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第一章
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◇◇◇◇◇
あの日、安達君の部屋で…
ベットに並んで座って、安達君が僕の腰に腕を回している。
『さあ、笑えよ』って思っていたのに本当に写真撮るのか?
ああ、撮ってそれ見て笑うのか?
そんなことを考えてたのに…。
「佐々城、ちょっと顎引いて…こっち見て」
「安達、笑いすぎ…笑顔が怖いよ。佐々城はもうちょい笑って。ほらさっきみたいにさ」
「えっ…えっ」
「大丈夫?ほら腕、俺の腰に…そう…」
僕の腕を持って安達君の身体を囲うように両腕を回されて抱きつくようになってしまった。
顔を上げて安達君を見ると目が合った。
「頂き!」
松本君の声に驚いたけど、それどころじゃないよ。
それから何枚も写真を撮られた。立ってみたり、椅子に座った僕の後ろに安達君が立って顔を寄せてきたり、なんだか分からない内に撮影会は進んで行く。
「松本、ちょっと」
安達君と松本君は僕に聞こえないように何か話していて、『お~』とか言ってる。
ああ、笑うのか?もう良いよ。
何でも良いから早く帰りたい。
「悪い」
爽やか笑顔で再びベットの僕の隣に座って「佐々城」って呼ぶから思わず安達君を見ると、顎を持たれて顔が近ずいて…思わず目を閉じた。
唇に息がかかり一瞬だけ、触れて直ぐに安達君は離れた。
「撮れた?」
「おう!見る?」
「見る見る」
やっと、終わったのか?
キスしてしまった衝撃で動くことができない僕は呆然とその場に座ってた。
二人は撮った写真をチェックしてる。
「なあ、俺も一緒に撮りたい」
松本君が僕にじゃなく、安達君に拝むように頼んでるのを『変な奴』と思った。
「良いよ」
こうなったらヤケだ。あと何枚か増えるだけのことだしね。
「駄目だよ!佐々城」
そして松本君と僕との間に入って僕に背中を向けているので安達君の顔は見れないけど、そんなに怒ることないのに。
「別に罰ゲームがちょっとだけ増えるだけの…」
「罰ゲームとかじゃないから」
僕が最後まで言う前に怒ったように言われたから「うん、わかった…」と言っていた。
それから安達君はちょっと機嫌が悪かったけど、セーラー服を脱がせる頃には笑顔で、その笑顔にときめいてしまったことは勿論内緒だ。
今度、話す機会があれば彼女のことを聞いてみよう。
もう、話しかけられないかもしれない。
僕から話しかけたことはない。
掃除当番も、委員も、何もかも、安達君とは違うから、話さずに過ごすことは容易いことだ。
でも、やっばり笑顔を探しているからスルースキルの鈍ってしまった僕の視線は安達君とたまに合ってしまって今では慌てて逸らしてしまい、『どしたの?』って聞かれて赤面することはしばしばあった。
でも彼女居るんならもう僕は用無しだよね。
あの写真を見せたかった子に男だって、本当の彼女じゃないってバラされるのが嫌で見張ってただけなんだろ?
もう話しかけるなよ。
また前の関係に、ただのクラスメートに、同じ教室に居るだけの冴えない奴に戻るだけ。
笑われなかっただけマシじゃないか?
写真は安達君か松本君のスマホに入ってるんだろうけど、今までからかいのネタにならなかったのならこれからもないだろう。
もう、静かに隠れて見てるだけで良いんだ。
高校を卒業して、二度と会えなくなってしまったらやっと安達君からも卒業できる。
だからその時の傷がなるべく深くならないように、今は距離を置きたい。
どうしても気になってしまうんだ。
どうしても嫌いになれないんだ。
諦めても、諦めても…好きなんだ。
だから早く卒業したい。
実らない想いは辛すぎる。
あの日、安達君の部屋で…
ベットに並んで座って、安達君が僕の腰に腕を回している。
『さあ、笑えよ』って思っていたのに本当に写真撮るのか?
ああ、撮ってそれ見て笑うのか?
そんなことを考えてたのに…。
「佐々城、ちょっと顎引いて…こっち見て」
「安達、笑いすぎ…笑顔が怖いよ。佐々城はもうちょい笑って。ほらさっきみたいにさ」
「えっ…えっ」
「大丈夫?ほら腕、俺の腰に…そう…」
僕の腕を持って安達君の身体を囲うように両腕を回されて抱きつくようになってしまった。
顔を上げて安達君を見ると目が合った。
「頂き!」
松本君の声に驚いたけど、それどころじゃないよ。
それから何枚も写真を撮られた。立ってみたり、椅子に座った僕の後ろに安達君が立って顔を寄せてきたり、なんだか分からない内に撮影会は進んで行く。
「松本、ちょっと」
安達君と松本君は僕に聞こえないように何か話していて、『お~』とか言ってる。
ああ、笑うのか?もう良いよ。
何でも良いから早く帰りたい。
「悪い」
爽やか笑顔で再びベットの僕の隣に座って「佐々城」って呼ぶから思わず安達君を見ると、顎を持たれて顔が近ずいて…思わず目を閉じた。
唇に息がかかり一瞬だけ、触れて直ぐに安達君は離れた。
「撮れた?」
「おう!見る?」
「見る見る」
やっと、終わったのか?
キスしてしまった衝撃で動くことができない僕は呆然とその場に座ってた。
二人は撮った写真をチェックしてる。
「なあ、俺も一緒に撮りたい」
松本君が僕にじゃなく、安達君に拝むように頼んでるのを『変な奴』と思った。
「良いよ」
こうなったらヤケだ。あと何枚か増えるだけのことだしね。
「駄目だよ!佐々城」
そして松本君と僕との間に入って僕に背中を向けているので安達君の顔は見れないけど、そんなに怒ることないのに。
「別に罰ゲームがちょっとだけ増えるだけの…」
「罰ゲームとかじゃないから」
僕が最後まで言う前に怒ったように言われたから「うん、わかった…」と言っていた。
それから安達君はちょっと機嫌が悪かったけど、セーラー服を脱がせる頃には笑顔で、その笑顔にときめいてしまったことは勿論内緒だ。
今度、話す機会があれば彼女のことを聞いてみよう。
もう、話しかけられないかもしれない。
僕から話しかけたことはない。
掃除当番も、委員も、何もかも、安達君とは違うから、話さずに過ごすことは容易いことだ。
でも、やっばり笑顔を探しているからスルースキルの鈍ってしまった僕の視線は安達君とたまに合ってしまって今では慌てて逸らしてしまい、『どしたの?』って聞かれて赤面することはしばしばあった。
でも彼女居るんならもう僕は用無しだよね。
あの写真を見せたかった子に男だって、本当の彼女じゃないってバラされるのが嫌で見張ってただけなんだろ?
もう話しかけるなよ。
また前の関係に、ただのクラスメートに、同じ教室に居るだけの冴えない奴に戻るだけ。
笑われなかっただけマシじゃないか?
写真は安達君か松本君のスマホに入ってるんだろうけど、今までからかいのネタにならなかったのならこれからもないだろう。
もう、静かに隠れて見てるだけで良いんだ。
高校を卒業して、二度と会えなくなってしまったらやっと安達君からも卒業できる。
だからその時の傷がなるべく深くならないように、今は距離を置きたい。
どうしても気になってしまうんだ。
どうしても嫌いになれないんだ。
諦めても、諦めても…好きなんだ。
だから早く卒業したい。
実らない想いは辛すぎる。
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