龍の寵愛を受けし者達

樹木緑

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スーとルビー

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アーウィンとマグノリアはデューデューのセリフから
スーとその母親には何か秘密があるらしいことがわかった。

マグノリアはその秘密を聞くことに少し躊躇したけど、
知りたい欲求には勝てなかった。

暫く悶々と悶えた後、
デューデューに秘密を漏らさないと約束をすると
デューデューが口を開いた。

「スーとあの母親は人ではない。

アイツらはエルフだ。

それもスーはハイエルフの王族だ」

デューデューのその告白にアーウィンとマグノリアは度肝を抜かれた。

「エルフ?! 王族?!」

二人とも大声で叫んだ。

「シーッ、二人とも声が大きいぞ」

デューデューがそう言うと、二人して口を手で押さえた。

「はっ? は~? エルフってだけでもビックリなのに、
目の前にいるのがエルフ?! それもハイエルフですって?!

今までエルフなんて噂だけで見た事も無かったんですけど?

それもハイエルフって……

エルフについては少し聞いた事はあったけどハイエルフって……エルフとはどう違うの?」

マグノリアが頭を抱え尋ねると、

「ハイエルフはエルフよりも、明らかにもっと高い魔力を持っている。

そうだな……妖精や精霊に近いと言った方が良いだろう。

どちらかと言うとエレノアに近い属性を持っている」

そうデューデューが答えた。

「ヒ~ エレノアレベル?! エルフ……確かエルフって成長が遅く長く生きるのよね?

スーが見た目の割には私たちより年上ってその為?!」

「ああ、エルフはそうだがハイエルフは半永久的に生きる……

普段ハイエルフは人間との接触はしないはずなんだが……此処にいると言う事は何か理由があるのだろう」

そうデューデューに言われ、

「もしかして私たちと同じ様な理由かしら?

スーは王族って事は、ルビーはスーの母親じゃないって事?」

そうマグノリアが尋ねた。

「恐らく違うだろう……

スーとルビーは魔力が違いすぎる。

王族はハイエルフの頂点にいるから普通のハイエルフよりも
さらに高い魔力を持っている」

「エルフの里で謀反か何かあったのかしら?」

マグノリが心配そうに尋ねた。

「そこまでは私には分からない。

エルフの事は全くと言って良いほど情報が外に漏れてこない。

だが、王に謀反は起こせないだろう。

それほどハイエルフの王は魔力を持っている」

「そうなんだ…… もし困ってるんだったら何か助けになれないかしら……

まあ、私たちも自分たちの事で手一杯なんだけど……

でもハイエルフって何処に住んでるか分かってるの?」

「ハイエルフも護り神達と同じ様に此処とは違う次元に隠れ家を持っている。

エルフの里と言うんだが妖精や精霊達が全自然界の力を使ってその場所を隠している………

だから今までその里への入り口が見つかった事はない。

見つけるのは恐らく護り神達の地を見つけるよりも難しいだろう」

「そうなんだ……

ハイエルフって凄いのね……

そんな人達がどうしてこの世界に……」

マグノリアがそう言うと、

「あ、でもさ、デューデューはそんな凄い魔法を使う彼らの正体が
どうしてハイエルフだって分かったの?」

聞き手に回っていたアーウィンが不意に尋ねた。

デューデューはアーウィンの方を見ると、

「私には魔法がかかっているものの本当の姿が見える。

奴らには変化の術が掛かっている。

本当の奴らはピンクの髪じゃない。

スーは本来であればエレノアやジェイドの様に銀色の髪に緑の目をしている。

母親のルビーは緑の髪に緑の瞳だ」

そうデューデューが答えた。

「そこまでわかるの?! どうやって分かったの?!

