139 / 201
第139話 浦上琢磨
しおりを挟む
あれから何度か、
下のコンビニのお兄さんと顔を合わせ話もした。
彼の名前は浦上琢磨といい、
地方から東京の大学へ出て来た21歳の
大学4年生だと言う事が分かった。
大学では経済を勉強しているらしく、
今年で卒業だと言っていた。
丁度、遠恋をしていたガールフレンドと別れ、
毎日を寂しく過ごしていると教えられた。
このコンビニには去年の夏位から居るらしく、
シフト時に僕が行かなかったのか、
それともただ覚えていないだけなのか、
僕の記憶から行くと、今まで会ったことが無かった。
でも、あれから佐々木先輩については
何も聞いてこなかったので
そこは安心したけれども、
何だか最近迫られているような感じがした。
その日も僕は、学校帰りにコンビニの前を通った。
「よお! 要! 今帰りか?」
彼はコンビニの前を掃除していた。
もう呼び捨て? まだ会ってそんな経って無いのに
ちょっとなれなれしくない?
そう思ったけど、
「こんにちは。 お疲れ様です」
と言って素通りをしようとした。
「おい、おい、おい!
それだけ?
もっと他に言う事無いの?」
「いえ、別に……
今、仕事中じゃないんですか?」
「何だよ、つれないな。
なあ、今週末暇?」
何で今週末の僕の予定が必要なの?
「え?」
「いや、週末に一緒に飯でもと思ったんだけど……」
「何故僕と?
一緒にご飯行くほど知り合っても居ないと思うんですけど……」
「だからだよ。
親睦を深めるために、な?」
「だから、何故僕と親睦を深めないといけないんですか?
僕は一介の高校生なんですけど……」
「ま~、ま~
そう言うなよ。
折角知り合ったんだし、
出会いは大切にしないとな? な?」
「意味わかりません!
僕は忙しいので……では」
そう言ってマンションへと入って行った。
エレベーターの前まで来ると、
フ~ッと一息ついて、胸を抑えた。
『は~ びっくりした!
いったい何なの、あの人……
ちょっと怪しいんですけど……
何故いきなり僕……?
佐々木先輩に相談する?
でも心配かけたくないしな……
仕方ない、とりあえずは様子を見て見よう……』
浦上さんの馴れ馴れしさに少し疑問は残ったけど、
そういう人も居るんだと思い、余り気には留めなかった。
2年生になってからも、僕は隔週末ごとに、
奥野さんの叔父さんのカフェでバイトをしていた。
それはバイトの入っていた週末の出来事だった。
僕が接客をしていると、カラン・カランと人の入ってくる音がした。
「いらっしゃませ~」
と言ってドアの方を向くと、入って来たのは浦上さんだった。
僕は凄くびっくりした。
え? 何故? ストーキングされてる?
僕は暫く固まって、そこを動くことが出来なかった。
「あれ? 要? ここでバイトしてたの?」
え? 僕がここでバイトしてるの知らなかった?
もしかして偶然?
全部僕の思い違い?
「あ……はい……
あの……お一人様でしょうか?」
訝し気に僕はそう尋ねた。
「うん、今日は一人。
俺、その先にある大学に行ってるんだ。
言わなかったっけ?
週日は結構ここに顔出すんだよ。
今日は教授に呼び出しされてね、
ここでお昼にしようと思って来たんだけど、
グッドタイミングだったね」
あ~ そう言えば、大学4年生って言ってたな。
その先にある大学だったのか~
ストーキングなんて、やっぱり僕の気の所為か~
そう思ってため息を付いた。
「それでは、こちらの席にどうぞ」
そう言って僕は浦上さんを
窓辺の二人座りの席へ案内した。
「ユニフォームがカッコいいね?
ここは長いの?」
「はい、もう1年くらいになります」
「結構長いんだね。
ここには割と来てるんだけど、今日初めて会ったね?
バイトしてるの週末だけ?」
「はい、隔週末で……」
「そうなんだ、じゃあ再来週末にはまたいるんだよね?」
「あ……そうですね」
「じゃあ、次は要の居る時に来るようにしようかな!」
そう言って浦上さんはウキウキとしたようにしていた。
「あの、お飲み物は?」
「じゃあ、まずはお冷で」
「分りました。
それではご注文が決まりましたら、
このボタンを押してください」
そう言って僕はお冷を取りにカウンターへと行った。
そこでは僕のやり取りを興味深く観察していた奥野さんが待っていた。
「ねえ、ねえ、あの人知り合い?」
「あ、僕の住んでるマンションの
一階にあるコンビニでバイトをしている人で
この先にある大学に通っているそうで……」
僕がそう言うとカフェオーナーの森野さんが横から、
「あ~ あちらのお客様だったら、
週日によく見かけますね~」
と言ったので、やっぱり本当だったんだと思った。
でも奥野さんが、
「でもちょっと胡散臭いわよね?
