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東の大陸
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「こ……黒龍の噂は聞いたことあるけど、
そこまで詳しくは…… ねえ、アーウィン?」
焦った様にマグノリアがアーウィンに同意を求めると、
ショウは
“分かりました、それでは説明致しましょう“
とでも言う様に一つ咳払いすると襟を整え、
「東の大陸はご存知ですよね?」
と東の大陸から話は始まった。
マグノリアはアーウィンの顔を見ると、
「そう言う大陸があったと言うことだけは聞いた事があるのですが……」
とそれだけ言うと、
「分かりました。
それでは私の知る東の大陸についてまずお話ししましょう」
とショウが言った後に、マグノリアとアーウィンは静かに頷いた。
「嘗てこの世界の東側には東の大陸と呼ばれた大陸がありました。
そこに住む民族はここでは珍しい、皆私と同じ様な象牙色の肌と真っ黒な髪と瞳をしていました」
ショウがそう言うと、マグノリアとアーウィンが同意した様にコクコクと頷いた。
「アーウィンにも今朝聞いたのですが、
あなた方にも同じ様な色をした友が居たそうですね」
ショウがそう言うと、マグノリアは小さく頷いた。
「きっと彼の先祖も東の大陸から渡って来たのでしょう……」
そう言うと、マグノリアとアーウィンは俯いて静かになった。
「その方は亡くなられたそうで、
思い出させてしまい申し訳ありません」
そうショウが謝ると、二人は首を振った。
「それでその東の大陸なのですが、
そこに住む人々は黒龍を奉っていました。
理由は恐らくこの大陸の南にあるサンクホルムという国と同じでしょう。
サンクホルムについては何か聞かれた事がありますか?」
そうショウに尋ねられ、二人はぎくっとした様に頭を振った。
恐らくショウは二人の様子がおかしい事に気づいたかもしれないが、
それ以上は何も聞かなかった。
「サンクホルムには聖龍の言い伝えがあります。
あの国の王家の者は聖龍の寵愛を受けた印として、
聖龍と同じ銀髪に緑の瞳で生まれると聞きました。
あの国で銀髪に緑の目はその王家の後継者のみに現れるそうです」
そこまでショウが話した時にマグノリアは堪えきれなくなり
涙を流し始めた。
「そう言えば、サンクホルムの王子が先の城の奇襲で命を落としたと聞きました。
王は行方不明だそうですね」
ショウはそう言うと、チラッとマグノリアを見た。
そして続けて、
「新しい王には王弟がついたと聞きましたが、彼は聖龍の後継ではありませんよね?
……という事は今聖龍の後継者が空いているという事ですよね?
実を言うと、我々東の大陸の者も同じ様な状況なのです」
そう言って二人を見た。
「それは如何言う意味なのですか?」
アーウィンが尋ねると、
「私を見れば、直ぐに東の大陸の子孫だと言う事はわかるのですが、
実を言うと、私の先祖は皇室の者でした……
そして東の大陸は黒龍によって建国されたとあるのです。
それ故、東の大陸の皇室では代々黒龍に寵愛されたものが生まれたのです。
それがサンクホルムで言う聖龍の寵愛と同じ様なものでした。
ただ、東の大陸には見た目で判断する物は有りませんでしたが、
黒龍の寵愛を受けた者には黒龍からその証として魔石が与えられました。
魔石は黒龍の魔力が宿っていて、魔石そのものが自ずから選ばれた者を選ぶのです」
そこまでショウが説明した時、
「ちょっと待って……
確かダリルがジェイドに貰った石は……」
アーウィンがそこまで言って口を継ぐんだ。
「何か心当たりがあるのですか?」
ショウが尋ねるとアーウィンは慌てて首を振った。
「いえ、気のせいです。続けて下さい」
そう言うと、ショウは話を元に戻した。
「その魔石は黒龍の寵愛を受けた証となるのですが、
大陸が沈んだ時から行方不明です」
ショウがそう言うと、アーウィンがグッと拳に力を入れた。
ショウはアーウィンのその仕草を見ていたけど、
話を続けた。
「大陸が沈んだ後、生き残った民達はバラバラになり、
散り散りに別れそれぞれ辿り着いた地で定着して行きました。
私の先祖は皇族としてこの大陸の帝国に高位貴族として迎え入れられたのですが、
勿論散り散りになってしまった皇族達も居ました。
彼らは今どこで何をしているのかは分かりません。
ですが、皇家には代々伝えられた禁断の書という物があるのです」
それを聞いたマグノリとアーウィンが顔を見合った。
「? お二人は禁断の書について聞いた事があるのですか?」
二人の様子を見たショウが尋ねた。
マグノリは直ぐに、
「いえ、お話をお続け下さい」
そう言ってジェイドが嘗て所有していた禁断の書については話さなかった。
「その禁断の書なのですが、
東の大陸から逃れてきた後も暫くは書き続けられていた様なのですが、
その中に東の大陸が海に沈んだ経緯が在るのです」
マグノリアとアーウィンは又顔を見合った。
“東の大陸についてはジェイドが良く調べていた……
でも大した事は分からなかった……
ジェイドが此処にいたらどんなに喜んだか!”
