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第四章
05
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「やっぱり嫌だ。やっと、戻ってきたのに…誰にも見せたくない」
「えっ?」
「だから、村越とは二人で会うな!」
「えっと…友だちだよ?」
「気に入らない」
「何が?…誰が?」
「村越…。松本は良いんだ…岸井がいるからな」
「えっと…岸井ってあの?」
「そう、あの岸井」
「いつから?」
「いつだったかな?岸井が大学同じとこ入ってきて…それからかな。そう言えば、岸井が会いたがってた。近寄らないって条件出したからあれから会ってないだろ?だから、きちんと謝りたいってさ。でも、ほら…篤紀は素直じゃないからさ…」
「う~…ごめん」
「良いんだ。そんな篤紀が好きなんだから。諦めなくて良かった」
そう言って腕の力を強くする。
「散々見せつけられたから、今度は可愛い篤紀を見せびらかす!」
「嫌だよ!それにさっきは見せたくないって言ってた」
「そうだっけ?村越抜きなら良い」
「僕の事、好きになってくれるなんて、聡史だけだよ?だからそんな心配しなくても…」
幸せな言い争いは、キスによって遮られた。
◇◇◇◇◇
「いつからここに住んでるの?」
「ん?今日から」
「今日?じゃあまだ一回もここで泊まってないの?」
「そうだよ?昨日、姉貴に日用品を買いに行くの付き合ってもらったんだ。そしたら昼飯奢れって言われてさ。その時だな、篤紀が俺たち見たの。
他のものは一緒に選びたかったからさ。まだ買ってない。机は何もないと不便かなって俺の部屋にあったやつ持ってきた」
見覚えある机は一緒に勉強したり、お茶を飲んだりしたものだった。
「ねえ、あの時神社で会わなかったらどうするつもりだったの?」
マンションの契約までして一人では大きいこの部屋に、誰かと住むつもりだったのかな?
僕以外の誰かと?
「強引に連れて帰るつもりだった」
「えっ?」
「次の飲みの時車で行って、俺は酒飲まずに篤紀を車に乗せてここまで連れてくるつもりだった」
「そうなの?」
「だって、誘ったってやんわり断るし、あの場では本当のこと言わないだろうし。
松本と村越には『篤紀をその場に連れて行くことには協力はするけど、その先は自分で頑張れ』って言われてたからさ。それにあいつらに可愛い篤紀を見せたくないしね」
「だって、彼女いると思ってたから、彼女に悪いし…僕も嫌だったから」
「僕もってなんだよ?」
なんでか怒ってる?
「えっと…高校の時?」
「高校の時、何が嫌だったんだ?」
ますます機嫌が悪くなる聡史に慌てる。
「女子に告白されてただろ?」
「ああ、まあな…嫌だったのか?あの時は何も言わなかったじゃないか?」
「だって…何も言えないよ」
「言ってくれればよかったのに。俺は何も言わない篤紀に不安になった」
「そうなの?」
「えっ?」
「だから、村越とは二人で会うな!」
「えっと…友だちだよ?」
「気に入らない」
「何が?…誰が?」
「村越…。松本は良いんだ…岸井がいるからな」
「えっと…岸井ってあの?」
「そう、あの岸井」
「いつから?」
「いつだったかな?岸井が大学同じとこ入ってきて…それからかな。そう言えば、岸井が会いたがってた。近寄らないって条件出したからあれから会ってないだろ?だから、きちんと謝りたいってさ。でも、ほら…篤紀は素直じゃないからさ…」
「う~…ごめん」
「良いんだ。そんな篤紀が好きなんだから。諦めなくて良かった」
そう言って腕の力を強くする。
「散々見せつけられたから、今度は可愛い篤紀を見せびらかす!」
「嫌だよ!それにさっきは見せたくないって言ってた」
「そうだっけ?村越抜きなら良い」
「僕の事、好きになってくれるなんて、聡史だけだよ?だからそんな心配しなくても…」
幸せな言い争いは、キスによって遮られた。
◇◇◇◇◇
「いつからここに住んでるの?」
「ん?今日から」
「今日?じゃあまだ一回もここで泊まってないの?」
「そうだよ?昨日、姉貴に日用品を買いに行くの付き合ってもらったんだ。そしたら昼飯奢れって言われてさ。その時だな、篤紀が俺たち見たの。
他のものは一緒に選びたかったからさ。まだ買ってない。机は何もないと不便かなって俺の部屋にあったやつ持ってきた」
見覚えある机は一緒に勉強したり、お茶を飲んだりしたものだった。
「ねえ、あの時神社で会わなかったらどうするつもりだったの?」
マンションの契約までして一人では大きいこの部屋に、誰かと住むつもりだったのかな?
僕以外の誰かと?
「強引に連れて帰るつもりだった」
「えっ?」
「次の飲みの時車で行って、俺は酒飲まずに篤紀を車に乗せてここまで連れてくるつもりだった」
「そうなの?」
「だって、誘ったってやんわり断るし、あの場では本当のこと言わないだろうし。
松本と村越には『篤紀をその場に連れて行くことには協力はするけど、その先は自分で頑張れ』って言われてたからさ。それにあいつらに可愛い篤紀を見せたくないしね」
「だって、彼女いると思ってたから、彼女に悪いし…僕も嫌だったから」
「僕もってなんだよ?」
なんでか怒ってる?
「えっと…高校の時?」
「高校の時、何が嫌だったんだ?」
ますます機嫌が悪くなる聡史に慌てる。
「女子に告白されてただろ?」
「ああ、まあな…嫌だったのか?あの時は何も言わなかったじゃないか?」
「だって…何も言えないよ」
「言ってくれればよかったのに。俺は何も言わない篤紀に不安になった」
「そうなの?」
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