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サバイバル開始
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「へ~ 聞いてはいたけど、
素晴らしい景色ね」
デューデューの住処に着いた早々
マグノリアが崖から身を乗り出して騒ぎ出した。
「マグノリア! そんなに乗り出したら危ないよ!」
もちろん、そんな彼女にアーウィンが駆け寄って行った。
そこまでは良かったが、
その後は二人してそこに腰を下ろし、
二人キャッキャとして何やら語り合始めた。
岩山から見下ろす景色に2人の世界へ入った彼等を見て、
僕は
“ケッ”
と思いながら荷解きを始めた。
”全く、遊びに来たんじゃないのに本当、あの二人って観光気分だよな!
ちゃんとここでやっていけるのか?!”
ブツブツと独り言のように文句を言っていると、
「何だ、アーウィンが羨ましいのか?!」
地面に寝そべったデューデューが2人を見ながら僕に尋ねた。
「へ? アーウィンが羨ましい?
何故僕がアーウィンを羨ましいと思うんだよ」
ぶっきら棒にそうデューデューに返すと、
「お前もダリルとイチャイチャとすれば良いのに」
そう返って来たので、
「い……イチャイチャ?!
な……何言ってるの?!
ダリルがあんな、あんな
アーウィンみたいな
ナヨナヨした事すると思うの?!」
慌てて言い返すと
デューデューは笑っていた。
「あのさ、僕よりもデューデューは?
龍歳で行くと、
デューデューもお年頃でしょ?
デューデューは番は見つけないの?
まあ、それだと群れに帰らなくちゃ行けないけどさ、
もしかしたら何処かに
デューデューを受け入れてくれる
群れがあるかも知れないよ?」
そう言っても彼は黙ったままで
僕の荷解きを眺めるだけだった。
”まあ、確かにデューデューが群れを見つけに
此処を去ってしまうのは嫌だけど、
もしデューデューが幸せになれるのなら……”
そう思ったけど、やっぱり僕のわがままだ。
デューデューがいなくなるのは嫌だ。
「そう言えば、ダリルは?」
気付いたらダリルが見当たらなかった。
ダリルのリュックは未だそのままで置いてある。
「ダリルだったら狩りに行ったぞ。
夕食用の肉を見つけてくると言ってたぞ?
お前も日が落ちる前に
やらなければいけない事がある筈だぞ?」
「え?」
デューデューが言っている
“やらなければいけない事”
が思い当たらなかった。
「えーっと? 何をしなくちゃいけないのかな?!
ハハハ」
頭を掻いて誤魔化した様に笑うと、
「これだから御坊ちゃまは……
食事を作るのであれば焚火炉が居るだろう。
お前は身体強化があるから、
日が落ちる前に
頃合いの良さそうな石を見つけてこないとな」
「そっか、石だね、
で? 石ってどれくらいの大きさが…?」
「お前はサバイバルをする前に
もっと基礎知識が必要だな。
本当にここに住めるのか?!」
そう言ってデューデューが呆れた様な顔をした。
取り敢えずは荷物を取り出し一纏めにすると、
外へ出て辺りを見回した。
“石…… どれ位の大きさだろう”
見当もつかず取り敢えずは
そこら辺に落ちている石を拾うと、
「そんな小さな石じゃダメだ」
そう言いながらデューデューが隣に並んだ。
僕は拾った石を見つめると、
“チェッ”
とため息を吐いて遠くに投げた。
「必要なのはお前の頭程の大きさの石だ。
ここの裏手にはゴロゴロ落ちている」
そうデューデューに言われ、
「それは石じゃだ無いよ! 岩だよ!
デューデューも未だ未だだね!」
ヒヒヒと笑ってそう返すと、
「負け惜しみは良いから早く取ってこないと
日が落ちるぞ。
この後焚火用の薪も採ってこないといけないし、
火も起こさないといけないぞ。
それ水もな」
そう言われて、
「水! 水の事全然考えてなかった!
どうしよう?!」
僕が焦ると、
「此処から少し南へ行くと密林地域になっている。
その中に水が沸く小さな湖がある。
そこの水を使うと良い。
私はそこへは降りれないからお前達だけで行くことになるが
歩いて行けない距離では無い……
恐らく……」
そう言ってデューデューは目を逸らした。
“ん? 今目を逸らしたな?!
