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第五章
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僕が近くに行かなければ男同士で使うってわからないよね。
「篤紀、ちょっと」
レジで僕を呼んでる聡史は何を考えてるのかな?
「包装とかしなくても良いよな?」
恥ずかしい…とっても恥ずかしい。店員さんの顔がまともに見られない。
ちらりと聡史と店員さんの顔を見ると、聡史は満面の笑みで店員さんは驚いたような、でも興味を持った含み笑いのような笑顔だった。
目が、目が怖い。
目だけが異様に笑ってる。
「包装お願いします」
「え~?す…ぐぅぅ」
聡史の口を押さえて、店員さんに笑顔で言った。
「お願いします」
「畏まりました」
プロの対応ありがとうございます。
ただし、笑顔の目はさっきの目だった。絶対二人で使うってバレバレですよね。
職場がかなり近くなって通勤に便利になったことで、両親に…主に母だけど、話しやすかった。
もう大人なんだし、実家を出ることは不自然じゃないけど、母は『せっかく実家から通えるのに』とぐちぐち文句を言ってた。
聡史が自分の職場より僕の職場に近い場所に部屋を借りてくれたのは、母の攻撃に対抗できるようにと考えて選んでくれたからだ。
聡史の決意のようなものを感じて嬉しかった。
引越しは村越君が薔薇農家のおじさんに軽トラックを借りてくれたので、一度で済ますことができた。
車さえ借りれば後はなんとかするからと言ったのに「良いから、良いから」と村越君と松本君、そして岸井君まで押しかけてきた。
チェストを運べば後は箱がいくつかあるだけの引越しはそんなにすることはない。
二人で住むところが気になっただけなんだ、きっと。
「おー、広いな」
「良いだろ」
「うわー、何これ?この部屋全部ベッドだよ」
「あっ、そこは入るな!」
「こっちの部屋、何に使うんですか?先輩と喧嘩したら俺、ここに逃げて来ても良いですか?」
「岸井に貸す部屋は無いから!松本、こいつなんとかしろ」
「俺は知らない」
好き勝手言ってる三人にいちいち反応する聡史は片付けるとか手伝うとかは意識の外のようで邪魔でしかない。
さっさと帰って欲しい。
と言っても、直ぐに帰る訳はなく、なんか食べる物ないの?と言い出した松本君にここぞとばかりに買い物を頼んだ。
多分「晩御飯を食べさせろ」って言われると思っていたから、その買い出し。村越君がぐちぐちと文句を言ったけど、なんとか三人で買い物に出かけてくれた。
静かになった部屋で聡史の腕が伸びてくる。
「あいつらうるさいな」
僕を抱きしめ『嫌んなる』って言う聡史はでもどこか楽しそうで、僕がみんなの中で自然と聡史の隣にいることが嬉しそうでこっちまで幸せになる。
「みんなが帰ってくるまでに片付けないと」
「わかってる」
そう言いながら、キスをする。
聡史のキスを拒むことは…僕には出来ない。
聡史は自然な手つきで眼鏡を取り、僕は背中に腕を回した。
「この頃、キスの時、目閉じてるな」
「そ、そうかな、あっ…んっ」
「ほら、今も」
そう言えばそうかも。
キスの間のおしゃべりは聡史の側にいたい僕にはとっても大切な時間。
「だって、いつも側にいて、くれるから」
そうだ。探さなくても直ぐ側にあって、『今見ておかないと!』って思わなくてもいいからだ。
「聡史、大好き」
自分ではそんなつもりはなかったけど、高三の時に僕は『好き』って言わなかったようだからこれからはいっぱい自分の気持ち『好き』も『不安なこと』もきちんと伝えていきたい。
「ほんと、素直になったな。ヤバい、止めらんない」
そう言ってキスが深くなる。
その時携帯が震えた。
「で、電話」
「ダメ」
「でも…」
「誰だよ!」
慌てていたから、誰からの電話かを確認せずに出てしまった。
「は、はい」
「篤紀、ちょっと」
レジで僕を呼んでる聡史は何を考えてるのかな?
