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第45話 結婚ラッシュ
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「何で君までこの部署なの?
コネって凄いね。
君、花のはの字も知らないでしょ?」
水切りをしながら、
隣で切り落とした茎と遊ぶ佐々木君を横目に僕は尋ねた。
「花ぐらい知ってるよ!」
とムキになって答える彼に、
「じゃあ、この花、何て名前か知ってる?」
と尋ねると、途端に彼は尻込みし始めた。
「それぐらい知ってるよ。
ほら、アレだろ? あれ!」
「あれって何?
アレだと分かんないんだけど?」
「ほら、此処まで出かかって……
何だっけ?
あ~っと、あれだ!
向こうにあるのは向日葵だ!」
そう言って壁の所にある
バケツに入った向日葵を指差してそう言った。
「チョット~ 僕の持ってる花の事を聞いているんですけど?」
そう言って佐々木君とやりとりしていると、
「佐々木さん、それは百合ですよ」
そう言って本田さんが、
カラーの花を沢山抱えてやって来た。
佐々木君はあの出会いから、
嵯峨野さんに頼み込んでインフィニティに潜り込んだ。
僕はてっきり佐々木君も
スプリングヒルのホテルのランドリー室で
バイトをしていると思ったのに、
あの日は偶然に矢野君に会いに来ていただけだった。
それを考えると、
僕達の出会いは奇跡だったかのかも知れない。
佐々木君曰く、
“一花大叔母さんが巡り合わせてくれた”
と思っているみたいだけど、
僕には分からない。
僕は佐々木君に本田さんが持って来たカラーの花を渡すと、
「さて、この花は何の為の花でしょう?」
とまた意地悪にも問題を出した。
花の事なんてちっとも知らないくせに、
一体何故此処にやって来たのか分からない。
本当にコネとは怖いもんだ。
でも彼はコネで入って来た事を隠していない。
普通そう言う人は、
大抵爪弾きにされそうなものなのに、
彼はこの部署の人達から可愛がられていた。
佐々木君は僕にカラーの花を1本渡すと、
「ほら、花嫁のブーケだろ?」
と全くのズブの素人ではなさそうだ。
「分かってるんだったらブーケの制作に入って下さい。
明日は結婚ラッシュですよ」
6月の吉日と週末が重なると、
秒単位の如くというのは大げさだけど、
それくらい式が入っている。
僕たちも今月に入ってから
殆ど家に帰っていない。
そんな時に佐々木君が入って来たのは
天の助けだった。
佐々木君は花の名前は壊滅的に分からないけど、
センスは抜群に良かった。
彼の作る花嫁のブーケはたちまち人気の商品になった。
それが彼が皆に可愛がられる理由だ。
やはり実力社会と言う事だ。
しつこいようだが、
花の名前の知識は壊滅的だ。
ポッと出の佐々木君に美味しいところを取られて、
少々妬む様な気持ちを持ってしまったけど、
やっぱり血なのかも知れない。
佐々木君こそフラワーコーディネーターの方へ進めば良いのに、
何故T大に行ってるのだろう?
彼の進路は分からないけど、
凄い才能を持ってるのに勿体ないと思った。
僕は隣で作業する矢野君の手捌きを見ながら、
再度感心した。
次々と出来ていくブーケは、
本田さんの手によって奥にある冷蔵庫まで運ばれた。
出来上がったブーケは花が傷まないように
明日のお式まで冷蔵庫で温度と湿度を厳重に管理して保管される。
グループ内にある挙式場だけでも、
明日だけで20組の式が予定されている。
花嫁の希望するブーケもそれぞれに個性がある。
殆どが写真を持って来て、
「この通りに作ってください」
なのだけど、中には
”お任せ“
もあり、そんなお任せのブーケを
佐々木君は見事に花嫁のイメージ通りに作り上げる。
そんな佐々木君は、
「小さい頃は良く一花大叔母さんと花冠を作った」
と言っていたので、
恐らくその中に
”訓練“
が仕込まれていたのだろう。
でもそれは佐々木君の才能でもあると思う。
本当に色彩感覚が抜群で男の僕でも惚れ惚れしてしまう様な出来だ。
佐々木君の作る花束がうちにあったら、
きっと部屋の雰囲気や空気も変わるだろう。
僕は出来上がったブーケを仕舞ってある冷蔵庫の前に立つと、
ウットリとしてその完成度に感動していた。
Ωのサガなのか、
時と場合によっては女性が好きそうなものを好む時がある。
僕に取ってはブーケもその一つかも知れない。
いや、花自体が僕に取ってはもう生活の一部だ。
僕の立つ横に佐々木君がやって来たのが視界に入ると、
彼の方を向いた。
「この後ワイルドフラワーが配達されるみたいだから、
今度はお前の出番だな」
佐々木君はそう言うと、
自分が作ったブーケに目をやった。
今回ガーデン式を行う2組のカップルから
ワイルドフラワーで作る花冠の注文があった。
ワイルドフラワーのリクエストがあると、
僕が手がける様になった。
今回は花嫁の分と、
リングガールとフラワーガールの子供用だ。
自分の作った作品を
一生に一度の大切な場で使って貰うのはすごく嬉しい。
頑張って最高のものを作ろうと思った。
佐々木君の方を見ると、僕はガッツポーズをした。
その時奥の方から挨拶をする様な声がしたので、
「花が届いたみたいだね。
確認に行こうか」
佐々木君にそう言って作業場の方まで戻ると、
そこに居たのはゼロからの配達では無く、
「仁! 夕食未だだろ?