もしかして本当は遠いのか?!”
そう思っても水がなくては始まらないので、
岩を集めた後で行ってみる事にした
「ところで、ダリルは何処に狩りに行ってるの?」
そう尋ねると、デューデューは
「ジャングルだ」
と答えた。
「ジャングル?」
「そうだ。 さっき言った密林地帯だ。
私はそこをジャングルと呼んでいる。
ダリルは此処へ着くなり、
狩りに行くから動物の多い所を教えてくれって聞いて来たから
そのジャングルを教えたぞ。
ヤツは直ぐに荷物を下ろして南の方へ歩いた行った
あそこは色んな植物が密集して
体の大きな動物は入れないから小動物が多いのだ。
魔獣も小物ばかりだ。
お前達が狩りをするには丁度良い所だ。
それに湖では魚も取れるぞ」
「そうなんだ!
じゃあ僕、岩を採って来たら
そっちの方へ行ってみるよ!
焚火用の薪も必要だし!」
そう言うと、早速裏手の方へ回った。
裏手へ行くのに、余り段差が無いので
割と簡単に裏手へ回る事ができた。
そこには色んな大きさの岩がゴロゴロと転がり、
その辺一帯を埋め尽くしていた。
取り敢えず頭の大きさ位の岩を見つけると、
一所に集めた。
“これくらいで良いかな?”
数えると、20個ほど集まっていたので、
それをボールを集めて抱える様にすると、
5個づつに纏めて最初の分を持って帰った。
取り敢えずはそれを洞穴の前に置くと、
残りの分を取りに戻った。
何度か往復して最後の分を抱えて持ち帰ると、
ダリルが既に狩りから戻って来ていた。
「ダリル!」
抱えていた岩を先に持ち帰った岩のところへ下ろすと、
僕は急足でダリルの元へ駆け寄った。
「狩りへ行くんだったら
僕も連れて行ってくれれば良かったのに!」
そう言うと、
「殿下が足を踏み入れる前に
安全性を確かめておきたかったので」
と、もっともらしい答えを返された。
「それで? 何が採れたの?
密林はどうだった?」
急ぎ早で尋ねると、
ダリルは狩ってきたイノシシとウサギを見せてくれ、
「密林は森とは違い、少し変わった所でした。
少し蒸し暑いのですが、
明日にでも案内致しましょう」
そう言うダリルに、
「でも、水や薪が未だ……」
そう言うと、
「水は少しですが、
筒になる様な木がありましたので
それを数本筒にして水を入れて来ました。
それがこちらです」
そう言って狩って来た動物と一緒に置いてある
丸い筒状の木の枝を指差した。
「凄いね、そんな木があるんだ!
じゃあ、あれは焚火用の薪?」
一緒に置いてあった何本かの丸太を見て指差した。
「そうなのですが、薪を割る斧がありませんので、
どうやって割って薪にしようかと……」
そう言った時デューデューが、
「私の鱗を使うと良い」
そう言った。
「え? デューデューの鱗?
どうやって?」
「私は自由自在に鱗を強化できる。
強化した鱗を一枚剥ぐからそれを鞘に巻きつけて
斧の代わりにしたら良い」
「えっ? 痛く無いの?!」
僕が尋ねると、デューデューは顔を顰めて
「自然に抜け落ちるのであれば痛く無いが
未だくっついたままの鱗を抜くのは痛い…
でも斧が必要なのだろう?」
「でも…デューデューが痛いのは嫌だし」
そう言うと、デューデューはあっけらかんとして、
「痛いと言ってもお前達が髪を引っ張るのと同じ感覚だ」
そう言って素早く鱗を一つ引き抜いた。
「ほら!」
そう言って地面に置かれた鱗は
シルバー色に光って、
まるで本当の刃物の様だった。
「気を付けろ。
触る時は皮膚についていた分厚い方から触る様にな」
デューデューがそう言うので、
そっと先の方を触って見ると、
スパッと指が切れて血が滲み出た。
「ギャー切れちゃった、切れちゃった!」
そう言ってギャーギャー騒ぐ僕に
「だから言っただろう」
とデューデューが呆れた様にしていた。
僕の声を聞きつけたアーウィンが直ぐにやって来て
回復魔法をかけてくれた。
「はー、びっくりした!
まさかここまで切れるとは!