マグノリアはそう思うと、ギュッと拳を握った。
「私の知人に東の大陸に興味を持ち、
長らく調べていた者が居ました。
色んな人に尋ねたのですが、
東の大陸について残っている文献は殆ど有りませんでした。
結局、東の大陸については分からずじまいだったのです。
貴方はそれを持っているという事ですね?」
アーウィンがショウの目を見て尋ねた。
「ええ、今ここには禁断の書はありませんが、
帝国にある私の屋敷に大切に保管してあります」
ショウがそう言うと、アーウィンはボヤッと
”そう言えば、ジェイドが持っていた禁断の書はどうなっているのだろう?”
思い出しそう思った。
一方では、
「それでは禁断の書と黒龍が何か関係しているのですか?」
とマグノリアがそう尋ねた。
ショウは小さく頷くと、
「私の持つ書には東の大陸が海に沈んだのは、
東の大陸の地脈を支えていた黒龍が目覚めたせいだとあったのです」
「目覚めた? それは如何意味ですか?」
マグノリアがそう尋ねると、
「どうやら黒龍は東の大陸を建国した後、
その地中深く潜り、大陸を守りながら永い眠りについたようなのです。
ところがある大変な事がおきまして……」
「大変な事と言うのは?」
マグノリアが尋ねた。
「まず、基本的な事を説明しますと、私の持つ禁断の書によると、
この世界には4人の守り神がいて、其々が其々の次元を司って居るそうなのですが、
先ず、地を護るのがメルデーナ。
彼女は双子の姉である聖龍のエレノアとリンクして、
この世界の地と自然界を司っています。
そして大気の守り神のモーファ、水を司るルーフィン、最後に火を司るボニックス。
そして彼らの他に獄を司る魔神と呼ばれる神も居ました……」
マグノリアは魔神と聞いて怒りが込み上げて来た。
“魔神のせいでジェイドとダリルは殺された。
何故その為に彼らが殺されなくてはいけなかったの?!”
マグノリアは震える声で、
「魔……人……
魔神とは一体何?
貴方は魔神について何か知っているの?!」
そう言って身を乗り出した。
「魔神は元々魔人達を司る神でしたが、ずっと統率の出来ていた其々の次元を破り、
人の世界へと降りてきました。
理由は恐らく全ての世界の覇者となる為に……
その時魔神と戦ったのが黒龍でした。
でもその戦いで魔神は黒龍に敗れその身を無くしました。
神の一種である魔神はその身は滅ぼせても精神体である魔力までは滅ぼす事はできませんでした。
だから黒龍は魔神をどこかへ封印したのです。
今檻の中に居るのは魔神の精神体と言うか、魔力のみなのです。
そして4大元素となる神達がその檻の扉を守る役に就きました。
それを確認すると黒龍は大陸を建国し、
国を人に任せ、封印をした魔神は4大護り神に任せ自らは眠りにつきました。
檻へはこの4人の扉を開く必要があります。
どれ一つ欠けても最後の扉へ届く事はありません……
でもそれが一度破られようとしたのです。」
「え? 前に一度封印が破られようとしたの?!
