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第4話 プールサイド
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何度も泳ぎに行こうと誘ったけど、
やっぱり彼は来なかった。
一人で海に行くのもなんだかな~
と思い、プールに行くことにした。
まあ、プールに一人で行くのも悲しいものがあるけど、
人の波に紛れてしまえばそうそう一人でも目立たない。
正直言うと、もしかしたらって思いもあって、
プールにしたというのもある。
出入口に近いところに居れば、
直ぐにホテルからのプールへの出入りが分かるからだ。
だから僕は入り口に近い、
直ぐにでも目につきそうな場所を陣取って座って居たけど、
それでも結局矢野君は来なかった。
でもそう言うところに座ると言う事は、
他の人達も否応に目に入るわけで、
今日来たバイトの人たちの楽しげにビーチへ向かう姿まで目にしてしまった。
“僕も一緒に……”
なんてちょっと無理か……
でも彼らはきっと僕を覚えていたはず。
横目で僕をみると、
“あ~ あの子か”
と言うような顔をした後、
僕を無視してスッと去って行ってしまった。
別に僕は友達を作るのが苦手なわけではない。
どちらかと言うと、友達は多い方だ。
だたし、βのみだけど……
うちの学校にいるαは少し近寄り難い。
別にカーストがある訳ではないけど、
“違う世界の人種”
と言ったような感じだ。
別に誰かをいじめたり、
無視したりって事もない。
ちゃんとフレンドリーに話しかけてもくれる。
でもやっぱり何かが僕とは違うのだ。
そんな近寄り難いって言う雰囲気では、
此処にいる人たちと変わらない。
だから恐らく此処にいる人は殆どがαだろう。
“学校に居るαとは段違いに俺様だけどな!”
そう思いパーカーのフードを深く被ると
少し目頭がジンとしてきた。
“は~ Ωなのにαが苦手なんて、
僕、本当に番なんて出来るのかな……”
そう思うと少し落ち込んできた。
暫くプールサイドに座っていき行く人を見ていたけど、
矢野君がやって来そうな雰囲気はなかったので、
矢野君を待つことは諦めた。
そこで少し気になってた敷地内を探検してみようと思った。
それはバスの中から見た、違った雰囲気の建物が並んだところだ。
その建物もこのホテルの別棟らしかった。
脱ぎ捨てておいたビーチサンダルを履くと、
少しずり落ちていた海水パンツを引き上げた。
記憶にある方向へと歩いて行くと、
真っ白に立ち並んでいる建物が見えてきた。
“あっ、あそこだ!”
そこまで走っていくと、
看板にサンシャイン・ヴィラとあった。
“此処はヴィラって言うところか……
うわ~ 近くで見ても壁が真っ白……
ギリシャの建物みたい……
こんなとこ泊まれたら凄いロマンチックだろうな~
中に入れないかな? この壁ちょっと邪魔……”
そう思ってちょっとぴょんぴょん飛んでみたけど、
中は全然見えなかった。
“残念! バイトの特権で空いてる部屋のツアーやってくれないかな?
まあ仕方ないか……
またプールに戻ってみようかな……?
でも一人だとつまんないな……
凄く楽しみにしてたのに、
ぼっちになっちゃったよ……
は~ もっと矢野君がフレンドリーだと良かったんだけど……
いつも機嫌悪そうだしな~
どうやったら仲良くなれるかな~”
そんなことを思いながら、トボトボとプールまで戻って行った。
すると、プールの端のパラソルの下に見知った顔が……
「矢野ク~ン!」
僕は彼がそこに居たことが凄くうれしくて駆け寄って行った。
矢野君は僕をちらっと見て、
サングラスをかけなおした。
「君もやっぱり来たんだね!
嬉しい!
一緒に遊ぼうよ!
僕もここに座っていい?」
そう尋ねたけど、彼は何も言わなかったので、
それはYESと取り、彼の横に陣取った。
“そう言えば出会いが出会いだったせいか、
彼の事は平気だな?”