ちょっと触っただけだったんだよ!」
もうすっかり治った指にフーフーと息を吹きかけると、
「いったい何をしたの?!」
とアーウィンが聞いてきた。
「アーウィン、君さ、此処に来てからずっとマグノリアとランデブーでさ、
僕とダリルはもう働いたから
獣の皮剥と料理は君たちの仕事だね!」
僕がそう言ったけど、ダリルは
「ほら、お二人だけに任せておくわけにはいかないでしょう。
我々も皮剥のお手伝いをしましょう。
この毛皮はきっと良いお布団になりますよ」
そう言われて、初めて僕たちには地面に敷くものもなければ、
掛けるものもない事に気付いた。
僕はサバイバル修行に対して本当に考え無だった。
幸いこの猪は大きい。
恐らくギュウギュウに詰めれば、
僕たち4人が寝転べる大きさはあるかも知れない。
ダリルは携帯していた小型ナイフを取り出すと、
早速猪の内臓を取り出して皮を剥ぎ始めた。
それを見ていた僕は気持ちが悪くなって、
「ごめん、気分悪くなってきた……」
そう言うと、
「全くお前は思っていた通りだな。
暫く向こうで横になっていた方がいいぞ」
デューデューにそう言われ、
言葉に甘える事にし、洞窟で暫く横になっていた。
外の方からはやはりマグノリアのキャッキャという声が聞こえ、
何だかテキパキと陣をとって料理をしている様子が伺えた。
”動物の皮剥ぎを正視出来るなんて……ヒィ~”
やっぱり彼女はこの生活に適正能力があるのかもしれない。
びっくりする事に、
アーウィンも余りびくともしていない。
後で聞いた話によると、
王都に救助で行っていた時に、
かなりの怪我をした人達を回復した様で、
中にはエグい怪我をした人たちもいた様だった。
それで慣れてしまったと言っていた。
やっぱり此処でも役立たずは僕だけだった。
あれだけマグノリアに対してブツブツと言っていたのに、
そのマグノリアにも負けたような気がして気落ちしてしまった。
焚火炉用の岩こそは運んだけど、
結局この後僕は食欲も湧かず気分も沈んだままで、
何とそのまま固い岩の上で朝までぐっすりと眠ってしまった。
そして朝まで起きる事はなかった。
素晴らしい景色ね」
デューデューの住処に着いた早々
マグノリアが崖から身を乗り出して騒ぎ出した。
「マグノリア! そんなに乗り出したら危ないよ!」
もちろん、そんな彼女にアーウィンが駆け寄って行った。
そこまでは良かったが、
その後は二人してそこに腰を下ろし、
二人キャッキャとして何やら語り合始めた。
岩山から見下ろす景色に2人の世界へ入った彼等を見て、
僕は
“ケッ”
と思いながら荷解きを始めた。
”全く、遊びに来たんじゃないのに本当、あの二人って観光気分だよな!
ちゃんとここでやっていけるのか?!”
ブツブツと独り言のように文句を言っていると、
「何だ、アーウィンが羨ましいのか?!」
地面に寝そべったデューデューが2人を見ながら僕に尋ねた。
「へ? アーウィンが羨ましい?
何故僕がアーウィンを羨ましいと思うんだよ」
ぶっきら棒にそうデューデューに返すと、
「お前もダリルとイチャイチャとすれば良いのに」
そう返って来たので、
「い……イチャイチャ?!
な……何言ってるの?!
ダリルがあんな、あんな
アーウィンみたいな
ナヨナヨした事すると思うの?!」
慌てて言い返すと
デューデューは笑っていた。
「あのさ、僕よりもデューデューは?
龍歳で行くと、
デューデューもお年頃でしょ?
デューデューは番は見つけないの?
まあ、それだと群れに帰らなくちゃ行けないけどさ、
もしかしたら何処かに
デューデューを受け入れてくれる
群れがあるかも知れないよ?」
そう言っても彼は黙ったままで
僕の荷解きを眺めるだけだった。
”まあ、確かにデューデューが群れを見つけに
此処を去ってしまうのは嫌だけど、
もしデューデューが幸せになれるのなら……”
そう思ったけど、やっぱり僕のわがままだ。
デューデューがいなくなるのは嫌だ。
「そう言えば、ダリルは?」
気付いたらダリルが見当たらなかった。
ダリルのリュックは未だそのままで置いてある。
「ダリルだったら狩りに行ったぞ。
夕食用の肉を見つけてくると言ってたぞ?