そこまで守られた封印だったら、私達人間には太刀打ちできないのでしょう?!
一体誰が如何やって?!」
「そこが分からないのです。
ただ禁断の書には一度破られようとしたとだけしか……」
”ジェイドの持つ所と同じでショウの持つ書も完全ではないようね……”
マグノリアはそう思った。
「それでどうなったの?」
「それで、黒龍は4人の守り神の頂点にいますというか、
深い眠りについていても、最後の砦を守っているのが黒龍なのです。
もしもの時のために、その扉をもっと強固とする為に魔神を閉じ込めた黒龍自らが、
最後の砦となる真実の扉を付け足し守る事にしたのです。
もし4つの扉が破られることになれば自らが目覚めるようにして……」
「それじゃあ誰かが魔神の封印を解こうとして黒龍はその時目覚めて……」
「はい、運悪く、その時の黒龍は東の大陸の深い地脈で眠っておりました。
だから東の大陸を巻き込んでと言うか東の大陸を犠牲にして黒龍が目覚めました。
余りにも突然だったので、なす手が無かったのです。
人が生き延びただけでもあの時は幸いだったのでしょう。
そして目覚めた後、黒龍は東の大陸に住む一人の人間を選んだのです」
「え? 選ぶって…… もしかして魔神を再び封印する?」
マグノリアがそう尋ねるとショウは頷いた。
「はい、その者が黒龍の寵愛を受けた皇室の者でした。
黒龍はその者を選ぶと、自分の鱗を取り出しみがきあげると、
それに魔力を込めて人に渡したのです。
それがどの様に使われたのかは分かっていませんが、
黒龍と人は魔神との戦いに勝利し、再度の封印も成功しました。
人は又、魔神を檻の中へ閉じ込める事が出来たのです。
でもその後の黒龍の行方が分からないのです……」
そう聞いて、マグノリアは直ぐに、
“ジェイドの聖龍と似通っている……
龍達が行方不明なのも同じだし、
龍の現し身である人間も今はいない状態……”
だと言う事に気付いた。
「黒龍はその時死んでないのよね?」
「死んではいない筈ですが私には神の生態までは分かりません」
「でも、もし生きているのであれば黒龍ですもの、目撃情報があってもいいはずよね?
それとも又何処かの地中深くで眠っているのかしら?」
「先の戦いでかなりの魔力を使ったはずです。
恐らく何処かで魔力を回復させる為に又眠りについたと思った方が良いと思いますが、
私はそれを今調べているのです」
「それじゃ、もし、精神体の魔神が放されたらどうなるの?」
マグノリアがそう尋ねると、ショウは唇を噛んで俯いた。
「そうよね、良いことではないわよね」
マグノリアがそう言うと、
「魔神の封印を解いた者は魔神にその魔力を与えられ、
魔神の様になる事ができるのです」
「それじゃその人は魔神に精神を乗っ取られるって事?」
「いえ、そう言うわけでは有りません。
言わば共同体となるのです」
「でもそれって一つの体に二つの精神があるってことよね?
中で喧嘩したりしないの?」
「それはないでしょう。
魔神を復活させるほどです。
恐らく彼らの精神は同じ様な者でしょう」
「そう、そうなれば肉体を持った魔神という事になるのよね。
精神体の魔神と戦うって訳にはいかないのよね。
それは厄介だわね……
もし魔が世界の覇者になったらこの世界はどうなるの?」
「恐らくこの世界は獄と同じになり、人は魔人へと変わるでしょう……」
そう聞いてマグノリアは身震いした。
「有難う。
魔人と東の大陸について何となく分かったわ……」
そう言った後、
「それで貴方がそんなに龍に入れ込んだのは何故?