赤城君がここでバイトしてるの、本当に知らなかったの?」
とコソコソと耳打ちして来た。
「やっぱり変だと思いますか?
僕もちょっとなれなれしいかなとは思ったんですけど……」
「ねえ、赤城君に気があるんじゃない?
ここはガツンと、付き合ってる人が居るっていったら?」
そこでハッとして、
「実はですね、先日彼がバイトしている時、
ちょうどコンビニを訪れたんですよ。
その時に佐々木先輩が載った雑誌があって、
買おうと会計まで持っていったら、
佐々木先輩の事、僕の付き合ってる人だって
ピシャリと当てたんですよ。
気味悪くありませんか?」
と奥野さんに伝えた。
「確かに怪しいよね、
でも、赤城君のマンションの所のコンビニでしょ?
あのコンビニ何時も通るんだよね?」
「そうなんですよね~」
「一緒に居るところ見られたとか?
ほら、赤城君奇麗だし、
佐々木先輩も立ってるだけで何かと目立つ人じゃ無い?
二人そろえばだれもが振り向くみたいな?」
「お母さんからも、知らないうちに
会ってるんじゃないの?って言われたんですけど、
僕的には何だかそれだけでは無いような
ニュアンスが含まれてたんですよね」
「本当だね、ちょっと気持ち悪いよね。
単なる気のせいだと良いんだけどね。
佐々木先輩に相談してみたら?」
「心配かけたくないし、
もし本当に必要だったら相談してみます」
「もしなにかあったら私にも言ってね?
力になるから!」
「はい、ありがとうございます」
その時、浦上さんから注文のベルが鳴った。
僕は直ぐに浦上さんの所へ確認に行った。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「ねえ、今日は何時までバイトなの?」
「……ご注文では無いんですか?」
「つれないね~
じゃあエビドリアで。
サラダとコーヒーも一緒にお願いします」
「かしこまりました」
僕はお辞儀をすると、カウンターへと行った。
「ひゃ~ 彼も負けてないね~」
そう奥野さんが言うと、僕は肩をヒョイとあげて
首をひねった。
「ほら、呼んでるよ」
そう言って奥野さんが彼の方を指差した。
浦上さんは、顎で肘をついて、
片手を僕に向けてヒラヒラとしていた。
僕はチラッと奥野さんを見ると、
奥野さんは行ってらっしゃ~いと僕の肩を押した。
僕は、ヤレヤレと思いながら、
「追加注文ですか?」
と尋ねに行った。
「ねえ、さっきの質問!
今日は何時に終わるの?」
またそれか!
「お客様に個人的な事はお答え出来ません!」
僕がそう言うと、
「じゃあ、要が終わるまで此処で待ってようかな~」
と浦上さんも負けていない。
「それは他のお客様の迷惑になりますでやめて下さい。
出禁にしてもらいますよ!」
浦上さんは降参とでも言うように、
両手を小さく上げて、
「じゃあ、今日は諦めるよ」
そう言って、奥野さんが運んでくれた
出来たばかりのご飯を、
「今日も美味しそ~
頂きま~す」
と言って食べ始めた。
奥の方で暫く奥野さんに
グチグチと文句を言っていると、
「じゃあ、お会計お願いしま~す」
と、今日の所は素直に帰ってくれるようだった。
助かったと思い、
彼のテーブルをかたずけに行った時に、
カフェの少し先で立っている彼の姿を見た。
あれ? まだいるの? 誰かと待ち合わせかな?
と思っていたら、
彼の所に黒塗りの高級車が止まり、
運転席から黒いスーツを着た人が顔を出した。
そして浦上さんに話し掛けた。
僕はひぇ~
もしかしてあっちの人?