お前も日が落ちる前に
やらなければいけない事がある筈だぞ?」
「え?」
デューデューが言っている
“やらなければいけない事”
が思い当たらなかった。
「えーっと? 何をしなくちゃいけないのかな?!
ハハハ」
頭を掻いて誤魔化した様に笑うと、
「これだから御坊ちゃまは……
食事を作るのであれば焚火炉が居るだろう。
お前は身体強化があるから、
日が落ちる前に
頃合いの良さそうな石を見つけてこないとな」
「そっか、石だね、
で? 石ってどれくらいの大きさが…?」
「お前はサバイバルをする前に
もっと基礎知識が必要だな。
本当にここに住めるのか?!」
そう言ってデューデューが呆れた様な顔をした。
取り敢えずは荷物を取り出し一纏めにすると、
外へ出て辺りを見回した。
“石…… どれ位の大きさだろう”
見当もつかず取り敢えずは
そこら辺に落ちている石を拾うと、
「そんな小さな石じゃダメだ」
そう言いながらデューデューが隣に並んだ。
僕は拾った石を見つめると、
“チェッ”
とため息を吐いて遠くに投げた。
「必要なのはお前の頭程の大きさの石だ。
ここの裏手にはゴロゴロ落ちている」
そうデューデューに言われ、
「それは石じゃだ無いよ! 岩だよ!
デューデューも未だ未だだね!」
ヒヒヒと笑ってそう返すと、
「負け惜しみは良いから早く取ってこないと
日が落ちるぞ。
この後焚火用の薪も採ってこないといけないし、
火も起こさないといけないぞ。
それ水もな」
そう言われて、
「水! 水の事全然考えてなかった!
どうしよう?!」
僕が焦ると、
「此処から少し南へ行くと密林地域になっている。
その中に水が沸く小さな湖がある。
そこの水を使うと良い。
私はそこへは降りれないからお前達だけで行くことになるが
歩いて行けない距離では無い……
恐らく……」
そう言ってデューデューは目を逸らした。
“ん? 今目を逸らしたな?!
もしかして本当は遠いのか?!”
そう思っても水がなくては始まらないので、
岩を集めた後で行ってみる事にした
「ところで、ダリルは何処に狩りに行ってるの?」
そう尋ねると、デューデューは
「ジャングルだ」
と答えた。
「ジャングル?」
「そうだ。 さっき言った密林地帯だ。
私はそこをジャングルと呼んでいる。
ダリルは此処へ着くなり、
狩りに行くから動物の多い所を教えてくれって聞いて来たから
そのジャングルを教えたぞ。
ヤツは直ぐに荷物を下ろして南の方へ歩いた行った
あそこは色んな植物が密集して
体の大きな動物は入れないから小動物が多いのだ。
魔獣も小物ばかりだ。
お前達が狩りをするには丁度良い所だ。
それに湖では魚も取れるぞ」
「そうなんだ!
じゃあ僕、岩を採って来たら
そっちの方へ行ってみるよ!
焚火用の薪も必要だし!」
そう言うと、早速裏手の方へ回った。
裏手へ行くのに、余り段差が無いので
割と簡単に裏手へ回る事ができた。
そこには色んな大きさの岩がゴロゴロと転がり、
その辺一帯を埋め尽くしていた。
取り敢えず頭の大きさ位の岩を見つけると、
一所に集めた。
“これくらいで良いかな?”
数えると、20個ほど集まっていたので、
それをボールを集めて抱える様にすると、
5個づつに纏めて最初の分を持って帰った。
取り敢えずはそれを洞穴の前に置くと、
残りの分を取りに戻った。
何度か往復して最後の分を抱えて持ち帰ると、
ダリルが既に狩りから戻って来ていた。
「ダリル!」
抱えていた岩を先に持ち帰った岩のところへ下ろすと、
僕は急足でダリルの元へ駆け寄った。
「狩りへ行くんだったら
僕も連れて行ってくれれば良かったのに!」
そう言うと、
「殿下が足を踏み入れる前に
安全性を確かめておきたかったので」
と、もっともらしい答えを返された。
「それで? 何が採れたの?
