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第一章
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違う高校のセーラー服だから校庭や教室だったらおかしいしだろ?って言われて、『そんなもんか?』と思ったけど…。
そりゃ、おかしいかもしれないけど、なんか言いくるめられているようで納得いかない。
「なあ、じゃあセーラー服でなくても良いんじゃないの?それに、同じ高校なら写真見たら僕だってわかるかもしれないし…あっ、誰かってわからないようにわざとぼかして撮るの?」
「二年だしわからないよ。写真は松本が撮ってくれるから。はい」
渡された紙袋の中はさっき見た夏服のセーラー服だった。
「ここで着るの?出てってよ」
「着方わかる?」
見てみると…わかるよね?
「わかるよ」
「手伝ってやるよ」
松本君は部屋から出て行ったけど、安達君は出て行かなかった。
後ろを向いて着替えるけど、二人きりで居ることに息苦しさを感じる。
安達君の匂いが充満しているこの部屋は何をしててもどこを向いてても、正面から安達君に見られているようで居た堪れない。
校章の入ったカッターシャツに手をかけてボタンを外して行くけれど、安達君に聞こえるんじゃないかと思うほど、心臓が壊れるんじゃないかと思うほど、バクバクなって手が上手く動かない。
「ボタン、外すの手伝ってやろうか?」
「い、いいよ」
慌てて断るけど、変じゃないか?男子高校生の着替えを同じ男子高校生が手伝うって。
「お、お願いだから、出てってよ…ち、ちゃんとセーラー服は着るからさ…」
安達君の顔が見られない。心が張りつめてどもってしまい、余計に恥ずかしくなっていく。
「良いだろ?居てても…」
懇願するように言われると、それ以上は何も言えなかった。
やっと全部のボタンを外し終えて、思わず『ふぅ…』深く息を吐く。
緊張で強張った身体からシャツを脱いでいく。
「やばいね…これ」
安達君の呟きが聞こえてきた。
「悪かったな…貧弱で…」
「あっ、いや…そうじゃなくて…」
ほらって上からセーラー服を被せられて慌てた。
「腕、出して」
なんとかセーラー服を着ることができた。一人でも着られたと思うけど、あんなところにファスナーがあるのは知らなかった。
後ろを向いたまま素早くズボンを脱いで、スカートを履いた。
スカートなんか履いたことないから戸惑っていると、見せてと安達君が手を差し出してくる。
「うわー細い」
だから…もういいだろ…貧弱なんだよ…。
安達君が何でセーラー服の着方を知っているかを知りたくはない。お姉さんの着替えを手伝うはずはないから…。
「リップクリーム塗ってみて?」
鏡を渡されて素直に従った。ここまできて嫌だと言っても仕方ない。
少し色の付いたこのリップは誰の物なんだろう?わざわざ買ってきた?セーラー服をお姉さんから借りたように、これもあらかじめ用意していたのかな?
僕が上手く断れてたら、誰に頼むつもりだったのだろうか?
誰かに頼んでいる姿を想像して心臓がぎゅっと苦しくなる。断りたかったはずなのにこんな風に近くに居ると欲張りになってしまいそうだ。
「これ、姉貴のウイッグなんだ。眼鏡も要らないね」
鏡を取り上げられて見せてくれないからウイッグがどんなふうになっているか分からない。
普段見えない肩にかかる髪に違和感が半端ない。首筋に触れるとゾワッとした。思わず首にかかるウイッグに触れる。
「気持ち悪い?」
そう言いながら、僕の首に安達君の指が触れてウイッグを整えてくれるけど、さっきとは違う痺れのような感じが全身に走った。
「だ、大丈夫」
安達君はなんだか楽しそうで、やっばりただからかわれているのかと、さっき少しだけ膨らんだ風船は針で突いたように弾け飛んで、どんよりした気持ちになった。
そりゃ、おかしいかもしれないけど、なんか言いくるめられているようで納得いかない。
「なあ、じゃあセーラー服でなくても良いんじゃないの?それに、同じ高校なら写真見たら僕だってわかるかもしれないし…あっ、誰かってわからないようにわざとぼかして撮るの?」
「二年だしわからないよ。写真は松本が撮ってくれるから。はい」
渡された紙袋の中はさっき見た夏服のセーラー服だった。
「ここで着るの?出てってよ」
「着方わかる?」
見てみると…わかるよね?
「わかるよ」
「手伝ってやるよ」
松本君は部屋から出て行ったけど、安達君は出て行かなかった。
後ろを向いて着替えるけど、二人きりで居ることに息苦しさを感じる。
安達君の匂いが充満しているこの部屋は何をしててもどこを向いてても、正面から安達君に見られているようで居た堪れない。
校章の入ったカッターシャツに手をかけてボタンを外して行くけれど、安達君に聞こえるんじゃないかと思うほど、心臓が壊れるんじゃないかと思うほど、バクバクなって手が上手く動かない。
「ボタン、外すの手伝ってやろうか?」
「い、いいよ」
慌てて断るけど、変じゃないか?男子高校生の着替えを同じ男子高校生が手伝うって。
「お、お願いだから、出てってよ…ち、ちゃんとセーラー服は着るからさ…」
安達君の顔が見られない。心が張りつめてどもってしまい、余計に恥ずかしくなっていく。
「良いだろ?居てても…」
懇願するように言われると、それ以上は何も言えなかった。
やっと全部のボタンを外し終えて、思わず『ふぅ…』深く息を吐く。
緊張で強張った身体からシャツを脱いでいく。
「やばいね…これ」
安達君の呟きが聞こえてきた。
「悪かったな…貧弱で…」
「あっ、いや…そうじゃなくて…」
ほらって上からセーラー服を被せられて慌てた。
「腕、出して」
なんとかセーラー服を着ることができた。一人でも着られたと思うけど、あんなところにファスナーがあるのは知らなかった。
後ろを向いたまま素早くズボンを脱いで、スカートを履いた。
スカートなんか履いたことないから戸惑っていると、見せてと安達君が手を差し出してくる。
「うわー細い」
だから…もういいだろ…貧弱なんだよ…。
安達君が何でセーラー服の着方を知っているかを知りたくはない。お姉さんの着替えを手伝うはずはないから…。
「リップクリーム塗ってみて?」
鏡を渡されて素直に従った。ここまできて嫌だと言っても仕方ない。
少し色の付いたこのリップは誰の物なんだろう?わざわざ買ってきた?セーラー服をお姉さんから借りたように、これもあらかじめ用意していたのかな?
僕が上手く断れてたら、誰に頼むつもりだったのだろうか?
誰かに頼んでいる姿を想像して心臓がぎゅっと苦しくなる。断りたかったはずなのにこんな風に近くに居ると欲張りになってしまいそうだ。
「これ、姉貴のウイッグなんだ。眼鏡も要らないね」
鏡を取り上げられて見せてくれないからウイッグがどんなふうになっているか分からない。
普段見えない肩にかかる髪に違和感が半端ない。首筋に触れるとゾワッとした。思わず首にかかるウイッグに触れる。
「気持ち悪い?」
そう言いながら、僕の首に安達君の指が触れてウイッグを整えてくれるけど、さっきとは違う痺れのような感じが全身に走った。
「だ、大丈夫」
安達君はなんだか楽しそうで、やっばりただからかわれているのかと、さっき少しだけ膨らんだ風船は針で突いたように弾け飛んで、どんよりした気持ちになった。
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