そんなことを考えながら来ていたシャツを脱いだ。
持ってきていたバッグの中にしまっておいた浮き輪を取り出すと、
顔を真っ赤にしてフ~ッ、フ~ッと膨らませ始めた。
そんな僕を矢野君はびっくりした様な顔をしてみていたけど、
やっぱり何も言わなかった。
浮き輪を膨らませ終わると、
僕はポーンとプールに飛び込んだ。
「ヒャ~ 冷たい!
矢野君もおいでよ!
水が冷たくて気持ちいいよ!」
プールサイドによって矢野君に声をかけると、
何か思ったのか、彼もプールに飛び込んできた。
そして僕に近寄ると、
「お前さ、18にもなって浮き輪って……」
と、プールに出て来て初めて声をかけてくれた。
“それが言いたかったのかな?”
と思ったけど、それがとても嬉しかった。
「あのさ~ 僕、まだ誕生日来てないから実際は17歳だよ」
そう言うと矢野君は白い目を向けて、
「17も18も変わらないだろ」
と口の端に少しの笑みを見せた。
「ねえ、ねえ、矢野君ってもう誕生日来たの?」
「俺は6月生まれだからもうとっくに大人なんだよ」
「え~ まだ高校生だから大人って言っても独り立ちは出来ないでしょう?」
僕がそう言うと、彼はまたムスッと黙り込んでしまった。
“しまった……地雷踏んじゃった?”
僕は慌てて、
「僕ね、誕生日が8月なんだよ!
8月31日!」
と話を逸らしてみようと試みた。
すると矢野君も乗ってくれたのか、
「それだったらもうバイト期間も終わった後だな。 残念だったな」
とニカっと笑ったので、
僕はほんの少し、ほんの少しだけ涙が出る様な思いだった。
“笑ってくれた! 矢野君が笑ってくれた!”
そう思うと少し照れ臭かったので、
水にジャブッと浸かって上がると、
少しだけ落ち着いた。
「ねえ、僕、あっちの流れに乗ってくる。矢野君も行ってみる?」
僕が訪ねると矢野君は少し向こうの様子を見て、
「嫌、少し涼んだし俺は少し休憩してるよ」
そう言ってプールから上がっていく姿がカッコよくて、
少しドキリとした。
”何考えてるんだ!“
そう思って首をブンブン振ると、
彼をみていたのは僕だけではなかった。
数人のクループの女子達が何やら
ヒソヒソと彼を見ながら内緒話をしていた。
“やっぱりモテるんだ~”
気を取り直して流れるプールの方へやってくると、
キョロキョロとして、流れに乗れそうなチャンスをうかがった。
人の途切れを見つけると、
プールサイドからそこにそっと滑り降りた。
浮き輪にドカッと乗っかると、
フワフワと流されながら、
考える事はやっぱり矢野君の事だった。
“興奮できないって何が問題なんだろう?
Ωの発情期に充てられないって、よっぽどの事だよね?
待てよ?
発情期に充てられないってだけで、
普通にはエッチ出来ちゃうのかな?
そうだと男の僕はお呼びじゃない?
イヤイヤ、矢野君とだなんて、天地がひっくり返ってもありえないな。
でもいい友達にはなれるかも?
あっ、そう言えば……
最初に僕のこと女の子と思ってウキウキしてなかったっけ?
まあ、女の子みたいな名前だしな~
そっか~ やっぱり彼の恋愛対象は女の子か~って
何ちょっとガッカリしてるの?
いや、いや僕が欲しいのはお金持ちのα!
でも彼もαだし、彼もお金持ちの御坊ちゃまなのかな~
そう言えば矢野って……
多分偶然なんだろうけど聞いてみても良いかな?
また気分を害するかな?