密林はどうだった?」
急ぎ早で尋ねると、
ダリルは狩ってきたイノシシとウサギを見せてくれ、
「密林は森とは違い、少し変わった所でした。
少し蒸し暑いのですが、
明日にでも案内致しましょう」
そう言うダリルに、
「でも、水や薪が未だ……」
そう言うと、
「水は少しですが、
筒になる様な木がありましたので
それを数本筒にして水を入れて来ました。
それがこちらです」
そう言って狩って来た動物と一緒に置いてある
丸い筒状の木の枝を指差した。
「凄いね、そんな木があるんだ!
じゃあ、あれは焚火用の薪?」
一緒に置いてあった何本かの丸太を見て指差した。
「そうなのですが、薪を割る斧がありませんので、
どうやって割って薪にしようかと……」
そう言った時デューデューが、
「私の鱗を使うと良い」
そう言った。
「え? デューデューの鱗?
どうやって?」
「私は自由自在に鱗を強化できる。
強化した鱗を一枚剥ぐからそれを鞘に巻きつけて
斧の代わりにしたら良い」
「えっ? 痛く無いの?!」
僕が尋ねると、デューデューは顔を顰めて
「自然に抜け落ちるのであれば痛く無いが
未だくっついたままの鱗を抜くのは痛い…
でも斧が必要なのだろう?」
「でも…デューデューが痛いのは嫌だし」
そう言うと、デューデューはあっけらかんとして、
「痛いと言ってもお前達が髪を引っ張るのと同じ感覚だ」
そう言って素早く鱗を一つ引き抜いた。
「ほら!」
そう言って地面に置かれた鱗は
シルバー色に光って、
まるで本当の刃物の様だった。
「気を付けろ。
触る時は皮膚についていた分厚い方から触る様にな」
デューデューがそう言うので、
そっと先の方を触って見ると、
スパッと指が切れて血が滲み出た。
「ギャー切れちゃった、切れちゃった!」
そう言ってギャーギャー騒ぐ僕に
「だから言っただろう」
とデューデューが呆れた様にしていた。
僕の声を聞きつけたアーウィンが直ぐにやって来て
回復魔法をかけてくれた。
「はー、びっくりした!
まさかここまで切れるとは!
ちょっと触っただけだったんだよ!」
もうすっかり治った指にフーフーと息を吹きかけると、
「いったい何をしたの?!」
とアーウィンが聞いてきた。
「アーウィン、君さ、此処に来てからずっとマグノリアとランデブーでさ、
僕とダリルはもう働いたから
獣の皮剥と料理は君たちの仕事だね!」
僕がそう言ったけど、ダリルは
「ほら、お二人だけに任せておくわけにはいかないでしょう。
我々も皮剥のお手伝いをしましょう。
この毛皮はきっと良いお布団になりますよ」
そう言われて、初めて僕たちには地面に敷くものもなければ、
掛けるものもない事に気付いた。
僕はサバイバル修行に対して本当に考え無だった。
幸いこの猪は大きい。
恐らくギュウギュウに詰めれば、
僕たち4人が寝転べる大きさはあるかも知れない。
ダリルは携帯していた小型ナイフを取り出すと、
早速猪の内臓を取り出して皮を剥ぎ始めた。
それを見ていた僕は気持ちが悪くなって、
「ごめん、気分悪くなってきた……」
そう言うと、
「全くお前は思っていた通りだな。
暫く向こうで横になっていた方がいいぞ」
デューデューにそう言われ、
言葉に甘える事にし、洞窟で暫く横になっていた。
外の方からはやはりマグノリアのキャッキャという声が聞こえ、
何だかテキパキと陣をとって料理をしている様子が伺えた。
”動物の皮剥ぎを正視出来るなんて……ヒィ~”
やっぱり彼女はこの生活に適正能力があるのかもしれない。
びっくりする事に、
アーウィンも余りびくともしていない。
後で聞いた話によると、
王都に救助で行っていた時に、
かなりの怪我をした人達を回復した様で、
中にはエグい怪我をした人たちもいた様だった。
それで慣れてしまったと言っていた。
やっぱり此処でも役立たずは僕だけだった。
あれだけマグノリアに対してブツブツと言っていたのに、
そのマグノリアにも負けたような気がして気落ちしてしまった。
焚火炉用の岩こそは運んだけど、
結局この後僕は食欲も湧かず気分も沈んだままで、
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