31 / 47
番外編ー1 聡史の気持ち
02
しおりを挟む
一年生の時から隣の席で俺の事目で追ってた篤紀は、可愛いって表現がぴったりくる容姿で本人気付いてないけど、何気に目立ってた。
告られることはなかったみたいだけど、人気はあった。
あまり社交的でないからなかなか話しかけ辛い雰囲気で、中学から同じ奴らは目を輝かせて話しかけてる。
社交的でなくても話しかけられれば丁寧に返事してるし、そいつにも笑顔で話すから勘違い男が現れないかヒヤヒヤだ。
いつも一緒に行ってた神社に初詣に行った。
冬休み中も行ったけど、新年の準備があるのかいつも静まり返ってる境内はざわざわしてて落ち着かないから一度行っただけだった。
ベンチに座ってると寒いし、階段では冬場の筋トレに近隣の学校から練習に来てて、対抗リレーなんて盛り上がってるからガヤガヤしててそれも嫌だった。
年が明けるちょうどは混んでるだろうから、俺の家で少し時間を潰してから行くことになった。
居間で姉貴と母さん、父さんと一緒にコタツに入り、二人きりになれないのを恨めしく思いながら姉貴が持って来たカードゲームを楽しそうにしている篤紀を眺めてた。
みんなで初詣に行くそうだ。毎年行ってたか?こんな時間には行ってなかったよな?邪魔しないで欲しいよ。二人で行けないならもう出かけてもいいんだけどな。
でも篤紀、父さんと母さんと姉貴とこんなに打ち解けてるのか…と不思議な気がしてた。
同じ大学受けるつもりだった。
受験する学部は違ったけど地元なら一緒にいられるって思ったのに…。
センター試験失敗したから…もう無理だと思うって俺の目も見られないって泣きそうな顔で俯いて、同じとこ行けないって悲しんでる篤紀が呟いた。
失敗したのなら篤紀が一番辛いだろうって思って慰めただけだった。
篤紀も悲しんでるって思ったんだ。学力なら俺と同じか篤紀の方が上くらいだから、よっぽど…って思った。
けど、もしかしたら…。
嫌な予感を振り払う。
そんなことない。
篤紀から別れ話は出なかった。
相変わらず自分から言葉で甘えたりしないけど、その視線も寂しげで…それは俺と離れてしまう寂しさだと思ってた。
俺から別れ話はしたくない。どんなに嫌われても追いかけていきたい…。できれば嫌われたくはないけど…。
引っ越す前日に、いつもの神社に行った。
ここにはもう来ないかもしれないな…なんて思いながら篤紀を抱きしめ、キスをする。
「ダメだよ…」
「誰も来ないよ。それに来たらわかるだろ?」
いつもはここでキスなんかしないけど、今にも泣きそうな篤紀を慰めるためにどうしたらいいかわからないから、いっぱいキスをした。
キスの間も悲しそうな瞳が俺を見る。
…篤紀の母ちゃんよく篤紀が家出るの許したな。篤紀の事とても大切にしてたのに。
…反対してくれよ。
…俺のが泣きそうだよ。
◇◇◇◇◇
俺は密かに篤紀と同じ大学行く奴を探した。
高校にも居たけど、あまり知らない奴だったからダメだ。中学の時、同じクラスだった黒川が行くってわかった時は正直『やだな』って思ったけど、他に見つからなくて仕方なく黒川に連絡した。
「なんだよ聡史、久しぶり」
エスポワールに呼び出して、奥の席に向かい合って座る。
篤紀とこんな風に座ったら見つめてくる可愛い顔が全部見えるから結構好き。
一度お願いして、両肘をテーブルに付いて頬を掌で覆ってもらった。上目遣いで見つめられたら…あの時はヤバかった。
でも、この席が空いてる時は向かい合って座ったりしない。
隣に座って腰抱いて篤紀の髪にキスするんだ。
あ~会いたいな。
なんで黒川なんかと向かい合ってるの?