やっぱり黒龍と関係があるの?」
マグノリアがそう尋ねるや否やデューデューが横から、
「私も一つ質問しても良いか?」
そう尋ねた。
そこまで詳しくは…… ねえ、アーウィン?」
焦った様にマグノリアがアーウィンに同意を求めると、
ショウは
“分かりました、それでは説明致しましょう“
とでも言う様に一つ咳払いすると襟を整え、
「東の大陸はご存知ですよね?」
と東の大陸から話は始まった。
マグノリアはアーウィンの顔を見ると、
「そう言う大陸があったと言うことだけは聞いた事があるのですが……」
とそれだけ言うと、
「分かりました。
それでは私の知る東の大陸についてまずお話ししましょう」
とショウが言った後に、マグノリアとアーウィンは静かに頷いた。
「嘗てこの世界の東側には東の大陸と呼ばれた大陸がありました。
そこに住む民族はここでは珍しい、皆私と同じ様な象牙色の肌と真っ黒な髪と瞳をしていました」
ショウがそう言うと、マグノリアとアーウィンが同意した様にコクコクと頷いた。
「アーウィンにも今朝聞いたのですが、
あなた方にも同じ様な色をした友が居たそうですね」
ショウがそう言うと、マグノリアは小さく頷いた。
「きっと彼の先祖も東の大陸から渡って来たのでしょう……」
そう言うと、マグノリアとアーウィンは俯いて静かになった。
「その方は亡くなられたそうで、
思い出させてしまい申し訳ありません」
そうショウが謝ると、二人は首を振った。
「それでその東の大陸なのですが、
そこに住む人々は黒龍を奉っていました。
理由は恐らくこの大陸の南にあるサンクホルムという国と同じでしょう。
サンクホルムについては何か聞かれた事がありますか?」
そうショウに尋ねられ、二人はぎくっとした様に頭を振った。
恐らくショウは二人の様子がおかしい事に気づいたかもしれないが、
それ以上は何も聞かなかった。
「サンクホルムには聖龍の言い伝えがあります。
あの国の王家の者は聖龍の寵愛を受けた印として、
聖龍と同じ銀髪に緑の瞳で生まれると聞きました。
あの国で銀髪に緑の目はその王家の後継者のみに現れるそうです」
そこまでショウが話した時にマグノリアは堪えきれなくなり
涙を流し始めた。
「そう言えば、サンクホルムの王子が先の城の奇襲で命を落としたと聞きました。
王は行方不明だそうですね」
ショウはそう言うと、チラッとマグノリアを見た。
そして続けて、
「新しい王には王弟がついたと聞きましたが、彼は聖龍の後継ではありませんよね?
……という事は今聖龍の後継者が空いているという事ですよね?
実を言うと、我々東の大陸の者も同じ様な状況なのです」
そう言って二人を見た。
「それは如何言う意味なのですか?」
アーウィンが尋ねると、
「私を見れば、直ぐに東の大陸の子孫だと言う事はわかるのですが、
実を言うと、私の先祖は皇室の者でした……
そして東の大陸は黒龍によって建国されたとあるのです。
それ故、東の大陸の皇室では代々黒龍に寵愛されたものが生まれたのです。
それがサンクホルムで言う聖龍の寵愛と同じ様なものでした。
ただ、東の大陸には見た目で判断する物は有りませんでしたが、
黒龍の寵愛を受けた者には黒龍からその証として魔石が与えられました。
魔石は黒龍の魔力が宿っていて、魔石そのものが自ずから選ばれた者を選ぶのです」
そこまでショウが説明した時、
「ちょっと待って……
確かダリルがジェイドに貰った石は……」
アーウィンがそこまで言って口を継ぐんだ。
「何か心当たりがあるのですか?」
ショウが尋ねるとアーウィンは慌てて首を振った。
「いえ、気のせいです。続けて下さい」
そう言うと、ショウは話を元に戻した。
「その魔石は黒龍の寵愛を受けた証となるのですが、
大陸が沈んだ時から行方不明です」
ショウがそう言うと、アーウィンがグッと拳に力を入れた。
ショウはアーウィンのその仕草を見ていたけど、
話を続けた。
「大陸が沈んだ後、生き残った民達はバラバラになり、
散り散りに別れそれぞれ辿り着いた地で定着して行きました。
私の先祖は皇族としてこの大陸の帝国に高位貴族として迎え入れられたのですが、
勿論散り散りになってしまった皇族達も居ました。
彼らは今どこで何をしているのかは分かりません。
ですが、皇家には代々伝えられた禁断の書という物があるのです」
それを聞いたマグノリとアーウィンが顔を見合った。
「? お二人は禁断の書について聞いた事があるのですか?」
二人の様子を見たショウが尋ねた。
マグノリは直ぐに、
「いえ、お話をお続け下さい」
そう言ってジェイドが嘗て所有していた禁断の書については話さなかった。
「その禁断の書なのですが、
東の大陸から逃れてきた後も暫くは書き続けられていた様なのですが、
その中に東の大陸が海に沈んだ経緯が在るのです」
マグノリアとアーウィンは又顔を見合った。
“東の大陸についてはジェイドが良く調べていた……
でも大した事は分からなかった……
ジェイドが此処にいたらどんなに喜んだか!”