デューデュー、貴方、前はそんことできなかったわよね?」

マグノリアが首を傾げてそう尋ねた。

すると、デューデューの耳がピクピクと動き出した。

「デューデュー? どうかしたの?」

マグノリアが尋ねると、

「シッ!」

デューデューが急に静かにする様に言った。

マグノリアとアーウィンはお互いを見合うと、両手で口を塞いでコクコクと頷いた。

デューデューは首をフリフリとすると、ドアの方を見た。

アーウィンとマグノリアもつられてドアの方を見た。

「誰だ?!」

デューデューがそう言うと、
ドアがガチャっと開いてルビーが中に入って来た。

アーウィンとマグノリが慌てて、

”アウアウ~ デューデュー、姿、姿!“

とアワアワとしていると、デューデューが

「大丈夫だ」

とアーウィンとマグノリにそう言うと、

「入って来たらどうだ」

そう言ってルビーを部屋へ通した。

「え? え? 一体どう言う事?!」

マグノリアが戸惑った様にそう言うと、

「ご心配しないでください。

この龍の事は最初から分かっていました。

貴方もそうですよね?」

ルビーはデューデューを見ると、デューデューに向かってそう尋ねた。

「お前達に変化の術をかけたのは王か?」

デューデューがそう尋ねると、ルビーがコクンと頷いた。

「あの娘は王の子か?」

デューデューが尋ねると、ルビーは頷いた。

「なぜお前達の様な者が姿を変えて此処に住んでいるのだ?」

デューデューが尋ねると、ルビーは

「私は姫の乳母で本当の名はクリスタルと申します。

実を言いますと、クイーンが突然お亡くなりになられました…」

と起こった出来事を話し始めた。

「え? 今デューデューとハイエルは半永久的に生きると話していたばかりなのですが、
ハイエルフでも亡くなるのですか?!」

マグノリが驚いて尋ねた。

ルビーはマグノリアを見ると、

「半永久的に生きると言うのは間違いではないのですが、
実際は1000年ほど生きた後、肉体が最後を迎えると私達は自然界に魂が帰るのです。

そして精霊として生きるのです」

そう説明してくれた。

「そうか、実質的には永遠って言ってもおかしくは無いわよね。

そう言う仕組みだったのですね。

それでクイーンが突然亡くなったと言うのはどう言う意味で亡くなったと言うのですか?」

「実を言うと、ハイエルフ達が突然消え始めたのです……」

ルビーが戸惑った様にしてそう言った。

「え? それはどう言う意味ですか?」

「私たちにもわかりません。

突然体が透けて霞の様になってパッと消えるのです……

それが今エルフの里で起きていて……

妖精達も訳がわからない様で……

精霊達は地の次元に異変が起きているとか……

それで精霊達も突然消えていくんです……

その影響でエルフの里にも異変が起きていると……

私には何の事かサッパリ……

だから王が姫の姿を変えて人間の世界に隠したのです……

姫はエルフの里での事は覚えていません。

王が姫の記憶を消して魔力を封印しました」

「そんな……メルデーナの不在の影響がそんな形でエルフの里に影響してるなんて……」

マグノリアがそう言って拳をギュッと握った。

「あなた方は何か知っているのですか?!」

ルビーがマグノリアに詰め寄った。

マグノリアは話すべきか迷ってアーウィンの方を見た。

アーウィンもどうすれば良いのか迷っている様だった。

「此処までくるとお前達だけの問題では無いはずだ。

この事は全て話した方が良いぞ」

デューデューにそう言われ、

「でも……何処からどう話せば良いのか……」

マグノリアが迷って居ると、

「僕が話すよ」

そう言ってアーウィンが前に出て来た。

アーウィンはスーっと息を大きく吸ってゆっくりと吐き出すと、

「全ての元凶はサンクホルムの王弟であるジューク・アーレンハイムという人物の陰謀です」

そう言ってアーウィンは唇を噛んで拳を震わせた。

ルビーの目をしっかりと見て、

「彼は魔神を呼び起こそうとしています」

そう言うと、

「魔神……ですか?」

ルビーがそう尋ねた。

アーウィンは頷くと、

「貴方は魔神について何か知っていますか?」

そう尋ねると、ルビーは魔神についてはほとんど知らないと言った。

「すみません。 里には外界の情報は殆ど入って来ませんが、
王であればご存じだと思います」

「そうですか……話を続けますか?」

アーウィンが確認すると、

「お願いします」

そうルビーが言ったのでアーウィンは話を続けた。

「それでその魔神を呼び起こすのに、
地、気、水、火の護り神から魔神を封印して居る空間への鍵を奪う必要があります。

アーレンハイム公は先ず地を管理するメルデーナから鍵を奪いました。

今メルデーナは行方が分かりません。

地の空間は現在主人が不在です……

私にはどうなって居るのか分かりません。

そしてメルデーナの双子の姉である聖龍のエレノアも行方が分かりません……

私たちが知って居るのは此処までです」

そう言うとルビーは真っ青になって顔を手で覆った。

「それではこんな事を知って居るあなた方は……?」

ルビーが尋ねると、アーウィンとマグノリアが顔を見合わせて頷いた。

「私はマグノリア・シュレード、旧姓はリヴィグラート……ソレル王国の国王が長女、マグノリア王女です」

そう言うと、次はアーウィンが、

「私はアーウィン・シュレード。

サンクホルム王国の最高大神官です」

そう言うと、

「ではあなた方は……」

「はい、私は先日アーレンハイム公により命を落としたサンクホルムの王子、ジェイド殿下の婚約者でした。

ジェイドは彼の騎士と、この世界を守るためにアーレンハイム公と戦い残念ながら騎士と共に命を落としました。

今は全てを知って居る私たちがアーレンハイム公に狙われています」

マグノリがそう言うと、今度はアーウィンが、

「私はジェイド殿下の専属神官でした。

彼とは彼が5歳の時から8年近くの従者であり一番の友でした。

そして彼が私たちのもう一人の友……私たちと同じ時を共に過ごし、
共にアーレンハイム公と戦って来た灰色の龍のデューデューです。

そして私達もそうですが、今1番アーレンハイム公に狙われて居るのがこの龍のデューデューです」

そう説明すると、ルビーがガクガクと震えた様にして

「少々お待ちください」

そう言うと、急に静かになり目を閉じた。

5分くらいそうしていたかと思うと急に、

「これから王がこちらにいらっしゃいます」

そう言い出した。



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