幸せでありますように。
与えてくれる以上の幸せを、返していけますように。
豊かな者も、貧しい者も、愛する家族と共に幸せに生きていけますように。
それを実現するために、自分の全力を捧げていけますように。
そんな願いを心の中で祈りながら、キリエは封筒を大切そうに抱きしめるのだった。
【第2章 完】
──春の第一月第一週、一日目。
新年ならびに新国王即位の祝賀会が、ウィスタリア王城で開催されていた。
今は、新たな国王──ジェイデン=フォン=ウィスタリアが、大広間にて即位の挨拶をしている。
「──こうして私が即位するに至るまで、様々なことがあった。ここでその詳細を並べたてはしないが、次期国王選抜期に我が国の問題点が色々と見えてきたように思う。我々が把握していないところで、多くの王国民が不当に苦しめられていた事実も見えた。これは、由々しき事態である。王家が至らず見過ごしてしまっていたことに対し、私は深く謝罪の意を示したい」
そこで言葉を切り、ジェイデンは頭を下げる。国王が国民へ向けて謝罪をするなどと考えてもみなかった来賓客は皆が皆、驚いていた。
ジェイデンの後方に控えているキリエとジャスミンは、視線を交わして微笑み合う。キリエもジャスミンも、兄弟の凛々しい晴れ姿が喜ばしかった。
「この国をもっと豊かにしたい。どんな国民にとっても優しさを感じられる国にしたい。更なる発展を望める国にしたい。これが、私と、共に歩いてくれる兄弟の願いである。今後、国内の貧困に伴う孤児の多さや識字率の低さ等の問題を解消するために、ジャスミンに中心となって動いてもらうことを計画している。また、争うためではなく共に平和的な発展を目指すために隣国と手を取り合うべく、キリエには我が国を代表する大使となって交渉に当たってもらう予定だ。なお、この役割分担は絶対的というわけではなく、外交においてジャスミンに動いてもらうことも、逆に内政においてキリエに動いてもらうこともあるだろう。──いずれにせよ、我々兄弟が心を合わせ、ウィスタリア王国をより良い国にしていくことを目指すと約束しよう!」
キリエとジャスミンもその場で起立し一礼すると、温かな拍手が送られる。その音が鳴り止むのを待ってから、ジェイデンは高らかな声で宣言した。
「我が名は、ジェイデン=フォン=ウィスタリア。ウィスタリア王国第六十五代目国王となったことを、ここに宣言する! 私はまだ若輩者であるがゆえ、不安に思う国民も多いかもしれない。だが、私は国父として最善を尽くすことを誓う。ウィスタリア王国に幸いあれ!」
観衆から大きな歓声が上がり、割れんばかりの拍手が湧き起こる。ジェイデン陛下万歳、ウィスタリア王国万歳、と何度も繰り返される唱和に対し、新たに即位した若き王は片手を上げて応えていた。
◇
「御即位おめでとうございます、ジェイデン陛下」
式典が終了した後、キリエとリアムは国王の私室を訪ねた。国王となったジェイデンは今までの屋敷から王城へと住居を変えたのだが、まだ慣れないらしい。
「やめてくれよ、キリエ。僕は、君にまで畏まられたくはない」
本来の一人称である「僕」へと語り口が戻っているジェイデンは、深い溜息と共にソファーへと寝転んだ。
「はぁ……、国王らしい振る舞いなど、僕には無縁なものだったのだよ。あぁ……、これがずっと続くと考えると、嫌で嫌で仕方がない」
「嗚呼、ジェイデン陛下! もう、そのようにだらしのない御姿を晒してはなりませんよ」
「こら、マックス! 陛下と呼ぶなと言っただろう! 今まで通りに接してくれ! そうじゃないと気が狂いそうなのだよ!」
駄々をこねるジェイデンの様子は、先程まで新国王として凛々しく堂々とした姿を見せていた男と同一人物とは思えない。
キリエは小さな笑い声を上げながら腰を屈め、ジェイデンの顔を覗き込んだ。
「ジェイデン。式典での君は、とても素晴らしい姿でしたよ。全ての国民を愛そうとしてくれる心優しき王様だと感じられて、僕も兄弟として嬉しくなりました」
「……じゃあ、今ここでこうして寝転んでいる僕は? 兄弟として恥ずかしいか?」
「いいえ、まさか! 僕の自慢の兄弟ですよ。半分だけとはいえ、君と血が繋がっているのが誇らしいです」
「うん。僕も、同じ気持ちだ」
キリエの言葉を聞き、満足気に頷いたジェイデンは、むくりと身を起こす。