浦上さん大丈夫?と思っていると、
黒いスーツを着た人が浦上さんに車に乗るように誘った。
僕が息を殺してその行方を見守っていると、
浦上さんは、少し周りを気にしたような仕草をして、
黒塗りの車に乗り込んだ。
下のコンビニのお兄さんと顔を合わせ話もした。
彼の名前は浦上琢磨といい、
地方から東京の大学へ出て来た21歳の
大学4年生だと言う事が分かった。
大学では経済を勉強しているらしく、
今年で卒業だと言っていた。
丁度、遠恋をしていたガールフレンドと別れ、
毎日を寂しく過ごしていると教えられた。
このコンビニには去年の夏位から居るらしく、
シフト時に僕が行かなかったのか、
それともただ覚えていないだけなのか、
僕の記憶から行くと、今まで会ったことが無かった。
でも、あれから佐々木先輩については
何も聞いてこなかったので
そこは安心したけれども、
何だか最近迫られているような感じがした。
その日も僕は、学校帰りにコンビニの前を通った。
「よお! 要! 今帰りか?」
彼はコンビニの前を掃除していた。
もう呼び捨て? まだ会ってそんな経って無いのに
ちょっとなれなれしくない?
そう思ったけど、
「こんにちは。 お疲れ様です」
と言って素通りをしようとした。
「おい、おい、おい!
それだけ?
もっと他に言う事無いの?」
「いえ、別に……
今、仕事中じゃないんですか?」
「何だよ、つれないな。
なあ、今週末暇?」
何で今週末の僕の予定が必要なの?
「え?」
「いや、週末に一緒に飯でもと思ったんだけど……」
「何故僕と?
一緒にご飯行くほど知り合っても居ないと思うんですけど……」
「だからだよ。
親睦を深めるために、な?」
「だから、何故僕と親睦を深めないといけないんですか?
僕は一介の高校生なんですけど……」
「ま~、ま~
そう言うなよ。
折角知り合ったんだし、
出会いは大切にしないとな? な?」
「意味わかりません!
僕は忙しいので……では」
そう言ってマンションへと入って行った。
エレベーターの前まで来ると、
フ~ッと一息ついて、胸を抑えた。
『は~ びっくりした!
いったい何なの、あの人……
ちょっと怪しいんですけど……
何故いきなり僕……?
佐々木先輩に相談する?
でも心配かけたくないしな……
仕方ない、とりあえずは様子を見て見よう……』
浦上さんの馴れ馴れしさに少し疑問は残ったけど、
そういう人も居るんだと思い、余り気には留めなかった。
2年生になってからも、僕は隔週末ごとに、
奥野さんの叔父さんのカフェでバイトをしていた。
それはバイトの入っていた週末の出来事だった。
僕が接客をしていると、カラン・カランと人の入ってくる音がした。
「いらっしゃませ~」
と言ってドアの方を向くと、入って来たのは浦上さんだった。
僕は凄くびっくりした。
え? 何故? ストーキングされてる?
僕は暫く固まって、そこを動くことが出来なかった。
「あれ? 要? ここでバイトしてたの?」
え? 僕がここでバイトしてるの知らなかった?
もしかして偶然?
全部僕の思い違い?
「あ……はい……
あの……お一人様でしょうか?」
訝し気に僕はそう尋ねた。
「うん、今日は一人。
俺、その先にある大学に行ってるんだ。
言わなかったっけ?
週日は結構ここに顔出すんだよ。
今日は教授に呼び出しされてね、
ここでお昼にしようと思って来たんだけど、
グッドタイミングだったね」
あ~ そう言えば、大学4年生って言ってたな。
その先にある大学だったのか~
ストーキングなんて、やっぱり僕の気の所為か~
そう思ってため息を付いた。
「それでは、こちらの席にどうぞ」
そう言って僕は浦上さんを
窓辺の二人座りの席へ案内した。
「ユニフォームがカッコいいね?
ここは長いの?」
「はい、もう1年くらいになります」
「結構長いんだね。
ここには割と来てるんだけど、今日初めて会ったね?
バイトしてるの週末だけ?」
「はい、隔週末で……」
「そうなんだ、じゃあ再来週末にはまたいるんだよね?」
「あ……そうですね」
「じゃあ、次は要の居る時に来るようにしようかな!」
そう言って浦上さんはウキウキとしたようにしていた。
「あの、お飲み物は?」
「じゃあ、まずはお冷で」
「分りました。
それではご注文が決まりましたら、
このボタンを押してください」
そう言って僕はお冷を取りにカウンターへと行った。
そこでは僕のやり取りを興味深く観察していた奥野さんが待っていた。
「ねえ、ねえ、あの人知り合い?」
「あ、僕の住んでるマンションの
一階にあるコンビニでバイトをしている人で
この先にある大学に通っているそうで……」
僕がそう言うとカフェオーナーの森野さんが横から、
「あ~ あちらのお客様だったら、
週日によく見かけますね~」
と言ったので、やっぱり本当だったんだと思った。
でも奥野さんが、
「でもちょっと胡散臭いわよね?