マグノリアはそう思うと、ギュッと拳を握った。
「私の知人に東の大陸に興味を持ち、
長らく調べていた者が居ました。
色んな人に尋ねたのですが、
東の大陸について残っている文献は殆ど有りませんでした。
結局、東の大陸については分からずじまいだったのです。
貴方はそれを持っているという事ですね?」
アーウィンがショウの目を見て尋ねた。
「ええ、今ここには禁断の書はありませんが、
帝国にある私の屋敷に大切に保管してあります」
ショウがそう言うと、アーウィンはボヤッと
”そう言えば、ジェイドが持っていた禁断の書はどうなっているのだろう?”
思い出しそう思った。
一方では、
「それでは禁断の書と黒龍が何か関係しているのですか?」
とマグノリアがそう尋ねた。
ショウは小さく頷くと、
「私の持つ書には東の大陸が海に沈んだのは、
東の大陸の地脈を支えていた黒龍が目覚めたせいだとあったのです」
「目覚めた? それは如何意味ですか?」
マグノリアがそう尋ねると、
「どうやら黒龍は東の大陸を建国した後、
その地中深く潜り、大陸を守りながら永い眠りについたようなのです。
ところがある大変な事がおきまして……」
「大変な事と言うのは?」
マグノリアが尋ねた。
「まず、基本的な事を説明しますと、私の持つ禁断の書によると、
この世界には4人の守り神がいて、其々が其々の次元を司って居るそうなのですが、
先ず、地を護るのがメルデーナ。
彼女は双子の姉である聖龍のエレノアとリンクして、
この世界の地と自然界を司っています。
そして大気の守り神のモーファ、水を司るルーフィン、最後に火を司るボニックス。
そして彼らの他に獄を司る魔神と呼ばれる神も居ました……」
マグノリアは魔神と聞いて怒りが込み上げて来た。
“魔神のせいでジェイドとダリルは殺された。
何故その為に彼らが殺されなくてはいけなかったの?!”
マグノリアは震える声で、
「魔……人……
魔神とは一体何?
貴方は魔神について何か知っているの?!」
そう言って身を乗り出した。
「魔神は元々魔人達を司る神でしたが、ずっと統率の出来ていた其々の次元を破り、
人の世界へと降りてきました。
理由は恐らく全ての世界の覇者となる為に……
その時魔神と戦ったのが黒龍でした。
でもその戦いで魔神は黒龍に敗れその身を無くしました。
神の一種である魔神はその身は滅ぼせても精神体である魔力までは滅ぼす事はできませんでした。
だから黒龍は魔神をどこかへ封印したのです。
今檻の中に居るのは魔神の精神体と言うか、魔力のみなのです。
そして4大元素となる神達がその檻の扉を守る役に就きました。
それを確認すると黒龍は大陸を建国し、
国を人に任せ、封印をした魔神は4大護り神に任せ自らは眠りにつきました。
檻へはこの4人の扉を開く必要があります。
どれ一つ欠けても最後の扉へ届く事はありません……
でもそれが一度破られようとしたのです。」
「え? 前に一度封印が破られようとしたの?!
