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第五章
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それからは分担して片付けて、鍋の準備をした。みんな車で来てるから今日はお酒は出せない。
あんなに騒いでいてもどこか気を使ってくれたのか、食事の片付けをした後三人は帰った。
「今日はありがとう。村越君、おじさんにこれ渡しておいて」
軽トラックを借りたから少しばかりのお礼を用意していた。
「また来るからな」
「もう来るな」
「いや、あの部屋は…」
「岸井の部屋じゃない」
「…はい」
「やっぱり笑われた」
「良いんだよ」
あの夫婦茶碗は三人の注目の的だった。
岸井君がやけに興味を持ってしきりに「良いな~」と松本君を見ていた。
まあ、僕も気に入ってるから良いんだけどね。
「あのさ、僕の両親にはまだ言ってないんだ。ごめん」
「良いよ、わかってる。実家出るのさえあんなに渋ってたのに。ゆっくり理解してもらおう」
「うん、ありがとう」
「俺は篤紀のお母さんに感謝してるんだ。篤紀がこっちに帰ってきたのはお母さんに頼まれたからだろ?」
「そうだけど、半分は自分の意思だよ。全てを忘れて生きていくのは辛かったんだ。例え聡史の隣に誰か他の人がいたとしてもやっぱり…」
「もうそんな顔すんなよ」
「うん」
「俺の隣は篤紀だけだよ。それよりさ、風呂入ろ」
いきなり話が変わって、聡史はさっさと浴室に入っていく。
「あっ、待ってよ」
「早く来いよ」
初めてこの部屋に来てから今日までに何度か泊まった。
その度に一緒にお風呂に入ったから少しは慣れたけど、まだ恥ずかしい。
けど、一人で後から入る方が遥かに恥ずかしい。
「待ってよ」
脱衣場に行くと待っててくれた。
「あのさ、今日は疲れたからさ…」
「う~ん、自信ないけど、我慢する」
二人でいることが当たり前になって、聡史の隣でここでの生活が始まる。
これからもいろいろあるかもしれないけど、二人で乗り越えて、二人で成長できたら良いなと思った。
◇◇◇◇◇
「ねえ、これで良い?」
いつものスーツなのに今日は違って見える。
「ああ、ばっちり」
「あー、今こっち見ないで言った。いい加減だな」
「俺はいつも篤紀の事見てるよ。いつ見ても、何着てても俺の篤紀は文句なしで可愛いから」
良い加減なことを言ってる聡史は僕を抱きしめキスをする。
「ちょ…」
「少しだけ」
触れるだけのキスはそれだけで硬くなっていた身体から力を抜いていく。
「聡史、愛してる」
「俺も、愛してる」
優しく触れる唇は僕の事はお見通しだ。
この一週間ずっと緊張してた。
昨日の夜は眠れなかった。
聡史の腕の中でモゾモゾと動いてたからきっと寝られなかったのを知っているんだ。
引っ越してから一週間、
今日は聡史の実家に挨拶に行く。
何度も会ってるし、先週は一緒にご飯も食べた。でも、今日は違う。
「ねえ、ほんとに何も持って行かなくて良いの?」
「うん、良いってさ」
「でも…」
「じゃあ、ケーキ買って行こう。みんなで食べられる。篤紀、ケーキ好きだろ?
さ、行こう」
玄関に立ち、二人で扉を開けた。
END
あんなに騒いでいてもどこか気を使ってくれたのか、食事の片付けをした後三人は帰った。
「今日はありがとう。村越君、おじさんにこれ渡しておいて」
軽トラックを借りたから少しばかりのお礼を用意していた。
「また来るからな」
「もう来るな」
「いや、あの部屋は…」
「岸井の部屋じゃない」
「…はい」
「やっぱり笑われた」
「良いんだよ」
あの夫婦茶碗は三人の注目の的だった。
岸井君がやけに興味を持ってしきりに「良いな~」と松本君を見ていた。
まあ、僕も気に入ってるから良いんだけどね。
「あのさ、僕の両親にはまだ言ってないんだ。ごめん」
「良いよ、わかってる。実家出るのさえあんなに渋ってたのに。ゆっくり理解してもらおう」
「うん、ありがとう」
「俺は篤紀のお母さんに感謝してるんだ。篤紀がこっちに帰ってきたのはお母さんに頼まれたからだろ?」
「そうだけど、半分は自分の意思だよ。全てを忘れて生きていくのは辛かったんだ。例え聡史の隣に誰か他の人がいたとしてもやっぱり…」
「もうそんな顔すんなよ」
「うん」
「俺の隣は篤紀だけだよ。それよりさ、風呂入ろ」
いきなり話が変わって、聡史はさっさと浴室に入っていく。
「あっ、待ってよ」
「早く来いよ」
初めてこの部屋に来てから今日までに何度か泊まった。
その度に一緒にお風呂に入ったから少しは慣れたけど、まだ恥ずかしい。
けど、一人で後から入る方が遥かに恥ずかしい。
「待ってよ」
脱衣場に行くと待っててくれた。
「あのさ、今日は疲れたからさ…」
「う~ん、自信ないけど、我慢する」
二人でいることが当たり前になって、聡史の隣でここでの生活が始まる。
これからもいろいろあるかもしれないけど、二人で乗り越えて、二人で成長できたら良いなと思った。
◇◇◇◇◇
「ねえ、これで良い?」
いつものスーツなのに今日は違って見える。
「ああ、ばっちり」
「あー、今こっち見ないで言った。いい加減だな」
「俺はいつも篤紀の事見てるよ。いつ見ても、何着てても俺の篤紀は文句なしで可愛いから」
良い加減なことを言ってる聡史は僕を抱きしめキスをする。
「ちょ…」
「少しだけ」
触れるだけのキスはそれだけで硬くなっていた身体から力を抜いていく。
「聡史、愛してる」
「俺も、愛してる」
優しく触れる唇は僕の事はお見通しだ。
この一週間ずっと緊張してた。
昨日の夜は眠れなかった。
聡史の腕の中でモゾモゾと動いてたからきっと寝られなかったのを知っているんだ。
引っ越してから一週間、
今日は聡史の実家に挨拶に行く。
何度も会ってるし、先週は一緒にご飯も食べた。でも、今日は違う。
「ねえ、ほんとに何も持って行かなくて良いの?」
「うん、良いってさ」
「でも…」
「じゃあ、ケーキ買って行こう。みんなで食べられる。篤紀、ケーキ好きだろ?
さ、行こう」
玄関に立ち、二人で扉を開けた。
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