「お前、呼び出しといて睨むなよ」
「ああ、悪い」
「で?なんだよ」
俺、ココアとデカイ図体に似合わない物をさっさと注文してどかっと座った黒川は中学の時から女にモテた。
兎に角マメなのだ。
容姿もそこそこで何より話が面白い。男の趣味はないと思うし、勿論だが男にはモテてはいなかった。どっちかって言うと、やっかみも手伝ってウザがられてた。
「頼みがあるんだ」
告られることはなかったみたいだけど、人気はあった。
あまり社交的でないからなかなか話しかけ辛い雰囲気で、中学から同じ奴らは目を輝かせて話しかけてる。
社交的でなくても話しかけられれば丁寧に返事してるし、そいつにも笑顔で話すから勘違い男が現れないかヒヤヒヤだ。
いつも一緒に行ってた神社に初詣に行った。
冬休み中も行ったけど、新年の準備があるのかいつも静まり返ってる境内はざわざわしてて落ち着かないから一度行っただけだった。
ベンチに座ってると寒いし、階段では冬場の筋トレに近隣の学校から練習に来てて、対抗リレーなんて盛り上がってるからガヤガヤしててそれも嫌だった。
年が明けるちょうどは混んでるだろうから、俺の家で少し時間を潰してから行くことになった。
居間で姉貴と母さん、父さんと一緒にコタツに入り、二人きりになれないのを恨めしく思いながら姉貴が持って来たカードゲームを楽しそうにしている篤紀を眺めてた。
みんなで初詣に行くそうだ。毎年行ってたか?こんな時間には行ってなかったよな?邪魔しないで欲しいよ。二人で行けないならもう出かけてもいいんだけどな。
でも篤紀、父さんと母さんと姉貴とこんなに打ち解けてるのか…と不思議な気がしてた。
同じ大学受けるつもりだった。
受験する学部は違ったけど地元なら一緒にいられるって思ったのに…。
センター試験失敗したから…もう無理だと思うって俺の目も見られないって泣きそうな顔で俯いて、同じとこ行けないって悲しんでる篤紀が呟いた。
失敗したのなら篤紀が一番辛いだろうって思って慰めただけだった。
篤紀も悲しんでるって思ったんだ。学力なら俺と同じか篤紀の方が上くらいだから、よっぽど…って思った。
けど、もしかしたら…。
嫌な予感を振り払う。
そんなことない。
篤紀から別れ話は出なかった。
相変わらず自分から言葉で甘えたりしないけど、その視線も寂しげで…それは俺と離れてしまう寂しさだと思ってた。
俺から別れ話はしたくない。どんなに嫌われても追いかけていきたい…。できれば嫌われたくはないけど…。
引っ越す前日に、いつもの神社に行った。
ここにはもう来ないかもしれないな…なんて思いながら篤紀を抱きしめ、キスをする。
「ダメだよ…」
「誰も来ないよ。それに来たらわかるだろ?」
いつもはここでキスなんかしないけど、今にも泣きそうな篤紀を慰めるためにどうしたらいいかわからないから、いっぱいキスをした。
キスの間も悲しそうな瞳が俺を見る。
…篤紀の母ちゃんよく篤紀が家出るの許したな。篤紀の事とても大切にしてたのに。
…反対してくれよ。
…俺のが泣きそうだよ。
◇◇◇◇◇
俺は密かに篤紀と同じ大学行く奴を探した。
高校にも居たけど、あまり知らない奴だったからダメだ。中学の時、同じクラスだった黒川が行くってわかった時は正直『やだな』って思ったけど、他に見つからなくて仕方なく黒川に連絡した。
「なんだよ聡史、久しぶり」
エスポワールに呼び出して、奥の席に向かい合って座る。
篤紀とこんな風に座ったら見つめてくる可愛い顔が全部見えるから結構好き。
一度お願いして、両肘をテーブルに付いて頬を掌で覆ってもらった。上目遣いで見つめられたら…あの時はヤバかった。
でも、この席が空いてる時は向かい合って座ったりしない。
隣に座って腰抱いて篤紀の髪にキスするんだ。
あ~会いたいな。
なんで黒川なんかと向かい合ってるの?