そこまで守られた封印だったら、私達人間には太刀打ちできないのでしょう?!
一体誰が如何やって?!」
「そこが分からないのです。
ただ禁断の書には一度破られようとしたとだけしか……」
”ジェイドの持つ所と同じでショウの持つ書も完全ではないようね……”
マグノリアはそう思った。
「それでどうなったの?」
「それで、黒龍は4人の守り神の頂点にいますというか、
深い眠りについていても、最後の砦を守っているのが黒龍なのです。
もしもの時のために、その扉をもっと強固とする為に魔神を閉じ込めた黒龍自らが、
最後の砦となる真実の扉を付け足し守る事にしたのです。
もし4つの扉が破られることになれば自らが目覚めるようにして……」
「それじゃあ誰かが魔神の封印を解こうとして黒龍はその時目覚めて……」
「はい、運悪く、その時の黒龍は東の大陸の深い地脈で眠っておりました。
だから東の大陸を巻き込んでと言うか東の大陸を犠牲にして黒龍が目覚めました。
余りにも突然だったので、なす手が無かったのです。
人が生き延びただけでもあの時は幸いだったのでしょう。
そして目覚めた後、黒龍は東の大陸に住む一人の人間を選んだのです」
「え? 選ぶって…… もしかして魔神を再び封印する?」
マグノリアがそう尋ねるとショウは頷いた。
「はい、その者が黒龍の寵愛を受けた皇室の者でした。
黒龍はその者を選ぶと、自分の鱗を取り出しみがきあげると、
それに魔力を込めて人に渡したのです。
それがどの様に使われたのかは分かっていませんが、
黒龍と人は魔神との戦いに勝利し、再度の封印も成功しました。
人は又、魔神を檻の中へ閉じ込める事が出来たのです。
でもその後の黒龍の行方が分からないのです……」
そう聞いて、マグノリアは直ぐに、
“ジェイドの聖龍と似通っている……
龍達が行方不明なのも同じだし、
龍の現し身である人間も今はいない状態……”
だと言う事に気付いた。
「黒龍はその時死んでないのよね?」
「死んではいない筈ですが私には神の生態までは分かりません」
「でも、もし生きているのであれば黒龍ですもの、目撃情報があってもいいはずよね?
それとも又何処かの地中深くで眠っているのかしら?」
「先の戦いでかなりの魔力を使ったはずです。
恐らく何処かで魔力を回復させる為に又眠りについたと思った方が良いと思いますが、
私はそれを今調べているのです」
「それじゃ、もし、精神体の魔神が放されたらどうなるの?」
マグノリアがそう尋ねると、ショウは唇を噛んで俯いた。
「そうよね、良いことではないわよね」
マグノリアがそう言うと、
「魔神の封印を解いた者は魔神にその魔力を与えられ、
魔神の様になる事ができるのです」
「それじゃその人は魔神に精神を乗っ取られるって事?」
「いえ、そう言うわけでは有りません。
言わば共同体となるのです」
「でもそれって一つの体に二つの精神があるってことよね?
中で喧嘩したりしないの?」
「それはないでしょう。
魔神を復活させるほどです。
恐らく彼らの精神は同じ様な者でしょう」
「そう、そうなれば肉体を持った魔神という事になるのよね。
精神体の魔神と戦うって訳にはいかないのよね。
それは厄介だわね……
もし魔が世界の覇者になったらこの世界はどうなるの?」
「恐らくこの世界は獄と同じになり、人は魔人へと変わるでしょう……」
そう聞いてマグノリアは身震いした。
「有難う。
魔人と東の大陸について何となく分かったわ……」
そう言った後、
「それで貴方がそんなに龍に入れ込んだのは何故?
やっぱり黒龍と関係があるの?」
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「私も一つ質問しても良いか?」
そう尋ねた。
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