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番外編ー1 聡史の気持ち
03
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「珍しいな…聡史から頼みって。なんだよ?」
楽しそうだ…。
できるなら頼みたくない。でも篤紀と同じ大学行くのは俺の知ってる奴は探しても男ではこいつだけだった。
女はダメだ。噂好きな上、必要以上に関わりたがる。
「俺の連れがお前と同じ大学行くんだけど、様子を知らせて欲しんだ」
ニヤニヤして「女か?」と聞く。
「男だよ」
「へぇ~」
今度は驚いた顔をする。
「頼める?」
「俺に、メリットは?」
「何がいいんだよ」
「そうだな…先ずはお前とそいつ…?」
「佐々城篤紀」
「二人の関係は?」
「……」
「何だよ、秘密の関係?…恋人か?」
頼むならここは正直に言っておいた方が良いか。
男の恋人がいることに驚きもしない。これは、黒川に狙われるのを先ずは阻止だな。
「そうだ。恋人だよ」
「なら、会いに行けばいいじゃんか?そんなに遠くない。それに…」
何かを思い出そうと額に手を当て唸ってる。
「そうだ!お前、彼女居るんじゃなかったのか?夏休みにそんな話聞いたぞ?めちゃ可愛い子と二人で写ってるの見たって、女が騒いでた」
「その写真は篤紀だよ」
「!…見せろよ」
頼むなら顔も知っといて貰わなきゃいけないけど、あのセーラー服姿は見せたくない。ほらと、普通に撮った一枚を見せると「こいつ?へぇ~…」とさっきより驚いた顔をする。
「女装の見せて」
「ヤダね」
「おまぇ、それがものを頼む奴の態度か?」
「じゃあ、受けてくれるのか?」
「う~ん、写真見てから?」
悪びれることなくそう言うと持ったままだった俺のスマホの写真を指で触る。
ピタッと止まったところはセーラー服でキスしてる写真。
「聡史…これ…」
そして顔がよく見えるツーショットの写真へと指で送る。
スマホを奪い返してもういいだろと呟く。
「なにそれ、めちゃ可愛いな」
「俺のだぞ!」
「そんなに大事なのに会いに行かないのか?」
「会いに行くさ…でも、ずっとは居られないだろ?それに…色々とあるんだよ…だから、お願いしたいんだ」
「何だよ、振られそうなのか?お前が?面白い!」
指を差してゲラゲラと笑い、涙まで流してる。
そうだよ。
認めたくないけど、振られそうなんだよ。
悪いか?
「必死だな?」
必死だよ!
だから、悪いか?
「わかった。引き受けてやるよ」
「本当か?」
「ああ、その代わり…俺が狙ってもいいよな?」
「!…ダメだ。じゃあ、いいよ。お前には頼まない」
「本当に必死だな。わかったよ。お友だちに留めといてやる」
「えっ…それは…」
「当たり前だろ?全然知らない奴に写真撮られてたり、周りウロチョロされたら不審に思うだろう?不審者扱いは御免だ」
「わかった。俺のことは…」
「わかってる。礼は…そうだな、四年の間に考えとくさ」
黒川から送られてくる写真は俺を安心させてくれることはなかったけど、不安は少し和らいだ。
会いに行くつもりだったけど、篤紀のメールや電話はどこかよそよそしく……結局一度も行くことが出来なかった。
どうせ会えないならとバイトを頑張った。将来一緒に住めるようにお金を貯めようと思った。
もしかしたら、就職もこっちでしないかもしれない。
そんなことになったらどうしよう。
不安なことばかり考えてしまい松本に怒られた。
写真をボーっと眺めてるのを松本に見つかって何でそんなの持ってるのかと聞かれて黒川にお願いしたことを白状した。
呆れながらも俺の気持ちは高一の時から相談にのってもらってたからわかってくれる。
篤紀の性格も。
「頑張れ」
そんな軽い応援で頑張れるわけないけど、何を頑張ったらいいかわからないけど、頑張るしかない。
就職は実家から通えるところに決まったと松本が教えてくれた。
何でか口止めされたぞと言われるとショックを隠しきれない。
松本と連絡取ってたのは知ってた。何で俺にはないメールが松本にあるのかが不満に思うけどそれは半年に一度とか一年に一度の少ないもので仕方ないかと諦めた。
「お前が悪いんだぞ?何で会いに行かなかった?佐々城はもう別れたと思ってるよ」