「包装とかしなくても良いよな?」
恥ずかしい…とっても恥ずかしい。店員さんの顔がまともに見られない。
ちらりと聡史と店員さんの顔を見ると、聡史は満面の笑みで店員さんは驚いたような、でも興味を持った含み笑いのような笑顔だった。
目が、目が怖い。
目だけが異様に笑ってる。
「包装お願いします」
「え~?す…ぐぅぅ」
聡史の口を押さえて、店員さんに笑顔で言った。
「お願いします」
「畏まりました」
プロの対応ありがとうございます。
ただし、笑顔の目はさっきの目だった。絶対二人で使うってバレバレですよね。
職場がかなり近くなって通勤に便利になったことで、両親に…主に母だけど、話しやすかった。
もう大人なんだし、実家を出ることは不自然じゃないけど、母は『せっかく実家から通えるのに』とぐちぐち文句を言ってた。
聡史が自分の職場より僕の職場に近い場所に部屋を借りてくれたのは、母の攻撃に対抗できるようにと考えて選んでくれたからだ。
聡史の決意のようなものを感じて嬉しかった。
引越しは村越君が薔薇農家のおじさんに軽トラックを借りてくれたので、一度で済ますことができた。
車さえ借りれば後はなんとかするからと言ったのに「良いから、良いから」と村越君と松本君、そして岸井君まで押しかけてきた。
チェストを運べば後は箱がいくつかあるだけの引越しはそんなにすることはない。
二人で住むところが気になっただけなんだ、きっと。
「おー、広いな」
「良いだろ」
「うわー、何これ?この部屋全部ベッドだよ」
「あっ、そこは入るな!」
「こっちの部屋、何に使うんですか?先輩と喧嘩したら俺、ここに逃げて来ても良いですか?」
「岸井に貸す部屋は無いから!松本、こいつなんとかしろ」
「俺は知らない」
好き勝手言ってる三人にいちいち反応する聡史は片付けるとか手伝うとかは意識の外のようで邪魔でしかない。
さっさと帰って欲しい。
と言っても、直ぐに帰る訳はなく、なんか食べる物ないの?と言い出した松本君にここぞとばかりに買い物を頼んだ。
多分「晩御飯を食べさせろ」って言われると思っていたから、その買い出し。村越君がぐちぐちと文句を言ったけど、なんとか三人で買い物に出かけてくれた。
静かになった部屋で聡史の腕が伸びてくる。
「あいつらうるさいな」
僕を抱きしめ『嫌んなる』って言う聡史はでもどこか楽しそうで、僕がみんなの中で自然と聡史の隣にいることが嬉しそうでこっちまで幸せになる。
「みんなが帰ってくるまでに片付けないと」
「わかってる」
そう言いながら、キスをする。
聡史のキスを拒むことは…僕には出来ない。
聡史は自然な手つきで眼鏡を取り、僕は背中に腕を回した。
「この頃、キスの時、目閉じてるな」
「そ、そうかな、あっ…んっ」
「ほら、今も」
そう言えばそうかも。
キスの間のおしゃべりは聡史の側にいたい僕にはとっても大切な時間。
「だって、いつも側にいて、くれるから」
そうだ。探さなくても直ぐ側にあって、『今見ておかないと!』って思わなくてもいいからだ。
「聡史、大好き」
自分ではそんなつもりはなかったけど、高三の時に僕は『好き』って言わなかったようだからこれからはいっぱい自分の気持ち『好き』も『不安なこと』もきちんと伝えていきたい。
「ほんと、素直になったな。ヤバい、止めらんない」
そう言ってキスが深くなる。
その時携帯が震えた。
「で、電話」
「ダメ」
「でも…」
「誰だよ!」
慌てていたから、誰からの電話かを確認せずに出てしまった。
「は、はい」
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