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第一章
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「そんな…」
「わかってる」
「なんで、わかるんですか?」
岸井君が泣きながら言ってる。
「わかるんだよ」
安達君が僕の方を見ながら言ってくれる。僕からすれば言ってもいないことを言ったと言われて…その言ったと言われたこと…安達君と写ってる写真が岸井君と言うことは事実なら知りたくない…忘れたいことだったから…。
松本君が岸井君の背中を押して教室から追い出した。
「佐々城、悪かったな」
「ううん」
早くそこから逃げたくって、「じゃあ、僕行くから」とその場を離れた。
その日からなんだかみんなの視線が気になる…。
「佐々城、一緒に弁当食べよ?」
「ううん、今日母さんがいないからお弁当持ってきてないんだ。バン買ってくる」
「じゃ、早く行ってこいよ。あっ、一緒行こうか?」
「いいよ…一人で、行ってくる」
安達君にお昼一緒にって言われると思ってなくって、焦ってしまった。
もう話しかけられないと思っていたから余計に焦る。
みんなの視線も気になるし…。
蔑むような視線じゃない。
興味…そう興味津々って感じで、普段あまり話さない女子が何かと話しかけてくる。
そっとしておいて欲しいのに。
購買までをトボトボ歩いてると「佐々城先輩」と後ろから声を掛けられた。
振り向きたくないけど、聞こえなかったふりが出来るような喧騒は周りにはない。
よく通る声で名前を呼ばれたら止まらない訳にはいかない。
「何?」
良かった。どもらなかった。
そこにいたのは知らない後輩だった。
「あの…佐々城先輩に会いたいって言ってる子がいて、ついてきてくれませんか?」
「今から?これから購買に行くんだけど…」
「ちょっとだけです。お願いしますよ」
と僕の手を掴んでそのまま歩き出した。
ちらっと見えた学年ごとに色の違う校章の刺繍は一年のものだったけど、僕より背が高くて、細いのに握力は僕よりはるかに強くて振りほどくことは出来ない。
「い、痛いよ!行くから、離して」
やっと離してくれたけど、チラチラとこちらを見ながら僕が付いてきてるか確認しながら歩いていく。
昼休みが始まったばかりでみんな昼食を食べているのか周りは静かで、購買や食堂に行く人がパラパラといるだけだった。
もう少し、人が多いところを通れば良かった…。でも、この強引さは周りに人がいても同じかもしれない。
校舎から離れて、第二体育館に着いた。
「こっちです」
そう言うと僕の背中を押して歩き出した。逃がさないとでも言うような強引さで体育館の裏側に回る。
校舎側から見えなくなった辺りでネクタイのようなもので目隠しされた。
咄嗟に目をつむったから目に入らなかったけど、目を開けてたら危なかった。
「な、何するんだよ!」
びっくりしてしばらく動けなかったのがまずかった。目隠しを括り終わったそいつは僕の手を後ろで合わせ一つにまとめて括りだした。
「ほら、歩いて下さいよ」
「歩けないよ。誰か!助け…」
「ちょっと、静かにして下さい」
僕の口を押さえ、丁寧な口調だけどとても威圧的な声は怖くて、これ以上歩くことはできない。
すると、突き飛ばされて、尻餅をついてしまった。
見えないのは怖い。
大きな声を出せば殴られるだろうか?誰もいないのならちょっとくらい声を出しても仕方ないかもしれない。
「もう、安達先輩に近寄らないで下さいますか?」
僕をここに連れてきた奴ではない。
この声は…岸井君だ。
どう言うことだろう?
髪を掴んで引っ張られて痛い。
「どうしてこんなことするんだよ!離せ!」
「わかってる」
「なんで、わかるんですか?」
岸井君が泣きながら言ってる。
「わかるんだよ」
安達君が僕の方を見ながら言ってくれる。僕からすれば言ってもいないことを言ったと言われて…その言ったと言われたこと…安達君と写ってる写真が岸井君と言うことは事実なら知りたくない…忘れたいことだったから…。
松本君が岸井君の背中を押して教室から追い出した。
「佐々城、悪かったな」
「ううん」
早くそこから逃げたくって、「じゃあ、僕行くから」とその場を離れた。
その日からなんだかみんなの視線が気になる…。
「佐々城、一緒に弁当食べよ?」
「ううん、今日母さんがいないからお弁当持ってきてないんだ。バン買ってくる」
「じゃ、早く行ってこいよ。あっ、一緒行こうか?」
「いいよ…一人で、行ってくる」
安達君にお昼一緒にって言われると思ってなくって、焦ってしまった。
もう話しかけられないと思っていたから余計に焦る。
みんなの視線も気になるし…。
蔑むような視線じゃない。
興味…そう興味津々って感じで、普段あまり話さない女子が何かと話しかけてくる。
そっとしておいて欲しいのに。
購買までをトボトボ歩いてると「佐々城先輩」と後ろから声を掛けられた。
振り向きたくないけど、聞こえなかったふりが出来るような喧騒は周りにはない。
よく通る声で名前を呼ばれたら止まらない訳にはいかない。
「何?」
良かった。どもらなかった。
そこにいたのは知らない後輩だった。
「あの…佐々城先輩に会いたいって言ってる子がいて、ついてきてくれませんか?」
「今から?これから購買に行くんだけど…」
「ちょっとだけです。お願いしますよ」
と僕の手を掴んでそのまま歩き出した。
ちらっと見えた学年ごとに色の違う校章の刺繍は一年のものだったけど、僕より背が高くて、細いのに握力は僕よりはるかに強くて振りほどくことは出来ない。
「い、痛いよ!行くから、離して」
やっと離してくれたけど、チラチラとこちらを見ながら僕が付いてきてるか確認しながら歩いていく。
昼休みが始まったばかりでみんな昼食を食べているのか周りは静かで、購買や食堂に行く人がパラパラといるだけだった。
もう少し、人が多いところを通れば良かった…。でも、この強引さは周りに人がいても同じかもしれない。
校舎から離れて、第二体育館に着いた。
「こっちです」
そう言うと僕の背中を押して歩き出した。逃がさないとでも言うような強引さで体育館の裏側に回る。
校舎側から見えなくなった辺りでネクタイのようなもので目隠しされた。
咄嗟に目をつむったから目に入らなかったけど、目を開けてたら危なかった。
「な、何するんだよ!」
びっくりしてしばらく動けなかったのがまずかった。目隠しを括り終わったそいつは僕の手を後ろで合わせ一つにまとめて括りだした。
「ほら、歩いて下さいよ」
「歩けないよ。誰か!助け…」
「ちょっと、静かにして下さい」
僕の口を押さえ、丁寧な口調だけどとても威圧的な声は怖くて、これ以上歩くことはできない。
すると、突き飛ばされて、尻餅をついてしまった。
見えないのは怖い。
大きな声を出せば殴られるだろうか?誰もいないのならちょっとくらい声を出しても仕方ないかもしれない。
「もう、安達先輩に近寄らないで下さいますか?」
僕をここに連れてきた奴ではない。
この声は…岸井君だ。
どう言うことだろう?
髪を掴んで引っ張られて痛い。
「どうしてこんなことするんだよ!離せ!」
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