松本に怒られた。
そんなこと…出来たらさっさとしてるよ。
楽しそうだ…。
できるなら頼みたくない。でも篤紀と同じ大学行くのは俺の知ってる奴は探しても男ではこいつだけだった。
女はダメだ。噂好きな上、必要以上に関わりたがる。
「俺の連れがお前と同じ大学行くんだけど、様子を知らせて欲しんだ」
ニヤニヤして「女か?」と聞く。
「男だよ」
「へぇ~」
今度は驚いた顔をする。
「頼める?」
「俺に、メリットは?」
「何がいいんだよ」
「そうだな…先ずはお前とそいつ…?」
「佐々城篤紀」
「二人の関係は?」
「……」
「何だよ、秘密の関係?…恋人か?」
頼むならここは正直に言っておいた方が良いか。
男の恋人がいることに驚きもしない。これは、黒川に狙われるのを先ずは阻止だな。
「そうだ。恋人だよ」
「なら、会いに行けばいいじゃんか?そんなに遠くない。それに…」
何かを思い出そうと額に手を当て唸ってる。
「そうだ!お前、彼女居るんじゃなかったのか?夏休みにそんな話聞いたぞ?めちゃ可愛い子と二人で写ってるの見たって、女が騒いでた」
「その写真は篤紀だよ」
「!…見せろよ」
頼むなら顔も知っといて貰わなきゃいけないけど、あのセーラー服姿は見せたくない。ほらと、普通に撮った一枚を見せると「こいつ?へぇ~…」とさっきより驚いた顔をする。
「女装の見せて」
「ヤダね」
「おまぇ、それがものを頼む奴の態度か?」
「じゃあ、受けてくれるのか?」
「う~ん、写真見てから?」
悪びれることなくそう言うと持ったままだった俺のスマホの写真を指で触る。
ピタッと止まったところはセーラー服でキスしてる写真。
「聡史…これ…」
そして顔がよく見えるツーショットの写真へと指で送る。
スマホを奪い返してもういいだろと呟く。
「なにそれ、めちゃ可愛いな」
「俺のだぞ!」
「そんなに大事なのに会いに行かないのか?」
「会いに行くさ…でも、ずっとは居られないだろ?それに…色々とあるんだよ…だから、お願いしたいんだ」
「何だよ、振られそうなのか?お前が?面白い!」
指を差してゲラゲラと笑い、涙まで流してる。
そうだよ。
認めたくないけど、振られそうなんだよ。
悪いか?
「必死だな?」
必死だよ!
だから、悪いか?
「わかった。引き受けてやるよ」
「本当か?」
「ああ、その代わり…俺が狙ってもいいよな?」
「!…ダメだ。じゃあ、いいよ。お前には頼まない」
「本当に必死だな。わかったよ。お友だちに留めといてやる」
「えっ…それは…」
「当たり前だろ?全然知らない奴に写真撮られてたり、周りウロチョロされたら不審に思うだろう?不審者扱いは御免だ」
「わかった。俺のことは…」
「わかってる。礼は…そうだな、四年の間に考えとくさ」
黒川から送られてくる写真は俺を安心させてくれることはなかったけど、不安は少し和らいだ。
会いに行くつもりだったけど、篤紀のメールや電話はどこかよそよそしく……結局一度も行くことが出来なかった。
どうせ会えないならとバイトを頑張った。将来一緒に住めるようにお金を貯めようと思った。
もしかしたら、就職もこっちでしないかもしれない。
そんなことになったらどうしよう。
不安なことばかり考えてしまい松本に怒られた。
写真をボーっと眺めてるのを松本に見つかって何でそんなの持ってるのかと聞かれて黒川にお願いしたことを白状した。
呆れながらも俺の気持ちは高一の時から相談にのってもらってたからわかってくれる。
篤紀の性格も。
「頑張れ」
そんな軽い応援で頑張れるわけないけど、何を頑張ったらいいかわからないけど、頑張るしかない。
就職は実家から通えるところに決まったと松本が教えてくれた。
何でか口止めされたぞと言われるとショックを隠しきれない。
松本と連絡取ってたのは知ってた。何で俺にはないメールが松本にあるのかが不満に思うけどそれは半年に一度とか一年に一度の少ないもので仕方ないかと諦めた。
「お前が悪いんだぞ?何で会いに行かなかった?佐々城はもう別れたと思ってるよ」
松本に怒られた。
そんなこと…出来たらさっさとしてるよ。
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