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第二章
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僕たちのことは、松本君以外は知らない。
だから、あんな写真なんか気にならないのか安達君に告白する女子は後を絶たない。
サッカー部の後輩君はあれから教室には来ていない。安達君は怒ってたけど、直ぐに助けられたし怪我も擦り傷だけだったから、僕に近づかないと条件を出して許した。
僕を第二体育館まで連れて行った一年生はサッカー部で、先輩の言うことには逆らえなかったそうだ。…その割に、僕への恫喝は鋭いものがあって怖かったけどね。
岸井君はどうやら松本君が好きで、松本君と安達君が付き合ってると思い込んでいて、安達君なら仕方ないと思っていたそうだ。
そんな時に写真が出回り、カモフラージュだと確信した岸井君はしかし、僕の存在が気に食わなかったみたい。何かと二人の邪魔をする存在だと思ったらしい。
それで、噂を利用して僕を陥れて、あわよくば…と言うことらしい。
人の気持ちはわからないから憶測だけど…。
安達君とは会うたびキスをした。
僕は初めてのことで恥ずかしかったけど、喜んでくれるから…初めてだって、馬鹿にすることはなかったし、優しかった。
僕に合わせてくれて少しずつ二人の距離は近くなっていた。
安達君はその先も望んでいた。
怖かったし、恥ずかしかったけどずっと好きだった人に触れられることも触れることも嬉しくて『良いよ』と言った。
安達君は喜んでくれた。
夏休みのほとんどを安達君の部屋で過ごした。
勉強したり、仲良くしたり…僕にとっては幸せな日々だった。
「っあ…んっ…」
「…篤紀、良い?」
付き合いだしてから僕の事は名前で呼ぶようになった。
「あぁ…だ、ダメ…そんなにしたら…変になる…」
「大丈夫だよ…可愛い…もっと変になって」
「…さ、聡史…ぁんっ」
僕にも名前で呼んでと言われた。
照れ臭いけど、嬉しい。
「篤紀、好きだよ」
「あっ…んっ…ぼ、僕も…はぁ…」
受験生の僕たちは浮かれてばかりはいられない。
聡史は近くにある公立の大学に行きたいと三年に上がった時に話しているのを聞いたことがあった。
僕はその時から実家を出るつもりでいた。地元にいて、うっかり会ってしまっては忘れるどころではないし、聡史から卒業するためには必要なことだと思ってた。
でも今も不安だ。
公表出来ない僕たちの関係は仲の良いクラスメートで、一緒に帰ろうとしていても、告白したい女子には『佐々城君、協力してよ』と頼まれてしまい、一人で帰らなければならない。
聡史は断って直ぐに追いついてくれる時もあるけど、そのまま自宅に着いてしまうことがほとんどだ。
どうして僕なのか?
女子と付き合えば堂々と一緒に居られる。誰にも邪魔されないだろう。
こんなに堂々と自分の彼氏に告白されることもない。
不安定な気持ちで元々社交的でない僕はさらに殻に閉じこもる。
でも、聡史の前ではできるだけ普通に過ごすようにした。
「篤紀、帰ろ」
今日は一緒に帰れるのかな?
不安そうに見ていたのがわかったのか「ん?どしたの?」と聞いてくれた。
「ううん、何でもないよ」
聡史の心配そうな顔に思わず笑顔で返した。
例え高校に一緒に通って同じ教室で過ごす時間に限りがあっても、この時は僕が聡史の隣にいてもいい時間なのだと自分に言い聞かせた。
だってそうだろう?