赤城君がここでバイトしてるの、本当に知らなかったの?」
とコソコソと耳打ちして来た。
「やっぱり変だと思いますか?
僕もちょっとなれなれしいかなとは思ったんですけど……」
「ねえ、赤城君に気があるんじゃない?
ここはガツンと、付き合ってる人が居るっていったら?」
そこでハッとして、
「実はですね、先日彼がバイトしている時、
ちょうどコンビニを訪れたんですよ。
その時に佐々木先輩が載った雑誌があって、
買おうと会計まで持っていったら、
佐々木先輩の事、僕の付き合ってる人だって
ピシャリと当てたんですよ。
気味悪くありませんか?」
と奥野さんに伝えた。
「確かに怪しいよね、
でも、赤城君のマンションの所のコンビニでしょ?
あのコンビニ何時も通るんだよね?」
「そうなんですよね~」
「一緒に居るところ見られたとか?
ほら、赤城君奇麗だし、
佐々木先輩も立ってるだけで何かと目立つ人じゃ無い?
二人そろえばだれもが振り向くみたいな?」
「お母さんからも、知らないうちに
会ってるんじゃないの?って言われたんですけど、
僕的には何だかそれだけでは無いような
ニュアンスが含まれてたんですよね」
「本当だね、ちょっと気持ち悪いよね。
単なる気のせいだと良いんだけどね。
佐々木先輩に相談してみたら?」
「心配かけたくないし、
もし本当に必要だったら相談してみます」
「もしなにかあったら私にも言ってね?
力になるから!」
「はい、ありがとうございます」
その時、浦上さんから注文のベルが鳴った。
僕は直ぐに浦上さんの所へ確認に行った。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「ねえ、今日は何時までバイトなの?」
「……ご注文では無いんですか?」
「つれないね~
じゃあエビドリアで。
サラダとコーヒーも一緒にお願いします」
「かしこまりました」
僕はお辞儀をすると、カウンターへと行った。
「ひゃ~ 彼も負けてないね~」
そう奥野さんが言うと、僕は肩をヒョイとあげて
首をひねった。
「ほら、呼んでるよ」
そう言って奥野さんが彼の方を指差した。
浦上さんは、顎で肘をついて、
片手を僕に向けてヒラヒラとしていた。
僕はチラッと奥野さんを見ると、
奥野さんは行ってらっしゃ~いと僕の肩を押した。
僕は、ヤレヤレと思いながら、
「追加注文ですか?」
と尋ねに行った。
「ねえ、さっきの質問!
今日は何時に終わるの?」
またそれか!
「お客様に個人的な事はお答え出来ません!」
僕がそう言うと、
「じゃあ、要が終わるまで此処で待ってようかな~」
と浦上さんも負けていない。
「それは他のお客様の迷惑になりますでやめて下さい。
出禁にしてもらいますよ!」
浦上さんは降参とでも言うように、
両手を小さく上げて、
「じゃあ、今日は諦めるよ」
そう言って、奥野さんが運んでくれた
出来たばかりのご飯を、
「今日も美味しそ~
頂きま~す」
と言って食べ始めた。
奥の方で暫く奥野さんに
グチグチと文句を言っていると、
「じゃあ、お会計お願いしま~す」
と、今日の所は素直に帰ってくれるようだった。
助かったと思い、
彼のテーブルをかたずけに行った時に、
カフェの少し先で立っている彼の姿を見た。
あれ? まだいるの? 誰かと待ち合わせかな?
と思っていたら、
彼の所に黒塗りの高級車が止まり、
運転席から黒いスーツを着た人が顔を出した。
そして浦上さんに話し掛けた。
僕はひぇ~
もしかしてあっちの人?