どうしたもんかな~”
色々と考えているうちに、僕は流れるプールを3周もしてしまった。
“そろそろ戻ろっかな……
矢野君も気になるし……“
僕は流れるプールから上がると、
矢野君の待つ普通のプールの方へと向かって歩いて行った。
途中途中、小さな子達に、
僕の浮き輪がカッコいいと囲まれた。
そりゃあクジャクの浮き輪はカッコよく見えるだろう。
僕でも最初見た時は度肝を抜かれた。
でも、このバイトが既に決まっていたので、安くは無かったけど、
使い道は沢山あると思い、思い切って買ってみた。
目立つかな?と思ったけど、
此処へ来ると、割と派手な浮き輪、浮き袋を持ってる人が多く、
そこまで目立つと言うほどではなかった。
それでも子供達の目には留まったようだ。
少し子供たちに浮き輪を自慢げに見せていたけど、
心は矢野君が気になって気になって仕方なかった。
「じゃあ、僕行かなくちゃ。
君たちまた後でね!」
何とかタイミングを見つけてそう言うと、
矢野君の待つプールサイドへと急いだ。
当の矢野君は何だか深刻そうにホテルの人と話をしていた。
「どうしたの? 何か問題?」
僕が突然現れると、
ホテルの人はギョッとした様にして僕に一礼するとサッとその場を去った。
僕が目でその人を見送った後、
「ねえ、何だか言い争ってたみたいだけど……大丈夫?」
と矢野君に尋ねた。
「あ? ああ、大丈夫だ。
ちょっと質問をしてただけだ」
そう矢野君は答えたけど、
それだけでは無さそうだった。
「ねえ、此処の創立者の情報見たんだけど、矢野君と同じ苗字だよね?
親戚か何かなの?」
と思わず、ずっと思っていた疑問が口を突いて出てしまった。
矢野君は変な顔をして僕を見たけど、
「いや、ただの偶然だよ」
と一言だけ言った後、
「そう言えば、洗濯室の制服が支給されるみたいだから取りに来る様にってだったぞ。
俺は今から行って部屋に戻るから、お前はまだ此処にいるか?」
と尋ねたので、
「僕も行く! 一緒に行く!」
そう言って部屋に戻る準備をした。
やっぱり彼は来なかった。
一人で海に行くのもなんだかな~
と思い、プールに行くことにした。
まあ、プールに一人で行くのも悲しいものがあるけど、
人の波に紛れてしまえばそうそう一人でも目立たない。
正直言うと、もしかしたらって思いもあって、
プールにしたというのもある。
出入口に近いところに居れば、
直ぐにホテルからのプールへの出入りが分かるからだ。
だから僕は入り口に近い、
直ぐにでも目につきそうな場所を陣取って座って居たけど、
それでも結局矢野君は来なかった。
でもそう言うところに座ると言う事は、
他の人達も否応に目に入るわけで、
今日来たバイトの人たちの楽しげにビーチへ向かう姿まで目にしてしまった。
“僕も一緒に……”
なんてちょっと無理か……
でも彼らはきっと僕を覚えていたはず。
横目で僕をみると、
“あ~ あの子か”
と言うような顔をした後、
僕を無視してスッと去って行ってしまった。
別に僕は友達を作るのが苦手なわけではない。
どちらかと言うと、友達は多い方だ。
だたし、βのみだけど……
うちの学校にいるαは少し近寄り難い。
別にカーストがある訳ではないけど、
“違う世界の人種”
と言ったような感じだ。
別に誰かをいじめたり、
無視したりって事もない。
ちゃんとフレンドリーに話しかけてもくれる。
でもやっぱり何かが僕とは違うのだ。
そんな近寄り難いって言う雰囲気では、
此処にいる人たちと変わらない。
だから恐らく此処にいる人は殆どがαだろう。
“学校に居るαとは段違いに俺様だけどな!”