「キリエ、ようやくここまで来た。──ここまで来たが、まだ始まったにすぎない。様々な問題が山積みだ。ここから、僕たちは色々と動いていかなくてはならない。僕は君のために、君は僕のために、そして僕たちはウィスタリア王国民のために」
「はい」
「うん。……ところで、リアム。本当に爵位を戻さなくていいのか?」
ジェイデンが即位するにあたり、ジェイデンとキリエの命を助けた報奨としてサリバン家の爵位を戻そうかという提案があったのだが、リアムは辞退していたのだ。
リアムは穏やかな面持ちで頷き、一礼する。
「ジェイデン様の御配慮には深く感謝いたしますが、謹んで辞退いたします。私に伯爵位は荷が重いですし、子孫を残すつもりもありません。領地を気に掛けるより、その時間をキリエ様へ注ぎたいというのが本音でございます。お許しいただけるのであれば、どうぞ現状のままでお願い申し上げたく」
「分かったのだよ。君がそれでいいのなら、別に構わない。だが、他の形で報奨を贈らせてもらう。それは素直に受け取ってくれよ」
「はっ。有難き幸せに存じます」
ジェイデンへ深く頭を下げるリアムの横顔に憂いは無く、やわらかな幸福が滲んでいる。それを見たキリエとマクシミリアンは視線を交わし合い、喜びを共有するのだった。
◇
「キリエ様、リアム様、おかえりなさいませ!」
キリエとリアムが所用を済ませて王城を出ると、入口前で馬車と共に待機していたエドワードが満面の笑みと一礼で出迎えてくれる。
「ただいま、エド。長時間の待機、ご苦労様でした」
「ありがとうございます、キリエ様! ……へへっ、キリエ様の正装の御姿、やっぱりめちゃくちゃ素敵っすね!」
「今さら何を言っているんだ、エド。キリエ様はお疲れなんだ。早く帰るぞ」
「はいっ! キリエ様、御手をどうぞ」
「ありがとうございます」
キリエがエドワードの手を借りて馬車へ乗り、リアムも反対側の扉から乗り込んだ。二人が搭乗したことを確認し、エドワードは馬車を出発させる。
馬車の振動に身を任せながら小さく息をついたキリエの膝へ、リアムが封筒を載せてきた。
「ん? リアム、これは……?」
「祝いのカードを入れてあるから、寝る前にでも見てくれ。……十九歳の誕生日おめでとう、キリエ」
「えっ? でも、僕……」
孤児だったキリエは、自身の誕生日を知らない。教会前に捨てられていた時期から、春の第一月第一週生まれだろうと予想していただけだ。
しかし、リアムはキリエの頭を撫でながら優しく目を細める。
「春の第一月第一週の中からなら、一日目をキリエの誕生日としたいと思って、今日渡したんだ。今日は、新年を迎えた日、一年で一番おめでたい日だ。キリエが生まれてくれたという大きな祝福を重ねるのに、これほど相応しい日はないだろう」
それを聞き、キリエの脳内に、幼い頃マルティヌス教会の神父から言われた言葉が蘇る。
『キリエのお誕生日は、春の第一月第一週の一日目にお祝いしようね。一年で一番おめでたい、素晴らしい日だから。愛しい子よ、君が生まれてくれて本当に良かった。なんておめでたい、素晴らしいことだろうね。キリエ、君は神様から贈られた宝物だ。大事な家族、大切な宝物だよ。生まれてくれて、ありがとう』
かつての家族も、今の家族も、キリエを宝物だと言って大切にしてくれる。それは、なんと幸福なことだろうか。
「……キリエ、どうした?」
両手で封筒を握りながら涙ぐむキリエを見て、リアムが心配そうに声を掛けてくる。キリエは拳で目元を拭い、首を振って笑顔を見せた。
「すみません、嬉しくて、つい。……ありがとうございます、リアム。本当は今すぐ開けてしまいたいくらいなのですが、後でゆっくりじっくり読ませていただきますね」
「ああ。家で、キャシーがキリエの好物をたくさん作って待っているはずだ。他の皆も、キリエにカードを渡したくて朝からうずうずしていた」
「そうなのですね。……ふふっ、幸せです」
かつての家族も、今の家族も、幸せでありますように。
与えてくれる以上の幸せを、返していけますように。
豊かな者も、貧しい者も、愛する家族と共に幸せに生きていけますように。
それを実現するために、自分の全力を捧げていけますように。
そんな願いを心の中で祈りながら、キリエは封筒を大切そうに抱きしめるのだった。
【第2章 完】
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