忙しいと思ったから差し入れだ!」
そう言って微笑む矢野君の姿だった。
コネって凄いね。
君、花のはの字も知らないでしょ?」
水切りをしながら、
隣で切り落とした茎と遊ぶ佐々木君を横目に僕は尋ねた。
「花ぐらい知ってるよ!」
とムキになって答える彼に、
「じゃあ、この花、何て名前か知ってる?」
と尋ねると、途端に彼は尻込みし始めた。
「それぐらい知ってるよ。
ほら、アレだろ? あれ!」
「あれって何?
アレだと分かんないんだけど?」
「ほら、此処まで出かかって……
何だっけ?
あ~っと、あれだ!
向こうにあるのは向日葵だ!」
そう言って壁の所にある
バケツに入った向日葵を指差してそう言った。
「チョット~ 僕の持ってる花の事を聞いているんですけど?」
そう言って佐々木君とやりとりしていると、
「佐々木さん、それは百合ですよ」
そう言って本田さんが、
カラーの花を沢山抱えてやって来た。
佐々木君はあの出会いから、
嵯峨野さんに頼み込んでインフィニティに潜り込んだ。
僕はてっきり佐々木君も
スプリングヒルのホテルのランドリー室で
バイトをしていると思ったのに、
あの日は偶然に矢野君に会いに来ていただけだった。
それを考えると、
僕達の出会いは奇跡だったかのかも知れない。
佐々木君曰く、
“一花大叔母さんが巡り合わせてくれた”
と思っているみたいだけど、
僕には分からない。
僕は佐々木君に本田さんが持って来たカラーの花を渡すと、
「さて、この花は何の為の花でしょう?」
とまた意地悪にも問題を出した。
花の事なんてちっとも知らないくせに、
一体何故此処にやって来たのか分からない。
本当にコネとは怖いもんだ。
でも彼はコネで入って来た事を隠していない。
普通そう言う人は、
大抵爪弾きにされそうなものなのに、
彼はこの部署の人達から可愛がられていた。
佐々木君は僕にカラーの花を1本渡すと、
「ほら、花嫁のブーケだろ?」
と全くのズブの素人ではなさそうだ。
「分かってるんだったらブーケの制作に入って下さい。
明日は結婚ラッシュですよ」
6月の吉日と週末が重なると、
秒単位の如くというのは大げさだけど、
それくらい式が入っている。
僕たちも今月に入ってから
殆ど家に帰っていない。
そんな時に佐々木君が入って来たのは
天の助けだった。
佐々木君は花の名前は壊滅的に分からないけど、
センスは抜群に良かった。
彼の作る花嫁のブーケはたちまち人気の商品になった。
それが彼が皆に可愛がられる理由だ。
やはり実力社会と言う事だ。
しつこいようだが、
花の名前の知識は壊滅的だ。
ポッと出の佐々木君に美味しいところを取られて、
少々妬む様な気持ちを持ってしまったけど、
やっぱり血なのかも知れない。
佐々木君こそフラワーコーディネーターの方へ進めば良いのに、
何故T大に行ってるのだろう?
彼の進路は分からないけど、
凄い才能を持ってるのに勿体ないと思った。
僕は隣で作業する矢野君の手捌きを見ながら、
再度感心した。
次々と出来ていくブーケは、
本田さんの手によって奥にある冷蔵庫まで運ばれた。
出来上がったブーケは花が傷まないように
明日のお式まで冷蔵庫で温度と湿度を厳重に管理して保管される。
グループ内にある挙式場だけでも、
明日だけで20組の式が予定されている。
花嫁の希望するブーケもそれぞれに個性がある。
殆どが写真を持って来て、
「この通りに作ってください」
なのだけど、中には
”お任せ“
もあり、そんなお任せのブーケを
佐々木君は見事に花嫁のイメージ通りに作り上げる。
そんな佐々木君は、
「小さい頃は良く一花大叔母さんと花冠を作った」
と言っていたので、
恐らくその中に
”訓練“
が仕込まれていたのだろう。
でもそれは佐々木君の才能でもあると思う。
本当に色彩感覚が抜群で男の僕でも惚れ惚れしてしまう様な出来だ。
佐々木君の作る花束がうちにあったら、
きっと部屋の雰囲気や空気も変わるだろう。
僕は出来上がったブーケを仕舞ってある冷蔵庫の前に立つと、
ウットリとしてその完成度に感動していた。
Ωのサガなのか、
時と場合によっては女性が好きそうなものを好む時がある。
僕に取ってはブーケもその一つかも知れない。
いや、花自体が僕に取ってはもう生活の一部だ。
僕の立つ横に佐々木君がやって来たのが視界に入ると、
彼の方を向いた。
「この後ワイルドフラワーが配達されるみたいだから、
今度はお前の出番だな」
佐々木君はそう言うと、
自分が作ったブーケに目をやった。
今回ガーデン式を行う2組のカップルから
ワイルドフラワーで作る花冠の注文があった。
ワイルドフラワーのリクエストがあると、
僕が手がける様になった。
今回は花嫁の分と、
リングガールとフラワーガールの子供用だ。
自分の作った作品を
一生に一度の大切な場で使って貰うのはすごく嬉しい。
頑張って最高のものを作ろうと思った。
佐々木君の方を見ると、僕はガッツポーズをした。
その時奥の方から挨拶をする様な声がしたので、
「花が届いたみたいだね。
確認に行こうか」
佐々木君にそう言って作業場の方まで戻ると、
そこに居たのはゼロからの配達では無く、
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忙しいと思ったから差し入れだ!」
そう言って微笑む矢野君の姿だった。
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