そう思いパーカーのフードを深く被ると
少し目頭がジンとしてきた。
“は~ Ωなのにαが苦手なんて、
僕、本当に番なんて出来るのかな……”
そう思うと少し落ち込んできた。
暫くプールサイドに座っていき行く人を見ていたけど、
矢野君がやって来そうな雰囲気はなかったので、
矢野君を待つことは諦めた。
そこで少し気になってた敷地内を探検してみようと思った。
それはバスの中から見た、違った雰囲気の建物が並んだところだ。
その建物もこのホテルの別棟らしかった。
脱ぎ捨てておいたビーチサンダルを履くと、
少しずり落ちていた海水パンツを引き上げた。
記憶にある方向へと歩いて行くと、
真っ白に立ち並んでいる建物が見えてきた。
“あっ、あそこだ!”
そこまで走っていくと、
看板にサンシャイン・ヴィラとあった。
“此処はヴィラって言うところか……
うわ~ 近くで見ても壁が真っ白……
ギリシャの建物みたい……
こんなとこ泊まれたら凄いロマンチックだろうな~
中に入れないかな? この壁ちょっと邪魔……”
そう思ってちょっとぴょんぴょん飛んでみたけど、
中は全然見えなかった。
“残念! バイトの特権で空いてる部屋のツアーやってくれないかな?
まあ仕方ないか……
またプールに戻ってみようかな……?
でも一人だとつまんないな……
凄く楽しみにしてたのに、
ぼっちになっちゃったよ……
は~ もっと矢野君がフレンドリーだと良かったんだけど……
いつも機嫌悪そうだしな~
どうやったら仲良くなれるかな~”
そんなことを思いながら、トボトボとプールまで戻って行った。
すると、プールの端のパラソルの下に見知った顔が……
「矢野ク~ン!」
僕は彼がそこに居たことが凄くうれしくて駆け寄って行った。
矢野君は僕をちらっと見て、
サングラスをかけなおした。
「君もやっぱり来たんだね!
嬉しい!
一緒に遊ぼうよ!
僕もここに座っていい?」
そう尋ねたけど、彼は何も言わなかったので、
それはYESと取り、彼の横に陣取った。
“そう言えば出会いが出会いだったせいか、
彼の事は平気だな?”
そんなことを考えながら来ていたシャツを脱いだ。
持ってきていたバッグの中にしまっておいた浮き輪を取り出すと、
顔を真っ赤にしてフ~ッ、フ~ッと膨らませ始めた。
そんな僕を矢野君はびっくりした様な顔をしてみていたけど、
やっぱり何も言わなかった。
浮き輪を膨らませ終わると、
僕はポーンとプールに飛び込んだ。
「ヒャ~ 冷たい!
矢野君もおいでよ!
水が冷たくて気持ちいいよ!」
プールサイドによって矢野君に声をかけると、
何か思ったのか、彼もプールに飛び込んできた。
そして僕に近寄ると、
「お前さ、18にもなって浮き輪って……」
と、プールに出て来て初めて声をかけてくれた。
“それが言いたかったのかな?”
と思ったけど、それがとても嬉しかった。
「あのさ~ 僕、まだ誕生日来てないから実際は17歳だよ」
そう言うと矢野君は白い目を向けて、
「17も18も変わらないだろ」
と口の端に少しの笑みを見せた。
「ねえ、ねえ、矢野君ってもう誕生日来たの?」
「俺は6月生まれだからもうとっくに大人なんだよ」
「え~ まだ高校生だから大人って言っても独り立ちは出来ないでしょう?」
僕がそう言うと、彼はまたムスッと黙り込んでしまった。
“しまった……地雷踏んじゃった?”
僕は慌てて、
「僕ね、誕生日が8月なんだよ!
8月31日!」
と話を逸らしてみようと試みた。
すると矢野君も乗ってくれたのか、
「それだったらもうバイト期間も終わった後だな。 残念だったな」
とニカっと笑ったので、
僕はほんの少し、ほんの少しだけ涙が出る様な思いだった。
“笑ってくれた! 矢野君が笑ってくれた!”