浦上さん大丈夫?と思っていると、
黒いスーツを着た人が浦上さんに車に乗るように誘った。
僕が息を殺してその行方を見守っていると、
浦上さんは、少し周りを気にしたような仕草をして、
黒塗りの車に乗り込んだ。
0
あなたにおすすめの小説
36.8℃
月波結
BL
高校2年生、音寧は繊細なΩ。幼馴染の秀一郎は文武両道のα。
ふたりは「番候補」として婚約を控えながら、音寧のフェロモンの影響で距離を保たなければならない。
近づけば香りが溢れ、ふたりの感情が揺れる。音寧のフェロモンは、バニラビーンズの甘い香りに例えられ、『運命の番』と言われる秀一郎の身体はそれに強く反応してしまう。
制度、家族、将来——すべてがふたりを結びつけようとする一方で、薬で抑えた想いは、触れられない手の間をすり抜けていく。
転校生の肇くんとの友情、婚約者候補としての葛藤、そして「待ってる」の一言が、ふたりの未来を静かに照らす。
36.8℃の微熱が続く日々の中で、ふたりは“運命”を選び取ることができるのか。
香りと距離、運命、そして選択の物語。
ワケありくんの愛され転生
鬼塚ベジータ
BL
彼は”勇敢な魂"として、彼が望むままに男同士の恋愛が当たり前の世界に転生させてもらえることになった。しかし彼が宿った体は、婚活をバリバリにしていた平凡なベータの伯爵家の次男。さらにお見合いの直前に転生してしまい、やけに顔のいい執事に連れられて3人の男(イケメン)と顔合わせをさせられた。見合いは辞退してイケメン同士の恋愛を拝もうと思っていたのだが、なぜかそれが上手くいかず……。
アルファ4人とオメガ1人に愛される、かなり変わった世界から来た彼のお話。
※オメガバース設定です。
【完結】聖クロノア学院恋愛譚 ―君のすべてを知った日から―
るみ乃。
BL
聖クロノア学院で交差する、記憶と感情。
「君の中の、まだ知らない“俺”に、触れたかった」
記憶を失ったベータの少年・ユリス。
彼の前に現れたのは、王族の血を引くアルファ・レオン。
封印された記憶、拭いきれない傷、すれ違う言葉。
謎に満ちた聖クロノア学院のなかで、ふたりの想いが静かに揺れ動く。
触れたいのに、触れられない。
心を開けば、過去が崩れる。
それでも彼らは、確かめずにはいられなかった。
――そして、学院の奥底に眠る真実が、静かに目を覚ます。
過去と向き合い、他者と繋がることでしか見えない未来がある。
許しと、選びなおしと、ささやかな祈り。
孤独だった少年たちは、いつしか“願い”を知っていく。
これは、ふたりだけの愛の物語であると同時に、
誰かの傷が誰かの救いに変わっていく
誰が「運命」に抗い、
誰が「未来」を選ぶのか。
優しさと痛みの交差点で紡がれる
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
白銀の城の俺と僕
片海 鏡
BL
絶海の孤島。水の医神エンディリアムを祀る医療神殿ルエンカーナ。島全体が白銀の建物の集合体《神殿》によって形作られ、彼らの高度かつ不可思議な医療技術による治療を願う者達が日々海を渡ってやって来る。白銀の髪と紺色の目を持って生まれた子供は聖徒として神殿に召し上げられる。オメガの青年エンティーは不遇を受けながらも懸命に神殿で働いていた。ある出来事をきっかけに島を統治する皇族のαの青年シャングアと共に日々を過ごし始める。 *独自の設定ありのオメガバースです。恋愛ありきのエンティーとシャングアの成長物語です。下の話(セクハラ的なもの)は話しますが、性行為の様なものは一切ありません。マイペースな更新です。*
春風の香
梅川 ノン
BL
名門西園寺家の庶子として生まれた蒼は、病弱なオメガ。
母を早くに亡くし、父に顧みられない蒼は孤独だった。
そんな蒼に手を差し伸べたのが、北畠総合病院の医師北畠雪哉だった。
雪哉もオメガであり自力で医師になり、今は院長子息の夫になっていた。
自身の昔の姿を重ねて蒼を可愛がる雪哉は、自宅にも蒼を誘う。
雪哉の息子彰久は、蒼に一心に懐いた。蒼もそんな彰久を心から可愛がった。
3歳と15歳で出会う、受が12歳年上の歳の差オメガバースです。
オメガバースですが、独自の設定があります。ご了承ください。
番外編は二人の結婚直後と、4年後の甘い生活の二話です。それぞれ短いお話ですがお楽しみいただけると嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる