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第五章
03
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『遅い!』
「村越君…」
『惚けた声出して、何してたんだよ。俺たち追い出してイチャコラしてたんだろ』
「そ、そんなこと…」
『まあ良い。メモを忘れたから写メ送ってくれ。直ぐだぞ』
そう言って直ぐに切れた電話をじっと見ていたら聡史が「村越、何だって?」って後ろから僕の腰に腕を回す。
「メモ忘れたって」
また、誤解されるのは嫌なので…誤解でもないけど…直ぐに写真を撮って送った。
「あいつら、わざとじゃないのか?」
片付けをしてからみんなの分の夕食を用意するのも大変なので鍋にすることにした。五人分の食材を切るのも大変かなって思ったけどそれくらいなら誰にでもできる。だから鍋の材料をお願いしたから別にメモは必要ないように思う。
やっぱりわざとかな?
「篤紀、次の休みに実家に来てくれる?」
「何かまだ持ってきたい物があるの?」
「父さんと母さんが会いたいって」
「えっ?今日も会ったよ?」
僕の家の荷物を積んで聡史の家に行った。
使ってない食器があるから僕が見て必要なものだけ持っていって構わないと言われたからお邪魔した。
そこでお昼もご馳走になった。
あの三人も一緒だったからとても迷惑をかけてしまった。
「ちゃんと家族として挨拶してないからさ」
「それは…」
「うん、この部屋を借りる時に、大切な人と一緒に住むからって両親には伝えてる」
「……そんな、許してくれたの?」
「ん~四、五ヶ月?かかった」
「何が?」
「ん?説得するの」
「そんな前から?」
「そうだよ。だから、もう逃げられない」
そう言って聡史の腕の中に閉じ込められた。
「逃げないよ。ありがとう」
お父さんもお母さんも笑顔で接してくれた。
受け入れてもらえたんだ。
僕の眼に涙が溜まりかけて「また泣く」って近くにあったティッシュで拭いてくれる。
だって、だってそうだろ?
涙くらい出るよ。
ちょっと前まで諦めなきゃって思ってた人の両親に認められたんだ。
聡史は僕が落ち着くまで背中をさすったり、キスしたり、髪を梳いたりしてくれた。
聡史の腕の中で幸せを噛みしめる。
その時、玄関でガチャガチャと音がして無遠慮な三人が『重い~』と文句を言いながら入ってきた。
随分長い時間腕の中にいたようだ。
「佐々城眼鏡してないぞ。何してたんだ」
「あ~全然片付いてないじゃないですか」
「なんでティッシュ握りしめてんだよ。生々しい」
「安達何泣かしてんだ?佐々城俺が慰めてやろうか?」
「村越、触るな」
「何を言う。今まで散々愚痴を聞き、慰めてきたのは俺だぞ」
「ああ、ありがと。でも、もう必要ないから。篤紀は幸せの涙しか流さないから。ご心配なく」
どこまでも続きそうな言い争いに困ってしまう。
「さ、聡史」
「ああ、あの…実はさ……」
ご両親に挨拶に行くことをみんなに報告した。
「良かったじゃないか」
「おめでとう」
「う、羨ましい」
また、泣きそうだ。
「ああ、ダメダメ。篤紀の可愛い泣き顔見せられないから」
「可愛くなんかないから」
「いや、佐々城先輩は可愛いっすよ。ね、先輩?安達先輩心配ですね」
「そうなんだよ。お前、良くわかってるじゃないか」
バカなことばかり言ってる二人に呆れる。漏れそうになってた涙がどこかにいってしまった。
「村越君…」
『惚けた声出して、何してたんだよ。俺たち追い出してイチャコラしてたんだろ』
「そ、そんなこと…」
『まあ良い。メモを忘れたから写メ送ってくれ。直ぐだぞ』
そう言って直ぐに切れた電話をじっと見ていたら聡史が「村越、何だって?」って後ろから僕の腰に腕を回す。
「メモ忘れたって」
また、誤解されるのは嫌なので…誤解でもないけど…直ぐに写真を撮って送った。
「あいつら、わざとじゃないのか?」
片付けをしてからみんなの分の夕食を用意するのも大変なので鍋にすることにした。五人分の食材を切るのも大変かなって思ったけどそれくらいなら誰にでもできる。だから鍋の材料をお願いしたから別にメモは必要ないように思う。
やっぱりわざとかな?
「篤紀、次の休みに実家に来てくれる?」
「何かまだ持ってきたい物があるの?」
「父さんと母さんが会いたいって」
「えっ?今日も会ったよ?」
僕の家の荷物を積んで聡史の家に行った。
使ってない食器があるから僕が見て必要なものだけ持っていって構わないと言われたからお邪魔した。
そこでお昼もご馳走になった。
あの三人も一緒だったからとても迷惑をかけてしまった。
「ちゃんと家族として挨拶してないからさ」
「それは…」
「うん、この部屋を借りる時に、大切な人と一緒に住むからって両親には伝えてる」
「……そんな、許してくれたの?」
「ん~四、五ヶ月?かかった」
「何が?」
「ん?説得するの」
「そんな前から?」
「そうだよ。だから、もう逃げられない」
そう言って聡史の腕の中に閉じ込められた。
「逃げないよ。ありがとう」
お父さんもお母さんも笑顔で接してくれた。
受け入れてもらえたんだ。
僕の眼に涙が溜まりかけて「また泣く」って近くにあったティッシュで拭いてくれる。
だって、だってそうだろ?
涙くらい出るよ。
ちょっと前まで諦めなきゃって思ってた人の両親に認められたんだ。
聡史は僕が落ち着くまで背中をさすったり、キスしたり、髪を梳いたりしてくれた。
聡史の腕の中で幸せを噛みしめる。
その時、玄関でガチャガチャと音がして無遠慮な三人が『重い~』と文句を言いながら入ってきた。
随分長い時間腕の中にいたようだ。
「佐々城眼鏡してないぞ。何してたんだ」
「あ~全然片付いてないじゃないですか」
「なんでティッシュ握りしめてんだよ。生々しい」
「安達何泣かしてんだ?佐々城俺が慰めてやろうか?」
「村越、触るな」
「何を言う。今まで散々愚痴を聞き、慰めてきたのは俺だぞ」
「ああ、ありがと。でも、もう必要ないから。篤紀は幸せの涙しか流さないから。ご心配なく」
どこまでも続きそうな言い争いに困ってしまう。
「さ、聡史」
「ああ、あの…実はさ……」
ご両親に挨拶に行くことをみんなに報告した。
「良かったじゃないか」
「おめでとう」
「う、羨ましい」
また、泣きそうだ。
「ああ、ダメダメ。篤紀の可愛い泣き顔見せられないから」
「可愛くなんかないから」
「いや、佐々城先輩は可愛いっすよ。ね、先輩?安達先輩心配ですね」
「そうなんだよ。お前、良くわかってるじゃないか」
バカなことばかり言ってる二人に呆れる。漏れそうになってた涙がどこかにいってしまった。
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