クラスの女子の話を聞くとはなしに耳に入ってくるまま聞いていると、つい先日告白して付き合うことになったんだと嬉しそうに話していたかと思ったら二週間も経たないうちに別れたとあっけらかんと…笑いながら報告している。それからしばらくするとまた、どこそこの高校の子がかっこいいと騒いでいる。
男女の中でもそんなにくっついたり離れたりするんだ、男同士の僕たちの関係は…もっと呆気ないものかもしれない。
「今日、家寄れる?」
「うん」
「数学、わからないとこあるんだ」
「あっ、僕、英語」
二学期に入り、僕たちの周りは一気に受験の色が濃くなった。
AO入試や推薦入試は動き始めている人もいるから余計だ。
二人の会話も自然と甘くばかりではなくなる。
だから、あんな写真なんか気にならないのか安達君に告白する女子は後を絶たない。
サッカー部の後輩君はあれから教室には来ていない。安達君は怒ってたけど、直ぐに助けられたし怪我も擦り傷だけだったから、僕に近づかないと条件を出して許した。
僕を第二体育館まで連れて行った一年生はサッカー部で、先輩の言うことには逆らえなかったそうだ。…その割に、僕への恫喝は鋭いものがあって怖かったけどね。
岸井君はどうやら松本君が好きで、松本君と安達君が付き合ってると思い込んでいて、安達君なら仕方ないと思っていたそうだ。
そんな時に写真が出回り、カモフラージュだと確信した岸井君はしかし、僕の存在が気に食わなかったみたい。何かと二人の邪魔をする存在だと思ったらしい。
それで、噂を利用して僕を陥れて、あわよくば…と言うことらしい。
人の気持ちはわからないから憶測だけど…。
安達君とは会うたびキスをした。
僕は初めてのことで恥ずかしかったけど、喜んでくれるから…初めてだって、馬鹿にすることはなかったし、優しかった。
僕に合わせてくれて少しずつ二人の距離は近くなっていた。
安達君はその先も望んでいた。
怖かったし、恥ずかしかったけどずっと好きだった人に触れられることも触れることも嬉しくて『良いよ』と言った。
安達君は喜んでくれた。
夏休みのほとんどを安達君の部屋で過ごした。
勉強したり、仲良くしたり…僕にとっては幸せな日々だった。
「っあ…んっ…」
「…篤紀、良い?」
付き合いだしてから僕の事は名前で呼ぶようになった。
「あぁ…だ、ダメ…そんなにしたら…変になる…」
「大丈夫だよ…可愛い…もっと変になって」
「…さ、聡史…ぁんっ」
僕にも名前で呼んでと言われた。
照れ臭いけど、嬉しい。
「篤紀、好きだよ」
「あっ…んっ…ぼ、僕も…はぁ…」
受験生の僕たちは浮かれてばかりはいられない。
聡史は近くにある公立の大学に行きたいと三年に上がった時に話しているのを聞いたことがあった。
僕はその時から実家を出るつもりでいた。地元にいて、うっかり会ってしまっては忘れるどころではないし、聡史から卒業するためには必要なことだと思ってた。
でも今も不安だ。
公表出来ない僕たちの関係は仲の良いクラスメートで、一緒に帰ろうとしていても、告白したい女子には『佐々城君、協力してよ』と頼まれてしまい、一人で帰らなければならない。
聡史は断って直ぐに追いついてくれる時もあるけど、そのまま自宅に着いてしまうことがほとんどだ。
どうして僕なのか?
女子と付き合えば堂々と一緒に居られる。誰にも邪魔されないだろう。
こんなに堂々と自分の彼氏に告白されることもない。
不安定な気持ちで元々社交的でない僕はさらに殻に閉じこもる。
でも、聡史の前ではできるだけ普通に過ごすようにした。
「篤紀、帰ろ」
今日は一緒に帰れるのかな?
不安そうに見ていたのがわかったのか「ん?どしたの?」と聞いてくれた。
「ううん、何でもないよ」
聡史の心配そうな顔に思わず笑顔で返した。
例え高校に一緒に通って同じ教室で過ごす時間に限りがあっても、この時は僕が聡史の隣にいてもいい時間なのだと自分に言い聞かせた。
だってそうだろう?
クラスの女子の話を聞くとはなしに耳に入ってくるまま聞いていると、つい先日告白して付き合うことになったんだと嬉しそうに話していたかと思ったら二週間も経たないうちに別れたとあっけらかんと…笑いながら報告している。それからしばらくするとまた、どこそこの高校の子がかっこいいと騒いでいる。
男女の中でもそんなにくっついたり離れたりするんだ、男同士の僕たちの関係は…もっと呆気ないものかもしれない。
「今日、家寄れる?」
「うん」
「数学、わからないとこあるんだ」
「あっ、僕、英語」
二学期に入り、僕たちの周りは一気に受験の色が濃くなった。
AO入試や推薦入試は動き始めている人もいるから余計だ。
二人の会話も自然と甘くばかりではなくなる。
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