「お前、呼び出しといて睨むなよ」
「ああ、悪い」
「で?なんだよ」
俺、ココアとデカイ図体に似合わない物をさっさと注文してどかっと座った黒川は中学の時から女にモテた。
兎に角マメなのだ。
容姿もそこそこで何より話が面白い。男の趣味はないと思うし、勿論だが男にはモテてはいなかった。どっちかって言うと、やっかみも手伝ってウザがられてた。
「頼みがあるんだ」
4
あなたにおすすめの小説
【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
エスポワールで会いましょう
茉莉花 香乃
BL
迷子癖がある主人公が、入学式の日に早速迷子になってしまった。それを助けてくれたのは背が高いイケメンさんだった。一目惚れしてしまったけれど、噂ではその人には好きな人がいるらしい。
じれじれ
ハッピーエンド
1ページの文字数少ないです
初投稿作品になります
2015年に他サイトにて公開しています
諦めた初恋と新しい恋の辿り着く先~両片思いは交差する~【全年齢版】
カヅキハルカ
BL
片岡智明は高校生の頃、幼馴染みであり同性の町田和志を、好きになってしまった。
逃げるように地元を離れ、大学に進学して二年。
幼馴染みを忘れようと様々な出会いを求めた結果、ここ最近は女性からのストーカー行為に悩まされていた。
友人の話をきっかけに、智明はストーカー対策として「レンタル彼氏」に恋人役を依頼することにする。
まだ幼馴染みへの恋心を忘れられずにいる智明の前に、和志にそっくりな顔をしたシマと名乗る「レンタル彼氏」が現れた。
恋人役を依頼した智明にシマは快諾し、プロの彼氏として完璧に甘やかしてくれる。
ストーカーに見せつけるという名目の元で親密度が増し、戸惑いながらも次第にシマに惹かれていく智明。
だがシマとは契約で繋がっているだけであり、新たな恋に踏み出すことは出来ないと自身を律していた、ある日のこと。
煽られたストーカーが、とうとう動き出して――――。
レンタル彼氏×幼馴染を忘れられない大学生
両片思いBL
《pixiv開催》KADOKAWA×pixivノベル大賞2024【タテスクコミック賞】受賞作
※商業化予定なし(出版権は作者に帰属)
この作品は『KADOKAWA×pixiv ノベル大賞2024』の「BL部門」お題イラストから着想し、創作したものです。
https://www.pixiv.net/novel/contest/kadokawapixivnovel24
完結|好きから一番遠いはずだった
七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。
しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。
なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。
…はずだった。
先輩のことが好きなのに、
未希かずは(Miki)
BL
生徒会長・鷹取要(たかとりかなめ)に憧れる上川陽汰(かみかわはるた)。密かに募る想いが通じて無事、恋人に。二人だけの秘密の恋は甘くて幸せ。だけど、少しずつ要との距離が開いていく。
何で? 先輩は僕のこと嫌いになったの?
切なさと純粋さが交錯する、青春の恋物語。
《美形✕平凡》のすれ違いの恋になります。
要(高3)生徒会長。スパダリだけど……。
陽汰(高2)書記。泣き虫だけど一生懸命。
夏目秋良(高2)副会長。陽汰の幼馴染。
5/30日に少しだけ順番を変えたりしました。内容は変わっていませんが、読み途中の方にはご迷惑をおかけしました。
あなたのいちばんすきなひと
名衛 澄
BL
亜食有誠(あじきゆうせい)は幼なじみの与木実晴(よぎみはる)に好意を寄せている。
ある日、有誠が冗談のつもりで実晴に付き合おうかと提案したところ、まさかのOKをもらってしまった。
有誠が混乱している間にお付き合いが始まってしまうが、実晴の態度はいつもと変わらない。
俺のことを好きでもないくせに、なぜ付き合う気になったんだ。
実晴の考えていることがわからず、不安に苛まれる有誠。
そんなとき、実晴の元カノから実晴との復縁に協力してほしいと相談を受ける。
また友人に、幼なじみに戻ったとしても、実晴のとなりにいたい。
自分の気持ちを隠して実晴との"恋人ごっこ"の関係を続ける有誠は――
隠れ執着攻め×不器用一生懸命受けの、学園青春ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる