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第一章
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この頃サッカー部の後輩が僕たちの教室によく来る。
安達君や松本君、それから他のサッカー部の奴らがその後輩を相手に騒いでいる。
たまにその後輩と目が合う。
見ないようにしているのに、ふっと見てしまった時に…挑戦的に睨まれているような気がするけど、会ったこともない、名前も知らない後輩に睨まれるって何?
落ち着かないので、最近はその後輩が来ると、教室を出るようにしている。
関係ない後輩に気を遣っているようで腑に落ちないけど、安達君と仲良さげにしているのを見たくないんだ。
後輩に優しく笑いかける、頭を乱暴にかき混ぜるそれすら見ていられない。
朝、登校して靴を履き替えていると、クラスの女子とあのサッカー部の後輩が話している声が聞こえた。
靴箱があって僕がここに居るのがわかっているのかいないのかわからない。
なぜか出て行けなくなってしまった。まだ少し早い時間なので登校している生徒は少ない。
「…安達のあの写真ってさ、岸井君なの?」
「え~、どうしてそんなこと聞くんですか?」
「噂になってるのよ。あれって男じゃないのかって」
「で、どうして俺なんですか?」
「だって最近よく来てるじゃない。それに、あの写真と似てるかなって。だから…そうなんじゃないかって…」
「参ったな…ここだけの話にして下さいよ。安達先輩に怒られるから…」
「!やっぱり!?」
「だから…声、大きいですよ」
「ああ、ごめん。誰にも言わないから」
教室へと向かう後輩…岸井君はちらっとこちらを見て、少し驚いたような顔をしたものの、直ぐにいつもの睨みを寄越した。
女の子は僕には気づかなかったようで、教室に入るまで誰にも会わなかった。
岸井君とも写真撮ってたんだ。
何人にもお願いして僕の写真は役に立たなかったのかな。
みんなが噂していた写真が女の子だったとしても、岸井君だったとしても関係ない。
安達君が誰と付き合おうと関係ない。
…関係ない。
それから数日経った昼休み。今日も岸井君が来ていた。
安達君はちょっと嫌そうな顔をしている。
…これは僕の願望かな。
「安達、あの写真……」
「本当に……」
「違う……」
「えっ~……」
なんだか聞こえないけど、聞きたくはない。
「佐々城先輩が……」
岸井君の声が聞こえた。僕のことなんか話題に上げないでくれよ。
教室を出て行こうとする僕を呼び止める声がした。
「佐々城先輩!先輩って、逃げないで下さいよ」
「えっ、僕?」
「先輩ですよね?」
「な、何?」
「こいつが、あの写真がな…」
松本君がなんだか言いにくそうにしている。
「何のこと?」
「岸井!佐々城はそんなこと言わないよ」
「でも、あの時聞いて…」
「あの時ってなんだよ!」
「えっ…いえ…」
「お前!佐々城に何かしたのか?」
「いえ…俺は何も…」
「じゃあ、お前はなんで佐々城があの写真がお前だってみんなに言いふらしたと思うんだ?」
「それは…俺の友だちが、佐々城先輩がそんな話をしていると…」
「そいつ、連れてこい」
「いえ…それは…」
「出来ないのか?」
「いないんだろ?そんな奴?」
黙り込んでしまった岸井君は真っ青な顔をしている。
「お前、もうここ来るな。佐々城、悪かったな」
「…いいよ。でも、何のこと?」
「ああ、あの写真な…」
松本君がちらっとこちらを見た。
「俺と写ってるのが岸井だって噂があってさ。その噂を佐々城が言いふらしてるって、岸井が言うんだ」
安達君や松本君、それから他のサッカー部の奴らがその後輩を相手に騒いでいる。
たまにその後輩と目が合う。
見ないようにしているのに、ふっと見てしまった時に…挑戦的に睨まれているような気がするけど、会ったこともない、名前も知らない後輩に睨まれるって何?
落ち着かないので、最近はその後輩が来ると、教室を出るようにしている。
関係ない後輩に気を遣っているようで腑に落ちないけど、安達君と仲良さげにしているのを見たくないんだ。
後輩に優しく笑いかける、頭を乱暴にかき混ぜるそれすら見ていられない。
朝、登校して靴を履き替えていると、クラスの女子とあのサッカー部の後輩が話している声が聞こえた。
靴箱があって僕がここに居るのがわかっているのかいないのかわからない。
なぜか出て行けなくなってしまった。まだ少し早い時間なので登校している生徒は少ない。
「…安達のあの写真ってさ、岸井君なの?」
「え~、どうしてそんなこと聞くんですか?」
「噂になってるのよ。あれって男じゃないのかって」
「で、どうして俺なんですか?」
「だって最近よく来てるじゃない。それに、あの写真と似てるかなって。だから…そうなんじゃないかって…」
「参ったな…ここだけの話にして下さいよ。安達先輩に怒られるから…」
「!やっぱり!?」
「だから…声、大きいですよ」
「ああ、ごめん。誰にも言わないから」
教室へと向かう後輩…岸井君はちらっとこちらを見て、少し驚いたような顔をしたものの、直ぐにいつもの睨みを寄越した。
女の子は僕には気づかなかったようで、教室に入るまで誰にも会わなかった。
岸井君とも写真撮ってたんだ。
何人にもお願いして僕の写真は役に立たなかったのかな。
みんなが噂していた写真が女の子だったとしても、岸井君だったとしても関係ない。
安達君が誰と付き合おうと関係ない。
…関係ない。
それから数日経った昼休み。今日も岸井君が来ていた。
安達君はちょっと嫌そうな顔をしている。
…これは僕の願望かな。
「安達、あの写真……」
「本当に……」
「違う……」
「えっ~……」
なんだか聞こえないけど、聞きたくはない。
「佐々城先輩が……」
岸井君の声が聞こえた。僕のことなんか話題に上げないでくれよ。
教室を出て行こうとする僕を呼び止める声がした。
「佐々城先輩!先輩って、逃げないで下さいよ」
「えっ、僕?」
「先輩ですよね?」
「な、何?」
「こいつが、あの写真がな…」
松本君がなんだか言いにくそうにしている。
「何のこと?」
「岸井!佐々城はそんなこと言わないよ」
「でも、あの時聞いて…」
「あの時ってなんだよ!」
「えっ…いえ…」
「お前!佐々城に何かしたのか?」
「いえ…俺は何も…」
「じゃあ、お前はなんで佐々城があの写真がお前だってみんなに言いふらしたと思うんだ?」
「それは…俺の友だちが、佐々城先輩がそんな話をしていると…」
「そいつ、連れてこい」
「いえ…それは…」
「出来ないのか?」
「いないんだろ?そんな奴?」
黙り込んでしまった岸井君は真っ青な顔をしている。
「お前、もうここ来るな。佐々城、悪かったな」
「…いいよ。でも、何のこと?」
「ああ、あの写真な…」
松本君がちらっとこちらを見た。
「俺と写ってるのが岸井だって噂があってさ。その噂を佐々城が言いふらしてるって、岸井が言うんだ」
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