そう思うと少し照れ臭かったので、
水にジャブッと浸かって上がると、
少しだけ落ち着いた。
「ねえ、僕、あっちの流れに乗ってくる。矢野君も行ってみる?」
僕が訪ねると矢野君は少し向こうの様子を見て、
「嫌、少し涼んだし俺は少し休憩してるよ」
そう言ってプールから上がっていく姿がカッコよくて、
少しドキリとした。
”何考えてるんだ!“
そう思って首をブンブン振ると、
彼をみていたのは僕だけではなかった。
数人のクループの女子達が何やら
ヒソヒソと彼を見ながら内緒話をしていた。
“やっぱりモテるんだ~”
気を取り直して流れるプールの方へやってくると、
キョロキョロとして、流れに乗れそうなチャンスをうかがった。
人の途切れを見つけると、
プールサイドからそこにそっと滑り降りた。
浮き輪にドカッと乗っかると、
フワフワと流されながら、
考える事はやっぱり矢野君の事だった。
“興奮できないって何が問題なんだろう?
Ωの発情期に充てられないって、よっぽどの事だよね?
待てよ?
発情期に充てられないってだけで、
普通にはエッチ出来ちゃうのかな?
そうだと男の僕はお呼びじゃない?
イヤイヤ、矢野君とだなんて、天地がひっくり返ってもありえないな。
でもいい友達にはなれるかも?
あっ、そう言えば……
最初に僕のこと女の子と思ってウキウキしてなかったっけ?
まあ、女の子みたいな名前だしな~
そっか~ やっぱり彼の恋愛対象は女の子か~って
何ちょっとガッカリしてるの?
いや、いや僕が欲しいのはお金持ちのα!
でも彼もαだし、彼もお金持ちの御坊ちゃまなのかな~
そう言えば矢野って……
多分偶然なんだろうけど聞いてみても良いかな?
また気分を害するかな?
どうしたもんかな~”
色々と考えているうちに、僕は流れるプールを3周もしてしまった。
“そろそろ戻ろっかな……
矢野君も気になるし……“
僕は流れるプールから上がると、
矢野君の待つ普通のプールの方へと向かって歩いて行った。
途中途中、小さな子達に、
僕の浮き輪がカッコいいと囲まれた。
そりゃあクジャクの浮き輪はカッコよく見えるだろう。
僕でも最初見た時は度肝を抜かれた。
でも、このバイトが既に決まっていたので、安くは無かったけど、
使い道は沢山あると思い、思い切って買ってみた。
目立つかな?と思ったけど、
此処へ来ると、割と派手な浮き輪、浮き袋を持ってる人が多く、
そこまで目立つと言うほどではなかった。
それでも子供達の目には留まったようだ。
少し子供たちに浮き輪を自慢げに見せていたけど、
心は矢野君が気になって気になって仕方なかった。
「じゃあ、僕行かなくちゃ。
君たちまた後でね!」
何とかタイミングを見つけてそう言うと、
矢野君の待つプールサイドへと急いだ。
当の矢野君は何だか深刻そうにホテルの人と話をしていた。
「どうしたの? 何か問題?」
僕が突然現れると、
ホテルの人はギョッとした様にして僕に一礼するとサッとその場を去った。
僕が目でその人を見送った後、
「ねえ、何だか言い争ってたみたいだけど……大丈夫?」
と矢野君に尋ねた。
「あ? ああ、大丈夫だ。
ちょっと質問をしてただけだ」
そう矢野君は答えたけど、
それだけでは無さそうだった。
「ねえ、此処の創立者の情報見たんだけど、矢野君と同じ苗字だよね?
親戚か何かなの?」
と思わず、ずっと思っていた疑問が口を突いて出てしまった。
矢野君は変な顔をして僕を見たけど、
「いや、ただの偶然だよ」
と一言だけ言った後、
「そう言えば、洗濯室の制服が支給されるみたいだから取りに来る様にってだったぞ。
俺は今から行って部屋に戻るから、お前はまだ此処にいるか?」
と尋ねたので、
「僕も行く! 一緒に行く!」
そう言って部屋に戻る準備をした。
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